小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
最新号
PART I
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実践報告
  • ― 児童自身が「進歩を感じるフィードバック」の工夫 ―
    加瀬 政美
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 4-19
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,2018年 5月から 2019年 1月までの 20時間の中,公立小学校 1校 5年生 19名,6年生 15名を対象に, We Can! 1, We Can! 2.(文部科学省,2018)の中からそれぞれ1つずつの Unitを活用し,ゴール達成を目指すタスクベースの英語学習の学びのプロセスをベースにした。その中で,言語活動の間に入れる児童自身のフィードバックが,自己の「気づき」を促し,学習者の言語習得を促進する礎になるとともに,長期的な動機づけにもつながることを考察し,小学校英語における Directed Motivational Currents (DMCs)の可能性を探ることを目的としたものである。5年生と 6年生においては,それぞれ1つずつの Unitを設定し,5年生は Japanese Teacher of English (JTE)と 6年生は Assistant Language Teacher (ALT)と 80秒間のインタラクションを実施し,発話語彙数と発話の質を調査した。フィードバック前の言語活動とフィードバック後の言語活動の学習者が産出する言語について,語彙数の変容を比較し,動機づけとの関連をもとに,フィードバックから発話の質と意識がどのように変容するのか考察した。また,質問紙調査の3つの群(①関心・意欲,②技能に対する自信,③動機づけ)がフィードバック前と後での比較分析の結果,フィードバック後にこれらの3つの群は高まりを示した。言語活動の間に入れるフィードバックは,学習者の productive skillに影響を及ぼし,学習意欲を高め,小学校英語においても DMCを引き上げられることがわかった。課題として、意欲が最初か ら高い児童や児童が気づきやすい具体的なアプローチについて今後研究を深めていきたい。

  • ― 音響分析から記述した音節譜,フット譜 ―
    岡本 真砂夫
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 20-35
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    外国語活動,外国語科においてプロソディ指導を行うため,楽器を活用した。活用した楽器は,高低2 つの音を出せる膜鳴楽器,体鳴楽器,低音楽器である。リズムとピッチ変化をプロソディ指導の重点項目とし,母音挿入を防ぎ,音節のピッチを意識しながら発音練習をするための音節譜と,強勢拍リズムでピッチを意識しながら発音練習をするためのフット譜を開発した。音節譜,フット譜は,音符の等時性に縛られないようリズム音符を用いた上で,音声分析ソフトPraat やピッチ計算プログラムProsogram を活用してピッチの高低を記載し,音声の時系列に沿って配置した。教師が音節やフットでリズムを取ることにより,児童は発音練習に取り組みやすくなった。楽器は高低2 つの音しか使わないため,「高」の音を鳴らすことで高いピッチの音節を目立たせ,プロソディ指導に「スパイス」を加える効果があった。また,教師にとっては高低2 つの音のみを用いるので,操作がシンプルで扱いやすかった。取り組みの結果,英語のプロソディを意識した発音が対話活動において定着しつつあることを実感した。膜鳴楽器と体鳴楽器では,膜鳴楽器の方が児童にとって聞き取りやすく,授業に適していた。楽器の指導を7 ヶ月間受けた児童の音声を音響分析した結果から,音調と母音長の指導が必要なことが発見された。しかし,打楽器は瞬間的に音を発するため,母音長や音調の指導には限界があり,音声をよく聞かせたり,Prosogram のピッチ曲線を直接児童に提示したりする等,別途指導が必要なことが明らかになった。

  • 泉 惠美子, 幡井 理恵, 田縁 眞弓
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 36-51
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,2020 年度からの本格実施に先立ち2 つの小学校でCan-Do 振り返りシートとルーブリックによるパフォーマンス評価の実践を行い,小学校英語における評価の在り方と課題,並びに児童の変容を検証した。A 小学校では,パフォーマンス評価のルーブリックを児童と共有し,自身のパフォーマンスには内容面・言語面において何が不足しているのか,児童自らの力で課題を見つけて取り組んだ。その結果,パフォーマンス直後に記載したCan-Do 振り返りシート結果とパフォーマンス評価の結果から,児童の自己評価と教師の評価に大きなズレは見られなかった。また,児童の自由記述からも,満足度が高いことが見て取れた。一方で,児童個々の能力差が広がることへの対応,3 観点を意識した活動の取り入れ方や,Can-Do やルーブリックを使用した見取りの方法の検討が引き続き評価の課題となった。B 小学校の実践では,単元最後のグループプレゼンテーションに至るまで,社会科で学んだ知識をもとに地域に何があって,何が必要かを考えるリスニング活動や発表準備に至る過程でCan-Do 振り返りシートを取り,授業および指導改善の参考とした。また,パフォーマンス評価のルーブリックを検討する際に,ペアでのやり取り,グループ発表など活動に共通するものと,単元固有のものを児童に問いかける協議も行った。その結果,児童によってはCan-Do 振り返りシートの実施回数に伴い自己効力感を上げ,各々の目標設定が明確化されることがわかった。児童の変容を把握した教師の介入がどうあるべきかについては,今後さらなる研究が必要である。

