小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
21 巻, 01 号
PART I
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実践報告
  • 小林 翔, 古屋 雄一朗, 中川 右也
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 4-19
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本実践は,公立小学校における外国とのビデオ通話を活用した取り組みが,どのように参加児童のスピーキング力とコミュニケーションをしようとする意思に影響を与えたかを考察するものである。2018 年告示の小学校学習指導要領外国語の話すこと(やり取り)では,実際のコミュニケーションにおいて主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養うことを目標としている。そこで,本実践では,参加した公立小学校の6 年生2 クラス34 名のスピーキング力とコミュニケーションを図ろうとする態度を検証し,ビデオ通話を活用した国際交流の授業実践の効果を明らかにする。実施期間は2020 年の3 学期にあたる,1 月から2 月までの約2 ヶ月間である。スピーキングテストの結果,指導の前後の平均点の差は有意であり,質問作成能力が向上することがわかった。さらに,様々な疑問詞の使用も増え,相手の応答内容を理解した上で追加質問するなど,関連性がある質問をする傾向が観察された。聞くこと話すことへの興味や意欲といった授業への好意度についての質問紙の結果,事前と事後において有意差が見られ,繰り返し英語でやり取りすることで,興味や関心を高めることが明らかになった。一方で,発話の抵抗感についてはあまり変化がなく,最初から話すことに対する抵抗感が低いことがわかった。計量テキスト分析の結果,相手とのコミュニケーションについて気づきや発見をしていることがわかった。特に,下位群は,英語で相手と活動することの楽しさに気づいたことが明らかとなり,熟達度に関わらず全員で取り組める実践方法になる可能性が示唆された。

  • ― 発音と発話数の変化に焦点をあてて ―
    川井 一枝, 栄利 滋人, 鈴木 渉
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 20-35
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿は,通常の授業において単元学習が進んでいく中,チャンツがどのような役割を果たしているのか,児童に対する影響を検証し報告するものである。児童が初めてチャンツを視聴した時,「何をどの程度,どのように覚えているか」,その単元が終わる頃,「それはどのように変化しているか」に焦点をあてた。2019 年6 月から7 月にかけて公立小学校4 学年児童(3 クラス100 名)を対象に実践を行った。指導は3 クラスとも外国語活動主任である教諭(1 クラスは担任兼)が行い,『Let’s Try! 2』のUnit 3 のチャンツ“What day is it?”を用いた。1 回視聴した後の音声データと,その後4 回の授業を通して計25 分間ほど練習した後に得た音声データの差について検証した。「何をどの程度」に関しては,事前と事後間の発話数の変化を,「どのように」に関しては事前と事後間の発音の変化を検証した。発話数に関しては著者のうち2 名が,発音に関しては2 名の英語母語話者が評価した。結果,発話数と発音面どちらも事前事後に有意な差があり,指導ならびに練習の成果を確認することが出来た。

研究論文
  • 山口 美穂, 巽 徹
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 38-53
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学校外国語において,Small Talk を毎時間の授業で実施することにより,児童の発話パフォーマンスがどのように変化していくかを児童の実態から明らかにする。また,児童の英語学習に対する情意面がSmall Talk における発話パフォーマンスにどのような影響をもたらすかを検証し,Small Talk の指導の効果を高めるための活動の在り方について提案することを目的とする。岐阜市内の公立小学校A 校6 年生児童30 名(男子15 名,女子15 名)とB 校児童30 名(男子17 名,女子13名)を対象に,児童の英語発話パフォーマンスを比較した。A 校では,年間35 時間(週1 回)の外国語の授業において,授業開始直後の時間帯に毎時間Small Talk を実施し,7 月と2 月にパフォーマンステストを実施し,児童の発話内容を比較して変化を分析した。一方 Small Talk を実施していないB校でも,2 月に同様のパフォーマンステストを実施し,両校の2 月のパフォーマンステストにおける児童の発話内容を比較分析した。A 校を含む市内3 つの小学校6 年生244 名,5 年生212 名を対象に英語学習の情意面について25 項目のアンケートを実施し因子分析を行った結果,『英語学習好感』『情報伝達意欲』『英語必要感』『文字学習重視』の4 つの因子がみられた。発話パフォーマンスと英語学習情意面との関係では,『英語学習好感』の因子は「発話総語数」「話題数」「会話中のポーズの割合の変化」,『情報伝達意欲』の因子と「発話総語数」「話題数」の間に相関関係が見られた。活動を楽しいと感じることや伝えたいという意欲とSmall Talk の指導効果に相関があることが明らかになった。

