日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
選択された号の論文の839件中201~250を表示しています
学術講演集原稿
  • Sri Een Hartatik, Itaya Akemi, Arief Mochamad Candra Wirawan
    セッションID: P1-015
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    Urban green space is known to be important for the physical and mental health of children. However, the number of urban green space has been decreasing in Indonesia. Attributes of green spaces for playgrounds for elementary school children in Malang were investigated in this study. RapidEye image was used for detecting green spaces and attributes of green spaces. Locations of elementary schools were obtained from government data and visual interpretation for satellite images on Google Earth Pro. In Malang, There were 293 elementary schools. Larger green spaces such as mountain area were mostly located outside of the city. There was no large green space (> 1ha) within 2km in 91 schools (31% of the schools). Small green spaces and crop fields have possibility for nearby playgrounds.

  • 大宮 徹, 太田 道人, 山下 寿之, 松久 卓, 城 賀津樹
    セッションID: P1-016
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    1971年に全線開通した立山黒部アルペンルートは、3,000m級の山岳を貫く観光ルートである。計画当初から、国立公園である立山の自然景観保全を求める声も強く、国による工事認可にも緑化は現地産植物で行うことが明記された。これを受けて1966年、立山ルート緑化研究委員会が発足し、沿線の植生復元について研究と現地指導を行うこととなった。緑化には成長の早い外来種を併用することが常識であった当時、亜高山地帯で採取した種子・苗条のみを用いるという困難な課題に委員たちは意欲的に取り組み、その結果、ミヤマハンノキやヒロハノコメススキなどが緑化材料に選ばれた。緑化施工後、半世紀近くが経過した箇所を2012年から2016年にかけて調査したところ、その多くはオオシラビソ稚樹を含むミヤマハンノキ林やチングルマ群落などに遷移しており、当初の目標はおおむね達成していると判断された。しかし、成長しすぎたミヤマハンノキ林が周辺環境に影響を及ぼしている例もあり、今後これらの施工地の植生をどのような植生へと誘導していくかが課題となっている。一方、植被回復の遅れている箇所では、再度の緑化に向けて、その原因を詳しく分析することが求められている。

  • 川上 哲平, 深町 加津枝
    セッションID: P1-018
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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     里山などの二次的自然は希少種を含む様々な動植物が生息・生育しており、原生的な自然環境と同様に生物多様性の保全のために重要な地域である。本研究では水辺の二次的自然としてのヨシ群落を含む内湖とその周囲において、土地利用・管理状況とそれらの場所の鳥類の出現・利用状況の関係を検討した。2016年6月から12月に滋賀県東近江市伊庭内湖周辺において、ラインセンサス法とスポットセンサス法による鳥類調査を実施した。ラインセンサスでは、内湖及び河川の岸に3ルートを設定し、3ルート上にそれぞれ2か所、合計6か所のスポットセンサス用の定点も設置した。また、鳥類調査を行った範囲について、現地調査及び衛星画像の判読から現在の詳細な土地利用を把握した。以上の調査から得られた結果に基づき、ヨシ群落の分布・管理状態や内湖、農地、集落の配置パターンと鳥類の利用状況との関係を分析することで、鳥類にとっての里湖(さとうみ)景観の価値と今後の在り方について考察する。

  • 鞠 佳岐, 伊藤 太一
    セッションID: P1-019
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    IUCNは国際的保護地域区分のために、管理目的に応じたカテゴリを1978年に導入し、1994年に新カテゴリとなる。このカテゴリは1997年の国連保護地域リストから導入され、2003年からはカテゴリ決定権が世界保全モニタリングセンターUNEP-WCMCから各国の保護地域関係者等に変更された。さらに、2008年版のカテゴリガイドラインで、それぞれの保護地域のカテゴリ決定のプロセスも定められた。このような変更の影響を国連リストに掲載された中国の保護地域から探った。国連リストを分析した結果、中国の保護地域は「自然保護区」主体で1982年から国連リストに掲載され、1997年には561箇所であったのが1,000 ha未満も掲載可能になった2003年には805箇所、国家以外のガバナンスによる保護地域も認められた2014年には2048箇所と増加していることが示された。また、2003年と2014年のリストを比較すると805箇所のうち409箇所が削除され、350箇所以上がカテゴリⅤに変更されている。このような変更はガイドラインよりも中国側の資源利用方針に影響されたと考えられる。

  • 田中 伸彦, 二重作 昌満, ショウ テイ
    セッションID: P1-020
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    本調査は、観光レクリエーションを目的とした日本の自然地域のデスティネーション管理に、実践的経営概念を効率的に組み込むにあたっての人的資源管理方策を検討するための研究の一環として行われた。調査対象国は、2011年に観光を目的とした自然公園の土地利用管理方策としてDMF(デスティネーションマネジメントフレームワーク)を採用した自然地観光管理の先進国ともいえるニュージーランドとした。今回の発表では、特に高等教育に着目し、ニュージーランドにおいてどの様な観光教育が体系立てられ、その中で自然地観光の人材育成がどのように行われているのかについて、資料分析とインタビュー調査を行った。調査の結果、ニュージーランドでは、NZQAという評価機関により学校教育水準が明確にレベル化されており、高等教育は大学(マネジメント人材)とポリテクニーク(オペレーショなる人材)の2種類の教育機関で行われていることが明らかとなった。その中で、今回の調査では2大学(リンカーン大学、オークランド工科大学)および1ポリテクニーク(NMIT)におけるインタビュー調査を行い、その特徴について考察した。

  • Tomasi Junior Tawatatau Sovea, Itaya Akemi, Arief Mochamad Candra Wira ...
    セッションID: P1-021
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    Solar energy has become a popular alternative in replacing fossil fuels on a global scene. As a result, previous natural land covers might be influenced. The purpose of this study was to assess the distribution of installed solar panels in Mie prefecture. Locations of solar panels were obtained from visual interpretation for satellite images on Google Earth Pro. Vegetation map of 5th National Basic Survey on Natural Environment were used as land cover before installation. In Tsu city, 479 solar panels were found. Paddy field and Crop field have been installed more than 100 solar panels. The reason for this might be that the cultivation abandonment ground has been increasing in Japan. After developing forests, 48 solar panels have installed.

  • 矢野 圭祐, 藤野 正也, 栗山 浩一
    セッションID: P1-023
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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     国立公園や名勝地などの自然環境を保全するため、利用者に負担を求める入域料の導入が各地で検討されている。先行的に導入されている地域の1つである屋久島では、これまで任意の募金形式で協力を呼び掛けてきたが、低徴収率が常態化しており、事業費が不足するという課題があった。この課題解決のため、屋久島では2017年3月より新たな入山協力金を導入し、ゲート設置等による徴収率の向上を予定している。しかし、半ば強制的な入域料の徴収に対しては批判も存在し、管理側には入域料徴収に関する情報の透明性や説明責任が求められている。 本研究では、新たな協力金の支払率と協力金の使途に対する利用者の声を把握するために、2016年9月に屋久島を訪れた観光客を対象に現地アンケート調査を実施した。その結果、新たな協力金の予想支払率は76%であった。また、協力金の使途については、山岳トイレの維持管理費に対しては94%が望ましいと回答したが、マナー啓発やマイカー規制に係る費用に対しては、望ましいという回答はそれぞれ66%、63%であった。この結果、入域料導入に関して利用者からの理解を得るためには、入域料の使途が影響することが明らかとなった。

