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島田 誠, 岡垣 竜吾, 加藤 久美子, 古山 将康, 高橋 悟, 竹村 昌彦, 成本 一隆, 古谷 健一, 水沼 英樹
2015 年 12 巻 1 号 p.
5-7
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
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明樂 重夫
2015 年 12 巻 1 号 p.
8-12
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
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金城 真実, 藤崎 章子, 嘉村 康邦
2015 年 12 巻 1 号 p.
13-14
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
TVM手術における仙棘靱帯への穿刺は、盲目的操作を要することなどからその手技の取得にはハンズオントレーニングが必須とされる。一方婦人科領域で行われていた仙棘靱帯子宮固定術は直接仙棘靱帯を目視し、これを子宮頚部と運針し拳上する術式である。この術式を応用し、仙棘靱帯を直接目視し穿刺する方法をTVM手術に応用した。方法は通常の後壁アプローチと同様に仙棘靱帯前面を直視できるように剥離しこれを触知、コリン式腟鏡にて視野を確保する。直視下にアリス鉗子にて仙棘靱帯を把持し、2号エチロン糸でループを作成したデシャン動脈瘤針で仙棘靱帯を貫通させる。動脈瘤針の先端のループ糸をマルチン単鉤にて引抜き、このループに予め作成したメッシュアームをかけ、創外に導出する。上記の方法を用いることにより、直視下に仙棘靱帯を確認でき、安全で有効な方法と思われた。
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加藤 俊, 村山 結美, 船内 祐樹
2015 年 12 巻 1 号 p.
15-18
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
TVM手術の際にA-TVMに組み合わせる術式として、P-TVMと後腟壁形成術(PC)を比較検討した。2011年7月以降に実施した子宮温存TVM手術72例を対象とし、AP-TVM55例(AP群)とA-TVM+PC17例(PC群)の2群で比較した。PC群は手術時間が短く出血量も少ない傾向がみられ、両群間に頚部挙上効果の差はみられなかった。術前後の排便症状の変化では、AP群で便秘増悪が多い傾向があり頻便・残便感の改善率も低かったのに対し、PC群では頻便・残便感の改善率が高く増悪は殆どみられなかった。P-TVMでは子宮頚部を牽引挙上するアームの張力過剰による排便異常に注意が必要である。PCは腟管軸と子宮長軸の角度の是正により骨盤底の適切な位置関係を復元すると考えられる。手技が容易で低侵襲かつ非メッシュ手術であるPCは効果や術後合併症の観点からもP-TVMより選択しやすい術式である。
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(第16回日本女性骨盤底医学会発表内容)
永田 一郎, 佐久間 洋, 羽生 真由子, 岡垣 竜吾
2015 年 12 巻 1 号 p.
19-26
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
2006年8月以降、Prolift型TVMをPOP手術の主柱に据えてきたが、2008年と2011年の米国FDAの経腟メッシュ手術に関する警告を受けて、従来のnative tissue repair(腟・仙骨子宮靭帯固定術)、腟閉鎖術、腹式仙骨腟固定術を症例に応じて取り入れた。今回、この間のPOP手術の術後成績を検討した。術後の腟の所見はPOP-Q値で表し、術後腟壁各部位の再発状況はKaplan-Meier曲線で比較した。その結果、TVMは従来法と同様のパターンで前腟壁がある程度まで下垂する傾向を認めた。しかし再手術率、合併症発生状況はFDAが懸念するほどでなく、TVMは今後もPOP手術の主軸にできると思われた。一方、従来法が最適の病型もあり、年齢や性活動の有無によっては腟閉鎖術、腹式仙骨腟固定術も有用であるが、後二者には手術時間と出血量に改善の余地を認めた。今後は術式の個別化が重要な課題と考え、その試案をフローチャートにしてみた。最後にLevelⅠ修復の改善をはかるために2年前から取り入れているElevate型TVMを示した。
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橘田 岳也, 三井 貴彦, 菅野 由岐子, 千葉 博基, 守屋 仁彦, 篠原 信雄
2015 年 12 巻 1 号 p.
27-28
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
【目的】骨盤臓器脱に対するポリプロピレンメッシュを用いた再建術におけるメッシュびらんを来した症例について検討を行った。
【方法】当科において骨盤臓器脱手術を行い、2年以上外来経過観察を行っている症例のうちmeshびらんを来した症例を、後方視的に検討した。
【結果】4例にメッシュびらんが発生していた。びらん側はa-TVM症例において前壁側、他の3例は後壁側であった。IUGAによる合併症分類では4例中3例が2AT3S1に相当し1例が3CT3S1であった。全例に局所エストロゲン療法を施行したが、3C症例はメッシュ摘出に至った。
【結論】メッシュびらんの治療は、当科で施行した局所エストロゲン療法、経口抗生剤投与、さらには局所安静による改善例の報告が見られる。しかしながらCategory 3Cに至る症例の保存的治療は困難であり今回の症例のように外科的治療を要すると考えられた。
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木村 俊夫
2015 年 12 巻 1 号 p.
