林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
1996 巻, 129 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1996 年 1996 巻 129 号 p. Cover1-
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1996 年 1996 巻 129 号 p. Cover2-
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    1996 年 1996 巻 129 号 p. Toc1-
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 林業経済学会幹事会
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 1-
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 北尾 邦伸
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 3-8
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    環境問題といわれる構造的事態に,現代の経済活動がどのようにかかわっているかの見解を示した。また,この問題解決に寄与し得る経済学とは何かを考察した。このことを背景にして次に,森林・林業というフィールドではどうなのかについて,私がこれまで発表してきた著作を介して,諸局面からアプローチした。これはあくまで,今回のシンポジュウムの話題提供である。引き合いに出した著作にあたっていただき,当日,ご批判いただけることを期待している。
  • 野口 俊邦
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 9-14
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    戦後国有林野事業は,企業性・経済性,公共性,独占奉仕の3側面をもちつつも,独占と官僚の私物化によって独占奉仕の面が突出し,「改善計画」の下で国有林野事業は解体の危機にさらされている。環境問題としても,高度成長期における森林資源の「収奪的利用」,低成長期の資源の「放棄的利用」,構造調整期の「寄生的利用」の中でますます悪化し,森林被害額だけでも巨額にたっしている。林野庁により2度にわたって試算された「財政再建」の長期見通しは,累積債務の解消策を講し得ないだけでなく,林野・土地の膨大な売払い,リゾート開発等民間資金の導入,受益者負担の強要などが盛り込まれ,「1万人規模」と相まって到底許容できるものではない。公企業としての公共性を発揮させるには,「改善計画」路線からの抜本的転換が必要であるが,その変革のエネルギーとして,営林署所在市町村議会の運動が生まれていることが注目される。
  • 比屋根 哲
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 15-20
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    林業生産の場としての森林は脈管系の労働手段であり,これはたえざる技術的労働と結合することによってその機能が発揮される。また,その構造は林型によって具体的に表現され,森林の労働手段的機能は,主に択伐や漸伐の林型の造成を目標とした森林施業を通じて発揮される。こうした林型の造成は,生態系に留意し,伐出技術と更新技術の統一等を趣旨とした,近年の森林生態学サイドからの提言等とも一致するものである。以上のような考察を経て,ここでは指標林の設定・活用を含む,森林のフィードバック制御としての照査法のエッセンスを生かした森林施業の照査システムを,それぞれの地域で,林分あるいは経営区単位で創造的に確立し,定期的な労働力の投入による森林の労働手段的機能の高度化を保障すべきことを論じた。また,これと併せて,すぐれた技能を有するフォレスターの量的,質的確保の課題の重要性を指摘した。そして道有林の施業方針を例にとり,その基本姿勢を評価するとともに,作業種を施業基準からはずすと,これまでの歴史的な施業上のノウハウが霧散化する恐れのあること等の問題点を指摘した。
  • 村瀬 房之助
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 21-26
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    豊富な森林を有する山村における観光レクリエーションの動向を,九州中央山地にある椎葉村(宮崎県)と水上村(熊本県)を対象として分析した。平成6年の椎葉村への来訪者数は約15万人,水上村へは約24万人であった。来訪者の宿泊日数は平均1日であり,日帰りの来訪者が圧倒的に多い。これに対して2村は,平成7年3月に観光振興計画を樹立したが,つぎの3つの基本的要件が十分に備わっていない。第1は、森林環境の保全,とくに天然林の保存と自然林の造成への対策が考慮されていない。第2は,自然環境,山村文化(史跡・伝統芸能等)を知的探求の場として都市住民等が生涯教育の観点から利用する施設の計画が十分ではない。第3は,第3セクターの設立計画がないことである。資本の少ない山村では,第3セクターが,地元産業の活性化と住民の雇用拡大につながるような方向で観光事業を行う必要がある。さらに,椎葉村,水上村の宿泊施設数からみて,来訪者の急増は,受け入れ困難となることから,観光振興計画は,基本的なものから段階的に進めなければならない。
