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金子 命, 伊藤 勇, 磯部 一夫, 小田 智基, 保原 達
セッションID: H01
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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土壌有機物は、多くの場合土壌表層に多く堆積し、深層ほどその含有量は減少してゆく。しかしながら、例えば苫小牧の樽前山火山灰土層のように深層に有機物(埋没腐植土)が多くみとめられる場合もある。これらの埋没腐植土層には、数千年以上前に埋没したにも関わらず、現在でも非常に多くの有機物を含んでいるものもある。
本研究では、そうした埋没腐植土壌中に含まれる有機物が生化学的作用ないしは、非生物学的作用で取り込まれた有機物である可能性について検討するため、埋没腐植を含む土壌の化学的環境、更には微生物的な活性の鉛直変化を調べた。
その結果、土壌中二酸化炭素濃度が埋没土層に相当する深度から急速に低下していた。さらに、埋没土層においても、表層ほどではないが窒素無機化活性がみとめられた。定量PCRにより、埋没土層においてもバクテリアが表層と同程度存在することが確認された。
これらのことから、埋没土層は地下部に存在するにも関わらず、微生物群集の活性が表層と同程度には高いことが示唆される。
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中西 麻美, 稲垣 善之, 柴田 昌三, 大澤 直哉
セッションID: H02
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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樹木は気温、水分、光、養分など環境条件に応じて窒素利用を変化させ、生産、成長を最適化している。葉寿命も環境条件に対応して変化するため、窒素利用と密接な関係があることが予想される。本研究では京都市内にあるヒノキが優占する二次林に10林分を設定し、樹冠葉量と落葉量から算出したヒノキの葉寿命と窒素利用特性の関係を明らかにした。推定した生枝下断面積から樹冠葉量を算出した。幹生産量をDBHと樹高から計算し、幹生産量の6.1%を枝生産量とした。落葉量を葉の生産量とした。各器官の生産量の合計(ANPP)を各器官の窒素量の合計で除して窒素利用効率(NUE)を求めた。葉窒素現存量を落葉窒素量で除して葉窒素の滞留時間(MRT)を求めた。生葉と落葉の窒素濃度から窒素の引き戻し率を算出した。NUEが高いほど葉寿命とMRTが長く、幹/葉が高く、葉の生産量が低かった。落葉窒素濃度、窒素引き戻し率はやや低くなる弱い相関関係を示した。NUEと樹冠葉量、葉窒素現存量、幹生産量との間に有意な関係は認められなかった。ヒノキは葉寿命とMRTを長く、葉の生産を小さくすることで窒素を効率的に利用していることが示唆された。
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浦川 梨恵子, 大手 信人, 柴田 英昭, 磯部 一夫, 舘野 隆之輔, 小田 智基, 菱 拓雄, 福島 慶太郎, 稲垣 善之, 平井 敬三 ...
セッションID: H03
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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日本の森林生態系は、冷温帯から亜熱帯まで分布する気候帯が幅広いことや、構成樹種や利用歴が多様なことから、窒素循環様式は変化に富んでいる。近年、気候変動や窒素降下物の増加にともない、土壌の窒素形態変化速度が変化することが予測されているが、その変化の仕方も多様であると考えられる。
森林生態系の窒素動態変化を予測する上で、モデル化が欠かせないが、現状では、窒素動態モデルに容易に適用できる各種パラメーターのデータベース化が進んでいない。そこで本研究では、全国38カ所の森林サイトにおいて、20℃28日間の室内培養による純窒素無機化・硝化速度と、土壌の各種特性値を測定した。また、気候、土壌型、樹種、リター層の量と質、土壌有機物、酸性度、塩類濃度、総・純窒素無機化速度・硝化速度を潜在変数とする構造方程式モデリング(SEM)により、純窒素無機化・硝化速度に影響を及ぼす要因を明らかにした。
SEMにより、窒素無機化・硝化速度のサイト間変異の46%を説明することができた。土壌の有機物含有量(全炭素・窒素濃度)が最も影響の大きい要因であり、特に火山灰土壌の大きな有機物含量が高い純窒素無機化・硝化を引き起こしていた。
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大森 禎子, 岩崎 真理
セッションID: H04
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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化石燃料の燃焼で発生する硫酸は、風で移動して接触した樹木に付着し、濃縮と蓄積で濃度が高くなる。硫酸は雨で根元に落とされ、土壌の金属成分を溶解性金属硫酸化合物する。雨水に溶解した金属イオンは樹木に吸収されて、不溶性の金属リン酸化合物になり、樹木はリン酸不足と同じ現象で衰退する。防虫効果のあるタンニンは金属イオンと化合すると防虫効果を失う。その結果、虫が大発生する。木炭は樹木が生長に必要なカリウム等を含み、雨水が加わると水酸化物イオンを溶出して、土壌の金属イオンと化合して金属水酸化物になり、樹木は吸収できなくなってリン酸とタンニンが保護される。後に残ったアルカリ金属とリンは樹木に対し、再び有効な栄養源になり樹木の生育に役立つ。佐渡島の梢枯れをした2ヶ所の公園のナラ山に、2年続けて炭を撒いた結果、3年目には種子を大量に落とし、4年目には、根元の土壌は発芽した葉で覆われていた(元関東森林管理局宮下正次氏管理)。樹木の立ち枯れは土壌の酸性化であることがマツで確認されており(第124回日本森林学会講演集p.59)、炭を撒く事で、マツと同様にナラ枯れも防止出来ることが明になった。
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酒井 佳美, 高橋 正通, 田中 永晴
セッションID: H05
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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寒冷な気候の北海道(森林総研北海道支所実験林)において主要な針葉樹種(アカエゾマツ、トドマツ、カラマツ)の根の分解試験をリターバック法により14年おこなった。根のサイズの影響を考慮してリターバックは0-2、2-5、5-10、10-50、50-100 (mm)の直径サイズ別に分けた。樹種間ではカラマツの分解が最も速く、アカエゾマツとトドマツはほぼ同じであった。サイズ別では10mmを境に分解の傾向が変わっていた。全ての樹種で、直径10mm以下の根が10mm以上よりも分解は速かった。14年を通じた重量減少の特徴として、10mm以下の根ではアカエゾマツとトドマツは期間を通じてほぼ一定の分解速度を示したが、分解の速かったカラマツは試験開始から5年間の分解速度が非常に速く、残り9年間になって分解が遅くなっていた。10mm以上の根は分解初期の3年までは非常に分解が遅く、その後5年から14年への減少率が大きくなり、分解は速くなっていた。長期間の根の分解は樹種や直径によって、分解の進行と共に分解速度が変わる場合、変わらない場合があることが示された。