29-33
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
骨盤臓器脱に対する経腟メッシュ手術TVM(tension-free vaginal mesh)でのメッシュ露出のリスク因子を検討した。TVM242例(前膣壁には225例、後膣壁には125例メッシュ使用)でのメッシュ露出は7例(2.9%)に認め、前膣壁では3例(1.3%)、後膣壁では4例(3.2%)で後膣壁に多い傾向にあった。メッシュ露出のリスク因子として、年齢、BMI、分娩回数、下垂度(Ba C Bp)、出血量、術後血腫の有無、性交の有無について検討したが、年齢(若年に多い)、出血量(出血100以上)、血腫形成、性交ありでメッシュ露出が有意に多かった。これらリスク因子の多くは手術に熟練すれば回避可能なものであるため、手術時期に関しても検討したところ、メッシュ露出は全例が前期(特に手術開始後1年以内がほとんど)に認めた。これらより、TVMではブラインド操作が必要ではあるが、解剖に熟知し、適切な手技を安定して行うことが、メッシュ露出の予防に最も重要と考える。
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―後腟壁メッシュがもたらす二次的合併症の危険性―
上村 吉穂, 一松 啓介, 江川 雅之, 野島 俊二, 田畑 敏
2015 年 12 巻 1 号 p.
34-37
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
【緒言】直腸病変を治療する際、後腟壁にメッシュが存在するために、様々な問題が起こる危険性がある。当院では、後腟壁にメッシュを挿入予定の症例に対し、術前に大腸内視鏡検査を施行している。大腸内視鏡検査で認めた異常所見、及び後腟壁メッシュが弊害になり得た2症例を報告する。
【対象と方法】当院で行ったTVM手術症例のうち、後腟壁にメッシュを挿入し、術前に大腸内視鏡検査を行った120例を対象とした。
【結果】37例に異常所見を認め、ポリープを21例(S状結腸8例、直腸8例、その他5例)に認めた。症例を提示する。症例1:70歳代女性。TVM術後に直腸ポリープを切除中、直腸穿孔を来たし穿孔部位にメッシュが露出。クリッピングで穿孔部位を閉鎖した。症例2:70歳代女性。TVM術後の排便障害に対して、大腸内視鏡検査を施行。術前の内視鏡検査では認めなかった早期直腸癌を認め、経肛門的直腸腫瘍切除が施行された。
【結語】後腟壁にメッシュを挿入する術式を選択する際、メッシュの存在が直腸病変に対する手術の合併症リスクを増加させうることを考慮すべきである。
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中田 真木, 上島 千春, 小島 俊行
2015 年 12 巻 1 号 p.
38-44
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
POPをTVM手術で整復すると、子宮の下垂脱出が残ることがある。今回我々は、TVM-AP後の子宮脱出に子宮頸部切断を行った後にも整復に至らなかった症例を引き継いだ。本症例は74歳2経産、子宮脱・膀胱瘤により5年前に手術治療を受けたが子宮は脱出したままになり前腟と後腟からメッシュが露出した。3年後に頸部切断とメッシュトリミングが追加されたが、依然として整復に至らずメッシュの露出も残存した。当科初診時、膀胱瘤を主体とするステージIIIのPOP、前腟と後腟に複数箇所のメッシュ露出を認め、腟周りの疼痛と排尿障害、尿失禁を抱えていた。当科手術は一期的に行い、膀胱腟中隔と直腸腟中隔からメッシュを除去、残存する子宮体部を摘出、前腟区画に中部尿道と膀胱底の支持を補強するスリングを配置、仙棘靭帯腟尖端固定処置を併用して整復した。術後経過には特筆すべき問題が起こらず、骨盤臓器のアライメントは正常化、局所の疼痛と排尿障害は解消され、蓄尿障害も大幅に改善された。
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寺本 咲子, 成島 雅博, 小嶋 一平, 高木 康治, 下地 敏雄
2015 年 12 巻 1 号 p.
45-47
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
(目的)Elevate型TVM手術の初期成績と問題点について検討した。(対象と方法)当科で骨盤臓器脱に対してElevate型TVM手術を行った74例を対象とした。前腟壁を縦切開し膀胱側腔を剥離後、第1穿刺は閉鎖孔を穿刺、第二穿刺は臀部より仙棘靭帯を穿刺した。メッシュアームは穿刺ルートを貫通させて固定、メッシュ近位端は子宮頚部に、遠位端は膀胱頚部の腟壁に非吸収糸で縫合固定した。(結果)手術時間(中央値)は73分、出血量(中央値)は35mlで、200ml以上の出血を2例(2.6%)に認めたが、いずれも輸血は施行しなかった。術後排尿困難を5例(6.6%)に認め、うち2例にメッシュ緩め術を行った。術後再発は一例も認めなかった。(考察)短期間で症例数は少ないもののElevate型TVM手術は比較的短時間で施行可能であった。一方深い術野での剥離・穿刺にコツが必要なこと、メッシュの過テンションによる排尿困難が起こりやすいことなどから、やや難易度の高い術式であると考えられた。
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新井 隆司, 野村 昌良, 藤本 英典, 小田 瑞, 酒井 直美, 池田 洋
2015 年 12 巻 1 号 p.
48-53
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
当院でのElevate型A-TVMとProlift型A-TVM及びProlift型AP-TVMの術前後のPelvic Floor Distress Inventory-20(以下PFDI-20)の成績を比較した。排便の症状を示すCARDI-8ではElevate型A-TVMは8項目中4項目が改善、Prolift型A-TVMは2項目の改善、Prolift型AP-TVMは5項目が改善した。
以前、我々はElevate型A-TVMは後壁メッシュを留置しないにも関わらず、排便に関する症状を示すCARDI-8で有意な改善を示す点が注目すべき点と報告した1)。今回はProlift型A-TVM及びAP-TVMと比較することにより、実際にElevate型A-TVMがProlift型AP-TVMにほぼ匹敵する排便に関する症状の改善を示す事が判明した。
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加勢 宏明, 大島 彩恵子, 市川 希, 森 裕太郎, 横田 有紀, 古俣 大, 本多 啓輔, 加藤 政美
2015 年 12 巻 1 号 p.
