境下での操作が求められる場面が多い。注射剤は患者の組織に直接取り込まれるため、薬剤師は感染対策の視点で無菌操作や製剤の衛生管理の整備ならびに注射剤調製等の作業手順に関して監督指導を行うことが望まれる1-3)。
一方、医薬品によっては有害物質であることから、医療従事者の安全を考慮しなければならない。特に、細胞傷害性抗がん薬の多くはヒトへの発がん性が知られており4)、職業性曝露対策の重要性は広く啓発されている5,6)。抗がん薬の調製にはバイオハザード対策用キャビネット (生物学的安全キャビネット; biological safety cabinet: BSC) の使用が強く推奨され, 作業者の曝露対策ならびに無菌性の担保において環境保全が求められる。
現在、わが国のBSCの清掃方法は、蒸留水と消毒用エタノールを用いた清拭方法が一般的である。しかし、蒸留水で作業環境の表面汚染を十分に除去できなかった場合、エタノールの揮発により有害物質を吸入曝露してしまう可能性がある。がん研究会有明病院薬剤部は、医療用電解水生成装置7)を抗がん薬調製前後の手指消毒に導入した。現在、電解水による清潔区域への研究的応用を模索している。
本稿では、医薬品の調製現場を中心とした「1.ハザーダス・ドラッグ (Hazardous Drug: HD)、2. HD環境曝露表面汚染に対するガイダンス、3. ISOPPスタンダード2022が推奨する清掃手順、4. 電解水を用いたHDの分解や除染の可能性、5. 無菌操作区域における電解水の期待」を紹介し、作業環境の清潔保持と医療従事者の職業曝露低減 (≒安全管理) に電解水が寄与する可能性について概説する。
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