林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
66 巻, 1 号
林業経済研究
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 2020 年 66 巻 1 号 p. Cover_1
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
  • 2020 年 66 巻 1 号 p. Toc_1
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
  • 島本 美保子
    2020 年 66 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
  • 鮫島 弘光
    原稿種別: 論文
    2020 年 66 巻 1 号 p. 8-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
    世界的に木材原料の天然林資源から人工林資源への移行が進行している。そのプロセスを理解するため,天然林コンセッションの資源が減少し,人工林コンセッション,土地転換材,住民林業からの木材生産が増大するインドネシアにおいて,国内の木材と木材製品の主要な生産地,また両者の関係がどのように変化したのかを分析した。インドネシアでは,1990年代までは主にカリマンタン,スマトラの天然林コンセッションで木材生産が行われ,域内で合板や製材品が生産されていた。2000年代以降,スマトラにおけるパルプ・チップ生産がインドネシアで最も木材を消費する木材製品製造業となり,原料は主にスマトラの人工林コンセッションからの木材が使われているが,他の地域の人工林コンセッションからの木材や,スマトラにおける住民林業によって生産された木材も使用されていると推定された。合板・製材品の生産の中心はジャワに移動し,ジャワの住民林業がその最大の資源供給源となるとともに,カリマンタンの天然林コンセッションの木材も使われている。カリマンタンでは天然林コンセッションの木材を主な原料とする合板生産が維持されているが,一部人工林コンセッションからの木材も使用されていると推定された。
  • 葉山 アツコ
    原稿種別: 論文
    2020 年 66 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
    1950年代から1970年代までフィリピンは,世界の主要丸太生産国,輸出国であったが,近年の国内木材生産量は拡大する木材需要に応えることができずにいる。2011年の全面的天然林伐採禁止令によって採取的林業に終止符を打ったが,国有林地における育成的林業への展開は不発である。管理主体である国有林管理コミュニティ及び産業造林契約者ともに木材生産者になり得ていない。木材需要に応えているのは,国有林地管理主体に比べて相対的に規制の緩い私有地における人工林造成者である。国有林地における育成的林業展開の不発は,戦後の採取的林業が国家アクターによるレント・シーキングと深く結びついたことに関連している。マルコス失脚後に誕生したアキノ政権以降,森林・林業行政における「非マルコス化」が進んだ。その一つが周辺化されていた住民,コミュニティを新たな国有林地管理主体に据えたことであり,伐採権と密接に繋がっていた木材産業の放置であった。木材産業の衰退は,国有林地管理主体による人工林造成への投資意欲を阻害している。マルコスによる採取的林業の私物化への反動が,結果として国有林地における育成的林業の展開を不発にさせた。
  • 岩永 青史
    原稿種別: 論文
    2020 年 66 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
    ベトナムの資源政策は,東南アジア諸国の中では最も包括的に取り組まれていると言える。本稿では,その実施過程を 明らかにするとともに,それら資源政策を実現に導いた森林資源戦略の背景を考察した。そのために,ベトナムの資源 政策を,森林の動態と保護,木材加工産業における原料消費,木材の合法性と持続性という3つの視点から分析した。 その結果,人工林資源を拡大した上で天然林伐採禁止や丸太輸出禁止を行ったという政策実施の妥当性や,国際市場に復帰するタイミングの良さ,そして人工林材に適した製品を国際市場に供給したことといった特徴を明らかにした。こ れらを可能としたのは,社会主義と市場経済が混合したベトナムの政治経済体制が,公共性と経済性を併せ持つ森林・ 林業に関連する課題解決に適していたからであると考えられた。
  • 東急池上線戸越銀座駅木造駅舎改修事業の事例
    森井 拓哉, 長坂 健司, 井上 雅文
    原稿種別: 論文
    2020 年 66 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
    多摩産材の利用による地域経済への影響を把握するため,多摩産材を利用した東急池上線戸越銀座駅木造駅舎改修事業による経済波及効果を推計した。東急電鉄担当者からの聞き取りおよび現地調査により,最終需要額は1,297万円となった。本事業で利用された多摩産材の多くは福島県で集成材加工されていることから,東京都,福島県,その他45道府県からなる3地域間産業連関表を作成し分析を行ったところ,生産誘発額は3,027万円(東京都1,013万円,福島県1,262万円,他752万円),粗付加価値誘発額は1,468万円(東京都596万円,福島県514万円,他358万円)となった。また,産業部門別の雇用誘発数は,福島県木材産業部門0.75人,東京都林業部門0.66人となった。本事業における多摩産材利用によって,東京都内で生じた経済波及効果の2倍近くが,東京都外で生じたことが明らかになった。さらなる木材利用の拡大と,それを目的とした施策の検討のためには,東京都による木材利用推進施策が全国の経済活性化に貢献している点を評価する必要がある。地域材利用の評価は,サプライチェーンに基づいた分析枠組みで行うことが重要である。
  • 全国市町村に対するアンケート調査から
    鈴木 春彦, 柿澤 宏昭, 枚田 邦宏, 田村 典江
    原稿種別: 論文
    2020 年 66 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
    2018年度に実施した,市町村の林務担当職員を対象としたアンケート調査(回収数615通)結果を用いて,市町村森林行政の現状と今後の動向について論じた。多くの市町村では,林務担当体制は小規模で,専門性を持たない職員が他業務を兼務しながら担っている実態が確認された。近年の地方分権化に対する受け止めは,負担が増えて迷惑などの消極的な意見が多く,約半数の市町村は林務担当体制の強化を検討していると答えた。森林環境譲与税に対しては,歓迎する意見と消極的な意見に市町村の意見は分かれた。一方で,独自の計画等の策定や常設の委員会等の設置の動きが広がっており,政策や体制という点で市町村林政に変化の兆しが見られる。しかし当面は市町村の脆弱な体制は続くことから,人材育成も含めた市町村の体制づくりに森林政策の焦点を当てることが重要性である。
  • 国立公園の協働型管理に着目して
    矢作 郁瑠, 三木 敦朗
    原稿種別: 論文
    2020 年 66 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/09
    ジャーナル フリー
    環境省は2014年,国立公園において,行政や事業体・住民など多様な利害関係者の参画・協議によって管理方針を決定する協働型管理体制の構築を推進する方針を示した。この典型である中部山岳国立公園上高地地域では同年に,方針に沿う形での中長期的な地域管理方針「上高地ビジョン2014」が策定された。本稿では,上高地の地域自然資源管理の合意形成過程を分析し,意思決定に関わる地域コミュニティの構造を明らかにした。結果は以下の通りである。上高地の協働型管理体制は,重層的な合意形成過程をもっている。意思決定は,行政主導と地元住民主導の2つのフォーマルな場で行われており,両者が並行して機能している。一方その下層では,地域美化団体が順応的でインフォーマルな合意形成の場として機能している。これらの重層性が合意形成を円滑にしている。また,地域自然資源管理に関わる様々なコンフリクトを調整してきた歴史があり,この経験が,関係者の利害調整への関与を促し,より広範な関係者間での意見調整を可能にする素地となったと考えられる。
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