54-57
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
「緒言」当院ではメッシュ露出防止対策として、原則として後腟壁にメッシュを置かないElevate型TVM手術を2013年12月より導入した。「対象・方法」Elevate型TVM手術はstage II以上の骨盤臓器脱を対象とした。直腸瘤が有る場合には、stage I相当では後膣壁形成をおこない、stage II相当では従来通りに後壁メッシュ留置を施行した。これを従来まで施行していたProlift型TVM手術の直近100例と比較検討した。「結果」2014年8月までに、Elevate型TVM手術を45例に施行しており、膀胱瘤主体27例、子宮脱主体17例、直腸瘤主体1例であった。同時に後腟壁形成を施行したものは5例あり、後壁にメッシュを留置したものは4例であった。尿失禁手術を21例に併施した。TVM手術単独で施行した症例で比較したところ、Prolift型TVM手術72例での手術時間81.4±20.0分に対し、Elevate型TVM手術19例では62.3±14.8分と、手術時間短縮の傾向がみられた(p=0.051)。出血量に差はなかった。術後発熱、CRP値、鎮痛剤使用回数に差はなかった。「結論」Elevate型TVM手術は短時間で施行でき、周術期に問題はみられていない。長期予後に関しては今後の検討である。
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関口 由紀, 中村 綾子, 前田 佳子, 榎本 香織, 藤崎 章子, 矢尾 正祐
2015 年 12 巻 1 号 p.
58-59
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
Type1ポリプロピレンメッシュテープを使用したニュータイプのTFSによる局所麻酔で行う日帰り骨盤臓器脱手術の2年目の成績は88%であり、さらに再発例の60%は6ヶ月から1年後の再手術で治癒した。さらに膣壁ビランは、ほとんど発生しないことが示唆された。TFSによる静脈麻酔併用局所麻酔で行う日帰り骨盤臓器脱手術は、高齢者にも施行できる安全な手術であることが示唆された。
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加藤 稚佳子, 鍬田 知子, 栗林 正人, 田谷 正樹, 成本 一隆, 竹山 政美
2015 年 12 巻 1 号 p.
60-64
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
骨盤底筋体操は腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱に対して重要な治療のひとつである。履いていると日常動作程度で骨盤底筋体操効果が期待できるガードルを腹圧性尿失禁患者に対して使用し改善効果の検討を行った。対象は20歳から70歳の同意が得られた40人である。
平均使用時間は1日10時間、使用時間帯の平均歩行数は6537歩であった。使用前と使用終了時の比較では筋電位測定値、パッドテストの失禁量、ICIQ-SFが有意に改善していた。満足度では「満足」、「やや満足」72%であった。使用終了3ヶ月後ではパッドテストが増加傾向にあったが、筋電位測定値やICIQ-SFの値に変化を認めなかった。
腹圧性尿失禁患者に対し、骨盤底筋トレーニングガードルは一定の効果が得られ、患者満足度も高かった。また効果は使用終了3ヶ月後も持続していた。以上より骨盤底筋体操を指導する時の一つの器具として有用性が示唆された。
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栗林 正人, 田谷 正樹, 鍬田 知子, 竹山 政美, 加藤 稚佳子, 成本 一隆
2015 年 12 巻 1 号 p.
65-69
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
当院において、術後3ヶ月以上の経過観察が可能であった中部尿道スリング手術300例(TVT 197例、TOT 103例)の治療成績を報告した。TOTはオーソドックスなoutside-in方式で施行し、TVTは膀胱損傷などの合併症を回避するためabdominal approachで施行した。重篤な合併症は認めず、膀胱損傷が各1例と骨盤内血腫がTVT群に2例生じたのみであった。主観的評価ではTVT群で有意に術後尿禁制率が高く、合併症の頻度も諸家の報告と比較して低かったことから、安全性を必要以上に強調してTOTを選択するのではなく、重症度や患者の体格,希望などに応じて使い分けられるよう、両術式に習熟するのが望ましいと考えられた。
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~シングルメッシュからダブルメッシュへ~
岸 郁子, 五十畑 葵, 西山 紘子, 河西 明代, 弟子丸 亮太, 亀井 清, 中村 聡
2015 年 12 巻 1 号 p.
70-74
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
比較的若年で子宮温存希望・性機能温存希望の症例3症例と再発脱症例2症例に対して腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を導入した。5症例のうち、4例にシングルメッシュ、1例には子宮温存の上、ダブルメッシュを使用した。TVM術後再発の症例が術後21ヶ月でstageⅢとなり再発したが、その他の4例はやや下垂傾向の部位はあるものの自覚症状はなく経過良好である。前壁主体のPOP症例を含め、ダブルメッシュはレベルⅠだけでなくレベルⅡの補強にも有効と思われる。子宮温存のLSCは摘出物もなく、腟からの操作もないため、最も自然に近い形で骨盤底を再建できる術式と考えられ、今後もニーズが高まっていく可能性が示唆された。
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佐々木 ひと美, 河合 昭浩, 伊藤 正浩, 彦坂 和信, 竹中 政史, 引地 克, 深谷 孝介, 飴本 剛之介, 深見 直彦, 日下 守, ...
2015 年 12 巻 1 号 p.