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大貫 靖浩, 生沢 均, 古堅 公
セッションID: H06
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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沖縄本島最北部の国頭村奥地区において、皆伐後に表層土壌環境がどのように変化するかを、微地形単位および土壌型別に検討した。調査地は2014年3月に皆伐された約1haおよび周辺の林内である。分布する微地形単位は斜面上方から、頂部平坦面・頂部斜面・上部谷壁斜面・谷頭斜面・谷頭凹地・下部谷壁斜面・下部谷壁凹斜面で、標高差は40mである。土壌型は斜面上方から、乾性赤色土・乾性黄色土・弱乾性黄色土・適潤性黄色土(偏乾亜型)・未熟土が分布する。梅雨季にあたる2014年5月下旬には、皆伐地内の表層土壌の際立った地温や土壌含水率の変動は認められず、唯一下部谷壁斜面で比較的低い土壌含水率を示した。これに対し、盛夏にあたる8月上旬には、皆伐地と林内の地温・土壌含水率の差が増大し、皆伐地で特に土層の薄い頂部斜面の一部や下部谷壁斜面で高温と低含水率となった。また試孔調査の結果、皆伐地の流路に近い斜面下部で弱乾性黄色土の特徴である堅果状構造が多くの地点で認められ、皆伐後の林床の高温・乾燥により、適潤性黄色土(偏乾亜型)から弱乾性黄色土に土壌型が変化しているものと考えられた。
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蔵治 光一郎
セッションID: I01
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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【目的】流域の森林からの流出量は皆伐によって増加することが知られているが、強度間伐の場合は地表面蒸発量や下層植生の遮断蒸発量が増加するために流出量は必ずしも増加せず、逆に減少するという報告もされている。本研究は水収支が精密に測定できる斜面ライシメータ上に生育しているヒノキの強度間伐が流出量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】愛知県犬山市に設置された斜面ライシメータ(集水面積16.24平方メートル)に過密ヒノキ林区(7389本/ha)と対照区(草地)を設け、BAで62%の強度間伐を行い、生じた幹と枝条は区画内に残置し、間伐前後それぞれ1年以上流出量を観測した。【結果】間伐によって流出量は平均的には約1.5倍に増加した。特に渇水時には2~3倍に増加した。間伐前の日蒸発散量は森林区が草地区より約1.5mm多かった。間伐により多雨季の日蒸発散量は0.5~1.0mm減少したが、なお草地よりは0.5~1.0mm多かった。少雨季の日蒸発散量には間伐前後であまり差がなかった。強度間伐により地表面蒸発量、下層植生や枝条の遮断蒸発量が増加したが、それを上回る上層木の樹冠遮断量および蒸散量の減少があり、流出量が増加したと考えられる。
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恩田 裕一
セッションID: I02
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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発表者らは,JST-CRESTの研究課題として,「荒廃人工林の管理により流量増加と河川環境の改善を図る革新的な技術の開発」を研究課題とし、森林管理(本数50-60%の強度間伐)による水循環と河川流量の変化について、詳細で長期的な現地観測を行った。そこで、地質などの環境条件が異なる5つの地域(栃木、愛知、三重、高知、福岡)の隣接する複数の調査流域(スギ・ヒノキ林)において,強度間伐を実施し,その前後の水文素過程(遮断蒸発散、浸透、水・土砂流出、河川流量等)の観測を行った。その結果,強度間伐により河川流量が増加し、流出が安定化することを実測データにより明らかにし,間伐前後の各水文素過程の変化について、航空機LiDARデータから推定可能なモデルを構築した。その際,降雨流出を1次元モデルで表すことにより,間伐前後の流量増加の評価が単一流域法でも可能となった。
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安部 豊, 川崎 雅俊, 恩田 裕一, 小松 義隆
セッションID: I03
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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荒廃したヒノキ人工林において水源涵養能力を向上させる施業方法を検討するために、従来の間伐よりも強度に立木の間伐を行い、降雨・流出過程に対する影響について調査を実施した。岐阜県東白川村の国有林に位置する源流域におけるヒノキ林を対象地域として、GHS1(伐採後1年)とGHS2(伐採後2年)の2つの小流域を設定し、林外・林内雨量計、渓流水流量計、地表流プロットなどを設置し、2012年~2014年のおおよそ5月~11月に観測を行った。間伐は、GHS1では2014年4月に、GHS2では2012年12月に、本数のベースとして60%の立木の伐採を行った。
GHS1およびGHS2、両区において、強間伐後の林外雨量に対する林内雨量の割合は数十%増加した。渓流水の流量に関して各年の流況曲線を比較すると、GHS2における渇水側の20%の期間で、間伐後の2年間の流量が、間伐前1年に比べて増加していることが確認された。現段階では、樹冠の遮断が減少による林内雨の増加によって、地下水涵養量を増やし、渓流水の基底流を安定化させたと推察される。
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經隆 悠, 田名網 浩貴, 正岡 直也, 今泉 文寿, 堀田 紀文, 山川 陽祐, 小杉 賢一朗
セッションID: I05
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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2013 年の台風26 号では、伊豆大島において広範囲で表層崩壊が発生・流動化し甚大な被害をもたらした。このような火山地帯での崩壊による被害軽減には、崩壊の発生原因を明らかにする必要がある。本研究では、伊豆大島の崩壊斜面を対象地として現地調査を実施し、崩壊の発生原因について検討した。調査内容は、崩壊地外縁部の土層構造の調査、および雨量計、テンシオメーター、TDRによる降雨‐土壌水分変化のモニタリングである。また、現地で土壌サンプルを採取し、飽和透水試験と一面せん断試験を実施した。その結果、崩壊斜面は、テフラ、スコリア、レス等からなる互層構造を有し、各層の飽和透水係数や体積含水率が明確に異なることが明らかになった。一方で、各層のせん断抵抗応力や粘着力、内部摩擦角には明確な差異は認められなかった。また、降雨時には、最も透水性の低いレス層付近で、圧力水頭が上昇し飽和帯が形成されるものの、その上下の層では飽和帯が見られなかった。これらの結果から、降雨時の飽和帯の形成は鉛直浸透プロセスが支配的であり、透水性の低いレス層上に一時的に発生する飽和帯が崩壊の直接的な原因となったと考えられる。
