機能水研究
Online ISSN : 2759-551X
Print ISSN : 1348-2432
6 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 川口 寿之
    2011 年 6 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2024/08/26
    ジャーナル フリー
    食品取扱施設では水を食品製造原料として使用するばかりでなく、食材や使用器具・施設の洗浄、冷却や蒸気の発生など様々な目的に使用する。特に食品製造原料として使用する場合は食品の安全性に直接関係するので、管理された安全な水を使わなければならない。「食品等事業者が実施すべき管理運営に関する指針(ガイドライン)によると食品取扱施設で使用する水は、飲用適の水であることが規定されている。飲用適の水は食品衛生法が規定している基準に適合した水を指すが、水源や給水施設の規模などで基準項目や検査頻度が異なる。 本稿では食品取扱施設で使用する水について給水施設や原水及び使用水の水質管理を中心に解説する。
  • 丸尾 雅啓
    2011 年 6 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2024/08/26
    ジャーナル フリー
    琵琶湖はTVの報道などで、いまも「汚れている」、「環境が悪化している」といわれるが、どう汚れていて、どう悪化しているのか、正確に説明されているとはいえないと感じる。見た目あるいは何かの化学的成分の濃度上昇をさしているのか。あるいは、以前に湖底で魚が大量に死んでいる映像が報道されたことで話題となった無酸素化のことなのか。その「汚れて、環境が悪い?」琵琶湖へ、筆者は月に1回ほど観測に出かけ、夏場にのどが渇けば、採水時に残った深層の水を飲んでいる。研究室の学生も含め、なんらかの障害や問題が生じたことは一度もない(とはいえ、飲用に供する湖水の採水深度は、より安全と考えられるものである)。  滋賀県はこの20年あまり、下水道の普及に非常に力を入れてきた。筆者が所属する滋賀県立大学は1995年に開学したが、当時の普及率は40%程度であった。現在は全国でも有数の高さになり、2009年度は85.4%に達している。下水高度処理の普及率でも全国首位である。琵琶湖開発に関する様々な訴訟が起きた1970-80年代に比べ、窒素やリン、有機物を含む家庭排水が直接琵琶湖に流入する量は劇的に少なくなり、赤潮やアオコの発生報告も少なくなりつつある。 その点では、水はずいぶんきれいになったのだから、これくらいでいいのではないかとも思われがちだが、琵琶湖の環境には現在も様々な話題、問題が存在している。  有機物濃度の目安であるCODは下がらず、むしろ緩やかに上昇してきた。平均水深の浅い南湖(琵琶湖大橋よりも南の部分)では水草の繁茂が著しく、悪臭や船舶航行障害などの問題が生じている。また、外来魚の増加と食用在来魚の激減が漁業者を悩ませている。北湖(琵琶湖大橋よりも北の部分)の湖底では溶存酸素飽和度の低下傾向が見られる。これらは人為的な要因と生態系の様々な要素の変化が絡み合っていると考えられ、その中に水環境の変化も含まれる(これらの関係を解明することを目的として、滋賀県立大学環境科学部が設置された)。筆者はこれらの現状を念頭に置きつつ、琵琶湖の水に含まれている化学成分の由来・それらの相互作用に中心をおいて研究を行っている。
  • 岩沢 篤郎, 古田 美香, 菅野 稔, 目代 貴之, 河野 雅弘, 庭野 吉己
    2011 年 6 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2024/08/26
    ジャーナル フリー
    2010年5月に医療機器製造販売承認を取得した内視鏡洗浄用消毒装置CM-5の洗浄消毒効果を以下の2点から検証した。1) CM-5が生成する強酸性電解水の殺菌・ウイルス不活化効果、2) CM-5の臨床的使用条件での洗浄消毒効果。細菌18種20株、真菌3種およびウイルス3種4株を用いた1)の試験においては、芽胞形成菌であるBacillus subtilisおよびClostridium sporogenesに対しては、それぞれ5分未満および60秒未満、莢膜を形成する真菌Cryptococcus neoformansに対しては30秒未満と比較的長めな殺菌時間が必要であったが、それ以外の細菌、真菌、ウイルスに対しては、5~15秒未満で十分な殺菌・不活化効果が得られた。2)の試験においては、供試した細菌13種14株、真菌3種、ウイルス2種3株を内視鏡内外部に付着させ、臨床使用の条件で洗浄消毒を行った。その結果、Helicobacter pyloriは洗浄操作なしでも菌が検出できず、評価はできなかったが、それ以外の細菌および真菌に対しては十分な消毒効果(106オーダーの殺菌・除菌効果)が得られ、ウイルスも洗浄消毒操作後には分離されなかった。  以上、「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン」に従い洗浄機による洗浄消毒の前に予備洗浄を行うことを考えると、内視鏡洗浄用消毒装置CM-5を用いた洗浄消毒は、実際の臨床使用に適するものであることが示唆された。
  • 目代 貴之, 池田 満雄, 河野 雅弘, 庭野 吉己
    2011 年 6 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2024/08/26
    ジャーナル フリー
    バナジウムの抗糖尿病作用が注目されており、バナジウム含有をセールスポイントとする天然水が多数販売されているが、多くの場合バナジウムの存在形態は不明である。これまでバナジウムの分別定量のために二つの方法が開発されている。四価および五価バナジウムを異なる溶媒で抽出し、黒鉛炉原子吸光で分析する方法と液体クロマトグラフィー・誘導結合プラズマ質量分析法である。本研究ではイオンクロマトグラフィーが四価および五価バナジウムの分離に有効であることを示した。次に五価バナジウムが水試料中に存在する場合には、水試料を電気分解することで四価バナジウムに還元できることを示した。最後に、電子スピン共鳴分光法は、四価バナジウムに由来する8本のシグナルを検出することができることから、水の電気分解による五価バナジウムの4価バナジウムへの還元の検出に有効であることを示した。以上より、我々は、これら三つの方法の組合せは、天然水などの水試料中のバナジウムの分別定量に非常に有効であることを提示した。
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