  • ― ワークシート・質問紙・観察に基づいて ―
    川井 一枝, 栄利 滋人, 鈴木 渉
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 52-67
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本稿では,2020 年度に新設される小学校高学年の「外国語科」において「読むこと」と「書くこと」が導入されることを踏まえ,公立小学校6 学年児童(2 クラス60 名)を対象に,ワークシート11 枚を用いて行った「書く活動」について報告する。ワークシートは担当教諭(担任)が,季節や児童の住む地域などに合わせて作成した独自のものである。2018 11 月から『We Can! 2』のUnit 457 において書く活動を行い,終わった後に,質問紙調査(6 項目4 件法・自由記述)を実施した。質問紙調査の結果では,9 割近くの児童が「書くこと」に好意的であり,練習を通して「慣れた」と回答し,6 割程度の児童は難しさもあまり感じていなかった。自由記述や観察からも多くの児童が「書くこと」に興味を持ち,楽しんでいた様子が確認されている。一方,4 割程度の児童は書くことに難しさを覚え,6 割の児童は書く活動よりも歌やゲーム等の方が英語を覚えやすいと回答した。児童の個人差も大きい時期であり,段階を踏んだ無理のない指導が必要であることが示唆される

  • ― 児童の学びの広がりと相互文化的コミュニケーション能力に焦点を当てた実践研究 ―
    阿部 始子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 68-83
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本稿は2 つの大きな柱からなる。一つは,筆者が実践した国際理解教育を小学校外国語科の授業内容として取り入れた授業案の提案である。小学校外国語科の主教材として提案されたWe Can! 1 ・2 の言語材料を活かし,学習内容(content)として国際理解教育を取り入れたカリキュラムの概要,使用した教材と使用の工夫,失敗例などをまとめた実践報告である。もう一つは,「この授業で学んだことがどんな学びにつながったのか」,児童の「相互文化的コミュニケーション能力(Intercultural Communicative Competence 以下ICC*1」に関する調査報告である。この授業を受けた児童が授業を振 り返り,授業での学びがその後の学びにつながったのかについて,インタビューによって収集したデータを考察した。また,このような授業を1 年以上受けた児童とそうでない児童のICC の知識や態度の違いについてアンケート及びインタビューによって調査した。結果,言語学習については,中学校で「役に立った」ということが主に指摘されたにとどまったが,国際理解教育の内容については様々な「学びの広がり」があることが示唆された。ICC については,1 年以上受講した児童の中には「他者の視点から物事を眺める」「様々な手段で積極的に他者と関わる」姿勢が散見された。実践課題としては言語と内容のバランスをとって児童の長期的な成長を促すという視点でカリキュラム改善を行う必要性,研究課題としては児童の限られた語彙の多義性に注意する必要性があげられる。

  • 山口 美穂, 巽 徹
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 84-99
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    外国語活動・外国語科の活動を通して児童は各単元で設定された様々な英語表現に触れながら学習を続けている。しかし,多くの児童は,各単元の目標表現を単元内の活動では用いることができるものの,既習の表現を目的・場面・状況に応じてその場で用いる即興的なやり取りの会話の場では,適切に使用することができないことが多い。英語表現を実際の会話の中で適切に使用できるようにするには,既習表現を繰り返し使用して定着させるSmall Talk などの活動が有効であると考えられる。本研究では,小学校1 学年から6 学年の各学年で毎時間,帯活動として実施したSmall Talk が,児童の「話すこと(やり取り)」の領域における発話パフォーマンスにどのような影響を与えうるかについて小学校1 学年から6 学年までの児童139 名,及び,中学校1 学年の生徒24 名を対象に調査を行った。調査では,同一のテーマによる2 度の発話パフォーマンスを記録し,1 度目と2 度目の発話総語数,使用した語彙の種類,使用した英語表現について比較した。発話パフォーマンスは,小学生は,7月と2 月に,中学1 学年は,2 学期の間に1 回実施した。実践の結果,次の3 点が明らかになった。①児童生徒の即興的な会話で発話総語数が増加した。②会話で使用できる語彙の種類、英語表現の種類は学年が進むにつれて多くなった。小学校高学年,中学校1 学年では使用できる形容詞の種類が多かった。③小学生は英語の表現を,固まりとして捉えてそのまま別の場面で使用する傾向があったが,中学生は場面に合わせて応用した表現が用いられ,疑問詞を使った文を用いることができていた。結果及び考察に基づき,Small Talk の指導における留意すべき点をまとめ提示した。