  • 宮崎 優也, 藤野 正也
    セッションID: P1-024
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    近年、環境が持つ価値を経済的に評価する環境価値評価の利用が増加してきており、一般には仮想評価法(CVM)がよく用いられている。しかし、対象となる財についてボランティア活動を行っている人は、そうでない人と比べるとWTPが過小評価となることが想定される。そこで、ボランティア活動が想定される環境財の評価手法開発を試みた。WTPが低くなる理由としては、ボランティア参加者が、環境保全のためにお金で支払うよりも労働による貢献を好むということが想定されるため、ボランティア従事中の機会費用(VOC)を考慮することが妥当であると考えた。また、ボランティアに参加するための旅行費用及び機会費用もトラベルコスト法(TCM)を用いて算出する必要がある。これを実証するために、ボランティアが組織的に再生・保全活動を実行している、佐賀県唐津市にある虹の松原を取り上げる。虹の松原におけるボランティア参加者を対象にアンケート調査を行い、一年間のWTPを推定した。その結果、CVMによるWTPは2,153円、VOCは9,438円、TCMでは5,736円となった。よって、ボランティア活動が想定される環境財の評価においては、CVMだけでなく、VOCやTCMを併用することが必要だといえる。

  • 金岡 武蔵, 藤野 正也, 栗山 浩一, 庄子 康
    セッションID: P1-025
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    沖縄本島の北部に位置するやんばる地域は豊かな自然資源を有しており、世界自然遺産の登録に向けての取り組みが進められている。世界自然遺産の登録は観光客を増加させるが、オーバーユースによる自然破壊や対策のための財源確保などの問題を生み出す可能性がある。対策の一つとして入域料が考えられる。これは入域料を徴収することで観光客数抑制効果と環境政策の費用を捻出する効果を持つ。本論文では、2016年9月にやんばる地域を訪れた観光客を対象にアンケートを行い、環境評価の手法である仮想評価法と仮想トラベルコスト法を用いてやんばる地域が世界自然遺産に登録された際の入域料の効果について分析を行った。推定の結果、両手法とも入域料による一定の費用捻出効果が見込まれる結果となった。その一方で、観光客数抑制効果については仮想評価法では効果が見込めたが、仮想トラベルコスト法ではあまり見込めなかった。結果に差が生じた原因として範囲バイアスの存在などが考えられた。これらの点から入域料により一定の費用捻出行うと共に、エコツアーなどの観光客数抑制効果がより見込めるような他の手段と組み合わせることが、諸問題への対策になると考えられた。

  • 早川 尚吾, 杉浦 克明
    セッションID: P1-027
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    神奈川県藤沢市には三大谷戸があり,その保全をめざした施策が展開されている。その一つの川名清水谷戸には,1957年より谷戸を分断する形での道路計画があり,自然環境への影響についての議論がある。そのような中,後世に川名の自然を伝えること目的として発足した一般市民ボランティア団体に川名里山レンジャー隊があり,環境教育活動を1999年より小学校3年生の総合の授業として開始している。そこで,本研究の目的は,緑地保全を目的として発足したレンジャー隊に参加するインストラクターのこの活動に対する意識を明らかにすることである。これまでにインストラクターになった52名に対してアンケート調査を行った。その結果,この活動の参加のきっかけは,サークルとの繋がりによって参加している人が多く,インストラクター確保を容易にしている。参加者へは,自然の大切さ,自然遊び,身近な自然を知ってもらいたいと思っている。道路問題に対しては,道路開通に反対という意見が多かった一方,道路開通との共存を考えるべきといった意見も見られた。地域の環境保全をテーマとして,インストラクターにとっても地域の問題を考えるきっかけになっている。

  • 牧口 未和, 高橋 一秋
    セッションID: P1-028
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    2016年6月5日開催の「全国植樹祭ながの2016」で植栽された5種類の樹木の特徴や利用方法を五感を使って楽しみながら学ぶために森林環境教育プログラムを開発し、植樹祭直後に小学生約40名を対象に実践した。各チェックポイント(CP)で行った学習シートの分析を通じて、事後学習としての学習効果を分析・評価した。 CP「視覚」ではコナラの葉を観察・スケッチし、CP「聴覚」ではクヌギの葉擦れの音を聴き、その音を記号で描写した。CP「触覚」では目隠しをしてサクラの木を触って樹皮の感触を味わった。CP「嗅覚」ではアカマツとクヌギの幹の匂いを嗅ぎ分け、CP「味覚」ではメイプルシロップの味わいについて学んだ。 コナラの葉の特徴を正確に描けていたかどうかの評価点は37.9点(鋸歯先端までの側脈の伸び)から94.4点(鋸歯のギザギザ)までとバラつきが認められた。サクラの樹皮の特徴についての正解率は93%であった。クヌギの葉擦れの音を「しずく」「傘」「雷」の記号を使って描写し、アカマツの匂いを「甘い」「好き」「新しい家」の匂いと表現した小学生が多かった。メイプルシロップがカエデの仲間から作られていることについての正解率は49%に留まった。

  • 米森 正悟, 加治佐 剛, 寺岡 行雄
    セッションID: P1-029
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    森林経営において立木密度の把握は、施業計画の立案や持続的な森林管理を行う上で重要である。立木密度の推定には、標準地法を用いた推定が主流である。近年、航空機レーザ計測技術(Light Detection And Ranging 以下 LiDAR)は、単木レベルでの樹高の把握や詳細な地形の計測に用いられている。しかし、LiDARデータを用いた単木抽出において地形、林分構造、抽出手法などの様々な要因によって抽出されない立木が出てくる。LiDARで抽出されない立木の特徴や要因を把握することは、林分内の詳細な情報を得る上で重要である。そこで本研究では、LiDARデータを用いた単木抽出の精度検証と、その誤差要因の検討を行うことを目的とした。

  • 中武 修一, 山本 一清, 宇野女 草太, 吉田 夏樹, 山口 温
    セッションID: P1-031
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
    会議録・要旨集 フリー

    前報告で、航空機LiDARから得られた樹種ごとに特徴的なパラメータを用いることで、単木レベルでの樹種分類が可能であることが示された。しかし、分類結果と実際の森林内の林分構成を比較すると、ヒノキ、カラマツ間やスギ、ヒノキ間で誤分類が起きる傾向が確認できた。そこで本研究では、分類に用いるパラメータを増やし、より正確な樹種分類が可能であるか検討を行った。分類対象地は、名古屋大学稲武フィールドで、分類対象樹種はスギ、ヒノキ、アカマツ、カラマツ、広葉樹の5樹種である。前報告で使用した単木の反射強度及び樹冠の形状に、新たにLiDARレーザー透過率 (LPI) 及び樹高をパラメータに加え、RandomForestにより単木レベルでの樹種分類を行った。分類結果を現地の詳細な植生図と比較したところ、95 % 弱の分類精度が得られ、前述した樹種間の誤分類の改善も確認できた。なお、本研究は、災害に強い森林づくり推進事業 (三重県) の助成を受けたものである。

  • 川北 憲利, 長島 啓子, 田中 和博, 高岸 且, 林 大貴
    セッションID: P1-032
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    林業の低迷により、間伐をはじめとする人工林の整備が十分に行われず(遠藤, 2012)、再造林放棄地や管理不足人工林の増加が問題となっている(村上ら,2011;Nagashima et al,2009)。このような中、林業の再生および人工林の整備の推進に向け、近年、航空機LiDARや地上型レーザスキャナ(以下地上型LS)による効率的な森林情報の整備が注目されている。特に地上型LSは単木的に材積を推定できるだけでなく、上部直径、曲がりを把握することが可能であり、これにより林業事業体が出荷先および収益を事前に把握・検討できるようになると期待されている。しかし、地上型LSで推定した樹幹形状が実際の樹幹形状をどれだけ再現しているか検証した事例は少ない。本研究では、2016年10月11日、12日に京都府立大学大野演習林のヒノキ林において,地上型LSによる森林計測を実施し、2017年1月に同林分のヒノキを合計10本伐採,樹幹解析を実施し,2m毎の上部直径を計測した。また、地上型LSから得られた立木位置図を用いて伐採木を抽出した。そして、樹幹解析で得られた高さにおける地上レーザ上の直径を把握し,樹幹解析の結果と比較した。