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小杉 賢一朗
セッションID: I06
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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近年,気候変動に伴い雨の降り方が変化し,土砂災害が増加することが懸念されている。斜面崩壊危険度は,斜面内部の地下水位が高いほど大きくなる。本研究では地下水位の既往最大値に着目した。すなわち,地下水位が既往最大値を超えて上昇している時には,いつ崩れてもおかしくないと考えるわけである。ここで,地下水位の既往最大値超過は,「過去に経験したことが無い降雨」により引き起こされると考えられる。よって,予測雨量を用いて降雨の既往最大値超過を予見することにより,土砂災害の発生を適確に予測できると考えられる。ただしここで問題となるのは,降雨の特徴を如何に評価して既往最大値超過を検出するかである。本研究では,「横軸と縦軸の雨量指標を様々に変化させ,種々の組合せでスネーク曲線図を複数描き,いずれか一つでも既往最大値超過が予見される場合に,土砂災害の危険性が高いと判断する」という新しい解析方法を提示し,過去の土砂災害事例に適用した。その結果,横軸実効雨量の半減期と,縦軸実効雨量の半減期を適切に設定することによって,災害発生時刻に既往最大値超過が検出されることがわかり,手法の有用性が確かめられた。
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堀 和彦, 井良沢 道也, 松嶋 秀士, 阿部 修
セッションID: I07
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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近年、ナラ枯れ跡地や手入れ不足の森林が増加している。このような森林を放置すると、立木密度が低下し雪崩が発生しやすくなると考えられる。しかし、立木密度の相違による雪圧の分布や時系列的推移などを定量的に把握した事例はほとんどない。このため、本研究では、疎密度林分の雪圧分布、およびそれが気温の変化により、どのように変動するかについて模型実験を試みた。実験は、立木密度の異なる模擬森林を作製し人工降雪機により降雪を行い、低温時と高温時に各模擬木にかかる雪圧の分布を計測し、雪の挙動をビデオカメラにより撮影した。そして、これらより立木密度と雪の移動、および雪圧の時系列変化を追跡した。
その結果、低温時ではいずれの林分においても雪割れなどの現象は認められず雪圧は小さく山側より谷側で大きくなる傾向が見られた。これに対して、高温時には、立木密度の高い森林では雪の移動は見られないが谷側ほど雪圧が大きい傾向が見られた。そして、立木密度の低下とともに雪割れが発生し雪圧は増大するものの、雪が移動した直後には雪圧が急減する現象がみられた。また、密度の低い林分の最大雪圧は、山側でも谷側でも概ね一定の雪圧値を呈した。
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岡田 康彦, 石川 芳治
セッションID: I08
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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全長20m,幅1m,高さ1mの大型水路に木製の治山堰堤模型を設置し,大きさを変えた石礫を中詰め材として使用した場合の水流に対する侵食耐性を検討する実験を実施した。水路自体の傾斜は5度に設定して水を流し,水路途中からは,木製堰堤の上面と水路を水平な鉄板で連結することにより木製堰堤の放水路の上を水平方向に流下させた。水平方向に流れた水が0.30mもしくは0.45mに設定された段差を流下して木製治山堰堤内の段差の下流の石礫の流入する時の侵食耐性を調べた。計測項目は,給水配管内での流量および治山堰堤の段差から150mm上流側における水深である。石礫のサイズは,63mm篩残留78mm篩通過,78m篩残留102mm篩通過,102mm篩残留120mm篩通過の3種類である。水流の流量を変えながら石礫の侵食が発生する臨界値を調べたところ,侵食が発生する際の中詰め石礫の粒径は,単位幅,単位時間に流れた水の運動エネルギーに比例することがわかった。また,無次元パラメータ(石礫に載荷される掃流力に関する物理量と,石礫の重力に関する物理量の比の平方根)は,粒径によらず1.4~1.7程度に収束することがわかった。
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中北 理, 斉藤 武史, 中根 貴雄, 村井 宏
セッションID: I09
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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東日本大震災では、岩手三陸海岸の海岸に約10m高近い津波が打ち寄せ甚大な被害となった。宮古市田老町の栃内沢は、幅約100mで海に面し内陸側に約1kmの緩い直線状のV字谷である。内側には人家も農耕地も無いため自然のまま過去の津波の影響も継承していると思われる。震災半年後に簡易測量を実施し、両岸の津波遡上到達地点を求めた。国土地理院で毎年撮影している時系列空中写真とこれら現地調査データの解析から、残存した林分には以下のような傾向がみられた。谷底部にはマツ、スギ、広葉樹など約15~20m高の樹木が繁茂していたがそれらはすべて流失した。マツやスギが多い右岸斜面においては、ほぼ津波遡上到達点より数m下部において樹木が流失してしまい、残った林分でも林縁に位置する樹木では、被災後2ヶ月頃から樹冠の赤変現象が見られその後枯死するものがほぼ一直線上に発生した。一方、広葉樹が多い左岸斜面では、津波遡上到達点より十数m下部まで残存する樹木が多く、また被災後に赤変するものも数本でそれらは針葉樹であり枯死するものも少なかった。震災前の植生状態は両岸で同一ではないものの広葉樹の方が高い残存率を示していた。
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坪山 良夫, 池田 重人, 小林 政広, 野口 正二, 玉井 幸治, 高橋 正通
セッションID: I10
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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東京電力福島第一原子力発電所の事故では周辺の農地や集落の上流にある森林にも放射性物質が降下した。森林の放射性セシウムが渓流を経て下流に移動した場合に起こりうる影響は、渓流水が運ぶ放射性物質の量とともに、運ばれる放射性物質の形態(懸濁態か溶存態か)によって異なる可能性がある。そこで本研究では、飯舘村長泥地区の森林において、2013年7月より概ね月2回の頻度で渓流水を採取し、Cs-137濃度を形態別に測定した。その結果、全(懸濁態+溶存態)Cs-137濃度については、冬季(12月から2月)に採取した試料の値は概ね0.1~0.3 Bq L
-1の範囲に落ち着いていたが、それ以外の時期は試料間の違いが相対的に大きかった。一方、溶存態Cs-137濃度については、冬季に採取した試料では検出限界(~0.1 Bq L