75-78
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
仙骨膣断端固定術は経膣的骨盤底形成術と比較してメッシュによる合併症が少なく本邦でも2014年から腹腔鏡下手術が保険適応となったことから各施設における手術件数が増加している。当院では2013年からロボット支援下での仙骨膣断端固定術を開始した。術後1年以上を経過したロボット支援仙骨膣断端固定術4例を報告する。症例:4症例の年齢は59歳から70歳(平均年齢:64.5歳)、既往歴として2例で子宮摘出術を施行されていた。いずれもPOPIIIの骨盤臓器脱を認めた。子宮摘出後の2例では膣断端仙骨固定術のみを行い、1例は膣上部切断にて子宮を摘出、他1例は膣上部切除および両側付属器切除を施行、その後膣断端仙骨固定術を施行した。結果:コンソール時間はそれぞれ180分、162分、200分、240分で出血量は平均28mlであった。4例とも術後経過は良好であり5PODに膀胱造影を施行、平均在院期間は術後8日間であった。術前後に施行したQOL調査では5点から1点に改善、尿失禁を認めた1例は術後1年目にTVTを施行した。結語:daVinci Si サージカルシステムを用いた腹腔鏡下膣断端仙骨固定術は良性疾患に対するロボット手術適応拡大が期待できる術式と思われる。
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安倍 弘和, 范 博, 石井 雅子, 久野 ひろか, 越智 敦彦, 鈴木 康一郎, 志賀 直樹
2015 年 12 巻 1 号 p.
79-80
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
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成島 雅博, 寺本 咲子, 小嶋 一平, 高木 康治, 下地 敏雄
2015 年 12 巻 1 号 p.
81-84
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
当院では2012年12月から2014年5月までに33例の骨盤臓器脱患者に腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy:LSC)を施行した。年齢は59.6±8.9(39~76)歳、BMR 23.1±2.0(19.5~29.2)、POP-Q stageはⅢが22例、Ⅳが11例。29例がdouble meshes、2例が前壁メッシュのみ挿入した。2例の子宮温存と3例の腟断端脱以外は子宮亜全摘術を併用した。当院の工夫として、膀胱と前腟壁間を剥離運針操作する際、6cm直針付2-0プロリン糸で膀胱の左右を腹側に吊り上げワーキングスペースを確保する。
総手術時間は338±61(243~504)分、出血55±89(1~450)ml、周術期合併症は腟壁損傷と膀胱損傷が各1例、軽度水腎症が1例だった。POP-Q stage 2以上の術後再発率は3.0%(1/33例)F/U期間197±130(34~442)日であった。
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谷村 悟, 炭谷 崇義, 飴谷 由佳, 舟本 寛, 舌野 靖, 田中 友理, 野村 学史, 細野 隆, 武田 哲, 中島 正雄, 南 里恵, ...
2015 年 12 巻 1 号 p.
85-88
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)において椎体の剥離同定の際にはL5-S1で最も傾斜をなすライン(edge of cliff: EOC)がランドマークとして重要である。MRIでEOCについて検討したところ、典型例である岬角と一致した例は60%にすぎず、他の多くは椎間板であった。変位は椎間板の変性による椎間板隆起、骨棘、椎体の辷りが原因であった。LSCの際にはランドマークが変位しうることに注意すべきである。またヘルニアのように著しい椎間板変性例では椎間板が炎症・軟化しており、縫合部位を変更したほうがよいと考えられた。
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江川 雅之, 上村 吉穂, 一松 啓介, 野島 俊二, 田畑 敏
2015 年 12 巻 1 号 p.
89-94
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
2011年米国食品医薬品局による腟式メッシュ手術に対する警告が発せられて以降、骨盤臓器脱手術のGold Standardと呼ばれていた仙骨膣固定術が、再度見直されている。本術式を腹腔鏡下に行うことで、腹式メッシュの安全性および脱修復の確実性に低侵襲性が加わり、近年本邦でも徐々に普及しつつある。当科では2013年6月に腹腔鏡下仙骨膣固定術を開始し、2014年5月迄に、23例に対して施行した。短期間ではあるが、客観的評価(POP-Q system、chain CG、排便造影)にて再発は1例(4.4%)のみであった。腹腔鏡下仙骨膣固定術は、経膣メッシュ手術と異なり盲目的操作がないため、安全で確実性が高い。そのため、解剖学的な修復効果が強いと思われる。手術時間が長い欠点があるが、いずれ解決できると考えている。
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-腟断端仙骨子宮靱帯固定術-
西村 和朗, 吉村 和晃, 蜂須賀 徹
2015 年 12 巻 1 号 p.
95-100
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
【目的】骨盤臓器脱(POP)手術の原則は、骨盤底損傷部位を正確に診断し修復するsite specific repair である。当院で施行する腟管支持機構LevelⅠ損傷に対する腹腔鏡下仙骨子宮靭帯固定術(Shull法)の有用性を報告する。
【方法】2013年9月~2015年3月で、本術式を102例施行した。まず子宮摘出前に腹腔鏡下で仙骨子宮靭帯と尿管、骨盤神経叢を同定剥離する。子宮摘出術後に、腟断端を左右仙骨子宮靭帯にShull法で縫合固定し、最後にダグラス窩を閉鎖する。
【結果】平均年齢67才、手術時間中央値110分、出血量中央値30ml。合併症は神経因性膀胱が3例(3%)、膀胱損傷・皮下気腫が各1例(1%)、術後SUIが8例(8%)。全体の再発は10/102例であった。子宮脱の再発は0/25例、膀胱瘤合併例は6/66例、完全性器脱例では4/9例と、LevelⅠの補強に関して良い傾向があった。
【結論】可視化による臓器や神経、尿管損傷の回避、確実な断端挙上効果が得られ、メッシュを使用しないnon-mesh手術として、本術式はLevelⅠ損傷によるPOPの標準術式の一つになると考える。
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堀江 延和, 森下 真一, 蔭山 充, 古山 将康
2015 年 12 巻 1 号 p.