  • 二宮 浩介, 村上 拓彦, 箕口 秀夫, 塚原 雅美, 紙谷 智彦
    セッションID: P1-035
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    かつて薪炭林として利用されたブナ林は、地域によっては用材としての利用が期待できるまでに成長している。国内で家具などに使われているブナ材はほとんどがヨーロッパから輸入されたものである。旧薪炭ブナ林を用材林として持続的に利用するためには供給可能な資源量の推定が不可欠である。本研究は(1)UAVで撮影した空中写真から林分スケールでのブナ資源量の推定と、(2)伐採後の丸太と挽板材積までの推定を目的とする。調査対象は新潟県魚沼市の旧薪炭ブナ林2林分である。着葉期と落葉期にそれぞれの林分においてUAVで空中写真を撮影し、オルソ画像を作成するとともに、計2.83haの毎木調査を行った。その結果、二時期の空中写真をオーバーレイすることで個体識別を容易に行うことができ、単木単位で樹冠範囲を描画した。毎木調査の結果と空中写真上で測定した単木単位の樹冠サイズから得られた相対成長関係式によって、林分スケールでの立木幹材積の推定を行うことができた。さらに、調査区付近で伐採されたブナ41本から樹幹の細り表を調製し、丸太材積と挽板材積の回帰式を作成した。これらを組み合わせることで、立木から挽板枚数の算出までの一貫した評価法を検討した。

  • SADEEPA JAYATHUNGA, TOSHIAKI OWARI, SATOSHI TSUYUKI
    セッションID: P1-036
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    By addressing the limitations of conventional remote sensing approaches, unmanned aerial vehicle(UAV) platforms may bridge the gap between the need for an effective method for data acquisition, and the considerable efforts associated with field surveys. Our aim is to explore the applicability of fixed-wing UAV imagery for forest structure classification and mapping at the UTokyo Hokkaido Forest. To achieve this, we (i)built a dense point cloud from UAV imagery using structure from motion(SfM) technology, (ii)developed a forest structure classification scheme using UAV-SfM data, and (iii)mapped forest structural complexity. In this study, structural complexity in a mixed conifer-broadleaved forest could be analyzed effectively using UAV imagery. Our results revealed the presence of diverse forest structures with varying complexity at fine-scale(0.04ha cell size). This variation of complexity suggests the need of greater emphasis on structural diversity when managing natural forests.

  • Khatancharoen Chulabush, Tsuyuki Satoshi
    セッションID: P1-037
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    Russian boreal forests are considered the largest and the most intact forested region on Earth. The forest cover is mostly influenced by natural disturbances, including wildfire. However, the changes of remote Russian forests and the frequency of wildfire have not been well studied within scientific community due to low security and low accessibility. Our goals is to characterize forest-cover changes inside and outside Zeysky Protected Area for the period 1988-2016 using remote sensing and GIS. We use Landsat satellite images of 1988, 1999, 2010, and 2016 to map and analyse disturbed areas and forest cover changes. We applied object-based supervised classification to map the time-series land cover and then combined the results to analyse the forest cover change. Our results show that disturbed areas and forest covers vary greatly in- and outside protected area, suggesting that there are strong linkages between fire and forest types.

  • Popal Shogufa, Tsuyuki Satoshi
    セッションID: P1-038
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    Deforestation is one of the significant environmental issues in the world but has not been studied intensively in Afghanistan due to insecurity, confined budget, lack of expertise, and limited accessibility to new technology. In such a situation, remote sensing technology offers practical, economical and reliable information for assessing forest cover and monitoring its spatial and temporal dynamics. This study aims to map forest cover changes and to detect deforestation between 1993 and 2016 in six districts of Nuristan Province in Afghanistan using remote sensing and GIS. To achieve these objectives, we (i) preprocessed and classified Landsat 8 and Landsat 5 images (ii) mapped forest cover and forest cover change, and (iii) calculated deforestation rate based on the forest cover change. This study can be utilized as a baseline assessment for future forest management, restoration, and conservation at local, provincial, and national level in Afghanistan.

  • 三谷 綾香, 山本 一清
    セッションID: P1-039
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    民生用3DカメラFinePix REAL 3D W3(富士フィルム社製)を用いた簡易的森林計測手法の開発を目的として、渡邊・山本(2013)はテンプレートマッチング手法による立木個体抽出及び撮影点からの距離推定に関する研究を行い、目視判読を半自動化した上で10 m以内での高精度な距離推定精度を示した。 また、前報(三谷・山本2016)では、光学3倍ズームを用いた場合(望遠)での距離推定精度を検討し、最大38 mまでの高精度な距離推定の可能性を明らかにした。一方、これまでは撮影画像内の各画素の撮影点からの距離はテンプレートマッチング手法により自動推定していたが、立木個体は目視判読により抽出していたため、判読者に多くの判断や労力を要した。 そこで本研究では、テンプレートマッチング手法により得られる画像各画の撮影点からの距離(点群)を利用した立木個体抽出方法について検討し、3Dカメラによる自動簡易森林計測システム開発の可能性を検討した。

  • 福本 桂子, 太田 徹志, 溝上 展也, 岩永 史子, 吉田 茂二郎, 寺岡 行雄, 加治佐 剛
    セッションID: P1-040
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    持続可能な林業経営を行う上で,初期育林コストの削減は重要な課題である。その中でも下刈り回数の削減が注目されている。下刈り回数を削減した場合,雑草木との競争による植栽木の枯死や,雑草木の繁茂による視認性の悪化に伴う誤伐が生じる可能性がある。その結果,下刈り回数の削減が植栽木の生存率に影響し,主伐時の収益が減少する可能性がある。しかし,下刈り回数の削減と枯死率,誤伐率などの植栽木の欠損について研究された事例は少ない。そこで本発表では,下刈り回数に加えてスケジュールの異なるスギ幼齢林分における,植栽木の枯死率と誤伐率を明らかにした。また,下刈り回数・斜面方位・植栽密度を説明変数とする多項ロジスティック回帰分析を行い,これらの要因が植栽木の枯死と誤伐にどのように影響しているか,その傾向を明らかにしたので結果を報告する。

  • 谷口 寛昭, 太田 徹志, 保坂 武宣, 岩永 史子, 福本 桂子, 吉田 茂二郎, 作田 耕太郎, 井上 昭夫, 溝上 展也
    セッションID: P1-041
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    針葉樹人工林を針広混交林へ誘導する技術が要求されている。そこで本研究では、帯状伐採による針広混交林化を目指す上で、伐採幅等の違いが天然更新の進捗に及ぼす影響を検討した。対象地は、大分県の帯状伐採試験区内の、帯状伐採区53箇所と未伐採区(一斉林)6箇所とした。伐採区の中心付近に方形プロットを設置し、大分県天然更新完了基準を満たす個体の樹種、樹高、測定可能な場合は胸高直径を測定した。同時に伐採幅、伐採後の経過年数、保残木の樹種、帯の方位角、近接広葉樹林までの距離を得た。それらの値を用いて一般化線形回帰分析および変数選択を行った。その結果、更新した樹木の本数および樹高は、伐採幅、伐採後の経過年数、保残木の樹種に影響されることが示唆された。

