林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
45 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1999 年 45 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1999 年 45 巻 1 号 p. Cover2-
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 林業経済学会
    1999 年 45 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 堺 正紘
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    森林に対する関心の高まりの中で,森林資源管理のあり方について多面的な議論がなされるようになったが,他方,林業生産を取り巻く厳しい環境の中で,人工林資源の保続すら従来の林家の森林経営活動を基軸とする方法では難しくなっている.本稿では,(1)森林資源管理に関する最近の論議を林業経済学会シンポジウム報告を中心に検討し,機能区分,所有と利用の矛盾,市民参加,林家の位置づけなどについて問題が残されていること,(2)人工林伐採跡地の再造林の実態を九州地区について分析し,林家に代わる再造林主体の創出を含め,新たな森林資源管理システムの構築が求められていることを明らかにした.そして,(3)新たな森林管理システムとして,類型区分(経済林と非経済林),林業生産の計画化・効率化のための長期伐採権制度の創設及び長期伐採権者への伐跡地の再造林の義務づけなどを提案した.
  • 土屋 俊幸
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    森林における市民参加論は,米国国有林の森林計画策定過程における市民参加制度の研究から始まり,特にその分野で進展したが,現在は第2段階として,流域へとフィールドを拡張し,森林だけでなく地域資源全体を対象とした研究の方向が模索されている。一方,日本における環境運動は,米国とは異なり公害問題を中心に展開してきたため,自然保護運動については研究の蓄積が非常に少ない。今後,市民参加過程の最も重要な当事者の一人である自然保護団体について,運動そのものの研究を深化させる必要がある。コモンズ論については,環境社会学と林政学でその捉え方が異なるが,いずれも今後の新たなコモンズ形成の契機として住民参加,市民参加を重要視しており,技術論としての市民参加論,単なる政治論としての市民参加論からの展開の可能性を見ることができる。以上のような検討の後,こうしたテーマ全体を包含した研究領域を提案した。地域ないし流域における自然資源と社会との関係を総合的に捉え,その理想的なあり方を積極的に提言する社会科学である。
  • 松下 芳樹
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    新たな森林・林業の枠組みは,経済行為としての林業を包含しつつ,公益性を確保するための市民,企業,行政の最適な役割の分担と組み合わせを実現する公共政策と位置付けられ,「公益的機能」と「木材」の循環システムを「意味」としてとらえる閉じたシステム(顔の見える市場)として再編すべきである。その結果,二つのシステムの交点にある消費者(市民)がシステムの再生産の重要な担い手となる。これを踏まえて,新たな枠組みとは,既存の森林計画制度を,森林施業計画からの積み上げ型に変更し,森林施業計画を活用した直接所得補償制度を消費者(市民)参加のもとに導入することにより,経済政策と資源政策,地域政策の融合を図る。現在の森林・林業の課題の解決策の多くが,進展しつつある市民社会の中にあると考えられ,今後は,市民社会に基軸をおいた森林・林業の新たな枠組みの構築に取り組むべきである。
  • 山本 美穂
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    林業経済研究は時代,研究手法,地域という規定要因を受ける。手法を違える2つの接近方法が地域の評価と将来展望を異にすることを宮崎県耳川流域の調査・研究を例に示し,今後の自らの研究の方向と課題を提起した。即ち,川上の視点は,農林家経営の安定と山村定住条件整備に主目標をおき,産地形成はそのための手段であること,山間地域の多様性を考慮しえない広域行政は良策ではないことを表明したが,川下の視点は,産地間競争に負けないシステム形成を主目標に据え,産地化戦略遂行に当たってのあらゆる阻害要因を除いていこうという立場に立った。これらを材料に,フォーディズムが席巻してきた産地化原理への疑問と,山元調査によるアンチテーゼ提示,オペレーションズ・リサーチによる接近への林業経済研究の理解と議論の必要性について示した。