-1)未満となることが多く、冬季に値が小さくなる傾向があることを示唆していた。全Cs-137濃度が高い試料ほど懸濁物質濃度も高く、逆に、全Cs-137に占める溶存態Cs-137の割合は小さかった。この結果から、渓流水の全Cs-137濃度の変動は主に採取時の懸濁物質濃度の違いを反映しているものと推察された。
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後藤 純一
セッションID: J01
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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【目的】地形条件によって路網開設の適否と密度が異なる。その結果として、適応可能な作業システムが異なる。一般にその判断は斜面傾斜が用いられるが、地形の褶曲の度合いによって、山岳路では迂回率が異なる。そこで、全国規模で等高線の迂回率を測定する方法を開発し、その結果を示すこととした。【方法】地形データには10mメッシュ標高データを用いた。格子点を探索する方法とメッシュを成す辺上の点を探索する方法によって起点と標高が等しい点列を求めた。【結果と考察】辺上の点を探索する方法によって測定した迂回距離は格子点を繋いだ方法による値より4.5%短い(決定係数99.9%)。起点から半径20mから500mまでの範囲円内の等高線の延長距離を求め、それぞれの範囲円の直径で除して迂回率を定義した。等高線は山頂部では閉曲線となり、裾野に向かって閉曲線となる範囲円の半径は大きくなり、やがて開曲線となる。範囲円の半径20~500mでの、全国平均迂回率は開曲線区間では1.01~1.68、閉曲線区間では1.03~1.93であった。閉曲線区間では、迂回率は開曲線区間よりも大きい。また、地形が急峻な地域では迂回率は小さい。
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Shirasawa Hiroaki
セッションID: J02
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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路網作設の困難な山岳林において素材生産を行うためには、架線集材技術は必要不可欠である。架線技術者には、地形による索張りの可否を考慮したうえで、作業時間や作業コストを最小化させるような合理的な架線配置の設計が求められる。本研究では、設計者は収穫すべき林分が与えられたときに作業時間を最小化させる架線配置を設計するものとして、非線形計画法による数理計画モデルを構築した。モデルにおける決定変数は架線長
x、横取り距離
y、架線本数
zである。目的関数は以下に示す三つの工程で発生する作業時間の総和である。①空搬器走行や実搬器走行などからなる集材工程、②林地に存在する材の荷掛けと集材線直下への移動を行う横取り工程、③架線の架設撤去工程。主たる制約条件は、配置した架線によって全ての収穫すべき材が集材されることである。構築したモデルを用いて、最適化された作業時間の推定が可能となった。さらに感度分析を行うことで、作業時間に影響を及ぼす因子(例えば、搬器速度や一サイクル当たりの集材材積)の関係性を把握することができた。
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有賀 一広, 劉 純暉, 上村 僚
セッションID: J03
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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筆者らはこれまでに小径・短材の搬出が作業時間に与える影響を調査し,その結果から丸太サイズを考慮した直接費用計算式を作成した(仲畑ら2013)。さらにこの直接費用計算式を採材方法の因子として組み込み,利益を最大にする採材アルゴリズムを作成した。ただし、この採材アルゴリズムでは曲がりは考慮していなかったが、近年、地上LiDARが身近に利用可能となり、幹の形状を正確に把握することが可能となってきたため、本研究では宇都宮大学農学部附属船生演習林2林班と小班1.0haにおいて地上LiDAR計測を実施し、その後、行われた皆伐作業において、時間観測調査や生産された丸太の材積・曲がりを計測し、実測値と地上LiDARデータとの比較検証を行った。さらに、曲がりを考慮した採材アルゴリズムを作成したので報告する。【引用文献】仲畑力・有賀一広・武井裕太郎・山口鈴子・斎藤仁志・金築佳奈江(2013)那須野ヶ原地域の間伐材搬出作業における最適搬出率の検討.森林利用学会誌28巻1号:17~28
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旗生 規, 今冨 裕樹, 鹿島 潤, 伊藤 崇之, 猪俣 雄太, 山口 浩和, 山田 健
セッションID: J04
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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コンテナ苗を活用した植栽作業に関する作業評価および植栽器具に関する改善点を明らかにするためにアンケート調査を実施した。調査はコンテナ苗活用が進んでいる九州・東北地方を主とした65事業体にアンケート調査票を送付し、32事業体から回答を得た。回答者の年齢層は、51歳~60歳(26.1%)、31歳~40歳(22.6%)が多く、平均44.7歳であった。また、全回答者の半数以上はコンテナ苗植栽作業経験年数が1年目であった。コンテナ苗と裸苗との植栽作業比較における回答では、コンテナ苗植栽作業の方が穴掘りをしやすく、苗木が植付けやすいという評価を得た。しかし、苗木の運びやすさにおいては裸苗の方がやや運び易い結果となった。コンテナ苗植栽作業における問題点や改善点の記述回答でも、苗木の持ち運びの悪さや苗木の重量について指摘されていた。コンテナ苗の植栽器具は、唐グワ、スペード、ディブルが多く使用されていた。スペードおよびディブルは、作業の効率性は高い評価を得られたが、植栽器具の重量が重いという問題点が挙げられ、それに伴い、持ち運びにくいという評価が示された。コンテナ苗植栽による疲労部位では、腰部、手首、肩の順で訴えが多かった。
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伊藤 崇之, 三原 隆義, 清水 直喜, 富元 雅史, 長田 拓也
セッションID: J05
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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集材架線における架設作業を大幅に省力化・効率化することを目的に、現在使用されているワイヤロープなどの鋼製機材・器具を、より軽量な合成繊維素材に置き換えて架設する方法を検討した。新たに導入したのは超高重合度ポリエチレン繊維ロープと高強度ポリエステル繊維のベルト荷締機で、これらを使用した架設方法とワイヤロープを使用した従来の架設方法を比較した。調査地は群馬県沼田市の森林技術総合研修所林業機械化センターの実習林である。それぞれの方法について控索2本を模擬的に架設し、2組の作業者が方法ごとに1回ずつ架設と撤去を行った。作業の様子をビデオ撮影して作業時間の分析を行うとともに、作業者には心拍計を装着して作業中の心拍数の増加状況から労働負担を評価した。控索2本の架設に使用した資材の総重量は、繊維ロープ、ベルト荷締機、ワイヤロープの順に軽かった。また架設作業時間については、1組は繊維ロープ、ベルト荷締機、ワイヤロープの順に短く、もう1組はベルト荷締機、繊維ロープ、ワイヤロープの順に短かった。このことから、合成繊維素材を使用した架設がワイヤロープに比べ有利であることが示唆された。