  • 李 春熙, 永田 信
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 27-32
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    都市における公園緑地環境整備水準の評価と都市間比較に用いられる「1人当たり公園面積」は,公園配置を反映しない,公園と類似の機能を持っている緑地を包含しない等の問題点を待っている。そこで,本論文では都市公園法等の法規と公園緑地の現状を分析して公園緑地の範囲や機能を明らかにし,面積と配置基準に関する公園緑地の理想モデルを想定してそれに基づいた新しい公園緑地環境整備水準の評価指標を提案した。公園は公共性,非建ぺい地,利用性をそなえるべきであり,最小面積基準として500m^2を想定した。都市公園は公園緑地の主なものであり,それは建ぺい率1%以下,工作物10%以下,緑被率75%で構成されている。都市公園以外の公園緑地については,都市公園を基準にその機能,緑被率によって公園度を推定することにした。1人当たり有効利用公園緑地面積20m^2,日本の都市公園配置規定等を基準にし,人口密度,面積と配置を考慮した総合公園緑地評価は公園緑地誘致園率,存在効果の評価は公園緑地率,利用効果の評価は1人当たりの有効利用公園緑地面積,配置の評価は公園緑地計画区別の公園緑地車の標準偏差で算定する指標を提案した。
  • 安 起完, 姜 学模, 石井 寛
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 33-38
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    新生となった韓国の林業協同組合は,購買・利用事業を拡大して組合員に経済的利益を与えること,信用事業によって組合員の相互金融体制を確立して林業資金と家計資金を安定的に供給することなどを課題としている。現在,142組合のうち,信用事業を行っているものは29組合であるが,さらに1995年末までには17の組合が事業を開始する予定である。金羅南道では3つの組合がすでに信用事業を開始しているが,本稿の課題は,全国レベルの林業協同組合の現状を明らかにするとともに,1994年12月1日に信用事業を開始した光陽市林業協同組合を取り上げて,その事業内容と信用事業について明らかにすることにある。その結果,組合員数2,881の光陽市林業協同組合の総出資金は1億878万ウォンである。その信用事業は,4つの預託金と3つの積み金を取り扱っており,相互金融額は,8億7,556万ウォンである。信用事業以外の事業は,依然と変わらず政府と市が実施している山林事業を代行しており,中心事業である資源造成事業の割合は全体事業収入の約78%を占めている。
  • 石井 寛
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 39-43
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本稿はヨーロッパにおける近年の森林法をめぐる動向を分析したものである。森林法の展開過程を振りかえってみると,私的所有権の承認を前提とした近代法としての森林法は森林施業規制・警察法として出発する。その後森林造成・林業振興法としての性格が加わったが,1960年代の環境保全への関心の高まりに対応して,森林法は開発規制・環境法的性格を持つに至る。1990年代に入り,森林問題への関心が一層高まるとともに,多くの国で国家財政が悪化して規制緩和の動きが生じた。これらの動きは各国の林政に反映し,90年代の初頭に森林法が改正されることになった。本稿では環境法としての側面を強めたものとしてバーデン・ウエルテンベルク州とスイスの森林法を取り上げ,また伐採規制などの規制を緩和したものとしてスウェーデンの森林法を取り上げて,それらの特徴を分析した。また市場経済システムへの対応しての森林法改正の事例としてポーランドとブランデンブルク州を取り上げて分析をおこなった。
  • 栗山 浩一
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 45-50
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    北海道の釧路湿原では自然保護と湿原開発との対立が生じており,新たな湿原管理のあり方や保全政策が必要とされている。本研究では,湿原の環境資源としての価値を「金銭単位」で計測することにより,湿原を保全することによる効果を調べ,湿原保全政策への提言を行うことを目的とする。分析手法はコンティンジェント・バリュエーション法(CVM)を用いた。この手法はアンケートにより環境保全のための支払意志額をたずね,環境価値を貨幣単位で評価するものである。また,支払意志額の質問形式はバイアスの比較的少ない二枝選択法を採用した。分析結果は,(1)景観価値の支払意志額は1世帯当たり平均すると年間4,251円であった。なお,釧路湿原にいったことがある世帯は5,666円/年/世帯,行ったことがない世帯は3,452円/年/世帯であった。(2)これを集計すると,観光客の評価額は年間8億9193万円,北海道在住一般市民の評価額は72億6098万円であった。(3)景観価値には原生自然が残されているか否かが影響しており,原生自然のイメージが低下すると,景観価値も低下することが判明した。