  • 藤掛 一郎
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    伐採齢分布を用いて森林所有者の伐採行動を表現し,分析するという研究を紹介し,この研究に即して,古くからの研究対象に新しい方法とテーマの組み合わせで接近する,そのやり方や意義について論じた。伐採齢分布を用いた分析は,森林所有者の伐採行動を詳しく調べる上で有効であり,森林所有者がその林業経営の主要な経営環境を構成する価格条件にどのように反応して,伐採行動を変化させてきたかを明らかにすることができた。また,伐採齢分布を用いることで地域レベルの森林資源動態と地域林業を表す変数との関係を分析することや,その結果を資源動態の予測に用いることが可能なことなどを示し,減反率法にとらわれずに資源動態の予測精度を高める可能性があることを示した。
  • 伊藤 勝久
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    山村は地理的条件が不利である故に,伝統的に高度な複合的資源利用によって成立している。経済成長の中で過疎化及び高齢化が進み,この状況を黙認すれば地域コミュニティーの崩壊さらに消滅の危険性がある。もともと過密と過疎は同時に同じ契機で発生し,産業社会の深化によって,それぞれに重大な問題が現われて来ている。しかし今後,国土・環境保全と人口分散の対策を軸に,都市の過密と山村の過疎は同時に解決できる可能性がある。本論文では,山村で従来から推進されてきた農村と一律の構造政策を,本来的な地域政策に変更するための政策理念とその条件を検討した。
  • 川田 勲, 古川 泰, 高橋 秀博
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    わが国木材市場において,国産材ではスギ材が外材との競合で後退を余儀なくされたのに対して,ヒノキはその木材商品としての物的特性と需要の高度化の中で,独自の市場性と価格形成力を維持してきた。その結果,外材支配が強まる中でも,高級ヒノキ材を軸に全国的に産地化が進められてきた。多くのヒノキ産地は国有林の高齢級資源に依存しつつ,高級材産地を形成してきたが,近年ヒノキ製品をめぐる需給構造の変化と資源の枯渇化の中でこれらの産地は縮小再編を余儀なくされている。とりわけ住宅の洋間化と進むエンジニアリングウッド化は意匠材としてのヒノキ需要を低迷させ,高齢級の優良資源の枯渇化は原料面からヒノキ産地に大きな問題を投げかけている。一方で戦後造林のヒノキ資源は徐々に成熟しつつあり,これへの新たな対応が求められている。本研究は需給構造の変化とヒノキ資源の転換の中での,産地の変貌と再編構造を明らかにしたものである。分析対象地域は四国西南地域で,危機に直面する高級ヒノキ産地の高知県幡多地域と量産型ヒノキ産地への転換を進める愛媛県八幡浜産地を対象にヒノキ産地の二極分化への再編の実態を分析した。
  • 栗山 浩一, 北畠 能房, 大島 康行
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    屋久島は樹齢数千年に及ぶ「屋久スギ」と多様な動植物が生息することから,世界遺産として登録されている。だが,登録地域は屋久島の一部に過ぎず,屋久島が世界遺産に登録されたことから訪問者が急増し,観光利用による生態系への影響が懸念されている。そこで本研究では,屋久島の生物多様性を将来まで残すことで得られる価値を評価し,屋久島の保護と利用のあり方を検討する。評価手法は,生態系価値を評価できる手法として注目されているCVM(仮想評価法)を用いた。CVMはアンケート調査により回答者の支払意志額をたずねることで環境価値を評価するため,アンケートのときにバイアスが生じる危険性があることが知られている。そこで,本研究では,4回のパイロットサーベイを行なった上で,全国規模の訪問面接アンケートを実施し,パイロットとファイナルサーベイの評価結果の比較を行なった。その結果,支払意志額(中央値)についてはパイロットサーベイとファイナルサーベイの評価結果は比較的接近しており,評価額の安定性という観点からは環境政策に適用しうる信頼性を持っていることが確認された。
  • 庄子 康, 栗山 浩一
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    今日,野外レクリエーションを楽しむ人口が増加し,自然公園などにおいて過剰利用が生じている。過剰利用は混雑を招き,利用者の快適な利用を妨げるだけでなく,自然景観や生態系に対しても悪影響を及ぼしている。本稿では北海道の雨竜沼湿原を事例地とし,過剰利用に対する5つの規制案について利用者意識の観点から分析を行い,雨竜沼湿原にはどのような規制が効果的であるかを考察した。分析結果として5つすべての規制案には「利用者は湿原に悪影響を与えている」という認識が関係しており,どのような規制を導入するにせよ湿原に対する悪影響の認識を深めてもらうことが重要であると考えられた。また規制案に対する利用者意識などを考慮すると,雨竜沼湿原には車両規制と利用料金を組み合わせた規制が効果的であると考えられた。