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近藤 稔, 渡辺 亮介, 山口 浩和, 毛綱 昌弘, 山田 容三, 白井 漸
セッションID: J06
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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従来のスイングヤーダは,集材時の安定性確保のために履帯を先柱方向に正対(縦向き)させて設置する(林業機械化協会,2004)。これに対してアーム接地型のスイングヤーダは,接地したアームが車体の転倒を防止する作用して安定性が増すため,必ずしも正対させて設置する必要はないと考えられる。正対させる必要がないと設置場所の自由度が増すとともに,履帯横向きに設置した方が横方向の安定性も増すと考えられる。そこで,アーム接地式スイングヤーダの安定性について転倒モーメントに着目して検討した。コンマ25クラスのアーム接地式スイングヤーダ(ベースマシン日立建機社製ZX80LCK)を用いて,先柱に固定したロープをウインチで巻き取る際のロープ張力,履帯スプロケット位置の4地点の車重,アーム接地点の荷重を車重計により測定した。また,車体の姿勢の変位を合わせて測量した。車両中心線とウインチロープ張力の方向が同一の場合,履帯縦向きと履帯横向きで安定性にほとんど差がないことが明らかとなったが,横取り時など車両中心線とウインチロープ張力の方向にずれがある場合,履帯横向きの方が横方向の力に対する安定性が高いことが示された。
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楢崎 達也, 堀 隆博, 梶原 大輔, 松山 知恵, 中井 康貴, 山口 修司, 関下 啓誠, 坂口 義博, 玉置 信之
セッションID: J07
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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成熟期にある森林資源は、活用の段階に来ている。しかし、多くのそういった森林資源は奥山に存在し、これらを外材と競争できるだけのコスト競争力を持って活用することが必要である。そのためには、搬送距離も長く、斜面傾斜も急な現場において効率的に搬出する技術開発が必要である。
それらの一つとして車載式タワーヤーダー(20トン)とそれが活用できる路網づくりについて実践・研究を行った。路盤強度を高める補強盛土工法を取り入れ、急傾斜地において盛土側の補強を行うことで、20トン荷重のタワーヤーダーも通行できることを証明した。
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梶原 大輔, 楢崎 達也, 中井 康貴, 堀 隆博, 松山 知恵, 玉置 信之
セッションID: J08
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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森林資源の活用に向けて、これまで活用できにくかった奥山に位置する森林資源を活用できる範囲のコストで搬出することが求められる。十津川村では、平成26年に急傾斜の箇所において林業専用道を開設し、中距離架線集材を実施した。作業においては、10トントラックに車載下タワーヤーダーを活用した。このような大型車両が急傾斜地において活用できるのかどうかをトラックの登坂力の観点から分析した。
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仁多見 俊夫, 鈴木 欣一
セッションID: J09
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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木質バイオマスの収集効率を向上させることを目的として、圧縮成形機能をもつ処理機構をトラックに搭載した。圧縮成形機能を持つバンドラ―ユニットは重量6t、長さ5.5mで、林地残材などを受け入れるホッパー部、圧縮成形切断する主要部、圧縮成形されたバンドルを受けて側方へ流れ落とす受け部からなる。このユニットをトラックの後部車台へ、旋回可能に装架し、車両キャビン後方に装備した油圧グラップルクレーンでホッパー部へ材料を供給する。車両総重量は、18tである。林地残材は直径約70cm、長さ約4m、重量約400kgのバンドルに成形排出される。バンドル実証作業を行い、1本のバンドルを作成するための処理時間は平均約5分30秒、処理コストは約2千円/tであった。既往の同様な機構の作業では1バンドル処理時間は約2分であって、コストは約600円/tとなることが期待される。この処理量に対応する施業面積は間伐約200ha、主伐約70haとなり、トラックの機動性によって1台の単年の事業量として無理なく処理可能である。今後、さらに操作手順、ユニット機構、バランスの検討が必要である。
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渡辺 一郎, 酒井 明香, 北畠 琢郎
セッションID: J10
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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バイオマス収集対応型フォワーダ(MST800VDL)による林地残材集荷の作業効率について,カラマツ主伐林分で検討した。ただし,今回の試験では最大積載量を明らかにすることに重点を置いたため,積み込み工程までの検討となっている。対象とした林地残材は枝条のみ(ただし,ササ含む)とし,追い上げ材などの端材は含まれていない。林地残材の積み込みには,フォワーダ搭載のグラップルの他に,グラップルローダを使用し,両者の積み込み速度を比較した。その結果,搭載グラップルによる積載量は平均1.7t-wet,積み込み速度は8.1t-wet/時,グラップルローダによる積載量は平均2.6t-wet,積み込み速度は15.2t-wet/時となった。この差は,グラップルローダの作業では,枝条を折ってコンパクトにしてから荷台へ積み込みを行っていたこと,荷台上で枝条を圧迫することが積み込み量を増やせたことの要因と考えられた。
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吉岡 拓如, 井上 公基, Bruce Hartsough
セッションID: J11
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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造材時に発生する末木や枝条などの林地残材を森林バイオマス資源として利用するためには,粉砕作業によってチップ化することが求められる。通常であれば,1箇所の土場に集められた残材の量が多いほど,‘規模の経済’が作用して粉砕作業の能率が高くなることが期待できる。しかしカリフォルニア州で調査した「pile」と呼ばれる残材の山は,日本では見られないほど巨大であり,グラップルローダが残材を投入するために山とグラインダのあいだを行き来する光景が散見され,このことがシステムとしての生産性に悪影響をおよぼしているのではないかと考えられた。そこでグラップルローダ(エンジン出力132 kW)が残材をグラインダ(同522 kW)へ投入し粉砕する作業の生産性について,サイズ小(幅20 m×奥行15 m×高さ4 m),中(30 m×24 m×4 m),大(35 m×30 m×4 m)の3つのpileを対象に時間観測を行うことで比較検討を行った。サイズ中のpileを粉砕したときの生産性が30.65全乾トン/時で最も高くなったことから,粉砕作業を想定した場合の林地残材のpileには,小さすぎず大きすぎず,適切なサイズが存在することが示唆される結果が得られた。