  • 鄭 夏顕, 永田 信
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 51-56
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    韓国におけるエネルギー消費が,経済発展や都市化の進行の中でどのように推移し,林産燃料から化石燃料へといかに転換したのかを,日本と対比させつつ,統計データを用いて分析した。その結果,両国のエネルギー革命の時期として,韓国は1960年頃から'90年頃までの約30年間を,日本は'57年から'60年代後半までの約10年間を措定できた。両国ともに国民所得が約8,000米ドル/人(1985年価格)に達する頃にエネルギー革命が完了したと考えられる。また農村人口率からみると,韓国は約20%,日本は30%弱の時期と推定される。日本では'50年代のエネルギー革命が始まる以前にも,薪炭材の総エネルギーに占める割合は8%に過ぎず,'66年以降には1%となった。韓国では資料の得られる'60年に薪炭材エネルギーが66%を占めており,エネルギー革命が終わる'89年になって,'66年当時の日本と同様に1%となった。韓国のエネルギー革命が長くかかった理由としては,'60年代まで政治・経済的な混乱があったために,日本と比べて経済成長が遅かったこと,農村人口がより多かったこと,そしてオンドルの燃料転換に時間がかかったことが挙げられる。
  • 金 相潤, 永田 信
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 57-62
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    森林空間のレクリエーション(以下,レクと略す)的な利活用への需要は,韓日両国においても経済成長期以降,次第に増大しつつある。しかし現在,森林レクの研究の中でも歴史的研究は少なく,特に民有林分野の分析に欠けている。森林レク関連の制度的な変遷を社会経済的な背景を踏まえて厳密に検討することは,森林レクの現状を理解し,今後のあり方を考えていく上で大変意義があると思われる。そこで本研究では,資料・文献調査を主にして韓国と日本における森林レクの制度的な変遷を詳細に把握した。その結果,両国では利用環境の規模や質の差はあるものの,様々な施策を推進してきており,それらは時々の社会的要請に応じて展開されてきていることが明らかになった。また,両国における既存の森林レク政策には相連がみられ,特に現段階での韓国の森林レク制度は,独自の政策への工夫が不十分であると判断された。今後,都市と山村との交流や都市生活者のより快適な生活環境への向上をめざして,森林資源を様々な環境財としてとらえ,その利活用を十分に計ることが必要であり,それのためにも森林空間の利用環境を適切に整備していかなければならないと考えられる。
  • 劉 玉政
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 63-68
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    1978年末からはじめられた経済改革の進展にともなって,中国における森林の所有構造とその経営形態は大幅に変化した。本論文においては,1984年から福建省三明市で現れてきた「林業株主会」と呼ばれている新たな経営主体について,その組織の性格,機能などを明らかにし,それを日本における生産森林組合と比較分析し,そのことを通じて,「林業株主会」の今後の展開方向について検討した。その結果,「林業株主会」は,その設立の背景,組織の性格,機能等の面で,日本における生産森林組合との類似性が高く,生産森林組合の展開について検討することが「林業株主会」の今後の展開方向にたいして,重要な参考になることが明らかになった。「林業株主会」の今後の展開方向もしくは課題としては,一定の経営規模を確保し,林業株主会の収益から公共費とする支出を減少し,多角経営を展開させることなどが挙げられる。
  • ツォルン トビアス, 神沼 公三郎
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 69-74
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    ドイツのバイエルン州における保安林制度の枠組み,および1980年代中盤から開始された保安林再整備計画の意義について考察した。ドイツ全土もバイエルン州も保安林の面積はそれほど多くはないが,同州南部のアルペン地域では地形が急峻になるため,森林の59%が保安林に指定されている。この保安林の大部分は天然林であるが,1970年代から1980年代にかけて森林の疲弊が目立つようになり,同州森林官庁は森林機能の改善策を実施する必要にせまられた。保安林再整備計画を開始する前に森林官庁は,保安林基本台帳の作成など政策の実行に必要な基礎的データを収集,整理した。そして人家や道路等の保護すべき対象物がある場所に限って,天然更新,人工更新,更新本を守るための構造物建設などを実施して,森林機能を強化する保安林再整備計画にとりかかった。バイエルン州の保安林制度は19世紀中葉以来の歴史を待つものの,従来,具体的な保安林政策を実施したことがないため,保安林再整備計画は同州の保安林政策史上,初めての取り組みであり,かつ大きな画期でもある。この計画は2005年まで継続されるが,いま開始された行政改革との関連で,今後の成りゆきが注目される。