  • - 定教科書から小学生共通の重要語彙を選定する -
    佐藤 剛
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 54-69
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    2020 年度より外国語が5・6年生において教科となり,7社から検定教科書が出版され自治体ごとに採択された教科書を使用した授業が開始されている。しかし,指導される語彙はどの教科書を使用するかにより異なる可能性があることも事実である。そこで本研究は,平成29 年告示の学習指導要領下で使用される教科書の語彙データからコーパスを作成し,教科としての英語授業において児童が共通して理解できるように指導するべき受容語彙のリストを作成することを目的とする。その開発過程とコーパスおよびリストに含まれる語彙の分析から,検定教科書の異なり語数,総語数がLet’s Try!とWe Can!と比較して大きく増加していること,各社教科書の異なり語数は,新学習指導要領に示されている600 語から700 語を大きく超えていること,そして,教科書間において異なり語数,総語数ともに違いがあることが明らかになった。そのため,小学校の英語の授業において,語彙項目ごとにその重要度を判断し,軽重をつけた語彙指導の必要性が示唆された。最後に,開発したリストの教科書の英文に占めるカバー率から,リストの上位1,000 語を小学生が共通して学習するべき受容語彙,その中の上位600 語を確実な定着を求める語として設定した。このように,指導するべき語彙をデータによって客観的に示すことは,小学校の英語の授業における効率的な語彙指導およびスムーズな小・中連携のための基礎資料となることが期待される。

  • 萬谷 隆一
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 70-81
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校英語教育における望ましい指導形態として,専科教員,担任教員,あるいはティーム・ティーチング(TT)が良いかについての教師の意識と,その意識に関連する要因を探る。北海道内の小学校教師64名に対し,質問紙調査を行い,指導者として専科教員・担任教員・TT のそれぞれがどの程度望ましいかについて評価してもらった(指導体制意見)。さらに指導体制意見と,専科・担任の立場,指導観(定着,正しい英語の習得,伝え合い,児童理解,授業規律,授業の活動構成)との関連性について分析した。分析の結果,1)専科・担任・TT のうち,担任単独の指導よりもTT がより支持されたこと,2)指導体制意見においては,専科・担任の立場で差異はみられないこと,3)担任教員に比して,専科教員が「授業規律」が重要であると答える傾向があること,4)「授業規律」を重視する教員ほど,専科教員が教えるべきではないと考える傾向があり,その傾向は特に担任教員に顕著にみられること,さらに「活動構成」が重要であると考える教員ほど,TT が望ましいと答える傾向があること,などが明らかになった。結果にもとづき,専科・担任のメリット・デメリットについての示唆を探るだけでなく,小学校英語における望ましい教師の資質や制度について考察した。

  • ― 絵本の読み聞かせを通して ―
    佐藤 彩香, 田中 菜採
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 82-94
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    初学者の語彙学習では,母語の語彙知識を生かして学習することが効果的であると考えられている。母語の語彙知識の一つとして,単語同士の意味的関連性 (語彙ネットワーク) がある。母語においては,ある語がどのような語と共に使用されるかというシンタグマティックな意味的関連性と,同義語や上位・下位語の関係を表すパラディグマティックな意味的関連性が,同程度に強く結びついている(佐藤, 2014a)。このような母語における意味的関連性を利用してL2 語彙を学ぶことは,初学者の語彙習得に効果的であることが明らかになっている (Aitchison, 2012; Fitzpatrik & Izura, 2011)。本研究では,意味的関連性の強い母語の単語同士の結びつきをもとにした英語絵本を作成し,どのような意味的関連性に基づく絵本を利用して学習をすると,小学生が意味を習得しやすいのかを検証した。授業では,各意味的関連性に基づいて作成された絵本を教師が読み聞かせることで,語彙学習を行った。学習の直後に,絵本の中で目標語と共に提示されていた意味的関連性の強い語の絵 (手がかり) をヒントに目標語を聴解するリコール課題で理解度を検証したところ,シンタグマティックな関連性に比べてパラディグマティックな関連性を利用した方が正答率が高かった。その1 週間後,遅延リコール課題を行ったところシンタグマティック条件でも正答率が上昇した。さらに1 か月後に再度リコール課題を行ったところ,どちらの条件でも記憶は保持されていた。これらの結果から,母語の意味的関連性に基づいて作成した絵本を利用した読み聞かせは,小学生の語彙習得に効果的であると言える。