  • ― 教科書開発を見据えて ―
    王 林鋒
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 100-114
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    日本では小学校外国語活動・外国語科の先行実施が始まり,主に学級担任が英語を指導する中,学級担任の強みを活かした小学校ならではの外国語教育の在り方を具体化していく必要がある。本研究では「ことばの教育」という視点から,教科書開発を見据える小学校外国語教育の実践が児童のどのようなことばへの気づきを生成させるか,また,授業者による授業実践の振り返りを考察することを目的とする。福井県の公立小学校4 年生32 人を対象にした外国語活動の時間で,授業者(T1)と筆者(T2)は,前時に扱った国語教科書の内容「冬の風景」を導入し,「白」で始まる漢字の組み合わせから,日本語・英語・中国語について考えようといった授業実践を行った。三つの言語の比較によって,児童の発言,振り返り文からどのようなことばへの気づきがあったかが明らかになった。また授業者の省察的授業実践記録から,新しい挑戦に取り組むには,現職教員と大学研究者の真の協働の必要性が読み取れた。但し,複数の言語を取り入れる国語と連携する小学校外国語教育の教材開発は,まだ不十分であることが示唆された。

  • ― 学級担任の不安軽減に焦点を当てて ―
    佐藤 裕子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 115-130
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校外国語教科化に向けて,学級担任の不安軽減を図る校内研修の試行を通して,持続可能な校内研修体制を構築することを目的とする。この目的実現のため,校内研修体制構築では, 1) 管理職との連携,2) 組織の活用,3) 担任の不安に焦点を当てた内容,4) 持続性のある研修の4 点 を方策として,2016 9 月から2018 3 月にかけて行った。研究参加者は,筆者が勤務していた小学校の学級担任32 名とその管理職である。調査にはアンケートとインタビューを用いて行われた。分析対象は,英語授業への教員の意識調査と意欲の変容,組織・校内研修体制の構築における記録である。分析は,アンケートは記述統計で行い,インタビューや研修体制構築の記録については質的に処理した。検証の結果,特に担任の不安に焦点を当てた研修内容による校内研修体制の構築が,担任の英語指導への不安軽減に対して,一定の成果を上げたことが明らかとなった。また,短時間の研修でも持続していくことが,担任の不安軽減に成果をより高めていることも調査結果から示唆された。さらに,管理職と連携した校内研修体制の確立により,校内研修が円滑に継続できることが確認された。 改善点として,今後持続性の高い研修体制に改善していくためには,より良い研修を目指すための研修内容の検証と研修を支える教員の役割を明確化することが指摘された。

研究論文
  • Daniel Roy PEARCE
    原稿種別: research-article
    2020 年 20 巻 01 号 p. 132-147
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    The number of team-taught classes with assistant language teachers (ALTs) has been increasing year by year. While team teaching has been practiced at elementary schools for over 15 years, there have been few empirical investigations of classroom practice to inform theory and policy. The present research sought to address this gap by applying conversation analysis to examine interaction in the classroom. Analysis revealed three classroom contexts (classroom management, form-and-accuracy, and content-centered) and several trends in interaction, including a hierarchal structure. Furthermore, a link between active involvement in interaction by HRTs and student engagement in lessons was suggested. Results were contrasted against four proposed benefits to team teaching, and, if top-down policy is intended to achieve concrete pedagogical aims, the necessity for a clearer outline of the ALTs' roles was highlighted.