  • 池田 正, 太田 徹志, 岩永 史子, 福本 桂子, 吉田 茂二郎, 保坂 武宣, 作田 耕太郎, 井上 昭夫, 溝上 展也
    セッションID: P1-042
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    近年、生物多様性の低下や地力の低下などの生態学的機能の低下を背景に、皆伐施業から複層林施業への移行が進められている。特に、森林の公益的機能の発揮を重視する施業として群状・帯状択伐施業が注目されている。これまで、群状・帯状択伐林の植栽木の成長に関して、最適な伐区サイズの検討が行われてきた。その一方で、林齢の違いによって最適な伐区サイズが異なる可能性がある。しかし、最適な伐区サイズについて、林齢を考慮して議論された事例は少ない。そこで、本発表では、林齢ごとに最適な伐区サイズを明らかにすることを目的に、大分県民の森長期育成施業モデル団地に設置された帯状択伐区および皆伐区を対象に、2011年から2016年までに4度の現地調査を行った。また、統計モデルを用い、伐区サイズの異なる群状・帯状択伐林の植栽木の樹高、直径成長を時系列で推定し、林齢別の最適な伐区サイズを明らかにしたので、その結果を報告する。

  • 須藤 朋美, 伊東 啓太郎, Ingunn Fjørtoft, 山下 太郎, 山下 育子
    セッションID: P1-043
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    本研究では、森林を活用した教育を行っている日本の幼稚園、ノルウェーの小学校において、子どもたちと教育者がどのように森林と関わり、遊びや学びを行っているか報告する。日本での対象地は、京都府京都市の東山三十六峰からつながる緑地の中に位置する、北白川幼稚園である。木々に囲まれた立地から、子どもたちは外遊びの中で植物や昆虫を対象にした遊びを行っている。副園長による日々の活動記録のテキストデータより、自然に関わる遊びを分析したところ、180種類の自然遊びが確認できた。ノルウェーでの対象地は、首都オスロから約55km南西に位置するオルモウセン小学校で、周辺には松が優占する森林や湿地がある。周辺の自然環境を活用したカリキュラムを実施するため、小学校の職員とともに周辺環境の調査を行い、授業で活用できる場所を検討した。さらにその後、周辺の湿地に生息するサンショウウオを題材に、科目を横断して実践的に学ぶ体験型の野外学習が5年生の生徒を対象に実施している。2つの対象地で、森林生態系を活用した学習や遊びが確認できたが、今後は活動を通した自然環境の保全の取り組みの方針について、議論していく必要があると考えられる。

  • Shwe Yee Lin, Keitaro Ito, Tomomi Sudo, Yurie Hanada, Takahiro Nakamat ...
    セッションID: P1-044
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    Being a developing country, the balance of development and nature preservation is the essential role in Myanmar. Urban National Parks are important for nature preservation and recreation opportunities for visitors. It is a place where the communities can have experience the nature landscape, different from city landscape. Hlawga National Park is considered as study area which has easy access from Yangon urban area and connects with Bago Yoma. This study aims to examine the characteristics of park from the preferences and attitude of visitors and the nature of forestry. We consider (1) the present nature of park, (2) the preference and attitude of visitors, and (3) problems for sustainability of nature environment. Our findings will generate further discussion on the planning for conservation management of nature environment and biodiversity with the collaborative processes of visitors and tourists.

  • 金道 知聖, 江上 浩, 鈴木 重雄, 久本 洋子
    セッションID: P1-045
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    放置竹林駆除の負担を軽減するため、薬剤と伐採を組み合わせた手法が提案されている。本研究では、この手法がタケの再生や広葉樹の成長にどのように影響を及ぼすかを調査し、その有効性を明らかにした。 雑木林にマダケが侵入し、竹稈密度が高くなっている試験地を用い、毎年竹稈の伐採のみを繰り返す区画(伐採区)と伐採直後に一度だけ薬剤を散布し、その後伐採を繰り返す区画(薬剤+伐採区)を2013年に設置した。両区画について、2016年に再生した竹稈の分布、根元径、広葉樹の分布、樹高、胸高直径を調査した。マダケについては「集中度」として、周囲3m以内に存在する竹稈の根元断面積合計の対数値を算出した。その結果、マダケの密度は伐採区が高かったのに対し、広葉樹の密度及び樹高は薬剤+伐採区が高く、薬剤と伐採の組み合わせにより、竹稈の発生は大幅に抑えられ、広葉樹の成長もよくなることが示唆された。また、それぞれの区画内でマダケの集中度と広葉樹の密度には負の相関が見られ、マダケが少ない場所ほど広葉樹の再生が進んでいることが示唆された。

  • 吉田 羽吹, 長島 啓子, 田中 和博
    セッションID: P1-046
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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     鹿食害やナラ枯れによる植生衰退や管理放棄林の荒廃による生物多様性の低下が問題となっており,広葉樹林の再生や人工林の広葉樹林化が課題となっている。しかし,現状では広葉樹林の再生方針となる様々な樹種の生育適地について,十分な知見は蓄積されていない。そこで本研究では,奈良県奈良市の春日山原始林を研究対象地とし,アカガシ,ツクバネガシ,ウラジロガシの生育適地を把握するため,3樹種の大径木の分布と立地条件との関係を調べた。まず,胸高直径80cm以上の大径木の分布図からアカガシ35本,ツクバネガシ37本,ウラジロガシ67本を抽出し,その立地条件(傾斜,大地形,微地形,堆積様式,表層土粒径)を調査した。そして,クラスター分析により立地条件を3樹種の生育本数割合によって分類した。その結果,ウラジロガシのみが生育する立地条件群,ツクバネガシ優占の立地条件群,アカガシ優占の立地条件群,全体の生育本数割合と同程度の立地条件群の4つに分類された。そして,アカガシは緩傾斜・凸部又は平衡・残積性匍行土に,ツクバネガシは緩傾斜・凹部・崩積土に,ウラジロガシは急傾斜に分布する傾向が示唆された。

  • Omari Abdulhaq, Toda Hiroto, Che Dongsu
    セッションID: P1-047
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    Soil moisture and phosphorus fertility are an important factor that can affect plant growth, and development. Ectomycorrhizal fungi can enhance uptake of water and nutrients in water scarce and phosphorus deficient conditions. Oak seedlings exposed to three levels of moisture and phosphorus to investigate seedlings growth, mycorrhizal infection rate, nutrients and radioactive-cesium uptake. The results indicate that treatments receiving low level of moisture and phosphorus had high percentage of mycorrhizal infection. Leaves radioactive-cesium concentration of treatment with low moisture was significantly lower than those treatments received moderate and high levels of water. Also, treatment with high amount of phosphorus fertilization had greater concentration of leaves radio-cesium than two other treatments received moderate and low level of phosphorus. This study suggests that mycorrhizal symbiosis can control radioactive-cesium transformation to the leaves.