101-106
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
過活動膀胱に特異的なスコアである過活動膀胱症状質問表OABSSとQOL質問表であるOAB-qを用いて漢方薬(猪苓湯エキス)の有効性を女性患者について検討した。
対象は漢方治療を希望した女性21例。症状スコアOABSSの合計点数は、開始前と比較して4週後に有意に改善した(p<0.01)。QOLスコアOAB-qは「困った程度」と「QOL総スコア」のいずれも有意に改善した(いずれもp<0.05)。女性の過活動膀胱に対して猪苓湯エキスは症状だけでなく、QOLの改善にも有用であることが示された。OABの女性患者はQOLが低下しているにもかかわらず、医療機関への受診率は極めて低い。初期治療として積極的に漢方薬(猪苓湯エキス)を用いることが、受診率向上にも繋がるのではないかと考える。
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小林 英樹, 羽根 田破, 大竹 裕子, 吉良 聡, 谷口 珠実, 荒木 勇雄, 武田 正之
2015 年 12 巻 1 号 p.
107-110
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
骨盤臓器脱の中でも膀胱瘤の場合、POP-Q stageで3以上の場合にはしばしば尿道がキンクしてしまうので、排尿障害を生じることが多い。膀胱瘤の程度とIPSS、OABSS、ICIQ-SF、尿流量測定、残尿量の関係をあらためて検討してみた。対象は2010年1月から2013年3月までに当院泌尿器科外来を受診された膀胱瘤の患者で治療開始前にIPSS、OABSS、ICIQ-SF、尿流量測定、残尿測定の記録が得られた患者である。POP-Q stageは初診時の外来での内診によって記載されたものを採用したが、実際の外来診療においてstage2とstage3を明確に区別することは困難であり、集計はstage1、stage2-3、stage4の3群において行った。膀胱瘤の程度が増悪するにつれて、尿流量測定も増悪の傾向が認められ、残尿量も増える傾向が認められた。IPSSの排尿症状スコアーはstage2-3でやや増悪の傾向が認められた。過活動膀胱の合併率は膀胱瘤の程度が軽いほど高い傾向があり、IPSSの蓄尿症状スコアーにおいても膀胱瘤の程度が軽いほど高い傾向が認められた。切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁の合併率はどちらも膀胱瘤の程度が軽いほど高い傾向があった。その結果を反映するようにICIQ-SFはstage1において有意に高スコアーであった。外来受診している患者を対象とした研究であるため、バイアスがかかっている点が問題ではあるが、これらの結果は骨盤臓器脱の自然史を考える上での様々なヒントを与えてくれるものと思われる。
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北條 裕紀恵, 大嶽 麻沙美, 吉田 ふみ, 野口 多志子, 鈴木 直子, 中島 美佐子, 相澤 則明, 金親 純一, 藤崎 章子, 本郷 ...
2015 年 12 巻 1 号 p.
111-113
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
当院では2009年から、臓器などの動きを動画として捉えられるcine MRIを骨盤臓器脱(POP)の診断に活用しており、その有用性を本学会などで報告してきた。しかし、病態を反映する有用な画像を得るにはいくつかの工夫が必要である。そこで当院の各部署で行われている様々な工夫を調査した。その結果、それぞれの部署で患者が撮影時に必要な腹圧を上手くかけられるよう、丁寧な説明と患者情報の共有などを行っていた。またPOP診断のためにcine MRIを行った患者で、初診時の理学的所見によるPOPのステージとcine MRIで評価したPOPステージを比較したところ、46%もの症例でcine MRIによるステージの方が高度の脱と判定されていることがわかった。
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上島 千春, 中田 真木, 小島 俊行, 寺嶋 克幸
2015 年 12 巻 1 号 p.
114-117
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
骨盤臓器脱(以下POP)手術について、当科における術中の麻酔と術後疼痛対策の変遷と現状について説明する。POP腟式整復手術の麻酔は、脊髄くも膜下麻酔→全身麻酔→全身麻酔+局所麻酔 と変遷した。術後疼痛管理は、定時NSAIDS坐薬+必要時オピオイド注射→定時NSAIDS坐薬+オピオイド静注(持続投与+自己調節による追加、以下IVPCA)→陰部神経ブロック(以下PNB)+必要時NSAIDS坐薬と変わってきた。
手術時に脊髄くも膜下麻酔から全身麻酔に変更して、入室から執刀までの時間が短縮でき、術中に傍頸部ブロックとPNBを併用したことで、全身麻酔薬の量を減らすことができた。術後の疼痛管理でIVPCAの導入は疼痛軽減に役立ったが、一方でオピオイドによるめまい・嘔気、頭痛、倦怠感などの副障害が加わった。術中にワンショットの、術後に持続的なPNBを導入した結果、疼痛の軽減だけでなく術後の全般的な回復が加速された。全身麻酔を用いるPOP手術における区域麻酔の活用はこれまで報告を見ないが、PNBは術中・術後の両面で有用であった。
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本郷 祥子, 高澤 直子, 藤崎 章子, 常盤 紫野, 金城 真実, 嘉村 康邦
2015 年 12 巻 1 号 p.
