地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
10 巻 , 1 号
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論文
  • 井上 貴文, 三神 厚
    2015 年 10 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    直接基礎を有する橋梁構造物について,地震時に基礎が浮き上がることや基礎地盤が非線形化することは橋脚の断面力を低減することが指摘されている.本研究は,基礎の浮き上がりを考慮できるよう改良されたマクロエレメントモデルを用いて,基礎の浮き上がりや地盤の材料非線形が地震時の橋脚に発生する断面力に及ぼす影響を検討するものであるが,特に入力地震動の周波数特性の違いによる影響について検討している.検討の結果,基礎の浮き上がりや地盤の材料非線形による橋脚の断面力低減の効果は,入力地震動の周波数特性によって大きく変化し,その程度は,入力地震動の強度特性の影響も受け複雑に変化することがわかった.さらに橋脚の断面力低減効果について,検討対象システムに入力された地震動のエネルギーの収支に基づいて考察を加えた.
  • 村上 博紀, 土田 孝, 安部 太紀, 上野 一彦, 田中 裕一
    2015 年 10 巻 1 号 p. 17-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,東日本大震災と福島第一原発事故により大量に発生した震災廃棄物と除染発生土を対象とした海面処分場に用いる遮水地盤材料の可能性を検討している。現地で採取した廃棄物・土壌の調査結果にもとづいて,放射性セシウムを含む廃棄物および土壌を安全に処分するため底面遮水に用いる地盤材料の目標性能(透水係数5.0×10-10m/s以下,吸着率90%)を設定した。徳山港粘土とベントナイトを混合した供試体を用いて,遮水性能について段階載荷圧密試験を行い試験から得られる透水係数により評価した。吸着性能については供試体と安定セシウム溶液を混合させ攪拌させる振とう攪拌試験と圧密した供試体に安定セシウム溶液を通水させる圧密通水試験を実施することにより評価した。本地盤材料を用いて海面処分場の底面遮水を行う場合を検討した結果,設定した目標性能を達成できることを示した。
  • 佐名川 太亮, 西岡 英俊, 神田 政幸, 森野 達也, 米澤 豊司, 青木 一二三
    2015 年 10 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤中の杭基礎は,地盤変位の影響により地震時に杭体の地中深くまで曲げモーメントが発生する。地盤変位による杭体損傷後の挙動に関しては未解明な部分が多く,安全側の設定として杭体に降伏点を超える損傷が生じないよう設計されているため,経済的な深度での段落しを行うことが困難となっているのが現状である。本論文では,合理的かつ経済的な段落し設計手法の確立を目的とし,慣性力と地盤変位の相互作用下において段落し位置が杭の水平抵抗に与える影響について実験および数値解析的検討を行った。模型実験の結果から,慣性力の影響により段落し部に損傷が発生しない深度に段落しを行えば,地盤変位の影響によって杭体に損傷が発生したとしても,杭の水平抵抗に影響を与えないことが確認された。また,応答変位法を用いた静的非線形解析手法により,杭体損傷後の挙動についても実験結果を精度よく再現することが可能であることから,杭体の損傷を許容した設計の可能性を示すものである。
  • 横山 勇気, 半井 健一郎, 嶋倉 ちづる, 鯉渕 清
    2015 年 10 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    放射性廃棄物処分施設における人工バリアに使用が検討されているNa型ベントナイトは,数万年の間に周囲のセメント系材料からの溶脱成分により変質し,膨潤性能などが低下する可能性がある。そこで本研究では,セメント系材料からの溶脱成分との反応性を有する各種無機材料(フライアッシュ,シリカフューム,炭酸ナトリウム,高炉スラグ微粉末)をそれぞれベントナイトへ事前に混合する手法を提案し,飽和水酸化カルシウム水溶液の作用下におけるベントナイトの膨潤性能の低下を抑制する効果について,膨潤変形試験を用いて検討を行った。その結果,ベントナイトに人工ポゾラン(フライアッシュやシリカフューム)または炭酸ナトリウムを少量混合した場合に,ベントナイトのアルカリ変質による膨潤性能の低下を抑制する効果が確認された。一方で高炉スラグ微粉末を混合した場合には,供試体内部まで高アルカリ溶液が浸透しない現象が確認され,計測された膨潤性能は小さな値となった。
  • 山田 哲司, 西形 達明
    2015 年 10 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    酸化マグネシウム改良土が持つ暴露条件下での長期安定性に注目し,材料コストの低減と適用土質の範囲拡大を目指して,酸化マグネシウムと高炉スラグ微粉末からなる混合固化材を用いて室内配合実験を行った。混合固化材の土に対する添加量は10%,混合固化材中の酸化マグネシウムの混合率は0~100%で変化させ,4種類の土質に対して改良土を作製して,一軸圧縮強さやpHを測定した。その結果,混合固化材スラリーや改良土の強度は酸化マグネシウム単体使用時と比較して非常に大きくなり,混合固化材スラリーの一軸圧縮強さは,酸化マグネシウムスラリーの5~6倍程度の値となった。また,混合固化材スラリーや改良土の強度は,酸化マグネシウムと高炉スラグ微粉末との混合比によって異なり,酸化マグネシウム混合率が30%以下の範囲で強度は最大となった。混合固化材を用いた改良土は,繰り返し水浸を受けてもその状態は変化せず,湿潤養生下と同様の材齢に伴う強度増加傾向を示した。繰り返し水浸を受けた改良土のpHは,初期に大きく低下したのち,ほぼ一定の値となった。
  • 森 友宏, 風間 基樹, 大沼 清孝, 大山 浩一, 相川 良雄
    2015 年 10 巻 1 号 p. 67-79