  • 高島 靖文, 高木 正博
    セッションID: P1-048
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    森林内の渓流水質が健全に保たれることは、生態系や人間の生活にとって重要である。渓流水質の形成プロセスについて、流出起源の寄与率を求めることでどの地点から流出する水が渓流水に最も影響を与えているかを知ることができる。渓流までの流出経路は降雨前後で異なることが考えられるため、流出起源の寄与の度合いも変化する可能性がある。そこで、流域内の渓流水質の流出起源による影響や流量による影響を明らかにすることを目的として調査を行った。調査は広葉樹壮齢林を流域植生とする流域を対象とし、採水は湧水点から量水堰の間で行った。渓流水のほかに、土壌水や岩からしみだしている水も採取した。期間は2012年10月から2013年9月までの1年間で、2週間に1度採水を行った。測定項目はpH、電気伝導度、溶存イオン濃度、全窒素、有機態炭素であり、溶存イオンはイオンクロマトグラフィーとICPによって分析した。流出起源の影響をEMMAで解析し、流量や季節との関係を比較し考察する。

  • 井上 華央, 柴田 英昭, 吉田 俊也, 中路 達郎, 小花和 宏之, 加藤 顕
    セッションID: P1-051
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    生態系における窒素循環の空間分布を理解するためには、窒素供給源である林冠葉に含まれる窒素の空間分布を評価することが重要である。本研究は、デジタルカメラを搭載した小型の無人航空機(UAV)による森林の観測と、写真から三次元データを作成するStructure from Motion(SfM)を活用し、樹種構成や林冠構造が不均質な北海道北部の針広混交林小集水域(約3ha)における林冠葉窒素の空間分布を解明することを目的とした。優占樹種8種(常緑針葉樹2種、落葉広葉樹6種)と下層植生のササの葉を採取、近接撮影し、デジタルカメラのRGB値と葉の窒素濃度の関係を調べた。針葉樹、広葉樹(+ササ)でRGB指標値と窒素濃度の間にそれぞれ有意な相関関係があった。次にUAV観測とSfM解析によって取得した数値表層モデル(DSM)と地盤高、着葉期と落葉期のDSMの差分を用いて、針葉樹、広葉樹、ササの空間分布図を作成する手法を開発した。植生分類図にRGB指標値と窒素の関係式をそれぞれ適用し、流域スケールでの窒素の空間分布を推定することができた。本研究で開発した手法を発展させることにより、生態系の窒素循環の面的な空間動態のさらなる解明につながるであろう。

  • 牧 すみれ, 戸田 浩人, 崔 東壽, 内山 佳美
    セッションID: P1-052
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    水源林では水質形成機能や水源涵養機能などを向上させるために、複層林化・針広混交林化・広葉樹林化が推進されており、定性間伐などの通常の施業の他、群状伐採や列状間伐などを始めとした強度間伐など、従来の保育作業とは異なる施業も行われている。これらの施業が窒素動態に与える影響を把握しておくことは、渓流水質保全において重要である。また、強度列状間伐を行うと間伐後に伐採列の無機態窒素現存量が増加することや、斜面の向きで窒素動態に違いがあることが報告されている。このような違いの原因は、光環境の差から生じる土壌温度等の窒素無機化に及ぼす影響であると考えられる。そこで本研究では、強度間伐や斜面方位による光環境の違いが年間窒素無機化量に及ぼす影響を調査した。相模川水系相模川上流部に位置する貝沢流域の小流域内に、群状伐採区、通常間伐区を設定し、窒素無機化量、樹冠開空度、地温などを調査した。その結果、樹冠開空度が大きくなると年間のNH4-N生成量、硝化量、窒素無機化量が大きくなる傾向が見られた。また、樹冠開空度が大きくなると10cm深の地温も高くなる傾向にあった。

  • 中山 理智, 今村 志帆美, 舘野 隆之輔
    セッションID: P1-053
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    土壌窒素動態の解明には、土壌窒素動態を担う微生物群集の理解が重要である。微生物の量や群集構造は、土壌環境要因の変化とも密接に関わりつつ、季節や植生によって大きく変化すると考えられる。そこで、本研究は、土壌微生物の量や群集構造の季節性が、森林タイプによってどのように異なるかを明らかにすることを目的とした。トドマツ人工林、カラマツ人工林、落葉広葉樹林の天然林の三つの森林タイプにおいて、展葉前、生育初期、落葉初期、落葉後期に土壌を採取し、細菌および古細菌の16S rRNA遺伝子とアンモニア酸化に関わるamoA遺伝子の定量PCRを行い、さらに次世代シーケンスにより真菌および原核生物の群集構造を解析した。細菌および古細菌の16S rRNA遺伝子とamoA遺伝子の量に有意な季節性はなく、森林タイプによる差もなかった。一方で、真菌と原核生物の群集構造は有意な季節性を示さなかったが、森林タイプによる有意な違いが見られた。これらの結果より、森林タイプ間の土壌窒素動態の違いには、微生物群集構造の違いが影響を及ぼすが、窒素動態の季節性には微生物の量や群集構造以外の環境要因が影響を及ぼすことが示唆された。

  • 柏木 孝太, 日浦 勉, 徳地 直子
    セッションID: P1-054
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    窒素・リンは植物の一次生産を制限する要因である。温帯林では、リンよりも窒素が制限要因となっているところが多い。しかし、人為起源の窒素降下量増加の影響で、窒素とリンの量関係が変化している森林があると考えられる。日本国内に広く分布する黒ボク土は無機態リンを強く吸着することから、土壌中に植物が利用できるリンが少ない。そのため、黒ボク土に成立する森林は、窒素降下量増加の影響を強く受ける可能性がある。本研究では、黒ボク土で栄養塩添加培養実験を行い、培養前後の窒素・リンや分解酵素活性の変化を調べた。また、黒ボク土と同じく火山灰を母材としているが、土壌の生成期間が短いことからリンの吸着が少ない火山放出物未熟土でも同じ実験を行い、結果を比較した。 調査地は、黒ボク土が分布する東京大学田無演習林と、火山放出物未熟土が分布する北海道大学苫小牧研究林とした。各森林内の表層土壌0-10㎝を採取し、栄養塩を添加し14、28日間培養した。結果、苫小牧の土壌では窒素添加培養時に可給態リンが大きく増加し、田無・苫小牧の両方で、炭素・窒素添加培養時にホスファターゼ活性が大きく増加した。

  • 長根 美和子, 柴田 英昭, 内田 義崇
    セッションID: P1-055
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    亜酸化窒素(N2O)は、主に硝化・脱窒の過程で発生する気体であり、陸域生態系の窒素循環において大きな役割を持つ。硝酸イオンは硝化の生成物であり、脱窒の基質でもあるため、N2O発生と硝酸(NO3)溶脱には何らかの関係があると考えられる。土壌微生物によるN2Oの発生速度は、栄養塩、土壌水分量、酸素濃度、土地利用状態等によって変動するが、その関係性は十分には明らかとなっていない。そこで本研究では、異なる植生・土地利用の土壌に栄養塩を添加して培養し、N2O発生とNO3溶脱の関係を解明することを目的とした。北海道東部に位置する別寒辺牛川流域内の森林、湿地、牧草地を調査地とした。栄養塩(リン酸態リン、硝酸態窒素、アンモニウム態窒素)と水を未攪乱土壌にそれぞれ添加し3週間の室内培養を行った。培養期間中にN2O発生速度とNO3溶脱速度を測定した。森林、湿地土壌では硝酸態窒素を添加するとN2O発生量が増加し、湿地土壌でより顕著であった。牧草地土壌では窒素添加によるN2O発生量の変化は小さい一方で、リンの添加によってN2O発生量が増加した。異なる植生・土地利用の土壌からのN2O発生は栄養塩添加の種類に応じて、異なる反応を示すことが明らかとなった。