  • 村端 五郎, 村端 佳子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 148-163
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    しかし,その一方で小学生の英語嫌いの増加や中学生の英語苦手意識の増大,低学力など英語教育を取り巻く環境は必ずしも楽観視できない。本研究の目的は,実際の言語使用を理論的基礎とする用法基盤モデル(Usage-Based Model: UBM)の言語習得観にもとづいた小学校英語の実効性を検証することである。用法基盤モデルの言語習得観では,具体的な場面や状況での形式と意味の対応づけ(マッピング),高頻度(トークン頻度とタイプ頻度)での言語経験,言葉によるコミュニケーション活動や文法の発現に果たすプレハブ表現(Prefabricated Expressions: PE)の役割,これら3要素を重視する。 言語習得の初期段階においては,特にPE が言語発達に重要な役割を果たすとされる。これらの知見の有効性を検証するため,公立小学校2校で実践研究を実施した。その結果,児童は構造化されたやり取りを流暢に行い,自信をもって英語を使用できるようになることが明らかになった。さらに,多様なPE を計画的,継続的に導入することより,類似した表現からパタンを抽出することによって表現枠を構築し,それにより文法の発現へとつながる発話も観察された。このようにUBM の言語習得観にもとづく小学校英語の実効性を確認できたが課題もいくつか残された。 英語が小学校の教育課程に本格的に導入され,いよいよ新時代の英語教育が始まろうとしている

  • ― 小学校教員に必要な読み書き指導の知識・技能の検証 ―
    樫本 洋子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 164-178
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,文部科学省(2017d)が示す『小学校教員養成課程 外国語(英語)コアカリキュラム』に則り,本研究者が教育大学小学校教員養成課程「外国語に関する専門科目」において,2018 年度に実際に大学で行った講義・実習内容を紹介するとともに,2018 年度後期に英語教育専攻以外の学部生150 名に対し実施した事前・事後のアルファベットの音素の聞き取りチェックテストおよびアンケートの結果を検証し,「小学校教員に必要な読み書き指導の知識と技能」について考察・提案することを目的とする。 検証の結果,次の3点が明らかとなった。1)大学生に対し,アルファベットの26 文字の名前読みと音読みの音素を体験的に指導することで,大学生自身の「発音についての自信」が向上した。2)アルファベットの26 文字の音素を体得することで,大学生の「小学生(児童)に教える自信」も向上した。一方で,3)「授業実践に必要な力を習得するための実践の機会が不足している」と学生が感じていることがわかった。これにより,今後小学校教員養成課程において,読み書き指導に必要な知識として,アルファベットの音素の習得を目指すとともに,そのためにより多くの実習の機会を提供することが必要であることがわかった

  • 伊勢 恵
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 179-193
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,小学校高学年児童は文章中の既習の単語を認識することができるのか,また,どのような単語認識方略を有しているのかについて調べることである。Fox (2007) の単語認識方略を参考に『絵葉書解読タスク』を作成し,私立女子小学校の6 年生にグループ活動として取り組んでもらった。タスクの正答率と活動後の振り返りシートを分析した結果,(1) 単語によってばらつきはあるものの,ある程度高い確率 (76 %) で推測することができる,(2) 前後の文章や単語の意味からの推測を筆頭に,絵からの推測,背景知識や場面・状況による推測,アルファベット文字の表す音やスペリングによる推測,単語の長さや字形による推測,文法やチャンクに関する推測,符号による推測と多様な手がかりを使用している,(3) タスクを簡単だと感じた児童ほど方略の数も種類も多く,単語のみではなく前後の文脈や場面・状況からの推測も手がかりに全体的に捉えようとする傾向がある,という3 つの点が明らかとなった。これらの結果から,高学年児童の文字学習や単語認識方略を育む活動への可能性を考察する。

  • 物井 尚子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 194-209
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    近年注目を集めている情意概念の研究にL2 WTCWillingness to Communicate)がある。現在,教室環境における外国語学習の目標の多くは,学習言語をコミュニケーションの手段とし,日常的な場面で使用することである。L2 WTC Second LanguageL2)コミュニケーションの実現に大きく関わることが明らかになっている(MacIntyre, Clément, Dörnyei, & Noels, 1998)。本研究では,小学3 年生~中学3 年生までの745 名に横断的に質問紙調査を実施し,L2 WTC およびその関連要因が年齢から受ける影響を明らかにした。各学年85 名を無作為抽出し,年齢を独立変数とする一元配置分散分析を実施した結果,L2 WTC,国際的志向性(international posture),動機づけ(motivation),L2 コミュニケーション能力の認知(L2 perceived competence),L2 コミュニケーション能力における不安感(L2 anxiety),外向性(extroversion)の全ての情意概念において,学習者の年齢が上がるにつれ,統計的な有意差をもって数値が減少することはなかった。また,それぞれの効果量は小さかった。このことから,本研究の参加者については,発達段階の影響が情意概念の値の変容に現れず,学年間で変化は見られなかった。