  • 戴 玉才
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本研究は時系列分析を通じて高度経済成長期における日本と中国の木材消費構造の変動を比較し,以下の諸点を明らかにした。(1)木材消費量の増大とそれに伴う自給率の低下が日中両国にともにみられたが,日本の木材自給率の低下は外材依存体制を確立させるほど急激的なものであるのに対して,中国の木材自給率は国産材自給体制下に緩やかに低下してきている。(2)日本の木材消費は燃料革命によって用材消費という1部門に収斂してきたのに対して,中国においては用材と薪炭材という2部門からなる部門構造が維持されている。(3)日中両国は木材製品(合板,紙・板紙)の消費量が増大するところに共通している一方,日本の自給率は全品目で低下してきたが,中国の自給率には合板の低下から上昇へ,紙・板紙のさらに低下へという異なった変動がみられる。(4)日中両国の木材,木材製品の消費水準はともに上昇するが,同じ経済水準下に消費性向の高さによって日本は中国を大きく上回る。また,回帰分析を通じて日本の木材消費は中国のそれより社会・経済的要素に強く影響されることも明かにした。
  • 山下 康, 竹田 晋也, ソンクラム タミンチャ
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    近年の経済発展に伴う紙消費の増大により,タイではパルプ生産の重要性が高まっている。現在稼働中の5つのパルプ工場では,ユーカリ,竹,農業副産物であるバガスの3つが主に原料として使われている。最も多く利用されているユーカリは,現在農家造林を中心として生産されているが,パルプ原料が小農ベースで生産されているのは世界的に見てユニークな例である。パルプ原料確保のための企業造林を強行することによる社会的軋轢が,かつてのタイにはあったし,現在でも問題となっている国があるが,産業造林を推し進める際,その地域の自然・社会条件において,企業造林と農家造林のどちらが有利であるか考えていく必要があるだろう。現在の農業副産物の有効利用や小農ベースでのパルプ原料生産は,天然森林資源がほぼ枯渇し,農業開発が国の隅々にまで広がっているタイの自然・社会条件に適した形態だといえる。
  • 駒木 貴彰
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    北海道は高性能林業機械の導入がいち早く進んだ地域である。しかし,国有林や道有林の事業量減少や間伐作業の相対的増加などの要因によって,高性能機械の能力を十分に発揮させ得ない状況が生まれている。高性能機械を導入した事業体では,間伐作業に高性能機械の利用に適した列状間伐を採用したり,事業量確保のために事業体同士の業務提携という形で高性能機械の活動範囲を広域化している例が見られる。また,林業機械利用協同組合を設立して作業の機械化を促進している事例も出てきた。しかし,高性能機械を利用した作業システムの展開には自然条件や森林所有構造などに起因する制約条件も存在するため,機械を有効に活用できる場面は自ずと限られているのが実態である。高性能機械導入のための効率的な作業システムの構築と労働条件の整備は,木材生産局面の大きな課題であるが,それと同時に,森林に対する国民のニーズの多様化に対応した森林作業を実施していくための従来型労働組織の育成が,以前にも増して重要となっている。
  • 遠藤 日雄, 石崎 涼子, 土屋 俊幸
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    流域林材業システム化にとって,素材生産と原木消費の結節点になる原木市売市場が重要な役割を担っている。ところが,近年,スギ並材に代表される低単価原木の流通コスト縮減の必要性の視点から,原木市売市場の存在に異議を唱える論調が高まっている。本論文では,この点について(1)岩手県気仙川流域を対象とし,(2)スギ並材大型量産工場の原木市売市場への依存率の変化,(2)森林組合による量産工場への原木直送の実態,(3)原木市売市場の原木集出荷の実態を明らかにし,さらに(4)量産工場と原木市売市場の相互関係について考察をした。その結果,(1)原木直送の願望とは裏腹に,全国的に製材工場の原木市売市場への依存度は確実に大きくなっていること。(2)しかし,製材工場の原木市売市場への依存度は,原木消費量がある規模を超えると不安定なものに変化することが明らかになった。従って,流域林材業システム化に果たす原木市売市場の役割についてはこの点を整理して議論すべきで,コスト縮減の視点から一方的に原木市売市場を無用とするのは実態に即さない短絡的な議論であると考える。