  • 大貫 真孝, Timo Domisch, 檀浦 正子, 安宅 未央子, Tapani Repo, Leena Finér, 大澤 晃
    セッションID: P1-056
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    北方林において、地球温暖化の進行が積雪量の減少を招き、その結果として冬期の土壌凍結の頻度が増加することが懸念されている。土壌凍結は土壌リター層の微生物相に影響を与える事が示唆されており、積雪の減少に伴う環境の変化が森林の主要な枯死有機物の落葉の分解過程に影響を与える可能性がある。本研究では、フィンランドヨエンスー郊外の森林に試験地を設定し、北方林の主要な樹種であるスコッチパイン(Pinus sylvestris )の当年と前年の落葉を使用したリターバック分解実験を行った。除雪区と積雪区のそれぞれ2つの試験区から、冬期初期、積雪中、雪解け直後、春期の計4回リターバックを回収し、重量減少量、微生物量(SIR量)、分解呼吸量、化学組成(CN比)、微生物呼吸の温度反応性(Q10)を測定した。その結果、冬期の積雪量の有無は落葉の重量減少量、SIR量、分解呼吸量、CN比に有意な影響を与えなかった。しかし、雪解け直後と春期では積雪量の変化によりQ10が異なった。落葉の分解過程は冬期の積雪環境の違いに影響されることが限定的あるが、雪解け後の落葉の微生物相が積雪の環境によって変化する可能性がある。

  • 小岐須 悠平, 大園 享司, 松岡 俊将
    セッションID: P1-057
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    落葉分解菌は落葉を分解することで有機物の無機化に関わっている.近年の地球規模での温暖化傾向は菌類の分解による二酸化炭素の放出を促進させる可能性が指摘されている.しかし,温暖化の影響が特に大きいとされる高緯度地域での落葉分解菌群集の動態は不明な点が多い.本研究ではカナダ西部のマウントロブソン州立公園を対象とし標高傾度と氷河後退に伴う一次遷移に伴う菌類群集の変動の解明を目的とした.2010年8月に3植物種の落葉サンプルを採取し,次世代シーケンシングを行うことで各環境下での菌類群集を網羅的に調査した.その結果,標高800~1700mの5標高クラスで採取したサンプルからは231の操作的分類群(OTU),一次遷移系列で採取したサンプルからは251 OTUの菌類が記録された.5 標高クラス間では出現OTU数に有意差は認められなかったが,標高1000m・1250mの群集とそれ以外の群集間で組成に有意差が認められた.一次遷移系列では,氷河後退からの年代間と植物種間で出現OTU数に有意差が認められたが,群集組成に有意差は認められなかった.これは将来的な温暖化による落葉分解菌群集内の種の入れ替わりの可能性と一次遷移に伴う種数の変化を示唆する.

  • 市川 萌菜美, 楢本 正明, 水永 博己
    セッションID: P1-058
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    根呼吸(Rr)と微生物呼吸(Rh)から構成される土壌呼吸(Rs)は森林生態系のCO₂循環における重要な項目のひとつだ。一方、森林管理における伐採は土壌環境を著しく変化させ、Rsにも影響を及ぼすと考えられる。しかし、伐採前から後にかけてRsを調査した報告は少ない。そこで伐採区と対象区のRsの比較と共に、同一箇所における伐採前後のRs変化について調査した。期間はH28年度5月~3月、ヒノキ人工林内に、非攪乱地であるコントロールサイト(CS)、H27年度11月に皆伐したギャップサイト(GS)、H28年度12月に皆伐したシフトサイト(SS)の 3つの試験地を設置した。各サイトの土壌に塩ビ管30個を深さ2.5cmまで埋設した。月に一度、土壌含水率、地温、深さ別根量比と併せてRs速度を測定した。5月~12月の間GSの地温はCSより高く(P<0.01)、伐採による日射の影響が見られた。GsのRsは9月にCSより高い値を示す(P<0.01)が、11・12月にCSより低い値を示した(P<0.01)。9月の高いRsは高い地温で説明できるが、冬季の低いRsは相対的に高い地温では説明できない。そこでRs構成要素であるRr・Rhの季節変化と併せて伐採によるRsへの影響について検討する。

  • 堀内 桜, 楢本 正明, 水永 博己
    セッションID: P1-059
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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     樹木では、幹や枝といった非同化器官の呼吸で発生したCO2の一部が樹液に溶けて樹液流と共に上部へ輸送される。根においても幹や枝と同じく、呼吸で発生したCO2は樹液流により上部へ輸送され、また微生物呼吸によって発生したCO2も土壌水に溶けて根から吸収、輸送されている可能性がある。しかし、樹体内CO2輸送が土壌中CO2濃度や土壌呼吸に及ぼす影響についてはまだ詳しくわかっていない。 本研究では土壌呼吸速度および土壌中CO2濃度と同時に樹液流速度を測定し、樹液流が土壌呼吸に及ぼす影響について評価することを目的とした。 実験は静岡大学構内のビニールハウスで行われ、1/2000aワグネルポットに植栽されたアラカシ苗木(h=0.7m)を用いた。樹液流センサ(桜谷センサ)を用いて樹液流速度を測定した他、土壌中に埋設したCO2センサ(GMP221)により土壌中のCO2濃度を深さ5cmと10cmで測定した。また土壌呼吸速度については、閉鎖系測定システムを用いて測定を行った。2016/8/16~23の8日間測定を行い、うち8/18~8/20の3日間は蒸散(樹液流)を抑制するため地上部を覆い遮蔽処理区とし、対照区との比較を行った。

  • 近政 孝哉, 浦川 梨恵子, 柴田 英昭, 稲垣 善之, 廣部 宗, 福澤 加里部
    セッションID: P1-060
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    水銀による環境リスクを評価するためには、大気からの供給によって集積の生じる土壌中水銀の動態を把握する必要がある。森林生態系において水銀は落葉層や土壌層に蓄積されることが知られているが、その地理的な分布や土壌内での蓄積濃度、深さ方向の分布様式などは明らかとなっていない。そこで本研究では、日本全国23地点42林分を対象に、森林内における土壌(0~50cm)とリター(FH層)に含まれる全水銀含量と深度分布を分析するとともに、それらの水銀量の地理分布に影響する要素(大気中の水銀濃度、気候パラメーター、植生、標高などの立地環境データなど)との関係性を明らかにすることを目的とした。調査の結果、FH層は57~297μgHg kg-1、土壌は8~294μgHg kg-1の範囲であり、多くの地点で地表に近い層にピークが位置していた。水銀濃度の地点間差について、溶存有機物や降水量,気温などとは直接的な関係が薄いことが示された。また、FH層における水銀濃度は鉛濃度と有意な相関関係が認められた。水銀量を含めたサイト情報を用いて層ごとに重回帰分析を行った結果、FH層と0-10cm層では大気水銀濃度、植生と有意な関係性があることが示唆された。

  • 金子 命, 保原 達, 中谷 暢丈, 日野 貴文, 稲富 佳洋, 島村 崇志, 宇野 裕之, 吉田 剛司
    セッションID: P1-061
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    シカの環境撹乱が生態系に及ぼす影響について議論した研究は、森林や草地生態系に関するものが多い一方で、湿原生態系についての研究報告は少ない。近年、釧路湿原では、シカによる下層植生への食害などの環境撹乱が顕著となっており、土壌中の栄養塩動態に対して大きな改変をもたらしていることが予想される。そこで本研究では、土壌及び土壌溶液の栄養塩動態解析を行い、シカの環境撹乱に対する湿原生態系の応答を解明することを目的とした。その結果、土壌溶液中のNH4+は、宮島、北斗、茅沼、右岸堤防の全てのプロットにおいて検出限界〜0.52mg/Lを示した。一方で、シカの影響が特に顕著な地域と考えられる大島川ヌタ場では、1.84 mg/Lと非常に高濃度の分布していた。土壌中の交換態アンモニアについても同様に、ほとんどの地域で2.1~11.9 mgN/kgの範囲であるのに対し、ヌタ場で69.0 mgN/kgと特異的に高くなる傾向にあった。以上のことから、釧路湿原は多くの地域において貧栄養な環境であるが、ヌタ場のような局所的にシカの利用頻度が高いとされる場所で、栄養塩濃度が高くなることが示唆された。