  • 安藤 嘉友
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 75-80
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    近年,外国林業研究は量的にも質的にも大きく進んだ。その背景を検討し,外国林業研究はこれまでの貿易とのかかわりだけではなく,国際林業論として新しい分析方法の確立を図る必要がある。というのは世界の林業が天然林の採取林業段階から人工林を中心にする育成的林業段階に移行し,単なる資源貿易から工業品貿易へ,さらに二国間貿易から多国間貿易に転換され,世界市場における国際的木材生産価格形成のメカニズムを解明する必要が出てきたからである。その解明のために為替相場の変動,資本・労働・技術のボーダレス化,EUなど地域主義による世界経済の再編,多国籍企業の活動などを解明する重要性を指摘した。
  • 葉山 アツコ
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 81-86
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    伝統的焼畑耕作は森林休閑方式とも呼ばれ,短期作付と長期休閑を組み合わせて森林生態系に調和する形で営まれる農業である。フィリピン,ミンドロ島のハヌノオ・マンヤン族の焼畑農業は,1950年代初めの研究によると陸稲=根栽型,多種の栽培作物に特徴づけられる。当時の平均的な焼畑利用サイクルは12年で,2年の作付期間と10年の休閑期間が置かれていた。焼畑利用植生は成熟二次林であった。現在,休閑期間は4年に短縮され,焼畑利用サイクルは平均6年になっている。利用植生は草本類と木本類が混在する初期段階の二次林である。貨幣経済の浸透は'50年代初めに比べて高くなったが,依然として自給経済の比重は大きい。休閑期間の短縮によって土地利用頻度の集約化が起こったが,それをもたらした要因は,政府認可の大規模放牧地造成によってハヌノオ・マンヤン族の生活領域が囲い込まれたことであり,その結果,土地人口比率が増加したことである。現在の技術水準は'50年代初めと同じであり,土地生産性は労働投入を集約化することによって維持されている。低地社会での労働市場の狭さも相まって,現行の農業システムの継続は,長期的には森林劣化を強める方向に進むであろう。
  • デュンカ ノエル
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 87-92
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    この研究は,フィリピンの総合社会林業計画(ISFP)における計画から実行にいたる組織の担当者の役割,農民参加の内実を明らかにすることを目的として,「プロジェクト担当者の農民参加に対する役割」に関するアンケート調査を通じて分析を行った。担当者はプロジェクトへの農民参加の促進を任されているが,コミュニティーを活性化させる組織化の技術の欠如が資源の無駄や損失につながり,農民参加プログラムにおける参加の仕組みが育つのを妨げているということが明らかにされた。一方では,担当者の多くは農民がプロジェクトの企画・運営に参加する能力があることも認めていることが分かった。また,参加型プログラムに従事している担当者は,短期間にプロジェクトの成果を生み出すことよりも,山間地コミュニティーの活性化にとって重要な参加者の組織化のプロセスの改善を図ることに力を注ぐべきである。さらに,ISFPは農民達を含む高地住民の生活を物質的に向上させるだけでなく,高地の土地管理を持続させる社会的組織を構築するという理念の下に行われなくてはならない。
  • 呉 鉄雄, 笠原 義人
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 93-98
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    中国の林業における深刻な「双重危機」の解決のためには,南部林区は戦略的に重要な役割がある。本論文は南部林区管理体制の一側面について歴史を振り返りながら,現段階の管理体制を研究するものである。1978年中国経済改革実行以前の集権的経済管理体制に基づく林業管理体制は中国が解放された直後の経済回復に重要な役割を果たしたが,「政企合一」を特徴とする林業管理体制が問題となった。経済改革に伴う林業管理体制改革は林業行政管理の改革と共に,林業生産企業と広範囲に存在する家庭経営林場の管理を改革し始まる。しかし,政治改革と緊密な関係がある管理体制改革はなかなか進みにくい。林業企業の生産活動へ行政主管部門が関与し,林業家庭経営が「放任自由」となり,南部林区における木材市場開放が森林乱伐の直接的原因となる。林業管理体制改革を順調に推進するための必要条件を最後に追加する。
  • 大成 浩市
