福島県二本松市の斜面のスギ,マツ,ナラ林,尾根部ナラ林において林床における放射性Cs動態を把握するため,A
0層を分解段階とサイズにより6段階(L-F1,F2,F3,F4,HA1,HA2)に分画し,また,リターフォール(Lf), A
0層から土壌層へ雨水に伴って移動する粒状有機物(Ld≦2mm)および表層土(0-5,5-10,50-100mm)のCs-137,全Cおよび全Nを測定した。各有機物の放射性Cs濃度は,全地点で分解が進んだ画分ほど高くなり,表層土で低くなった。A
0層内におけるCs-137沈着量(kBq/m
2)の多い画分は林相に関わらず乾燥重量の多いF3(>10mm),F4(≦10mm)であった。これらの画分のCs-137量は,表層土壌(0-10mm)の沈着量に対し,スギは同程度, マツは1/2,斜面ナラは2倍,尾根ナラは1/4程度だった。Ld(g/m
2)は,A
0層における同サイズのHA1+HA2画分合計に対し,スギ96%,マツ130%,斜面ナラ45%,尾根ナラ390%となり,マツと尾根ナラでは傾斜が急なことによる,斜面方向からの粒状有機物や表層土流入の影響が考えられた。以上のことから放射性Csは,A
0層から粒状有機物と共に表層土壌へ浸透移動するだけでなく,斜面方向へ移動し,林床が安定した場所に蓄積している事が示唆された。発表ではCN動態と合わせて報告する。
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