  • 石崎 涼子, 遠藤 日雄
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    都市近郊の森林管理の主体に関する一考察として,入会林野の系譜をひく小田原市外二ヶ市町組合の森林管理を対象とし実態分析を行った。事例地は,現在,公益的機能の発揮などの森林に対する様々な社会的なニーズが発生するなかで,これらに対応した森林管理を試みている。分析の結果,次の2点が明らかとなった。第1に,小田原市外二ヶ市町組合の森林は,特定の集団が排他的に利用してきたかつての入会林野から,社会的なニーズに対応する,市民に開かれた非排他的・公共的な森林へと変化しつつある。第2に,漠とした社会的ニーズを森林管理に反映させるにあたり,地方自治体など森林所有者と市民との接続点となるものの存在が大きな役割を果たしている。この事例を通してみた場合,今後の森林管理は,特定の主体に措定されるというよりは,森林所有者や自治体,市民などの有機的関係のなかで実現されていく可能性が強いと考えられる。
  • 伊藤 敬子
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    近年,スギ等の花粉によって引き起こされる花粉症問題が社会問題として取り上げられるようになっている。花粉症の原因の一つにスギがあげられる一方で,スギは成長が早く,建築用材として有用な木材として広く造林され,日本林業を支えている重要な樹木でもある。このスギの持つ二面性をふまえたうえで,スギ林また森林全般の管理について一般市民がどのような意見を持っているのか,また意見を持つにあたってどのようなことが影響するのかを調べることとした。このために淀川上・下流の居住者計2,000人を対象にアンケート調査を実施し,その集計結果を用いて森林に対するどのような認識・個人属性が,森林管理に対する意見形成に影響しているかを分析した。その結果,市民の多くはスギ花粉が花粉症の原因の一つであるが,花粉症は他の様々な要因も複合的に影響して発症すると認識しており,スギ林の存在に対しては総じて好意的であった。しかし花粉症にかかっている人,スギが花粉症の原因であると認識している人は,スギ林を減らしてほしい,また,公的資金を投入して花粉症対策をとってほしいという意見を持つ傾向にあることなどが明らかになった。
  • 柳幸 広登
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 93-98
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    ニュージーランドでは1992年以降,「第3次造林ブーム」といわれるほどに造林が盛んに行われている。「第3次造林ブーム」は1991年の林業税制の改正が大きな契機となっているが,より大きな背景としては,第4次労働党政権(1984-90年)による農業政策の大転換ある。すなわち,1970年代半ば以降,国民党政権は農産物輸出振興策の手段として農業助成政策を強化してきたが,1984年に登場した「第4次労働党政権」によって農業政策は大きく転換され,大部分の農業助成策は廃止された。その結果,農業,とりわけ牧羊業の採算性は大幅に低下し,羊頭数と放牧地面積は減少した。こういった農業生産の環境変化は農地価格に如実に反映され,1970年代後半から1983年にかけて急上昇したが,1984年以降,急激に低下した。とりわけ放牧地価格の低下には著しいものがある。1992年以降の「第3次造林ブーム」の大きな背景には,1980年代半ばから牧羊業の地代負担力が急激に低下したことがある。
  • 網倉 隆
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    我が国林政における市町村の位置付けが高まるなか,近年では地域森林資源の計画主体としての役割が強く求められている。こうしたなか1993年,自治省から公有林化政策が呈示された。森林を自ら取得して管理する公有林化政策の登場は,従来の市町村林政の枠内では捉えきれない性格を持つ。そこで,(1)公有林化政策の進展状況の把握,(2)公有林化に対応する市町村の目的,(3)計画策定から地域森林管理に繋げていこうとする方向性の中で森林を公有化することの意味,の3点について分析を行った。その結果,(1)公有林化された森林の面積はきわめて小さいが,対応する市町村は多い,(2)森林レクの場の確保・漁場保全・生態系保全・地域文化の保護継承を目的とした森林保全など,多様な目的を持って公有林化が実施されている,(3)地域振興策・土地利用計画などと結びついた森林利用・保全といった課題に対応するために公有林化を行っている事例が多く,市町村による民有林の公的管理という側面は希薄であることが明らかとなった。