118-120
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
TVT の尿禁制機構はインテグラル理論により説明されているが、実際のtapeの働きを尿道や周囲軟部組織を含めてreal timeに観察した画像はない。今回我々はTVT術前・後でcine MRIを撮像できた17例を検討した。従来TVT は腹圧負荷時に中部尿道に“knee(膝)”を形成して尿禁制に働くとされている。しかし今回の検討では手術成功例において腹圧負荷時の尿道の可動性はほぼ術前と同様に保持され、いわゆるkneeの形成は認めなかった。一方尿失禁増悪例では、tape位置が近位尿道へ偏移することで尿道の可動性が失われ、opened urethraとなっていた。 TVT手術ではtape位置が中部尿道であるべき重要性が改めて認識された。また、尿失禁残存症例に対するcine MRIは再手術の術式選択に有用と考えられる。
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本田 謙一, 村上 誠, 中野 雄介, 梅咲 直彦, 古山 将康
2015 年 12 巻 1 号 p.
121-123
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
腟壁のほぼ全体が脱出した状態である第3度の骨盤臓器脱では、手術療法後に再脱出を生じてくることが少なくない。今回、夫婦とも性交渉を望まない70歳台前半の症例に対し、腟式子宮摘出術後にLe Fort法による腟閉鎖術をおこなって良好な経過が得られ、また術前にあった尿管の牽引や腎盂拡張によると考えられる腰背痛が術後軽減をみた症例において、MRI画像の検討でLe Fort法に腟断端拳上効果をもたらす意義があると考えられた。
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~骨盤底トレーニングを中心として~
重田 美和, 増田 洋子, 関口 由紀
2015 年 12 巻 1 号 p.
124-127
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
入浴後に腟からお湯が出てくる“お湯漏れ”や、運動あるいは性交時に腟から空気が出てくる“空気漏れ”(Vaginal flatus;腟排気音)に悩み、「尿漏れではないか」「異常なのではないか」と受診する女性が増えている。お湯漏れや腟排気音は、Vaginal laxity(腟弛緩症)が引き起こす現象であり、患者本人にとってはQOLを脅かす深刻な問題である。しかし、保存的治療は積極的に介入されておらず、「病気ではないから」と軽視される傾向にある。そこで今回は、腟漏れおよび腟排気音の主訴のみで骨盤底トレーニング(以下PFMT)を受けた患者について調査検討した。その結果、QOLに関わる腟漏れおよび腟排気音は、PFMTを中心とした適切な指導が有効であることが示唆された。
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松野 悟之, 岡山 久代, 二宮 早苗, 内藤 紀代子, 森川 茂廣
2015 年 12 巻 1 号 p.
128-131
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
骨盤底筋トレーニング機器として開発されたPFMトレーナーの測定値の信頼性を検討した。健常成人女性23名を対象に、骨盤底筋群の最大筋力と収縮持続時間の測定を施行した。統計処理はSPSS Version 20.0 for Windowsを用い、信頼性の検定は級内相関係数を算出して検者内信頼性(ICC1,1)を検討した。検者内信頼性の指標であるICC(1,1)は最大筋力で0.965、収縮持続時間で0.867であり高い信頼性が得られた。PFMトレーナーを使用しての骨盤底筋群の機能評価は最大筋力および収縮持続時間ともに高い信頼性があることが示唆された。
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藤崎 章子, 本郷 祥子, 金城 真実, 嘉村 康邦
2015 年 12 巻 1 号 p.
132-134
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
目的:当院で行った女性泌尿器科無料電話相談の現状を明らかにし、今後の改善点を検討する。
方法:対象期間の2013年5月から2014年3月に女性医師1名が対応した電話相談のべ88件を対象に後ろ向きに検討した。
結果:電話相談患者の年齢と相談時間の中央値(範囲)は64(12-87)歳、9(1-40)分であった。新規予約取得患者は47例(53.6%)であった。予約なし患者、予約収得済み患者の相談内容として、医師以外でも対応可能な事務的な内容の他に、セカンドオピニオンが目立ち、電話での対応に苦慮した。
結論:新規予約・受診の一定の効果を認めた。多くの患者さんが求める情報のうち、ホームページでも伝えられる内容については、わかりやすく提示する必要性があると考えられた。セカンドオピニオンへの対応について今後検討が必要と考えられた。
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水流 輝彦, 荒木 勇雄, 城 文泰, 鄭 裕午, 広田 竜一, 馬塲 雅人, 吉田 哲也, 河内 明宏
2015 年 12 巻 1 号 p.
135-138
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
女性骨盤底障害の主要な疾患である骨盤臓器脱のため排尿障害をはじめとするQOLは障害され、骨盤臓器脱手術はそのQOLの改善を目的として行われる。今回われわれは2011年8月から2013年3月に当院でTVM(Tension-free vaginal mesh)手術を施行した58名を対象とし、手術前後のQOL変化をProlapse quality of life questionnaire(P-QOL)の日本語暫定版を用いて検討した。
P-QOLは、全般的な健康(P=0.0039)、骨盤臓器脱の影響(p<0.0001)、心の問題(p<0.0001)、骨盤臓器脱の問題(P=0.0003)は1ヶ月後より有意に改善し、12ヶ月後まで維持した。仕事・家事の制限(RL)、身体的制限(PL)、社会的活動の制限(SL)、睡眠・活力(SE)は3ヶ月後よりそれぞれ有意な改善を認めた。一方、個人的な人間関係(PR)では有意な変化はなかった。
TVM手術により排尿障害は有意に改善した。全般的なQOLも、個人的な人間関係を除いて有意な改善を認めた。
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加藤 久美子, 鈴木 省治, 松井 宏考, 永山 洵, 佐野 友康, 山本 茂樹, 鈴木 弘一, 服部 良平
2015 年 12 巻 1 号 p.
