機能水研究
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9 巻, 2 号
学術大会案内・演題募集
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 早川 享志
    2014 年 9 巻 2 号 p. 1-7
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2024/10/30
    ジャーナル フリー
    私たちは豊かな生活を享受しつつも、必須なものを重要と認識することなく過ごしている。例えば、酸素がなければ忽ち呼吸困難となり死に至る。しかし、現実として空気は豊富に存在し、意識されることなく過ごしている。食物は摂取しないと飢餓に陥り死に至るが、水さえあれば寒冷でない限り、かなり長く生きながらえることが可能である。それに対し、水が補給できないと死に至るスピードは急に速くなる。それほど、水は私たちにとって重要である。とはいえ、重要性は理解できても普段意識することは殆どない。それは日本が、水資源に富む豊かな国だからである。しかし、高度成長期における産業の急速な進展は環境の自己修復能を上回るスピードで環境悪化を招き、その結果として大気のみならず水源の汚染をも促進した。また、生活全般の向上は、直接有害とはいえないまでも多くの化学物質を排出する状況を生んだ。その中でもリン含有廃液は、水の富栄養化を進めた。水道水は原水の塩素による消毒が必須であるが、富栄養化に伴って有機物が増えると消毒に必要な塩素の量が多くなる。必然的に、水としての美味しさは損なわれ、トリハロメタン(THM)も生成しやすい状況を生む。こうして人々の水への関心は美味しさ、安全性に向けられた。飲料としての水がペットボトルで販売されたり、浄水器が普及し始めた背景にはこうした意識の変化がある。また、健康志向も高くなり、その関心は水にも向けられた。機能水の発展と普及はこうした状況に拍車をかけた。特に、電解水は、日本発祥の機能水であり、飲用にはアルカリイオン水(飲用適の水をアルカリイオン整水器により電気分解することにより調製される陰極側の水)が、医療用には酸性電解水が水の機能性研究の対象として盛んになった。もう一つ、重要なことは、飲料を摂取する場合のTPOの問題がある。近年、夏場の厳しい気候が常態化したためか、脱水症・熱中症ということばをニュース、新聞などで耳にすることが多くなった。また、かつては運動中は水の補給は厳禁と指導されたが、現在では、適切に水(および糖質)を補給することが運動成績の上からも望まれている。人が健康を維持し、活動的であるための水戦略について考えてみたい。
  • 藤原 功一, 楠本 裕美, 荒川 昌洋, 藤澤 達也, 田仲 勝
    2014 年 9 巻 2 号 p. 9-13
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー
    田仲紀陽先生と強酸性電解水との出会いは、強酸性電解水が驚異の水としてTV放映されてからしばらくして、メーカーとともに来阪された東京在住の知人が強酸性電解水を説明してくれたことであった。強酸性電解水は殺菌効果が高く、即効性であり、耐性菌の発現がなく、安全性が高く、経済性に優れ、かつ環境にやさしいという特性を持っているというとても興味深い内容であった。当時、関連施設の北条田仲病院で透析装置の配管系に汚染が見られ、苦慮していたこともあったので、強酸性電解水を透析装置の配管の洗浄消毒に使用できないか検討を始めた。その後の経緯は以下の通りである。
  • 靍 知光
    2014 年 9 巻 2 号 p. 14
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー
    今回の講演では、15年以上も自分が臨床応用に取り組んできた機能水である強酸性電解水の臨床における経験とその現状を振り返り、さらには自分が電解水とともにライフワークとして臨床研究してきた飲む輸液とも言える経口補水液にも言及して、これら一連の研究活動に勇気を与えて励まして頂いた故田仲紀陽先生の御霊前に捧げたい。
  • 岩澤 篤郎
    2014 年 9 巻 2 号 p. 15-21
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー
    消化器内視鏡が使用されている場は、医療施設である。そこでは、さまざまな医療機器による検査・診断が行われ、確定した疾患の治療のためにカテーテル・経口・輸液等により医薬品が投与される。治療を受ける患者は様々な基礎疾患を有し、年齢層も幅広い。また、消化器内視鏡を使用しない患者も通院・入院している。つまり、感染管理上、相反する環境が同じ施設に存在し、易感染宿主と感染症患者が混在することになる。このような医療環境で、病原微生物を全て殺菌する試みや、侵入を完全に防止する試みは意味がない。そのため、感染症患者由来の病原微生物によるアウトブレイクの早期発見と封じ込めが重要な感染防止対策となる。具体的には、感染症患者より病原微生物が他の患者・医療従事者へ伝播しないように、基本的手技である手洗い・環境整備等が行われる。また、確定診断の結果は速やかに感染対策チーム(Infection control team, ICT)に伝えられ、このICTが中心となって様々な感染拡大の防止対策が図られている。さらに、耐性菌対策が主となるが、地域ネットワークが構築され、感染症専門医が不在の施設に対するコンサルテーションも行われ、地域における感染対策の適正化を行うことが可能となりつつある。 消化器内視鏡は、組織病変の観察だけでなく、患者に対する負担が少ない内視鏡的粘膜下層剥離術など治療目的においても日常的に使われている。使用頻度の増加に伴い適切な再処理が必要であるが、内視鏡は高価で精密な機械のために通常の滅菌手法(オートクレーブなど)が使用できないために、内視鏡を介した感染の危険性が危惧されている。特に、1990年代に内視鏡検査後の急性胃粘膜病変の原因がHelicobacter pylori であることがマスコミの報道で社会問題化し、B型肝炎ウイルス等の感染事例も報告された。このような現状から、「Multisociety guideline on reprocessing flexible Gastrointestinal endoscopes:2011」が Infection Control and Hospital Epidemiology に公表されたのを受けて日本では、2013年7月に「消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド 改訂版」が発行された。消化器内視鏡は、Spauldingの分類ではセミクリティカルに該当し高水準消毒処理を求める消毒レベルである。これは全ての微生物(マイコバクテリア、ウイルス、真菌胞子、細菌、一部の細菌芽胞)が殺滅可能なことが求められるが、適切な洗浄と高水準消毒薬の使用で感染防止ができていることから推奨されているのが現状と思われる。
  • 堀田 国元, 藤原 功一
    2014 年 9 巻 2 号 p. 22-23
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー
    日本機能水学会では、機能水を「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、及び明らかにされようとしているもの」と定義しており、電解水はその代表的なもので、殺菌力があることから衛生管理等に活用されている酸性電解水(次亜塩素酸水)や適量(0.5~1L/日)の継続飲用により胃腸症状改善効果が認められている飲用アルカリ性電解水(通称、アルカリイオン水)がある。しかしながら、電解水は、「ユーザーが機器を操作し製造・使用する」、「薬事的効果をもつ“水”」などのユニークな特徴を有するため、専門家でも間違った理解や判断をしやすい側面をもっていることに留意しなければならない。ここでは、2011年に田仲紀陽先生が提案した酸性電解水のユーザーを対象とした機能水技術認定制度について概説する。
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