  • MAHONEY Sean
    原稿種別: research-article
    2020 年 20 巻 01 号 p. 210-225
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    This paper analyses interview data collected from a new type of assistant language teacher (or ALT) in Japan's primary school English classes. All thirteen participants were from outside the “Inner Circle” (Kachru, 1985) countries of English native-speakers, and consisted of Japanese, Brazilian, Filipino, and Peruvian ALTs from three prefectures. Preliminary data was obtained through questionnaires originally designed for typical foreign, native English-speaking ALTs, but revised for the more diverse backgrounds of the target group. Follow- up interviews elicited details on unique team-teaching combinations, including three and even four-person teams, and explored role negotiations. Chief concerns included homeroom teacher participation, pupil motivation levels, the quality of assistants, the cultural appropriateness of teaching materials, the acceptance of American-only accents, and job security. The paper concludes with a summary of assistants' suggestions on how best to address problems.

  • ― 英文解析プログラムによる多面的な分析に基づいて ―
    名畑目 真吾, 木村 雪乃
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 226-241
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    学習指導要領の改訂によって,小学校外国語科では英語の「読むこと」が新たに導入された。学習者が読むことを学ぶためには,読み物教材 (readers) の使用が効果的な方法の1 つとされる。小学校での読むことの導入やその中学校への接続を踏まえれば,小学生から中学生程度までの年少英語学習者を対象とした読み物教材の需要はこれから高まることが予想される。本研究は,そのような年少英語学習者向けの教材の選定や開発について示唆を得ることを目的として,これらの教材に含まれるテキストの言語的特徴を多面的に評価し,その特徴と教材の難易度の関わりを明らかにすることを試みた。年少者向けに作成された難易度の異なる英語読み物教材63 冊を対象に,英文解析プログラムによってテキストの特徴を単語,文,文章の観点から分析・評価を行った。その結果,教材に含まれる語彙の獲得年齢,文の統語的類似性,語彙的な多様性,動詞の意味の重複が難易度によって大きく異なっており,これらの特徴に基づけば高い精度で年少者向けの読み物教材の難易度を推定できることが示された。これらの結果に基づき,年少英語学習者向けの読み物教材を理論的・客観的に開発,評価,選定するための示唆を与えた。

  • ― TBLT 型構成と改訂型PPP・TBLT 折衷型構成との比較検証 ―
    瀧本 哲弘
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 242-255
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大きな転換点を迎える日本の小学校英語教育において,高学年児童に対して,どのような授業構成が効果的なのかを検証するものである。これからの小学校教員の高いニーズは,効果的な授業構成の具体であると考える。そこで,最近の日本の英語教育で主流となっている,PPP 型とTBLT 型の授業構成に着目し,外国語活動研究の重点指定を受けていない,かつ,外国語活動の特別教育課程を実施していない,日本の公立小学校に通う6年生児童42名を対象に,改訂型PPPTBLT 型授業を組み合わせた単元構成(折衷型)による指導とTBLT 型授業のみの単元構成による指導(TBLT 型)の効果を比較検証した。検証の結果,①折衷型の方が,TBLT 型よりも,重点指導項目の正確さと流暢さにおいてが効果的であると考えることができる,②折衷型とTBLT 型では,主体性に差異はないと考えることができる,③折衷型とTBLT 型では,どちらの指導も次の学習への意欲面に効果的であり,折衷型は,児童の産出活動において緊張感を与えているのかもしれないが,適切な範囲のものであると考えることができるという,主に3 つの点が明らかとなった。しかし,これらは,決してTBLT 型授業を否定するものではない。TBLT 型授業は,日本の高学年児童にとっても大いに効果があると考えられる。ただ,日本のような英語を外国語として学習するような環境(EFL 環境)においては,様々な授業を組み合わせて活用するといったような,よりTBLT 型授業を効果的なものにするための工夫が必要であると考えているだけである。