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鈴木 保志, 山下 祐也, 後藤 純一
セッションID: J12
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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薪の自然乾燥速度には,樹種のほかに分割数や剥皮の有無が影響する(佐野ら2011,2012)。無分割も含め様々な分割数や材の大きさ別の乾燥速度を一般化して求めるため,分割材の断面(木口・まさ目・樹皮)別乾燥速度を調べた。スギ,シイ,ケヤキの,約40cm長で平均径14cmの材を2および4分割し,開放面以外はパラフィンを塗布した(供試60本)。実際的な乾燥状態を想定し,軒下に壁を背にして積み上げ,生質量から含水率の変化を計測した。約2ヵ月経過後の結果からは,木口開放と全開放の乾燥速度(乾量基準パーセントポイントppt/週)の間に分割数に関わらず有意差はなかった(4.9~5.9ppt/週)。ただし,まさ目面開放では4分割は2分割よりも有意に高かった(それぞれ5.5,3.6ppt/週)。開放断面積あたりにすると,木口面が4分割(0.071ppt/週/cm
2)と2分割(0.036 ppt/週/cm
2)で他の分割・断面の組み合わせ(0.004~0.010 ppt/週/cm
2)よりも有意に高い値となった。つまり,開放面積を考慮すると乾燥速度に分割数間の差はほぼなく,どの樹種もこの傾向は同様であった。
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狩場 晴也, 山田 容三
セッションID: J13
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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木質バイオマスのエネルギー利用は新たな木材の需要を生み、放置されてきた人工林の手入れや地域経済の活性化に貢献する見込みがある。現在、三重県でも松阪市、津市、多気町に大規模な木質バイオマス発電所が稼働・稼働予定であり、周辺地域において木材需要が拡大することが予想されている。しかしながら、木質バイオマス発電に利用する木材を調達するときにコストが高い事等が問題点として挙げられ、十分な資源量を確保できるかは不明である。そこで、松阪市と隣接する津市、大台町、多気町の2市2町において、森林簿のデータを用いてスギ林、ヒノキ林の立木材積を求め、聞き取り調査をもとに売上高が生産コストを上回る小班を決定し、山側がバイオマス発電に供給可能な木材量を推定した。また、発電に利用する木材の需要が高まることによるバイオマス材買い取り価格の変動を想定して、価格が変動した場合のバイオマス材供給可能量の変化を予想し、この地域における大規模バイオマス発電事業の可能性について考察した。
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中村 省吾, 根本 和宜, 森 保文, 犬塚 裕雅
セッションID: J14
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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2012年7月から開始された再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、木材産業が活性化することが期待されたが、国内の豊富な森林バイオマス賦存量があるにも関わらず利活用が進んでいないのが現状である。この要因として、上流から下流まで多様な主体が介在するという他の再生可能エネルギーにはない森林バイオマスの利用構造の影響が考えられる。本研究では、上記構造を具体的な事例に基づいて明らかにし、各主体における課題の抽出を行うこと目的として、ペレットストーブやボイラーといった熱利用を中心に森林バイオマスの利活用が進んでいる長野県内の森林バイオマス関係者を中心にヒアリング調査を実施した。飯田市では、長野県森林組合連合会から供給された材を用いて南信バイオマス協同組合がペレットを生産しており、行政が関連施設を中心に積極的に需要先を開拓することで供給に見合った需要を創り出していた。また、薪ストーブ、ボイラーでは、材の切り出し、材の輸送、薪割、配送に多様なステークホルダーが関与していた。一方、課題としてエネルギー利用に関する林業との連携構築や、導入当初におけるペレットの品質や供給量の不安定さ等が明らかとなった。
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渡井 純, 池田 潔彦, 星川 健史
セッションID: J15
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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林地残材は主に根元の曲がり材と先端部であるが、このうち根元材は短材ではあるが径も大きく、また、節が少ないことが特徴としてあげられる。そこでこれらの特徴を生かした利用方法として椅子やテーブルなどの家具への利用を検討した。家具材には無節材が求められているが、近年、手入れ不足の森林が増える中で無節材を調達するのは難しく高価なものとなってしまう。根元材を利用することで安価で安定的に供給が可能となると思われるが、根元材に節がどの程度あるかなどの報告は見られない。
そこで今回、実際に林地に残されたヒノキ根元材を採取、製材し、製材後の節の発生状況を調査した。
採取したヒノキ根元材を材芯から3㎝厚に製材し、製材後の板の板目面に出現した節の数と径を計測した。
出現した節の数は材芯から離れるにつれ減り9㎝では平均で0.08個/100㎝
2であった。最も出現個数の多かった材心から3㎝の板でも平均で0.46個/100㎝
2と全体的に少なかった。出現した節の径は最も発生頻度が高いものが5㎜以下のもので全体の4割程度であった。15㎜以上の節は全体の1割程度と多くが小さい節であった。
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市川 真至, 川崎 晴久, 後藤 多朗, 遠藤 孝浩
セッションID: J16
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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日本の林業は,林業従事者の減少や高齢化により,枝打ちなどの重労働が困難となってきている.そのため,高所での危険な作業を排除し,効率的かつ安全に作業を行うことを目的とした枝打ち作業のロボット化が望まれている. しかし,過去に市販された枝打ちロボットは大型で重量があり,作業効率が悪いといった問題点がある.