  • 野嵜 直
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本稿は,古紙を利用して家庭紙を製造している中小資本に注目し,その生産力的役割と経済的位置を分析したものである。愛媛県川之江市および伊予三島市周辺や静岡県富士地域では独占資本のみではなく中小資本も含め,紙・パルプ産業が集積している。これらの地域では家庭紙を製造している中小資本による古紙パルプ製造の協同化による古紙処理技術の高度化や,在来技術の改良・環境規制への対応を通じて原料古紙の多様化を図る例がみられる。しかし,これら中小資本の製品は,市場では様々なマーケティング戦略によってシェア拡大を目指す独占資本の製品との厳しい対抗関係にあり,その市場シェアは年々低下してきている。これら中小資本の中には,「古紙利用」をキーワードにしてグリーン・マーケティングによって販路拡大を目指す動きもみられる。家庭紙を製造している中小資本は,古紙再生技術など重要な生産力的役割を担っている一方で,総体的に見ると経済的には厳しい状況に置かれている。
  • 能登 淳子
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 111-116
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本論文は,これまで用材生産を中心に捉えられてきた林野利用の歴史に対して,それ以前の多様な利用,なかでも長年にわたって山村農民の食料生産を支えてきた焼畑耕作について,その存在形態と衰退の過程を主に土地利用の面から捉えようとしたものである。岩手県北上山地で行われていた焼畑耕作は,自給用の作物生産を主目的としながら,燃材の確保,養蚕のための山桑の栽培やそのほかの商品生産を支えるなど,多様な形態で農家の生活に重層的に関わっていた。しかし,第二次世界大戦後の開田の進展,あるいは畑作への商品作物への導入や雇用労働などの新たな現金収入の増加によって焼畑は放棄されていき,最終的には本来的な自給用作物生産という役割は薄れ,それ以外の2次的な役割が大きな位置を占めた。
  • 小山 淳哉
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 117-122
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    Further theoretical studies are needed in order to explain issues emerging in today's forests and in forestry. Natural timber resources are being depleted and degraded as the most part of the primitive forests are replaced by the second and third growth. Under such circumstances, naturally regenerated forests seem to have more economic importance. However, few studies on the timber production in natural forests have been ma de, where dealt with the conditions of the stand reproduction theoretically. Under what conditions could the forest regeneration be respected and carried out? In this paper, which is based on the labor theory of value, a few types of timber production in natural forests will be distinguished by differences in regeneration capacity and land productivity, and then the conditions to ensure the stand reproduction will be examined by using a model with a small amount of investment, in order to work out an appropriate timber supply model.