  • 小柴 和香
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 256-271
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本稿は小学校英語学習の成果が中学入門期にどのように推移していくのかについて様々なデータをもとに探ることを目的とした探索的研究である。小学1 年生より英語学習を続けてきた中学1 年生徒の入門期における「聞く力」「話す力」「文字を音声化する力」について,授業録画データ,リスニングテスト,英語話者との会話の様子,単語テスト,文章初見読みテスト,アンケート等異なる種類のデータを用いてそれぞれの段階での生徒の実態を探りその特徴と関連をまとめた。本研究に参加した生徒は小学校英語学習を通し英語を聞き続ける力を身につけ,中学での英語によるインタラクション豊富な授業にもそれほど苦痛なく取り組むことができる力を保持している様子が観察された。また中学入門期では生徒は文法的に正しい英語を発話する傾向がみられ,自らの発話に対し小学校時と比較すると自己効力感が高まっていたことが確認された。文字を音声化する力については小学校での学びを中学での学習特徴に合わせることで音と文字の関連知識を応用する力を十分身につけることができ,文章を初見で読む際にもその知識を応用することができていた。小学校での学びを生かすには,中学で扱うオーラル指導はその内容を十分に考慮することで生徒の英語学習に対する動機や自信につながる可能性があること,又小学校での活動に対する児童の感想より,英語で書かれたものを読むことに目的があると読むことを意欲的にとらえる可能性があることが浮かび上がった。本研究では人数,調査方法に限界もあり今後も検証方法を改良し研究をすすめたい。

  • ― 新潟県南魚沼市の取り組みから ―
    加藤 茂夫, 入山 満恵子, 山下 桂世子, 渡邊 さくら
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 272-287
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    令和2 年度(2020 年度)より小学校5,6 年生の外国語教科化に伴って英語の読み書きが正式に導入される。そうしたなか,英語の音と文字の習得をより効果的に支援する指導が模索されている。本研究は,ともに小学校5,6 年生に在籍する新潟県南魚沼市の児童を指導群,新潟市の公立小学校児童を対照群とし,約半年間のジョリーフォニックス(多感覚シンセティック・フォニックス,以下JP)指導の有無が,児童の日本語および英語における音韻認識・操作効率に与える影響について,被験者間・被験者内分析を通して検証した。結果として,指導群の児童は,JP プログラムで英語の音素と文字の対応について明示的な指導を受けることにより,対照群の児童と比べ英語の音韻認識および操作の能力が有意に向上したとともに,日本語における音韻操作効率にも肯定的な影響を与えたことが示唆された。このことは,JP プログラムにより,日本語と英語の音韻認識・操作効率が互いに関連し合い,かつ影響を及ぼし合う関係が構築された可能性を示している。また,日本語と英語のテスト間での相関関係を分析した結果,日本語テストではみられなかった困難さが英語テストにおいて示された可能性が示唆された。そうした結果をもとに,日本語と英語の読み書きの習得に対する困難さの発現状況や,その背景にあると思われる要因について考察する。

  • ― MERRIER Approach からの分析 ―
    和田 順一, 酒井 英樹, 青山 拓実, 大内 瑠寧
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 288-303
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校教員の研修に役立つ示唆を得るために,文部科学省(2017)が小学校教員研修のために制作した『小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック』(以下,ガイドブックと呼ぶ)に記載されているSmall Talk を,教師の発話がどのように工夫されているかの点から分析した。分析の観点として,英語で英語を教える指針である MERRIER Approach を用いた。MERRIER Approach とは,Model/Mime, Example, Redundancy, Repetition, Interaction, Expansion, Reward という7 つの方略を用いて,第二言語習得を促進するとされているインプットやインタラクション,フィードバックの機会を学習者に提供することを主張している。5 年生の9 Units の Small Talk(全184 分析単位)を分析した結果,MERRIER Approach の7 つの指針が活用された教師の発話は119 分析単位であった。これらの SmallTalk には,学習者に質問を投げかけるという Interaction の指針が最も多く含まれていた。このことは,ガイドブックに記載されている Small Talk が,話すこと[やり取り]に関する言語活動であることを示すものである。また,Interaction に関する質問の種類に関して,質問者が答えを知らない質問をするというReferential Question が多く見られ,Small Talk は真正性のある言語活動として機能していることが分かった。これらの結果に基づき,教師が教室で発話する時に注意すること,また教員がどのように Small Talk を研修していくかについての示唆を示した。