我々の研究グループで開発している枝打ちロボットは,初めに木を直動上昇し,枝の近傍まで来た時に直動上昇をやめ,タイヤを操舵させ,螺旋上昇しながら電動チェーンソーによって枝切断を行う. この直動と螺旋の切り替えにより,作業効率の向上を図っている.
本研究は,自動的に直動上昇から螺旋上昇への切り替えができるように,木の幹の周囲の枝を網羅し,直径2[mm]以上の枝をロボットから30[cm]以上の距離で計測することを目標とした,超音波センサを8組配置した枝計測システムを試作した.今回,枝計測システムを用いて枝の計測実験を行ったので,その結果と今後の課題について報告する.
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櫻井 倫, 酒井 秀夫
セッションID: J17
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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レーザー測距儀を搭載したコンパスが安価に入手できるなど,林業や林道分野においても調査・測量への情報技術の導入が進んでいる。従来,林道設計業務において縦断測量ではレベルを用いた精密な測量が要求されてきたが,レーザー測距儀の導入によりコンパス測量の精度が向上しており,縦断測量に要求される精度を満たしている可能性もある。そこで,過去の林道設計事例を用いて,夫々のBPとEPの間の高低差におけるコンパス測量の誤差を求め,レーザー測距の導入前後におけるコンパス測量の高低方向誤差を比較した。その結果,事例数が少ないこともあって統計的な差異は検出されなかったが,誤差が小さくなる傾向になりそうなことは伺えた。
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中村 裕幸, 石井 彰, 與儀 兼三, 佐野 俊和, 山場 淳史, 涌嶋 智
セッションID: J18
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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取得された大規模点群データから、林内の地形及び立木情報(位置、直径、樹高、幹曲り、幹材積)の自動生成が可能となり、あらかじめ伐採木を指定した維持管理計画の立案が可能となったが、計画の実施に当たり、伐採木や管理すべき残存木を現場で容易に見つける手段が無く、効率的施業の障害となっている。そこで、採取済点群データと、計画とを現実の森林空間内でマッチングさせ、指定対象木へナビゲーションするシステムを開発した。
開発システムは、下記5サブシステムで構成される。
①作業員の位置の特定。②対象木へのナビゲーション。③一度位置決めに成功した後の移動における継続的な位置決め精度の保持・向上。④継続的位置決めにおいて参照する取得済データと、現況変化の修正。⑤小型軽量安価な装置への実装。本システムをスマートフォンおよびタブレットPCに実装し検証を行い、実用化に目途をつけた。その他、開発を通し判明した事項は下記である。作業員の配置も情報化でき、重大事故の発生する伐倒作業時の重複作業等の把握や、その場合の警告表示等への利用。最適伐採および最適丸太回収ルートのナビゲーション指示による作業効率の向上。
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佐野 俊和, 山場 淳史, 涌嶋 智, 與儀 兼三, 中村 裕幸, 石井 彰
セッションID: J19
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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我々は地上型3次元レーザースキャナ(TLS)を用いた森林計測・解析システムによって,市場・製材工場段階で行われている曲り等級区分を,立木状態で品質管理ができるシステムの実現を目指して開発・研究を行っている。本発表は幹の曲りの指標である最大矢高をTLSデータ解析により推定し,実測値との比較を行った結果の報告である。TLS計測は広島県廿日市市吉和の46~50年生スギ・ヒノキ林にて行い,スギ15本,ヒノキ15本を対象に,3m採材(元玉のみ)および4m採材(2番玉以上を含む全玉)の場合の最大矢高の推定値をレーザー点群データ解析により求めた。対象木はTLS計測後に伐倒・造材し,最大4番玉まで採材して合計75本の丸太について土場にて最大矢高の実測を行った。その結果,①元玉の3m採材,4m採材ともに実測値と推定値の相関は高く,残差の標準偏差は0.5~0.6㎝であった。②4m採材の採材玉間の比較では,元玉と2番玉については実測値と推定値の相関は高かったが,3番玉と4番玉では相関は低くなっていた。これは3番玉以上は樹冠内部に入り込んで枝葉がレーザースキャンの障害となり,点群データ密度が低くなったこと等が原因と考えられた。
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與儀 兼三, 佐野 俊和, 山場 淳史, 涌嶋 智, 中村 裕幸, 石井 彰
セッションID: J20
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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広島県においては、柱を主体とした構造材(3m規格)の需要が低迷している中、安定した4m材の需要があるにも関わらず、3m材が需要以上に供給されるという、ニーズ規格(材長)のミスマッチが依然として発生している。そこで、この問題を解消するため、(株)woodinfoが開発した地上型3次元レーザースキャナを用いた森林計測・解析システム(Digital Forest)から得られた立木情報を活用して、川下側の要求する丸太の安定供給を図るシステムを考えている。
本報告は、県北西部の廿日市市吉和のスギ・ヒノキ46~50年生の林分において、本県でニーズの多い材長4m(末口径13cm以上)の採材を前提条件として、樹高と胸高直径から採材材積を予測する当センター(2009岡部ら)が開発した「立木在庫表示システム」(A)と「Digital Forest」(B)によって丸太換算した値をそれぞれ土場での実測値との相関を比較した(対象木30本)。その結果、採材した75本の丸太は、材積でみると(A)0.950と(B)0.962、また末口径では(A)0.889と(B)0.942といずれも高い相関が認められた。
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涌嶋 智, 佐野 俊和, 山場 淳史, 與儀 兼三, 中村 裕幸, 石井 彰
セッションID: J21