  • - 学級担任及び専科教員を対象とした調査結果の分析 -
    松宮 奈賀子, 大谷 みどり, 中山 晃, 川合 紀宗
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 95-110
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    小学校6 年生の外国語科におけるつまずきの多様な実態を明らかにするとともに,指導者がそうしたつまずきに対してどの程度認知しているかを把握し,児童のつまずきへの指導法の手がかりを探索的に見出すことを目的とした。公立小学校984 校を対象に,外国語科を指導する学級担任と外国語専科教員に対する質問紙調査を行ったところ,学級担任235 名と専科教員60 名の計295 名から有効回答を得た。分析の結果,「聞くこと」,「読むこと」,「話すこと」,「書くこと」の4 技能の他,母語に関連したつまずきや特別な教育的配慮に関する「複合的要因」について,比較的多くの児童に共通して認められるつまずきから,個別性の高いつまずきまで,網羅的に把握することができた。また,児童の多様なつまずきに対する学級担任と専科教員による認知率の差には統計的有意差はないものの,前述の4 技能及び「複合的要因」の計5 領域間における児童のつまずきの実態に対する学級担任,専科教員それぞれの認知率において,学級担任の場合,これら4 技能に対するつまずき認知率が「複合的要因」に対するものよりも有意に高かったのに対し,専科教員の場合は,「書くこと」に対するつまずき認知率のみが「複合的要因」よりも有意に高かった。これらの結果から,学級担任と専科教員では児童が示す困難に対する異なる着眼点や見取り方があることが推測され,異なる専門性を持つ両者の視点を相補的に生かした支援の在り方を検討していくことの必要性が示唆された。

  • ― 妥当性の検証と模倣発話の質的分析 ―
    江口 朗子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 111-126
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    2020 年度より新設された外国語科では,外国語(英語)に繰り返し触れることによって語順の規則性に気付かせて内在化させたり,伝えたいことを表現するために必要な語と語の組み合わせに意識を向けさせたりすることが求められている(文部科学省, 2018)。学習者の気付きや規則の内在化を促す言語活動の設計には,学習者の実態把握が必須であるが,小学生が持つ文の構造に関する知識を調査した実証研究は極めて少なく,その測定法も確立されてはいない。本研究では,小学生に内在する英語の文に関する知識を測定する方法として,模倣発話タスク (Elicited Imitation Task) とその評価方法を提案し,小学5 年生67 名を対象に,模倣発話の採点に必要なスコア基準の妥当性の検証と,模倣発話における「語」「句・連語」「文」の質的分析を通して発達過程の観察を行った。その結果,スコア基準に従って算出した各児童の模倣発話スコアは,言語知識の外的基準としての受容語彙サイズとは高い相関があったことから,その妥当性は実証できたといえる。また,文の知識の獲得には至っていない児童も繰り返し触れたことのある表現は定型として「文」が再生できること,「語」は名詞が大半を占めるのに対し,「句・連語」には動詞句・副詞句・名詞句の他,音韻語と呼ばれる連語など多様な構造が含まれていることが明らかになった。これは,名詞は単体でも記憶されやすいが,動詞は連語で記憶されることを意味している。教育的示唆として,動詞は活用頻度の高い目的語や副詞などとの組み合わせで聞かせたり使ったりすることによって知識として定着することが期待できる。

  • 和田 順一, 酒井 英樹, 青山 拓実, 山本 大貴, 宮川 友梨, 大内 瑠寧
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 127-142
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,ある小学校における外国語活動の実施時間の異なる 3 つの群(2017 年度卒業生,2018年度卒業生,2019 年度卒業生)を対象に,聴解力,自己評価,英語学習に対する意識の点からどのような変容を経るのかを 3 時点(4 年末,5 年末,6 年末)で調査した。2017 年度卒業生は 4 年次から 6 年次まで各 35 単位時間の授業を受けていた。2018 年度卒業生は 3 年次から 5 年次まで各 35単位時間の授業を,また移行期間である 6 年次に 50 単位時間の We Can! 2 を用いた授業を受けていた。2019 年度卒業生は 2 年次から 4 年次まで各 35 単位時間の授業を受け,移行期間中の 5 年次と 6 年次に We Can! を用いた授業を各 70 単位時間受けていた。分析の結果を総括すると,聴解力と自己評価においては,学年が進行するにつれて高くなったが,聴解力の変容に対する時間数の要因は明確でなかった。英語学習に対する意識については,「英語の授業や活動の好き,楽しい」は,学年が進行するにつれて 3 群とも下がり,時間数が多い群でより低くなった。「英語への慣れ親しみ」に関しては学年進行に伴う変容はなく,時間数の影響もみられなかった。「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」に関しては,4 年末から5 年末にかけて高くなったが 6 年末で下がるという変容がみられた。「コミュニケーションへの不安」と「動機づけ」と「国際的志向性」は,学年進行に伴う変容はほぼみられなかった。また,いずれも時間数の影響もほぼみられなかった。先行研究との違いに関して,教材の使用や変化,時間数増加に伴う活動や内容の高度化などの点から考察した。

