機能水研究
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Print ISSN : 1348-2432
12 巻, 2 号
学術大会案内・演題募集
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 田中 喜典
    2017 年 12 巻 2 号 p. 29-34
    発行日: 2017/05/30
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
    アルカリイオン整水器とは、JIS T 2004に規定されている家庭用電解水生成器 を指し、飲用適の水(水道法水質基準に関する省令に適合する水道水)を電気分解することによりpH 9~10の飲用アルカリ性電解水(アルカリイオン水)を生成する。なお、家庭用電解水生成器とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機等法という)施行令別表第一において「器具器械83 医療用物質生成器」に分類される家庭用医療機器の呼称である。 2002年発足の日本機能水学会では、現在の水素水ブームに伴って水素の生理学的効果研究が盛んになる以前からアルカリイオン水研究者らにより、溶存水素の作用、電解による溶存過程が研究報告されている。近年その成果を鑑み、「アルカリイオン水が、水素を含むこと、水素が効果要因として有力であること、酸化還元電位が低くなること(還元状態)、生成してすぐに飲用すること」を踏まえてアルカリイオン整水器協議会では、アルカリイオン水の商品名として電解水素水、還元水素水、電解還元水等と呼ぶことを容認するに至っている。 近年の業界全体の総出荷台数は、薬事工業生産動態統計(厚生労働省医政局)によると、年間約20万台との報告もあり、広く一般家庭で使用されている。アルカリイオン整水器の主機能となる水電解部分に用いられる電極は白金、または白金族酸化物触媒を電極触媒物質としてチタンに被覆した不溶性の電極であり、ソーダ工業会、電解科学技術委員会主導のもと、工業電解として発展してきた電解技術がB to Cへの技術展開により、一般家庭を含めた一般消費者に様々な恩恵を与えた一例である。 このように、アルカリイオン整水器は様々な分野の国内研究者の研究に支えられて有効性の研究、電解技術の研究開発が進み、1966年の医療用具認可より50年を経過しており、2016年に京都で開催された日本機能水学会第15回学術大会では記念セッションが組まれた。 アルカリイオン整水器には連続式と貯槽式があるが、本稿では連続式アルカリイオン整水器の構造と機能について解説する。
  • 堀田 国元, 才原 康弘
    2017 年 12 巻 2 号 p. 35-44
    発行日: 2017/05/30
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
    アルカリイオン水とは、JIS T 2004 によって規定された電解水生成器(通称アルカリイオン整水器;以下、整水器)を用いて水道水などカルシウムイオン(Ca2+)を含んだ飲用適の水を電気分解し、陰極から生成する弱アルカリ性(pH 9~10)の飲用アルカリ性電解水を指す。陰極では水分子(H2O)の電解により生じる水酸化物イオン(OH)と水素(H2)を含み、Ca2+ などの陽イオンが増加している。整水器については「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水を生成し、一般家庭で使用すること。」と厚生労働省告示第112号(平成17年3月)に規定されている。アルカリイオン水の物性を含む安全性と有効性は、第三者組織であるアルカリイオン整水器検討委員会(委員長:糸川嘉則京都大学医学部教授)が行った詳細な科学的検証で証明され、有効性については「1日当たり0.5~1 Lの継続飲用による胃腸症状改善効果」として結論付けられた。それらの概要は機能水研究に報告され、また、機能水研究振興財団(以下、機能水財団)発行の研究成果資料としてもまとめられたが、より詳しい情報開示の要望がある。そこで本稿では、アルカリイオン水研究の発展経緯とともにこれまで開示済の研究内容を補足する情報について紹介する。
  • 高塚 威, 宮川 裕司, 柳沢 昌行, 鈴木 順, 丹治 清之, 林 伸行, 野島 康弘, 宇田川 悦子
    2017 年 12 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 2017/05/30
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
    全面マスク装着作業によってマスク面体に付着する皮脂やタンパク質・臭い・微生物の除去・低減・不活化に有効な洗浄方法の確立のための基礎実験として、マスク素材に付着させた有機物汚れとその臭気物質の除去・低減効果、全面マスクに付着させたネコカリシウイルス不活化効果について強アルカリ性電解水と微酸性電解水による洗浄(濯ぎ洗い、シャワー洗浄)を試験した。 1) 強アルカリ性電解水(pH 11.5±0.2)による有機物汚れ(オリーブオイルとドライイースト、カレー粉またはブルーチーズとの混合物)とその臭気の除去について以下の結果を得た。①濯ぎ洗いでもシャワー洗浄でも、いずれの汚れも除去率は重量比で90%以上となり、比較対照の水道水(除去率67%)より顕著に高かった。ATP指標でも除去率は95%を示し、水道水(35%)より顕著であった。特に、シャワー洗浄での除去率は99.9%を記録した。②臭気物質の低減についてGCMS分析した結果、強アルカリ性電解水によるシャワー洗浄が顕著に効果的であった。難水溶性の臭気物質(クミンアルデヒド、アネトール)についても高い低減効果を示した。ニオイセンサや官能試験による評価においても傾向は同じであった。 2) 全面マスク表面付着ネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替)の不活化に関しては、微酸性電解水による浸漬および強アルカリ性電解水と微酸性電解水の併用処理において顕著な不活化効果(TCID50対数減少値5.0以上)が認められた。
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