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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地上型3次元レーザースキャナ(TLS)は,従来型の毎木調査に比べて精密な立木・地形の形状計測を短時間で行うことが可能である。FARO社のFocus3D120を用いて,面的調査(広島県廿日市市吉和)と標準地調査(三次市作木町)の一連の作業について,①スキャン作業(設置,スキャン,RGB撮影),②付帯作業(ターゲット設置,刈払い,徒歩移動),③休憩等(昼食,休憩,天候待機),④作業準備等(出発準備,撤収,打合せ),⑤車移動の5区分に分けて時間計測を行った。また,従来型の毎木調査(北広島町甲繋他4箇所)と調査内容や作業量等の比較を行った。面的調査では25~37スキャン/日(合計約4時間~4時間30分)を行ったのに対し,標準地調査では8~15スキャン/日(合計約1時間20分~2時間40分)で,②付帯作業の割合が相対的に高く,④作業準備等及び⑤車移動により多くの時間を要したが,調査対象面積当たりの作業量は標準地調査の方が低いため,調査目的に応じてこれらを使い分けることが効率的であると考えられる。従来型毎木調査との比較では,TLSの方が得られるデータの種類及び1人日当たりの調査木本数が多い結果となった。
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河原 大陸, 浦辺 幸夫, 前田 慶明, 岩田 昌, 沼野 崇平
セッションID: J22
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
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【緒言】
チェンソーを扱う林業従事者の77%に, 腰痛があるといわれている . 腰痛の原因のひとつに傾斜地での伐倒作業があげられる. そこで本研究の目的は, 傾斜地での伐倒作業姿勢保持時の腰部脊柱起立筋(ES)の筋活動量を測定し, 傾斜方向の相違がESにあたえる影響を検証した
【方法】
対象は健常成人男性10名とした. 対象にはチェンソーを保持させ, 傾斜角度30°の傾斜台上で, 立位姿勢を10秒間保持させた. 傾斜方向は, 右下がり, 左下がり, 後ろ下がり, 前下がりの4方向に, 平面での姿勢保持を加えた計5方向とした. 左右のESの活動電位を測定し, 最大等尺性収縮で正規化を行い, 筋活動量を算出した.
【結果】
左右 ES の筋活動量を比較すると, 平面で右の筋活動量は左よりも有意に増加した(p<0.05). 傾斜方向の違いで比較すると, 左右ESの筋活動量はそれぞれ5方向間で有意な変化はみられなかった.
【結論】
傾斜地では身体の安定性が減少し, 体幹伸展筋群の筋活動が増大する(Jiang et al. 2005). しかし本研究では, 先行研究を支持する結果が得られなかった. このためESの筋活動量が増加する原因は, 傾斜地での伐倒作業ではなく, 伐倒作業姿勢などが可能性として考えられる.
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松山 知恵, 楢﨑 達也, 堀 隆博, 梶原 大輔, 和田 一幸, 玉置 信之
セッションID: J23
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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森林生産システム研究会は、森林利用学分野の研究会として、先進的な生産システムや林業工学の研究成果の紹介などを林業現場において実施しているものである。今般、第19回目の森林生産システム研究を奈良県十津川村で開催した。
奈良県十津川村は、奈良県の最南端にあり、紀伊半島の中央部に位置する。面積672.35km2で村としては日本一の広さをもち、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部や温泉などの観光資源が村内にあるものの、人口約3,700人、面積の96%が森林であるという一般的な山間地域であるため、村の主産業は「林業」にならざるを得ないという場所である。
このような林業が主産業にならざるを得ない山間地域において、林業イベントを通じて林業分野の先進的な取組みを全国的に発信することによる地域活性化の効果を検討することとした。
十津川村において開催されている林業分野以外のイベントと第19回森林生産システム研究会における参加者数、かかった経費等を比較することにより、十津川村における林業イベントの経済的な効果を分析した。
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脇谷 すみれ, 山田 容三
セッションID: J24
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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近年、森林における多面的機能の一つとして生物多様性保全機能が重視されている。また、日本国土の約27%を人工林が占めており、人工林内での生物多様性保全が必要であると言える。そこで、森林管理者には自分の所有する森林の現状を把握した上で、生物多様性の保全に配慮した管理を行うことが求められている。以上のことを背景に、香坂(名大院生命農修論2014)が人工林内に侵入した広葉樹の多様性に注目し、景観スケールでの人工林内広葉樹多様性の評価手法を提唱した。本研究では、愛知県の段戸国有林を対象とし、この手法をより現実的なものに改良することと、手法の森林管理への応用例として、現在定められている計画よりも広葉樹多様性の保全が可能と思われる伐採計画への改善を提案することを目的とする。まず、施業群ごとの伐期で伐採した場合の人工林内広葉樹の多様性が高い小班分布の時間的変移を、GISを用いて10年ごとにシミュレーションした。次に、伐期を計画から一部ずらした場合についてシミュレーションを行い、高評価小班の配置と合計面積で結果の検討を行った。
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松本 武, 廣川 良輔, 岩岡 正博
セッションID: J25
発行日: 2015年
公開日: 2015/07/23
会議録・要旨集
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これまで好まれやすい林内景観の特徴として,樹幹枝視率と立木密度が低い森林(梶返,1987),散策利用の場合立木密度600本/ha以上(藤本,1978),立木密度800本/ha以下(真鍋ら,1990),密度が低く,個々の木が太い高齢林で低木層がない森林(朴ら,1992),胸高直径合計(m/ha)が低い森林(井川原ら,2004)等が示されており,いずれの研究でも共通して立木密度が重要な指標として指摘されている。
しかし,これらの研究では異なる林分の林内景観を区別せずに分析をしているため,地形や樹種などが好ましさの評価に影響している可能性が考えられる。また,被験者が森林科学を学ぶ学生や20代と30代の一般人が中心である等,特定の属性に偏っているため,必ずしも一般的に好まれる林内景観の特徴が明らかにされているとは言えない。
そこで,本研究では樹種や齢級構成が単純な同一の針葉樹人工林を対象に実際に間伐を行って立木密度を変えていき,多数の幅広い層からの被験者の評価からどのような立木密度の林内景観が好まれるのかを明らかにする。さらに,好ましさの評価に影響する被験者の属性についても明らかにする。
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