  • ― 結果に影響を与える要因分析 ―
    江口 朗子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 304-319
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    外国語教育において,コミュニケーション能力の育成は最も重要な目標の一つであり,実際に外国語を聞いたり読んだりしたことを理解したり,自分が伝えたいことを話したりするためには,文構造の知識が欠かせない。2020 年施行の小学校学習指導要領においても,文構造の知識や,疑問文・否定文も含めた文に関する知識,及びそれを活用する技能の必要性に言及している。しかし,日本の小学生を対象にした英語の文構造や文の知識に関する包括的な調査はほとんどされておらず,知識の測定方法も確立されていない。本研究では,小学生に内在する英語の文構造や疑問文・否定文も含めた文に関する知識を測定する方法として,教育実践でも比較的再現しやすい「模倣発話課題」と「文法性判断課題」を小学5 年生60 名に実施し,各課題の結果に影響を与える要因を調査した。具体的には,課題文の音節数・文法性/非文法性(文法性判断課題のみ)・統語処理のしやすさと,学習者の語彙サイズを固定効果に,参加者と項目を変量効果に投入して,一般化線形混合モデルで分析した。その結果,(1) 両課題とも統語処理のしやすさの影響がなかったことから,課題の成否には,文を構成するための統語規則ではなく,語の線形順序や語彙的な知識が反映されている可能性が高いこと,(2) 音節数の影響は模倣発話課題にのみ影響があったことから,2 つの課題が異なる知識や能力を測定していること,(3) 文法性判断課題では,肯定文・否定文・疑問文といった文の形態や統語処理のしやすさに関わらず,文法性よりも非文法性の判断の方が難しいことが確認された。

  • ― 英語発音の実態調査から ―
    大嶋 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 320-335
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校英語教育(外国語活動)に携わる小学校現職英語担当教員(近畿地区A県の小学校に勤務する,現職経験3 年以上の正規採用小学校教員)を対象に,英語の発音向上支援プログラム(1 回あたり8 時間,計2 16 時間の集中授業)への受講機会から,英語の発音と指導への意識,実態を,(1) 意識調査,(2) 音声調査(発音評価)により明らかにしようとする試みである。意識調査から,小学校英語担当教員の,英語の発音力・音声指導力向上への高い意欲・関心が明らかになった一方で,みずからの学習経験・実践経験を拠り所とした英語の発音力・音声指導力向上への努力には限界があることを訴える現状が明らかになった。音声調査(発音評価)から,教室での音声指導の基盤となる小学校英語担当教員の英語の発音については,個別の課題はあるものの,受講当初から個人間の発音の開き(分散)が比較的小さく,英語の発音の向上の様子が明らかになった。

  • ― 熟達教師の省察的語りに焦点をあてて ―
    和田 あずさ
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 336-350
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,熟達期の小学校教師を対象に,授業の参与観察ならびに事後検討会を実施し,教師の信念と音声指導が変容していく過程を質的に検討した。授業者が持つ「オープン・マインド」「英語が苦手な児童や分からない児童にも寄り添いたい」などの信念や,日付の/th/をはじめ,特に児童が聞いたり話したりすることが多い音声的特徴に焦点をあてた指導,「明示的な発音指導」や「児童への教師の観察の促し」などは一貫していた。一方,語や文の強勢に関する「明示的な発音指導」や,「つまずきへの共感」が顕著に観察された。また,児童の英語音声に対する気づきやつまずきに価値を見出し,全体で共有しようとすることで授業改善に結びつけるという変容が明らかになった。その背景には,新任ALT と協働関係を構築する中で,「中学校の指導との整合性」がより焦点化されたという心的変化がうかがえ,このことは省察における積み重ねや「できること」「分かること」への言及と,「明示的な発音指導」や「音と文字との対応」などの発話に顕著に表れていた。

  • ― JES Journal のシステマティックレビュー ―
    本田 勝久, 田所 貴大, 星加 真実, 染谷 藤重
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 351-366
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,小学校英語教育学会紀要 JES Journal 第3 号から第19 号(2003–2019 年)までの掲載論文をシステマティックレビューによって分析し,ボトムアップ型視点では見ることができなかった研究の全容から,小学校英語の研究動向と研究方法を検証することである。分析対象は,J-STAGEにアップロードされている JES Journal 第3 号から第18 号(2003–2018 年)までの論文(k = 175)と第19 号に掲載されている論文(k = 14)とする。本研究では,まず,システマティックレビューを実施し,研究分野の多様性や研究構造(理論・文献・実証・実践)の集中化の状況を検証する。次に,これまでの学習指導要領の改訂における研究動向を検討するため,データの属性からキーワードを時系列的に概観する。さらに,藤田他 (2016) を参照し,抽出した実践研究をテーマと研究方法の観点から分析し,学会 (JES) の研究活動の特徴を把握する。研究論文における研究方法は広がりを見せているが,研究分野ごとに多様であり,変容著しい小学校英語の状況において研究動向が変化していることが示唆された。実践研究では教員の実践知に係わるテーマが多く見受けられるとともに,研究方法の確立と整備が課題であることが確認された。本研究では,ジャーナル論文に含まれる属性に対して解析を行い,研究活動の実態を分析した。研究アウトプットに基づくため,論文では測れない研究活動の成果は反映されないが,学会における研究状況を把握し,ジャーナル論文の分析結果を報告する。