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 99-104
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    山村の過疎化・林業の凋落がいわれて久しい。かつて,農林業を主な産業としていた山村は,これらの「時代の流れ」に押し流されていくように見える。しかし,「時代の流れ」は,都市住民の農山村指向や農業・林業への新規参入者といった小さな逆流を起こしている。そのような時代背景のなか,森林組合は,森林所有者の協業組織としてだけでなく,地域住民のためにどのような役割を担うべく変容しているのだろうか。また,どのように変容していくことが望まれるのだろうか。本論においては,イベントによる活性化が注目される富山県利賀村において,イベントという華やかきの影で地域を支えてきた森林組合の役割に注目し,山村における森林組合の役割を考察する。
  • 佐々木 亮
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 105-110
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    1990年代に入り,世界の林産業は大きな転換点に立たされている。その最も大きな要因は,天然林丸太の伐採が困難となり,原料を人工林に転換せざるを得なくなったことで,林産業は切削機械のみを用いて製品を生産する産業から,木片,チップ,さらには木質繊維を接着したり加圧して建築資材を生産する産業へ転換せざるを得ない局面に立たされている。特に木質パネル部門にこのような動きが顕著であることから,本論では木質パネル産業の生産状況の変化,林産業にとって歴史的転換点ともいえる1990年代前半の原料供給変化の過程を構造的にとらえた。また国際間競争の場面においては,合板産業が斜陽化しつつある一方で,MDFを中心としたファイバーボードと,パーティクルボードの生産量が増加している。特に環太平洋地域においてはMDFを武器とした競争が激化する兆候があり,MDF生産国では世界第1位の輸入額を誇る日本の市場獲得が焦眉の課題となっている状況であり,林産業におけるさらなる資本の集中・集積が加速されるものと考えられる。
  • 杉浦 孝蔵
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 111-116
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    近年,野生獣類による森林の被害が各地に発生し,林業経営に及ぼす影響,森林被害の防除法および野生獣類の保護などいろいろと問題になっている。ツキノワグマによるスギ・ヒノキの被害林分はIV齢級以上に多く,しかも,優良木に多い。被害木激害なものは枯死するが,枯死に至らなくとも根元が剥皮しているから腐朽し,立木価は激減する。また,無被害の残存木もいつ被害を受けるか分からない。防除対策も特に見当たらない現状において,私有林経営者はただ困窮し嘆き経営意欲をなくしている。今回は,ツキノワグマによる立木被害が私有林経営に及ぼす影響,特に被害林分の経済性と取り扱いおよび施業上に及ぼす影響などについて,私有林経営の立場から検討した。さらに,林業経営上から今後の課題として,山村・森林・林業の理解と総合的調査・研究の在り方など2,3の提言をしたい。
  • 武田 八郎
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 117-122
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    わが国における紙パルプ産業の海外造林は1970年代の東南アジア,大洋州諸国での試験造林事業をはじめ,ブラジル・紙パルプ資源開発プロジェクト,本州製紙のパプアニューギニアでの造林事業などがあげられるが,石油危機を契機に海外造林はしばらく停滞していた。しかし'80年の「チップショック」により紙パルプ産業は原料確保先の分散化や多角化を図るとともに,海外造林を中核とした製紙原料の開発輸入を進めることになった。とりわけ1980年代半ば以降の円高進行や1990年代に入っての地球環境問題などを背景に,紙パルプ資本の海外造林投資が相次いでいる。これらは安価な製紙原料となる短伐期型のユーカリ造林であるところに共通性があり,また進出先もタイ,ベトナム,チリ,ニュージーランド,オーストラリアといった環太平洋諸国に広がっている。これは紙パルプ産業による長期的な原料確保を補完するための新たな海外進出に他ならない。
  • 山田 茂樹
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 123-128
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    高知県下においては,第3セクターの設立,民間資本による林業会社の設立,森林組合への作業隊の併設などにより,若年労働者を確保・育成しようという試みがなされている。それらの多くは,高性能機械を使った作業体系を採用し,公務員に準じた待遇という従来みられた方向性をとっている。一方で,ある程度の高賃金を保証し,その後,素材生産業者として独立させることを目標に林業労働者の育成に取り組んでいる事業体も存在する。また,従来の公務員に準じた待遇を人材確保の戦略としていた事業体の中にも,事業展開の進展とともに,従業員の労働の動機付けとしてそのような方向性をとるものもみられ始めている。これらにみられる方向性は,若年林業労働力の確保・育成の新しい方向として評価できる。しかし,現状ではそれらの事業体がまったく助成措置を受けずにその事業経営をさらに発展させていくことは容易でなく,なんらかの形でそれらの事業体の発展を促進していく必要がある。