139-143
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
【目的】骨盤臓器脱(POP)術後の腹圧性尿失禁(SUI)悪化は有名な事象だが、本邦では医療関係者にも周知されているとは言えない。他医でのPOP手術後にSUIで治療した症例を検討した。【対象】他医POP手術後にSUIが悪化・発症し、当科受診した7名。【結果】年齢48~76歳。総合病院産婦人科で腟式子宮摘除+腟壁形成を受けた4名は、同じ病院の泌尿器科をへて当科に紹介。総合病院泌尿器科およびウロギネセンターでTVM手術を受けた3名中2名は直接、1名は開業泌尿器科をへて紹介された。術前のSUI悪化リスクの説明は、聞いた1名、聞かなかった5名、記憶がない1名であった。前医確認で、産婦人科では手術同意書にSUI悪化リスクが記載されておらず、泌尿器科では記載があったが患者が失念したとわかった。医療不信を訴えたのは産婦人科での術後にSUIが著明悪化した3名で、咳、くしゃみだけでなく歩行、走行で漏れ大型パッドが毎日必要であった。2名は漏れのため職業に支障があり、うち1名は性交障害が生じていた。術前のリスク説明の欠如に加えて、術後対応が不満を招いていた。TOT手術を行い、6名でSUI治癒、1名で改善を得た。性交障害の1名は会陰切開で腟口を広げた。【考察】POP手術では術前にSUI悪化リスクのインフォームドコンセントを十分行い文書に明示するよう、医療関係者へ啓発が必要である。
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谷口 珠実, 小林 英樹, 高岡 智子, 大竹 裕子, 三井 貴彦, 武田 正之
2015 年 12 巻 1 号 p.
144-148
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
骨盤臓器脱患者に対する看護活動は看護の基礎教育と専門教育の中でまだ系統的に教育されていない。そこで、現状の泌尿器科外来診療において女性患者が求める医療の中で、医師からも看護介入が必要と判断される実践内容を明らかにする必要があると考えた。方法は、後ろ向きに診療録から看護実践を抽出し、内容を質的に分析し、記述した。指導した内容は、リングペッサリーの自己着脱指導、フェミクッションの正しい着用指導、臓器脱の自己修復指導、骨盤底筋訓練、臓器脱を予防する日常生活上の指導、今後の治療方針の意思決定に対する支援、心理的サポートであった(重複有)。今後、検討を重ね内容を一般化して、外来において保存療法を担うための看護の系統的な専門教育を行なう必要があると考える。
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増田 洋子, 重田 美和, 畔越 陽子, 前田 佳子, 金城 真実, 藤崎 章子, 榎本 香織, 中村 綾子, 槍沢 ゆかり, 関口 由紀
2015 年 12 巻 1 号 p.
149-150
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
(はじめに)2010年の当学会で、リング着脱療法開始時におけるリングサイズ選択基準の設定について回帰式を求めて発表した。その後、200以上の症例を収集し再度、回帰式を算出した結果、 Ring Size=41.5+3gh(cm)+0.8tvl(cm)有意確率:0.58を、2012年の当学会で発表した。今回は、その後の経過を報告する。(方法)リング療法開始時のPOP-Q方式のgh・TVLで測定し算出した回帰式でリングサイズを決定した。(結果・考察)はじめの1ヶ月は一回り小さいサイズのリングを使用して自己着脱の練習を行った。次の受診時に膣の状態と骨盤臓器脱の状態を診察、脱落の有無を情報収集して、最終的にリングサイズを決定した。脱落する患者様は骨盤臓器脱の状態がステージ3度以上、BMIが25以上、肛門挙筋の菲薄化、ghの長さ(8cm以上)のいずれか2つ以上にしていたが、新たに便秘のひどい方と腹圧が過度にかかる方にも注意が必要である事が再確認できた。また除外条件がきびしすぎて実用性が低下したため、今後は除外基準を骨盤臓器脱の状態がステージ4度、BMIが25以上の2つのどちらかにあてはまる場合とすることにした。(まとめ)今後も症例を収集して検討していく。
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岡垣 竜吾, 新澤 麗, 仲神 宏子, 木村 真智子, 鈴木 元晴, 難波 聡, 三木 明徳, 梶原 健, 石原 理, 永田 一郎
2015 年 12 巻 1 号 p.
151-154
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
当院では比較的高齢(原則75歳以上)で性交渉のない女性に対し、3種類の腟閉鎖術を施行している。全腟壁を除去して巾着状に完全閉鎖する方法(巾着法)、腟式子宮全摘術と仙骨子宮靭帯断端の前方転置を含む全腟閉鎖術(ML法)、中央腟閉鎖術(Le Fort法)の3群で、患者背景、短期および術後1年半までの成績を比較した。いずれの術式も重篤な合併症はなく、短期~中期成績は良好と考えられる。ML法は理論的に最も強固な閉鎖が得られ、子宮温存に伴う合併症がない反面、手術時間と出血量が巾着法やLe Fort法よりは有意に高値との結果であった。今回の検討結果をもとに今後は術式選択を最適化するとともに、術式の改良を重ねていきたい。
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~tension-free調整のコツ~
伊藤 宏一, 久保田 陽子, 野坂 舞子, 加藤 浩志, 伊田 昌功, 辻 芳之
2015 年 12 巻 1 号 p.