  • 西垣 知佳子, 星野 由子, 安部 朋世, 神谷 昇, 小山 義徳, 石井 雄隆
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 367-382
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    データに基づいて判断・行動することをデータ駆動と呼び,この手法を英語教育に取り入れた学習方法をDDLdata-driven learning:データ駆動型学習,以下DDL)と呼ぶ。DDL では,学習者が多様な言語データ(コーパス)に触れ,英語の規則に気づいてそれを学ぶ。本研究では,国内外で授業実践が広がるなか,初等教育段階での実践が進んでいないDDL に着目し,小学生のためのデータ駆動型英語学習支援サイト(以下DDL 支援サイト)を開発し,公開した。本支援サイトでは,学習する文法項目をCAN-DO の形で示しているため,児童は英語を使う実際の場面と英語の文構造を結び付けて学べる。また,主語の種類,動詞の種類,文の種類で検索条件を絞り込んで英文を調べることができる。授業においては,意味伝達を重視する暗示的指導に,DDL による明示的指導を組み合わせることで,児童の注意を英語の文構造に向けさせ,気づきを引き出すことができる。公開されたDDL 支援サイトは,小学生が使いやすいユーザーフレンドリーな検索ツールを搭載していること,小学生に適したレベルの語彙と文法項目を扱っていることが確認された。また,本DDL 支援サイトは,平成 29 年告示の『小学校学習指導要領』に対応しており,コンピュータやタブレット型端末でアクセスして,誰でも,自由に,無料で利用できる。

課題研究
  • 安達 理恵, 阿部 志乃, 樫本 洋子, 北野 ゆき, 竹田 里香, 松延 亜紀, 安田 万理
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 384-399
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    英語教科化に向けて,児童が関心を持って取り組める活動を検討することは喫緊の課題である。本研究では,3つの小学校で,担当者が各自で考えたプロジェクト型のCLILを高学年で実践し,事前・事後で質問紙調査を行った。調査内容は,児童の外国語に対する態度や動機づけ,新学習指導要領で育成すべき資質・能力などの情意要因を中心とした27項目である。なお事後調査では,自由記述1項目も設定した。調査終了後,研究代表者が量的分析(SPSS ver.24)を,自由記述に関してはデータ入力担当者および代表者が質的分析(KH Coder3)を実施し,授業担当者と相談しながら,結果について検証・考察した。その結果,事前・事後で差がいずれの学校でもほとんどなかったが,事後の調査における児童の意識やプロジェクト活動に対する態度要因からは「自律英語学習」,「情報収集と問題解決力」,「外国人との関係性」の3因子が抽出され,因子間の相関も高かった。プロジェクト学習は短時間で結果が出るものではないが,これら3因子は文部科学省の提唱する3つの資質・能力に匹敵すると考えられる。質的分析結果も含めて総合的に考察すると,プロジェクト型CLILでは,「英語」を学習するより,自らの学びによる成長が重要と考えられた。

  • ― 小学生の英語読み書き能力を養う「Learning by Storytelling (LBS)」の開発 ―
    小野 尚美, 高梨 庸雄, 田縁 眞弓
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 20 巻 01 号 p. 400-415
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,storytelling 活動を通して小学生の英語の読み書き能力を養成するための指導法開発を目的とし,これをLearning by Storytelling と呼ぶことにする。小学校の英語の授業で行うstorytelling は,教師が英語で絵本を児童に読み聞かせ,絵本に親しませる目的で行うだけでなく,児童がやがて英語で書かれたテクストを一人で読むようになるための読解前活動であるという考えに基づき,テクストの読み方及び書き方指導のためのタスクを考案し,そのタスクによって児童がどのようにして読み書き能力を習得していくか調査した。本研究のタスクによって児童の英語のintake 量を増やすことができ,英語でテクストを読むことに慣れさせることができた。また児童の振り返りの内容から,英語で書くときの躓きについて理解することができた。さらに,英語の読み書きタスクを行っていく過程で,児童が自身の英語力について評価をするようになり,何を学ぶべきか考えるようになっていった。特に最後のinterview 活動で児童は,タスクで学んだ英語表現を使って発話することの難しさに気づき,この活動が児童の今後の英語学習への動機づけとなっていた。この児童の発信意欲を発信能力養成へとつなぎ,さらに児童の躓きから英語で書くための指導法を考案していくことが課題となった。

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