  • 安達 亮太, 保原 達, 金子 命, 平舘 俊太郎, 和穎 朗太, 兵藤 不二夫, 中谷 暢丈
    セッションID: P1-062
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    火山灰土壌の地下部に存在する埋没腐植土層は、植物炭化物を含む黒色土層とされるが、未だ不明点が多い。一般に土壌の黒色は植物炭化物等に含まれる縮合芳香環量と関係しているとされるが、黒色土層である埋没腐植土層の炭素濃度は概ね10%以下であり、埋没腐植土層の形成には炭素以外の元素や微生物体の寄与も考えられる。また、埋没腐植土層は表層と環境が異なり、そこでの生成物も異なる可能性がある。これらを検証するため、本研究では森林の表層土と埋没腐植土における化学特性と微生物群集構造の比較を行った。さらに、土壌に有機物(ミズナラ葉またはグルコース)を添加して培養し、有機物特性の変化を追った。そして、これら土壌の有機物構造及び元素組成の解析を行うこととした。その結果、微生物量は表層土に比べて埋没腐植土の方が低かった。従って、埋没腐植土層は微生物が生存困難な環境であると考えられる。全炭素濃度は埋没腐植土で7%程であり、概ね表層と遜色ない値を示した。これより、埋没腐植土層は表層と同程度に炭素を蓄積しうることが考えられる。発表では、有機物構造と元素組成及び群集構造などの解析結果も加えて議論する。

  • 小野 拓哉, 河上 智也, 小林 高嶺, 保原 達, 春日 純子, 松本 真悟, 阿江 教治
    セッションID: P1-063
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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     近年、土壌の炭素蓄積機構として、植物のケイ酸吸収が関与する新たな過程が考えられている。ケイ酸吸収は、土壌中に金属酸化物を増加させ、土壌の炭素蓄積に寄与することが示唆されている。イネ科植物はケイ酸を他種より多く吸収するため、根圏のケイ酸が減少しやすい。これにより、有機物吸着に関わるアルミニウムや鉄が土壌中に増加することが明らかになっている。そこで本研究では、植物のケイ酸吸収と土壌中の実際の炭素動態との関係解明を目的として栽培試験を実施した。ケイ酸運搬能に差がある2種のイネを、風化が殆ど進んでいない火山灰土壌にて栽培し、炭素吸着の差を比較するため有機物添加区を設け、根圏土壌について活性アルミニウムの傾向の把握にpH(NaF)を測定し、鉱物吸着性炭素を評価するためピロリン酸抽出可能な炭素濃度を測定した。その結果、ケイ酸運搬能を持つイネは、運搬能を殆ど欠くイネよりpH(NaF)、ピロリン酸抽出可能な炭素濃度共に、値が大きかった。pH(NaF)は、高いほど有機物結合性の活性アルミニウムが多いと考えられる。従って、イネのケイ酸吸収によるアルミニウムや鉄などの鉱物の形態変化が、炭素蓄積に関与していることが示唆された。

  • 小林 高嶺, 佐藤 冬樹, 間宮 春大, 上浦 達也
    セッションID: P1-064
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    溶存有機物(DOM)は様々な物質と相互作用を持ち、水域環境中の生物利用性に影響を与える。DOMの主要成分である「腐植物質」はFeやAlなどの金属イオンと親水性有機物を形成し、土壌中の移動を強く促進するため、流域の物質循環に深く関わっており腐植物質中の分子組成の解明や、炭素サイクルとの関係の解明が重要である。近年DOMについての詳細な研究が進み、有機物層から供給された疎水性DOMが土壌通過時に土壌由来の親水性DOMと交換されることや、DOMの質の変化が溶存有機物の移動性や反応性に影響を与えることが示唆されている。本研究では、植生や微生物活動の違いにより土壌中の有機物組成が変化し、流域の物質循環に影響を与えていると仮定し、土壌における有機物の分解性が異なると考えられる針葉樹林や広葉樹林の流域において、溶存有機炭素(DOC)の形態や反応性への影響を解明することを目的とした。針葉樹林と広葉樹林の土壌と土壌浸透水を採取後、DAXー8樹脂を用いて分画した。また、各画分の溶存炭素量と金属イオン(Fe、Al)の関係などから、DOCの組成と土壌中の物質循環の関係を調査した。当日は、各画分の分析結果と考察を含め、今後の展望を論じる。

  • 新保 優美, 平田 令子, 今岡 成紹, 伊藤 哲
    セッションID: P1-065
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    コンテナ苗は発達した根系と培地があることの効果によって、植栽時にストレスを受けにくいと考えられ、伐採から植栽までの「一貫作業システム」への適用が期待される。近年の植栽試験では、コンテナ苗が裸苗よりも耐乾性に優れている傾向が読み取れるが、なぜコンテナ苗が乾燥に強いかは不明な点が多い。そこで本研究ではスギ挿し木苗の生残規定要因を明らかにする目的で、夏季植栽された苗の物質分配を分析した。2015年8月に圃場および温室内に、1年生および当年生コンテナ苗、当年生裸苗を植栽し、同年11月に温室、翌年6月に圃場の苗木を掘り取って各器官重量を測定した。分析では①苗種の違いに関わらず各器官重量が生死を分けている、②苗種によって生残枯死は異なり各器官重量の効果も異なるという2つの仮説に基づき、目的変数を苗種の生残枯死、説明変数を各苗の器官重量、その比率や苗種による違いとするモデルを構築した。各モデルのAICおよび採用された説明変数とその回帰係数を比較した結果、苗種によって耐乾性は異なり、各器官重量の効果も異なった。また、各器官重量の同じコンテナ苗と裸苗を比較したところ、コンテナ苗培地の効果が大きいことが示唆された。

  • 古里 和輝, 伊藤 哲, 平田 令子
    セッションID: P1-066
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    苗木の活着率向上のため行われる処理として、摘葉と根切りがある。摘葉処理は、根切りによって制限された根量と葉量とのバランスを調節することで、植栽直後の水ストレスを緩和させると考えられ、水ストレスが発生しやすい夏季植栽時に有効であると予想される。しかし、夏季植栽時の摘葉の効果は十分に解明されておらず、特に根量と葉量のバランスに関する知見はほとんどない。そこで本研究では、根量の異なるスギ挿し木苗への摘葉処理が水ストレスに与える影響を調査した。一般的な根量の裸苗(通常苗)、発根量が少ない苗(少根苗)と、カルスが形成されたのみの未発根挿し穂(カルス苗)に樹幹長50%で摘葉処理を行って夏季植栽し、葉の拡散コンダクタンス(G)および樹勢を計測した。その結果、毎日潅水した少根苗およびカルス苗では摘葉によりGが上昇し、樹勢の低下も抑制された。通常苗への摘葉の効果は少根苗ほど顕著ではなかった。一方、無潅水で生育させた場合、根の多い苗ほど摘葉の効果が持続する傾向がみられた。以上より、軽度の土壌乾燥時には根量の少ない苗で摘葉処理の効果があり、土壌乾燥が進むほど根量の多い苗で摘葉効果が持続すると考えられた。