  • 鳥澤 園子, 植木 達人
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 129-134
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    1991年の森林法改正によって流域管理システムが打ち出され,同時に改善計画も改定されるにおよんで,国有林野事業の民間実行の徹底と官民一体となった事業運営が取り上げられた。しかし,国有林地帯において期待されるような動きは見られていないように思われる。そこで本報告は,木曽谷流域を事例地として国有林地帯における流域管理システムの問題点を考察した。木曽谷流域は,天然ヒノキ資源の減少により人工ヒノキの利用への転換が流域全体の大きな課題となっている。しかし,流域林業活性化センター設置から4年目になる現在においても,産地形成に向けた具体的な動きは見られない。その背景には,水流域の木材産業が国有林依存型の天然優良材産地として発展してきたために,今なお国有林特有の資源管理や販売形態に規定されており,このことが人工林材の地元製品化を困難にしており,流域管理システムにおいてこれらに対する具体的な対応策が行われていないことが挙げられる。
  • 加藤 明香
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 135-140
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    国民にとって望ましい自然資源のありかたを実現するためには,対象となっている自然資源の存在が人々にどれほどの効用を与えているのかを把握していることが前提となる。このような考え方を背景として,環境経済評価法は,国民が自然資源から享受している便益の大きさを貨幣単位で把握するための方法論として主に欧米で発達してきた。本稿では,その評価法の中でも,森林に関するあらゆる便益の計測に適用できるコンティンジェント・バリュエーション法を用いて,北海道の野幌原生林を事例として便益評価を行なった。近郊市町村の住民を対象に,原生林の生態系が現在のまま維持されることに対する支払意志額(Willingness To Pay)をアンケートにて尋ねた。その結果,便益の大きさは,現時点での非利用者も含めて一年当たり5億1300万円であった。一人あたりの支払意志額は,個人が持っている様々な属性によって決定される。ここでは,原生林に生息している鳥類についての情報や,レクリエーションの頻度,あるいは年収などが支払意志額に影響を与えていることがわかった。
  • 伊藤 幸男
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 141-146
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本稿の課題は,地域林業の生産力構造と資源管理までを含めた一体的発展構造の形成に向けて,流域管理システムが構造形成の軸となり得るのかについて検討し,現在時点での問題点を明らかにすることである。ここではこれまでの議論から,地域の林業生産力構造の分析が中心をなす。ここで取り上げた宮城県鳴子町は,これまで国有林中心の林業の構造展開がみられたが,国有林天然林資源の減少と一方での民有林を中心とした人工林資源の充実化という森林資源の移行期にあって,国有林中心の林業構造が弛緩した段階にある。こうした展開下における素材生産業,製材業は,いわば産業資本的展開をなお遂げておらず,依然として商人的性格を払拭していないことないしは,商業資本的段階にとどまる生産力水準にとどめており,地域の林業構造は分断的様相を呈している。しかしそれは,国有林の論理が支配的な生産力構造の歴史的展開に強く規定されているためである。従って,流域管理システムも現状の構造を前提とする限り,生産力構造の歴史的展開に規定されるのであり,構造形成の軸に必ずしも位置付くわけではない。
  • 渡部 直人
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 147-152
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    この報告では,山形県庄内地方を貫流する1級河川「赤川」流域農村における天然資源利について,主に第2次世界大戦から現在までの,利用と衰退の経緯について検証した報告である。およそ30年前までの,この地域の農村生活は,生活の場,生産の場それぞれに極めて多様で有機的なものであった。稲作地帯であるこの地域の生産の場においては,稲乾燥用の"稲くい"や堆肥にする藁,俵用の藁,それに野菜の支住用の萱や竹が利用された。また,生活の場においては家屋の基礎には川石,屋根葺用に萱が利用され,それぞれに貴重な資源として大事に利用されてきた。しかし,高度経済成長の下,「消費は美徳とまでいわせしめた商品消費型生活環境の着に伴い,直接的には石油化学製品のプラスチックやビニール製の農業用資材,生活用品の急速な普及と,農業構造(農地基盤整備事業や兼業化等)の変化に伴い天然資源利用はほぼ消滅した.さらに,萱の採取地であった入金地も消滅した。これら資源利用衰退の要因,及びその経緯を検証した。
