林業経済研究
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62 巻, 3 号
林業経済研究
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 2016 年 62 巻 3 号 p. Cover_1
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
  • 2016 年 62 巻 3 号 p. Toc_1
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
  • 岩手県盛岡市を対象として
    泉 桂子
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 3 号 p. 1-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    本研究は盛岡市を対象とし,大型小売店で消費者が実際に手に取れるFSC製品のカテゴリーと製品数を明らかにした。製品総数25,868点,FSC製品大分類で26分類相当の商品を2014年11月~2015年3月にかけて店頭で確認した。まず第1に,FSCロゴあり製品の存在した製品大分類はエンジニアウッド・家事用品・木製文房具・紙・紙製文房具・印刷物の6分類あった。その6分類中の製品総数19,875点のうち,FSCロゴあり製品は192製品,製品総数の1.0%であった。これら製品のライセンスコードは20で,うち有効なものが90%を占めた。次に,FSCロゴあり製品の生産地は国内が46.1%,外国が53.9%であった。第3に,製品に付けられたFSCロゴは表示面の面積比5.7%以下であり,ロゴの表示色はモノトーンが74.7%であった。製品そのものでなく包装にFSCロゴを表示している製品が全体の73.6%を占めた。FSCロゴあり製品を消費者に知らせる店舗側のディスプレイはなかった。最後に,FSC製品とその代替品との間に明確な価格プレミアムは観察できなかった。
  • 2013年「林業経営統計調査報告」分析
    根津 基和
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 3 号 p. 13-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    本稿は,2013年「林業経営統計調査報告」を分析し,農民的林業(農家林家)論の視点から考察することを目的とする。その背景は,一方では林業解体から山村解体という厳しい状況にありながら,他方において自伐林家論の登場や,中小規模林業層では固定資本を形成し,家族労働力投下,農林複合的補完で活動していることがあげられる。本稿の意義は,解体論と農民的林業(農家林家)論との統合的視座の確立にある。分析手法は,マルクス経済学の労働価値説に基づき,2013年「林業経営統計調査報告」を中心として不変資本(c),可変資本(v),計算上の剰余価値(m)に分割し,経時的・共時的に分析を行った。その結果,林業解体から山村解体,山村解体の深化へと進行していると考えられる。しかし,中小規模経営層には家族労働賃金評価額(v2)に展望が見られる。また,500ha以上経営層には凋落が見受けられることを見出した。そこに,農民的林業の展望の余地がある。地帯構成分析からは,関東・東山に2013年において経営状態に改善が見られた他,西日本型の地帯構成優位の性格が見てとれた。特に後者は,西日本の自伐林業が盛んである下地とも考えられる。
  • 在村者・不在村者の間伐に着目した分析
    片野 洋平
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 3 号 p. 21-30
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,過疎地域において人々がスギ・ヒノキなどの人工林を適切に間伐する行為に着目し,過疎地域の自治体に人工林を所有する在村者と不在村者それぞれの人工林の管理行動を規定する要因を明らかにすることを目的とする。本研究は,人工林管理行動のうち,特に人工林を管理しない人々の行動に着目し,その規定因を明らかにした。鳥取県日南町の在村者,不在村者から得たデータを用い,それぞれに対し回帰分析を行った。分析の結果,第一に,「人工林面積」および「森林の場所に対する認知」,第二に,在村者の「登記」,第三に,不在村者の「教育歴」 ,「地元地域との交流」,「森林との距離」が人工林非管理行動に影響を与えている可能性を明らかにした。本研究により,人工林非管理行動に対する経済的要因と場所への認知に対する要因の重要性を確認すると共に,在村者と不在村者では異なる要因が同行動に対し影響を与える可能性を確認した。過疎自治体や森林組合は,一方では,在村者,不在村者双方に対して同一の要因からなる施策を講じ,他方で,在村者,不在村者それぞれに応じた施策を行うことによって,人々の森林管理に影響を与える可能性を示唆する。
  • 水野 広祐
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 3 号 p. 31-41
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    本稿は,今日のジャワ島で見られる森林化が,主として住民の所有する土地で生じていることを明らかにした。本稿は,2012年に実施した社会経済調査に基づいて住民による所有地や借地における植林を論じた。調査は,これまでの政府による植林事業の重点的対象地域ではない,歴史的に甘蔗・稲作地帯であったジャワ島北海岸平野部において実施した。本調査から,平野部においても樹木の植栽があり,市場向けの用材樹木が,農地においても屋敷地においても植栽されているが,植栽本数が多くなると屋敷地ではなく農地に植裁される割合が増えることを明らかにした。さらに上層農民のみならず農地を所有しない世帯も,所有する屋敷地や借地に植裁していること,および第一の職業が非農業部門職種である者も多く植栽していることを明らかにした。そしてこれらの用材樹木は,特にセンゴン(Sengon, Praserianthes falcataria)において世帯当たりの植栽本数が多く,また樹齢が高くない点で,屋敷地に植えられている多目的樹種と異なることを明らかにした。ただし,多目的樹種も多くの本数が植栽される場合があり,屋敷地以外の農地に植栽される例も増えている。用材樹種や多目的樹樹種の植裁は,農業と非農業をまたぐ住民の生存・投資戦略の中で有力な選択肢になっていることを明らかにした。
