2015年にpotassium-competitive acid blocker(P-CAB)であるボノプラザンが登場した.ボノプラザンの特徴は胃酸分泌抑制力の強さと早さである.ボノプラザンの強力な酸抑制は近年増加しているプロトンポンプ阻害薬(PPI)抵抗性逆流性食道炎に対する治療薬としての期待,胃食道逆流症(GERD)診断ツールとしてのPPIテストを上回るP-CABテストへの期待がある.また酸分泌抑制の速さに関しては,軽症逆流性食道炎やPPIに反応するNERDに対するon demand療法での維持療法への期待がある.いまだボノプラザンに関するデータは少ないが,ボノプラザン使用によって明らかとなってきたGERDの病態もあり,実臨床でのボノプラザンのGERD治療における成績および可能性について概説する.
症例は87歳の女性で,虫垂炎の手術歴がある.貧血精査にて回盲部近傍の粘液産生性腫瘍が疑われたが手術を拒否し,経過観察となっていた.38カ月後に痛み症状が増悪し,本人の希望で回盲部切除術を施行した.病理学的検索では粘液産生をともなう腺癌の浸潤増殖を認めたが,大腸粘膜には病変を認めず,免疫染色検査ではCK7,CK20,CDX-2はいずれも陽性を示した.最終的に遺残虫垂から発生した粘液囊胞腺癌と診断した.
症例は70歳,男性.下部消化管穿孔疑いで緊急試験開腹術となったが,術中所見,病理所見で回腸重複腸管穿孔と診断された.重複腸管は,全消化管に発症しうる先天性消化管奇形であり,主に小児期に腹痛,嘔吐などを契機に発見されることが多く,成人発症はまれである.また,回腸重複腸管はMeckel憩室と並ぶ小腸真性憩室症の1つであり鑑別が必要となる.今回われわれは,成人回腸重複腸管穿孔の1例を経験したので報告する.
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