  • 櫻井 敬典
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 153-157
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    森林資源を扱う学術研究において,その視覚的要素に関する研究は行われているものの,森林の聴覚環境に関する学術研究は存在しなかった。本研究では,その森林の聴覚環境を扱ってゆくに当たって,序論では「森林資源を扱う学問においてその聴覚的要素を扱う学術分野を創出すること。」と「森林の聴覚環境という新たな資源概念を創出すること。」を課題として設定しサウンドスケープ論の視点から考察を行い,サウンドスケープデザインではその研究の方向性を明確にすることを課題として設定し考察を行った。序論においては公共空間(公園等)の性格より考察した結果,公共空間の景観が資源利用であることから,森林資源の聴覚環境を扱う学術分野と森林の聴覚環境という資源概念を提案した。また,サウンドスケープデザインにおいては公共空間のサウンドスケープ研究と森林空間のサウンドスケープ研究という二つの方向性について明示した。
  • 枚田 邦宏
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 159-164
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,森林所有者にかわって森林を管理する地域組織として森林組合を想定し,現状の取り組み状況,問題点を明らかにすることを目的とする。森林管理に関する森林組合の事業には,森林経営信託事業と森林経営受託事業がある。全国で森林経営信託事業に取り組んでいるのは2組合,森林経営受託事業に取り組んでいるのは19組合のみで一般化していない。森林経営信託事業の対象となっている所は,不在村森林所有地であり,森林組合が不在村森林所有者を把握することができていること,契約を締結し公社造林を導入することによって森林組合が森林造成事業を拡大できることが,森林経営信託事業を進める要因となっている。また,森林経営受託事業は,当初,農林金融公庫からの憤り入れのために導入されたものであり,現在継続しているものは,森林経営受託事業だけでなく,施業受託を同時に契約しているものである。今後,森林経営信託事業を進めるためには,事業実行面の公的資金の援助が欠かせない。森林経営受託事業の場合には,土地境界の管理レベルの受託は森林組合の経営面からも困難なのが現状であり,低価格で管理できるしくみを作るか,地域単位に育林,間伐事業などを結びつけ事業化していくことが必要である。
  • 永田 信, 安村 直樹, 新開 毅, 柴崎 茂光
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 165-170
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    建築は景気に大きな影響を与えるものとして,予測や分析が広く行われてきており,これと木材需要を数量的に関連づけることにより,木材需要に対する予測や分析へと利用することが期待される。しかし,例えば木造・非木造と言った構造別の建築動向が大きく木材需要に影響すると思われ,予測や分析の利用に際して正確を期するならば,建築と木材との数量的関連づけにおいては構造別あるいは用途別に行う必要があると考えられる。上記の考えのもと,最小二乗法を用いて建築の際の木材(製材及び合板)のマクロ的に見た使用原単位(建築物1平米当り使用する木材の量)の算出を試みた。算出に際し,建築物は構造別(木造とそれ以外)あるいは用途別(住宅とそれ以外)に分類した。構造別については木造と非木造とで木材使用量に顕著な差が認められた。一方,用途別ではそうした差が認められないと共に住宅とそれ以外という分類に問題が残った。冒頭の予測や分析の利用の際には,特に構造別に関して注意しながら扱うことが必要と言えそうである。
  • 川部 真也
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 171-176
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    現在,背後に丘陵地帯をひかえる海岸部においては,自給的農・漁業+賃労働の世帯が零細山林所有者,つまり漁家林家として多く存在していると考えられるが,統計でそれらの現状は把握されていない。本論文は山形県温海町小岩川集落を対象とし,各世帯の職歴等を聞き取り調査し,あわせて農協・森組・統計情報事務所の各資料をふまえ,戦後からの就業形態を土地保有規模により史的に考察したものである。耕地保有者のほとんどが森林所有者であるのだが,その就業形態の結果は,耕地規模30a未満層で戦前期から1955年にかけて,主に漁業への就業を開始しており,漁業が集落における相対的中小耕地保有者によって担われてきたことがいえる。しかし耕地規模30a以上層であっても,平均水田面積33aという小規模農家であることから,'60年以降の農林産物輸入を契機とし,主業を農業から出稼ぎ大工に移行せざるを得なかった。このような結果として,漁家林家を含めた,家族多就業構造が存在するが,この構造は国家独占資本主義のもとにおける労賃の農林漁業のそれとの乖離の結果であり,零細土地所有構造とあわせて存在する。