  • 染谷 祐太郎, 丹下 健
    セッションID: P1-067
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    植栽に適したサイズのコンテナ苗を通年で供給し、コンテナ苗造林の普及を促進するためには、伸長成長を制御する育苗技術が必要である。本研究では、弱光・潅水制限処理によるスギコンテナ苗の成長と乾燥ストレス耐性の変化及び植栽後の活着への影響を調べた。スギ実生1年生コンテナ苗(JFA150)を33日間、潅水を約10日に一度の頻度に制限して室内で育成させた。処理苗の当年シュートの水分特性値の変化をP-V曲線法により測定した。2016年8月12日に処理を行わなかった対照苗とともに植栽し、9月1日に掘り取り、植栽後の成長を調べた。1週間の処理でコンテナ苗の伸長成長は停止した。33日間の処理により初発原形質分離時の水ポテンシャルと飽水時の浸透ポテンシャルは有意に上昇し、乾燥ストレス耐性が低下した。乾燥ストレス耐性の低下は、葉内の溶質mol濃度の低下によるものと推定された。植栽後の成長では、処理苗は対照苗と比べて地上部の伸長成長量は有意に小さく、伸長成長していない供試苗が多かったが、植栽後に土壌中に伸長した細根量には有意差が認められなかった。本研究の結果は、スギコンテナ苗の成長制御技術としての被陰処理の可能性を示していると考えられる。

  • 石川 達也, 作田 耕太郎, 永吉 健作, 渡辺 敦史, 倉本 哲嗣
    セッションID: P1-068
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
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    初期成長に優れた苗木の育成は、人工林における保育費用の削減に対して有効な手段であり、林業収益性の向上に資すると期待される。林業低コスト化の実現に向けてスギ精英樹第二世代候補木の特性評価が行われつつある。本研究では、同一林分に植栽された、スギ精英樹第二世代候補木(F1)とスギ精英樹第一世代(第一世代)の当年生葉について水分特性値の比較を行い、また水分特性値と年間成長量の関係解析を行った。水分特性値の測定はF130系統の相対樹高成長速度の序列において、上位と中位および下位の3系統と第一世代の県姶良4号を対象に行った。調査地内で斜面下部の個体の方が斜面上部の個体よりも成長が良好だったが、いずれの系統においても葉の水分特性値は斜面上部と斜面下部で差はなかった。膨圧を失う時の水ポテンシャルの平均値は、F1の相対樹高成長速度が上位の系統が最も低く、次いで中位下位と高くなった。また、膨圧を失う時の水ポテンシャルと年間樹高成長量には有意な正の相関が認められた。F1の相対樹高成長速度を決める要因の一つとして耐乾性の関与が示唆された。

  • 佐藤 さつき, 紙谷 智彦
    セッションID: P1-069
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
    会議録・要旨集 フリー

    近年マツ枯れの激しい新潟の海岸林では、広葉樹が侵入しつつある内陸側の多様な林冠下にタブノキの試験植栽が行われている。本研究では、植栽木1023 本を対象に環境要因(光環境と土壌水分)や植栽方法が生残、伸長成長、樹形に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。2015年3月に試験植栽された苗は、ポットの違いで深鉢・普通の2種類、植穴の処理方法で無処理・パーライト・むしろ伏せの3種類で、計6通りである。主要な解析にはGLMを用いた。 その結果、深鉢ポットでパーライト施用をした苗の1年目の生残率が良く、植栽2年目では植栽方法別の生残率の平均は約90%と高かった。深鉢は1年目と2年目の生残率に差がなく、1年目で定着が完了していた。また、深鉢とパーライト施用した植栽木の生残率は林冠条件の影響を受けてはいなかった。すべての処理をまとめたとき伸長量は土壌表層の水分とパーライトが正の影響を与えていた。また、深鉢とパーライトの伸長量は林冠条件、光条件の影響を受けなかった。さらに、パーライト施用した植栽木は他の植栽木と比べ側枝を出す割合が高かった。そのため、パーライト施用した苗は葉数が増え、今後の成長が期待できる。

  • 中山 美智子, 紙谷 智彦
    セッションID: P1-070
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
    会議録・要旨集 フリー

    近年、マツ枯れ被害が著しい海岸林の広葉樹林化が課題となっている。新潟市の西部に分布する壮齢の海岸クロマツ林は、そのほとんどが枯損しており、跡地には広葉樹が侵入している。四ツ郷屋浜海岸林に設置した100m×100mの調査区内には天然更新した樹高0.3から4mのシロダモが6638本/ha生育しているが、10m×10mの小区画で見ると稚樹密度は偏在しており、しかも低木類の繁茂で樹高成長が抑制されている区画もあった。そこで、天然更新稚樹が低密度の小区画20個にシロダモとタブノキを合計744本植栽した。本研究はこれらの天然更新木と植栽木に対する下刈りによる生残と伸長成長の効果を検証することを目的としている。そのため、調査区全体に、10mおきに10m×100mの下刈りと対照の繰り返し処理を行った。下刈り前後で、稚樹頂端部で光合成有効光量子束密度を測定し、裸地の値に対する相対値を求めた。その結果、シロダモとタブノキの間での生残率、下刈り有無による生残率には有意な差は見られなかった。一方、天然更新木は植栽木に比べて有意に生残率が高かった。以上の結果から、マツ枯れ海岸林における効果的な広葉樹林化の方法について検討する。

  • 福田 真央, 紙谷 智彦
    セッションID: P1-071
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
    会議録・要旨集 フリー

    新潟海岸では内陸寄りのマツ枯れ跡地にシロダモやタブノキが植栽され、また、成熟したクロマツ林には自然侵入した常緑高木が旺盛に成長している林分も見られる。本研究は、砂丘海岸林での両樹種の植栽木と天然更新木の成長特性を比較し、マツ枯れ後に常緑広葉樹林へ誘導するための効果的な管理方法を検討する。17年前にクロマツ林内に9100本/haの試験植栽をしたシロダモとタブノキ、ならびに近傍のクロマツ林内にまばらに天然更新した両樹種の成林までの成長過程と樹冠構造の特徴を比較するために、合計50本のサンプル木を伐採し樹幹解析を行った。その結果、人工植栽木では密度の影響を受け、植栽時から現在まで緩やかな直径成長を示し、形状比が著しく高く、十分な樹冠幅や樹冠長が確保できていなかった。一方、天然更新木では両樹種ともに5~7年生から直径成長が良好となり、形状比は低く、十分な樹冠幅や樹冠長を確保できていた。樹種別には植栽地においてタブノキがシロダモと比較して樹高、胸高直径、形状比、樹冠長率において優れていた。これらの結果をもとに作成した樹冠サイズの成長モデルから、常緑広葉樹林の密度管理のための指標を検討した。

  • 小川 大知, 戸田 浩人, 崔 東寿
    セッションID: P1-072
    発行日: 2017/05/26
    公開日: 2017/06/20
    会議録・要旨集 フリー

    シオジは関東以南太平洋側渓流沿いに分布する落葉広葉樹であり、良質の有用材となる。天然生シオジの蓄積は減少し後継樹育成が課題となっている。シオジ母樹下は相対照度10%未満で稚樹の生育は困難であるが、10%以上ならば斜面に位置するスギ林内でも生育が可能である。シオジ材利用を考える上で樹形は重要であるが、スギ林内など被圧された環境や地形がシオジ樹形に与える影響は不明である。そこで本研究では、スギ林内に更新したシオジ若齢木の樹形と環境条件の関係を調査した。群馬県みどり市東京農工大FM草木にて沢筋シオジ林の側方斜面スギ林内にシオジ若齢木が侵入している5地点を調査地とした。調査地内に半径2m円形プロットを4つ設け、プロット内の相対照度、地表傾斜、立木密度、シオジ樹高、枝下高、胸高直径、幹傾斜などを計測した。その結果、樹高4~9mのシオジの形状比は地表傾斜が急なほど増加する傾向を示し、地表傾斜40°以上になると樹高4mを超えたシオジは出現せず、生育に適さないと考えられた。

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