  • ― 文中の入れ替え可能な語に関する知識に着目して ―
    内野 駿介
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 143-158
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    言語によるコミュニケーションを行うためには文法知識が不可欠である。英語によるコミュニケーションを通した体験的な学習が中心の小学校英語教育においても,児童は英語の規則に気づき,文法知識を獲得していると考えられている。児童の文法知識の発達は類似の表現の蓄積から規則を抽出するカテゴリ学習のプロセスであると捉えることができるが,同一の児童の文法知識の発達を経時的に捉えた研究はこれまでに行われていない。本研究では小学5 年生終了時と6 年生終了時に同一の児童を対象に調査を行い,What [a]sport do [b]you [c]like? の [a] what に続く名詞,[b] 主語,[c] 動詞の各スロットに入り得る語に関する児童の知識の発達を捉えることを試みた。調査には文法性判断課題 (GJT),空所補充課題 (FBT) メタ言語知識課題 (MKT) を用いた。主な結果は次の3 点である。第1 に,児童の文法知識は小学6 年生の1 年間で発達した。第2 に,ひとつの構造でもスロットの位置によって知識の習得度は異なっていた。第3 に,暗示的知識や手続き的知識を身につけている児童はメタ言語知識を身につけている場合もあるが,規則の説明に文法用語はほとんど用いられていなかった。

  • ― CLIL は明治時代や昭和初期の時代にもあった? ―
    二五 義博
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 159-174
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    これからの小学校英語教育を考える際に,日本人は海外の先進的とされる実践例に目を向けがちであり,日本の過去から学ぼうという態度を欠いているのが大きな問題点である。CLIL(内容言語統合型学習)についても例外ではない。明治時代にはすでに小学校英語教育が行われており,CLIL の研究をする際にも海外ばかりではなく,日本の過去にもあった良き手本にも目を向ける必要があると考える。本研究は,明治時代および昭和初期の時代の小学校用国定英語教科書の分析を通して,「内容」「言語」の2つの軸から,どのような他教科の内容が取り入れられ,どのような言語の習得が目指されていたのかを考察する。分析対象となる教科書は,文部省著The Mombusho English Readers for ElementarySchools『小学校用文部省英語読本』全3巻(明治41~43 年)とThe New Mombusho English Readers forElementary Schools『小学校用文部省新英語読本』全2巻(昭和14~16 年)である。研究の結果,これらの教科書には,他教科内容を学びながら言語の習得も同時に目指すCLIL的な要素が多く見られた。また,イラストを多用し,オーセンティックな場面で英語を学べるよう工夫されていることが明らかになった。

課題研究
  • 西垣 知佳子, 物井 尚子, 星野 由子, 橋本 修, 安部 朋世, 矢澤 真人, 佐藤 悦子, 石井 恭平, 大木 純一, 神谷 昇, 小 ...
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 21 巻 01 号 p. 176-191
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,児童が英語のきまりを帰納的に学ぶ際に用いたメタ言語を調査し,その結果から,小学校の外国語科(英語)と国語科の授業を有機的に連携させる方法を探究した。はじめに,児童が使用したメタ言語の分析結果から,国語で得た知識を英語の知識の理解に活用している児童がいること,英語のきまりを一般化して概念で捉えようとしている児童がいること,英語の文構造に関する気付きを引き出す際,英語とその逐語訳的な日本語訳の比較は有効であること等が確認された。続いて,全ての小学校の英語科検定教科書で扱われている活動を抽出した結果,文法に関する活動は,活動全体の1.4%(46 件/3,300 件)であり,また,全ての小学校の国語科検定教科書では,文型,主語・述語・修飾語,品詞に該当する概念が扱われており,これらは英語の学習に活用できる可能性があることが確認された。最後に,英語と国語の授業の連携の方法として,両言語において,文中の語のまとまりに注目させること,また,品詞に関わる概念を捉えるようにすることは有効であることが示唆された。

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