  • 中川 恒治
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 177-182
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    地縁団体の法人化を認める地方自治法260条の2が平成3年に創設され,長野県内ではその数が急速にのびている。その中で,形式上の入会地盤登記名義と実質的入会権者が乖離する入会集団では,登記名義の混乱を解消するために入会林野整備事業を導入せずに地縁法人化を指向することの是非が問題化している。一方,林野庁では,近代化事業の進捗率が低迷していることの打開策を検討し始めている。しかし,実際に入会集団を母体とする地縁法人が存在するにも関わらず,こうした地縁法人と入会集団との関係についての調査研究はなされていないのが現状である。本報告は,このような背景に基づき,長野県内において地縁法人と入会集団とが重複する事例を抽出し,関係市町村および当該団体代表者等への聞き取り調査により実態例を把握した。その結果,当該入会集団は入会権の解消には消極的であり,地縁法人を指向して入会林野の地盤登記名義を整理したい意向が伺われた。今後の入会林野の活用は,このような入会集団の意向を鑑みて,現在までの入会林野整備事業にはない段階的な施策が必要である。
  • 木下 渉
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 183-188
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    かつて日本における森林利用の1つであった薪利用は,戦後の経済発展に伴う燃料革命により日常生活においてその主役の座は石油,ガス等に取って代わられた。しかし,長野県伊那市周辺において旧来からの薪利用とともに外国製薪ストーブの普及により,わずかずつであるが薪の需要が伸び始めてきていることが認められる。そこで,本報告では現在における薪利用・生産状況から,それらが行われている要因を分析・検討することを課題とした。森林組合における販売を目的とした薪生産は,「薪需要の存在」を前提としながらも,「労務対策」,「広葉樹の有効利用」といった目的も伴って行われているが,広葉樹林の奥地化等による生産コストの問題が今後の課題となる。旧来からの薪利用では,自家労働による薪生産を可能とした「農閑期」の時間の確保が,人口の高齢化,あるいは集落外での恒常勤務の増加から困難となっており,薪利用の衰退過程をたどっていると言える反面,薪特有の良さから利用が継続しているとも考えられる。「自然派指向」「精神的に豊かな生活」を利用動機とする新規の薪利用者は非森林所有者が多く,薪の確保が困難となっているのが現状である。今後の薪利用普及には,非森林所有者に対する薪の安定的確保が課題となる。
  • 篠原 秀典
    原稿種別: 論文
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 189-194
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    今後の国産材供給において主流になるであろう並材に関して,その流通コストの縮減の可能性を探るために,木材(素材及び製材品)の流通コストに関する追跡調査を行った。調査は,岡山県と和歌山県の二つの製材工場を起点として,スギ柱角を3製品,米ツガ柱角を1製品(すべて10.5cm角x3m)の計4つの製品に対して聞き取りによって行った。この調査結果を基にして,国産材製品と外材製品の各流通段階におけるコストの分析及び流通経路の比較を行った。そして分析の結果,流通コストの縮減を可能にする流通として,卸売業者(問屋)を介さない流通と製品市場を経由しない流通の二つの流通が考えられた。この二つの流通が成立する為の条件は,製品の均質さと量的なまとまりである。今後,国産材の多くが並材として大量に流通する可能性があることを考慮すれば,この二つの条件を満たすことは可能である。
  • 島本 美保子
    原稿種別: コメント
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 195-196
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 葉山 アツコ
    原稿種別: コメント
    1996 年 1996 巻 129 号 p. 197-198
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    1996 年 1996 巻 129 号 p. Toc2-
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1996 年 1996 巻 129 号 p. Cover3-
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1996 年 1996 巻 129 号 p. Cover4-
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
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