  • 久保山 裕史, 永田 信, 立花 敏, 安村 直樹, 山本 伸幸
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    90年代以降の北米では,野生生物保護と持続可能な経営という新たな社会的要請の中で,森林施業に対する規制が公有林のみならず私有林に対しても強まっている。本研究では,この施業規制の内容と木材生産に与えた影響について,カナダBC州,米国ワシントン州,ジョージア州を対象に調査・分析した。その結果,前者2地域の規制には共通性が見られ,共に厳しい内容となっており,伐採等のコストが大きく上昇しているのに対して,ジョージア州の規制は緩く,コスト上昇も比較的少ないことを明らかにした。しかし,施業規制が木材生産量へ及ぼした影響をはっきりと把握することはできなかった。これについては,木材生産量がBC州では安定し,ジョージア州では微増,北西部では減少していることから,資源的制約の影響が強いことが考えられる。このようなコスト上昇と資源的制約の格差が生じたことによって,製材産地としての南部の優位性が高まっており,今後の規制強化等の不確実性もあることから,林産企業は原料基盤の一部を移動・分散している。
  • 田村 早苗, 永田 信, 立花 敏, 大橋 邦夫
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 129-132
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    1960〜90年の「国勢調査」職業別就業者数のデータからこの間の林業作業者の推移を検討し,1970年以降のデータを用いてコウホート分析を行った。林業作業者は,60〜70年にかけて伐出と製炭・製薪作業者が急激に減少した。それに対して育林作業者は安定的に推移してきたが,85〜90年に顕著な減少が見られるようになった。育林作業者数に大きな減少がなかったのは,高齢によるリタイアを60歳未満の幅広い年齢層の参入があったためである。しかし,90年には一変して参入がほとんど見られなくなった。育林作業の中心世代であった1930年生まれコウホートのリタイアが始まり,加えて25年生まれコウホートも大量にリタイアしたことが原因として指摘できる。また,この時期は伐出作業者の減少も加速した。将来的に育林・伐出の両作業者の減少が続けば,約10万人(90年時)いる林業作業者は2050年には約1万人にまで減少すると推計された。
  • 天田 泰, 宮林 茂幸, 関岡 東生
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 133-138
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    わが国における戦後の地域開発は1962年から4次にわたる全国総合開発計画(以下全総)にもとづきその時代時代の具体的な経済政策手段として進められてきた。しかし,今日までの全総は開発対象地域に内在する諸問題を解決するどころか,結果として地域ないしは国民経済にとってマイナスの要因となっている場合が少なくない。また,1998年3月に閣議決定された「21世紀のグランドデザイン」(五全総)においては開発理念として参加と「連携」が重点課題とされているが,その「連携」の具体的な内容が不明確なままに進められる傾向にある。このようなことから,本報告においては,戦後おこなわれてきた全総による地域開発をわが国の経済発展過程に関して整理するとともに,群馬県利根・沼田地域の広域市町村圏を事例とし,地域開発による「連携」とは何を意味し地域にどのような影響を与えているのかを考察した。
  • 関岡 東生
    原稿種別: 論文
    1999 年 45 巻 1 号 p. 139-144
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    わが国における森林教育研究に従事する研究者は次第に増加しつつあるものの,研究成果公表の機会は充分には保証されてこなかった。森林教育研究のさらなる発展を期待する上で,森林教育研究の軌跡をたどり,体系的な整理を行うことが必要とされている。しかし,これまでは体系的な文献レビューは殆ど実施されておらず,研究動向の把握が極めて主観的にならざるを得ないことも認識する必要がある。本研究は以上の認識より,わが国における森林教育研究の成果の整理・分析を(財)林業経済研究所発行の『林業経済』誌掲載の論文群を対象に行い,以下の結果を得た。(1)大学教育に偏倚して展開されてきたが近年の傾向としては一般市民に対する教育も次第に研究対象として認識され始めた,(2)森林教育の本質について論究する論文はほとんど見られず,時々の教育の現状に関する論文が主体的であった,こと等が明らかになった。
  • 遠藤 日雄
    原稿種別: コメント
    1999 年 45 巻 1 号 p. 145-146
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1999 年 45 巻 1 号 p. Cover3-
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1999 年 45 巻 1 号 p. Cover4-
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
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