  • 大田 伊久雄, 鎌倉 真澄
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 3 号 p. 42-48
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    我が国において森林認証制度の普及はあまり進んでいないが,その原因として川下側では認証制度の認知度が低位であること,川上側では認証製品への価格プレミアムがないために認証取得のメリットが感じられないことが考えられる。そこで本研究では,消費者を対象としたアンケートと認証木材製品の販売実験により,価格プレミアムの存在可能性を検証した。アンケートはインターネットを用いて行い,20代から60代までの432人から回答を得た。その結果,森林認証制度を知らなかった人は全体の8割を超えたが,制度の解説をした後に認証製品に対する上乗せ価格の許容限度を尋ねたところ,5%までが24.1%,10%までが13.4%など合計で44.9%の人が上乗せ額を許容すると回答した。また,インターネットショップにおいてヒノキまな板の認証製品と非認証製品を同時に販売する実験を行ったところ,認証製品価格を10%高くしたときは10.1%,5%では28.0%の購入者が認証製品を選んだ。アンケート結果と販売実験結果は直接的に相関するものではないが,販売実験の結果からは価格プレミアムの存在が実証された。
  • 花本 沙希, 立花 敏
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 3 号 p. 49-58
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    国産材利用の拡大に向けて木造住宅をどのような消費者が選択するかを改めて把握する必要がある。大手住宅メーカーも木造住宅商品を扱うが,未だに木造住宅の供給には中小工務店が重要な位置を占める。本研究では,1980年頃より産直住宅供給業に取り組む中規模工務店を対象に聞き取り調査とアンケート調査を行い,産直住宅を選択した消費者の属性と拘りを明らかにすることを目的にした。方法としては,岐阜県加子母のN工務店で2007~2014年に木造住宅を新築した消費者61名からのアンケート調査結果をもとに,クラメールの連関係数を用いた相関分析と重回帰分析を用いて消費者の地域による差および住宅価格と消費者属性の差を分析した。アンケート調査結果として,①中部地域では土地所有があり世帯年収が高くない層による選択が多い,②関西地域では土地購入が多く平均的な広さの住宅を選択する,③関東地域では世帯年収の高い50歳代が多く高価な住宅を選択する傾向がある,④住宅については複数の拘りがあるが,住宅メーカーについての拘りは少ないことがわかった。重回帰分析からは⑤世帯年収1,500万円以上の消費者は建築する住宅価格が高くなることが明らかになった。
  • 中国・湖南省隆回県雨山鎮における事例研究
    袁 テイテイ, 百村 帝彦
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 3 号 p. 59-67
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    中国では,1950年代に土地所有権を国家と集団に限定する社会主義公有制が完成し,集団所有林制度が確立された。しかし林権(1)が明確でないなどの課題があり,集団所有林の使用権と林木の所有権を明確にする集団林権制度改革などが実施された。集団所有林に対しては,これら一連の権利確定政策に加え,個別の森林政策が重複して実施されることがあったが,それぞれの影響や相互の関係性に焦点を当てた事例研究は非常に限られている。本研究は,集団所有林の権利確定政策を含めた諸政策が実施された湖南省隆回県雨山鎮の3村落を対象に,これら政策実施による林業経営の実態や農家への影響を明らかにすることを目的とした。対象村では,生態公益林に指定されたために林権証が村民小組に移譲されたが,その事実を農家は認識をしておらず,集団所有林が利用規制のある生態公益林に設定さていたことも知らされていなかった。森林政策の運用には,地方行政,村の幹部,農家と3つのアクターが関与しているが,地方行政は村の幹部に大きく依存した形で政策を運用していた。農家への不利益を防ぐためにも,末端農家に情報が伝達する形で政策を実施されることが望ましい。
  • 木村 憲一郎
    原稿種別: 短報
    2016 年 62 巻 3 号 p. 68-77
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
    東日本大震災が福島県相双地方の林業・木材産業に与えた影響と復興過程における森林・林業行政の取り組みを明らかにした。結果,相双地方では原発事故に伴う避難指示区域の設定の影響で,震災からの1年間で林業生産活動が急激に低下した。復興過程では3つの対策が重点化された。森林の再生対策では,ふくしま森林再生事業が事業化され,企画立案や市町村支援は県が主導した。木材の生産振興対策では,県産材表面線量確認調査が企画され,県は定期的に製材工場を訪問して安全性を確認したほか,需要拡大に取り組んだ。きのこ類の生産振興対策では,県は緊急時環境放射線モニタリング検査を踏まえた生産指導を行った。諸施策が実現・機能した背景には県の関わりがあった。相双地方の林業・木材産業は震災前の状況に戻っていないが回復の兆しがみられた。今後の課題として,林業に関わる労働者の不足が指摘された。
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