155-157
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
QOL疾患である骨盤臓器脱に対する手術方法として盛んに施行されてきたTVM(Tension-free Vaginal Mesh)は再発率が低く、安全性の高い手術とされてきたが、多様な合併症報告に伴い、米国FDA(Food & Drug Administration)より安全性の勧告1)がなされるに至った。本邦においても、骨盤臓器脱に対する経腟メッシュ手術施行に関する指針2)が示され、施行症例は登録制とし、合併症が発生した場合は、日本女性骨盤底医学会に設置する「経腟メッシュ手術安全管理等に関する委員会」に報告することとなった。
当院ではTVM手術導入初期から現在に至るまで、諸家の報告で散見される術後合併症の自己導尿を要した排尿困難症例やメッシュ緊張による疼痛の訴えを1例も認めていない。
当院における合併症回避の取り組みの1つであるメッシュ最終調整方法が排尿障害及びメッシュによる牽引痛回避の有効な手段になっていると考える。
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~当院での試み~
知野 陽子, 棚瀬 和弥, 関 雅也, 横山 修, 吉田 好雄
2015 年 12 巻 1 号 p.
158-159
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
【目的】膀胱瘤を合併した子宮脱の患者に対し、メッシュを併用した腟式子宮全摘術を行った症例について報告する。【方法】POP-Q stage Ⅱ以上の膀胱瘤を伴う子宮脱の患者で、当院で腟式子宮全摘術とa-TVM(anterior-Tension-free-Vaginal-Mesh)を同時に施行した10症例を対象に手術時間、出血量、メッシュ感染の有無、その他合併症、骨盤臓器脱の再発の有無について検討した。
【結果】平均手術時間は2時間46分で、平均出血量は175gであった。全例で骨盤臓器脱の再発は認めなかった。メッシュの露出を3例に認めたが、いずれもわずかな露出で経腟的切除により感染は起こらずに経過している。【結語】膀胱瘤を合併した子宮脱症例に対して、腟式子宮全摘術と同時にa-TVMを行っている。メッシュの露出は認めたものの現在重篤な感染を起こした症例はない。まだ症例が少なく、観察期間も短いため、今後も検討を続けたい。
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赤木 一成
2015 年 12 巻 1 号 p.
160-163
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
当院では大腸肛門専門病院に骨盤臓器脱専門外来を設置しているため、骨盤臓器脱と直腸肛門疾患(直腸脱・痔核)を合併している方が多く受診する。
骨盤臓器脱と直腸脱を合併している場合、骨盤臓器脱にはTVM手術を行っている。直腸脱は脱出状況に応じて、Delorme法、Altemeier法、硬化療法を使い分けている。骨盤臓器脱と直腸脱の手術は可能な限り同時に行う方針としているが、実際には理想通りにいかないケースもあるのが現状である。
骨盤臓器脱と痔核を合併している場合、この両者の手術を同時に行っている。痔核根治手術では晩期大量出血が問題となるので、これを回避すべく痔核硬化療法と結紮切除術を組み合わせたハイブリッド手術を行い、良好な成績を得ている。
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柏原 宏美, 福田 弥生, 徳川 睦美, 塚原 稚香子, 岩田 典子, 連 美穂, 久本 浩司, 國重 一郎, 西尾 幸浩
2015 年 12 巻 1 号 p.
164-166
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
2012年10月よりTVM手術の考案者の一人であるPr.Cossonのもとで骨盤底手術研修を終えたので、フランスでの骨盤臓器脱治療の現状を報告する。
リール大学病院での2012年骨盤底疾患の手術は403件であり、そのうちTVM手術は163件、腹腔鏡下仙骨腟固定術が101件であった。その他、腟式子宮全摘および仙棘靭帯固定術(Richeter法)が少数行われていた。フランス全体では、2010年から2012年の統計で、骨盤臓器脱手術の約25%が腹式手術、うち85%は腹腔鏡下仙骨腟固定術であった。腟式手術は全体の約75%を占め、その半数はメッシュを使用したものであった。米国FDAの影響はフランスにもおよんでおり、適応を十分考慮する必要性が強調されていたが、基本的にTVM手術は存続する方向であった。以上から今後当院での骨盤臓器脱手術における各術式の適応についても検討した。
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塩島 聡, 今井 伸, 安達 博, 米田 達明, 中山 理, 村越 毅
2015 年 12 巻 1 号 p.
167-169
発行日: 2015年
公開日: 2024/12/06
ジャーナル
認証あり
【目的】産婦人科医を中心に泌尿器科との緊密な協力体制の下に導入した初期のTVMについて報告する。【方法】2011年に導入したTVMについて患者背景、治療効果、合併症、術後再発を後方視的に検討した。【結果】術式はA-TVM 28例、AP-TVM 52例、P-TVM 6例、C-TVM 14例。平均年齢は71歳で、34例で併存疾患はなかった。麻酔下の術中評価では、POP-Q Stage2/3/4はそれぞれ1/38/61例、術前の平均最大突出点は+4.3cm、術後の平均D点は-7.6cm。周術期合併症は、直腸損傷1例、血腫2例、3mm以下のメッシュ露出を2例で認めた。POP-Q stage2以上の術後再発を5例に認め、手術部位は3例で無症状だった。手術とは異なる部位では2例で追加手術を行った。【考察】患者背景は合併症も少なくADLの高い症例が多かった。術後再発は少なく治療効果は高かった。適切な症例選択と手術操作により後発施設として重篤な合併症はなくTVMを安全に初期導入できた。
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