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    2011年東日本大震災では,震災廃棄物混入土砂や津波堆積土砂が大量に発生した。新たな環境負荷を生まないためにも,これらの発生土砂を建設用地盤材料として有効利用することは,復旧復興のために重要である。しかし,これらの発生土砂には木屑等の有機物が大量に含まれており,地盤材料(例えば建設用盛土材料)として利用するためには,その土質力学特性の評価を行い,適切な用途・箇所に用いる必要がある。また,場合によっては土砂の改質が必要となる。本論文では,大量の木屑が含まれる震災廃棄物混入土砂および津波堆積土砂に,現場と同等の分別方法を用いて粒度分布や有機物含有量が異なる土砂を作成した後,それぞれの土砂に対して盛土材料としての使用可能性を吟味するための土質試験を行った。その結果,適切な対処をすれば,建設地盤材料として実際に利活用できることを示した。また,再生資材を使用する際のコストを検討し,再生資材を利活用することによって社会的コストを減少させることができることを示した。
  • 檀上 徹, 酒匂 一成, 藤本 将光, 深川 良一, 酒井 直樹
    2015 年 10 巻 1 号 p. 81-92
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    地盤内の浸透挙動を把握するためにテンシオメータを用いた間隙水圧の計測がおこなわれてきた。テンシオメータの計測値には,間隙水圧と間隙空気圧の影響が含まれるが,地盤内の間隙空気圧をゲージ圧で0kPaと仮定しているため,間隙空気圧の影響については考慮していない。また,近年の研究により地盤内の間隙空気圧の上昇が降雨時の斜面崩壊,雨水浸透などに影響を及ぼす可能性があると指摘されている。そこで本研究では,異なる実験条件(降雨条件,地下水条件,排気条件)に伴う間隙空気圧の挙動を把握するために,雨水浸透時における地盤内の間隙空気圧の計測をおこなった。その結果,地表面が湛水状態になることで地盤内の間隙空気圧の上昇が確認できたことから,降雨時における間隙空気圧計測の必要性を示した。
  • 平田 昌史, 吉田 敬司, 澤野 幸輝, 菊池 慎司, 加藤 真司, 太田 秀樹
    2015 年 10 巻 1 号 p. 93-112
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    東北中央自動車道南陽高畠IC~山形上山IC間の起点側約3kmの範囲は,有機質土を主体とした超軟弱地盤地帯であり,盛土の施工による周辺地盤への影響や道路供用後の長期沈下の発生が懸念される。このため,盛土施工時の安定性確保や周辺地盤への影響低減,長期沈下の抑制を図るべく真空圧密工法による対策が検討されており,その改良効果を確認するための試験盛土が施工されている。本論文では,この試験盛土に対して二次元の土-水連成FEM解析を実施し,供用開始から20年後までの長期沈下予測を行った。なお,今回実施したFEM解析による長期沈下の予測精度や有効性については,今後も引き続き実施する動態観測によって明らかになる予定である。
  • 佐藤 真理, 桑野 玲子
    2015 年 10 巻 1 号 p. 113-125
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    都市部における道路陥没の主原因は,老朽埋設管破損部からの土砂流出による地中空洞形成であると考えられ,実際に陥没事故現場や地中空洞周辺には埋設物が存在することが多い。しかし,陥没や空洞周囲の埋設物に明確な破損部が確認できない事例もあり,土砂流出部のない埋設物付近で空洞形成や陥没発生が引き起こされる原因は不明である。本研究では,埋設物周囲で浸透流の集中箇所,「水みち」があり,土砂流出時には水みちを通して空洞が形成される,という仮説を立て検討を行った。地中埋設物周囲での水みちの様子と,埋設物の存在が土砂流出時空洞形成に与える影響を調べるため,定水位透水試験と小型土槽模型実験を実施した。定水位透水試験では地中埋設物と地盤境界部における透水性を,小型土槽模型実験では埋設物と浸透流の位置関係による空洞進展状況の違いを明らかにし,地中空洞周囲の密度低下領域「ゆるみ」は細粒分流出の他に,飽和度上昇と浸透力による変形に伴い引き起こされることを提案した。
  • 三上 大道, 佐々木 哲也, 石原 雅規, 古関 潤一, 佐藤 剛司, LEE Jina
    2015 年 10 巻 1 号 p. 127-140
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,使用済みガラス瓶を破砕し,リサイクルした粗粒材料を埋設管埋戻し材として利用することを目的としている。埋設管埋戻し材は,(1)地震時の埋設管の浮き上がりを抑制し,(2)地震による大きな残留沈下が生じず,(3)交通荷重によっても大きな残留沈下が生じない性能を有する必要がある。本研究では,(1)地震時埋設管浮き上がり抑制に関しては,遠心模型実験と透水試験にて検証した。その結果,締固め度を90%以上とした場合に埋設管浮き上がり対策として有効となる結果が得られた。(2)地震による沈下抑制に関しては,締固めに着目し,大型モールドを用いた室内締固め試験を実施した。その結果,ジオテキスタイルを併用して締固めることで締固め効率が向上することが明らかとなった。(3)交通荷重による沈下抑制に関しては,一次元繰返し載荷試験,繰返し三軸試験を実施した。その結果,交通荷重による残留ひずみは0.2%程度であることを明らかにした。
  • 磯部 有作, SHAHIN Hossain Md., 中井 照夫, 酒井 亮佑, 吉田 泰規
    2015 年 10 巻 1 号 p. 141-155
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    盛土や構造物構築時および構築後地震などの繰返しせん断変形を受けた基礎地盤の沈下および側方変位抑制工法のモデル実験と数値解析を行った。検討した工法は矢板を側方に挿入するもので,矢板だけの場合,矢板とタイロッドを組み合わせ場合,矢板とネイリングを組み合わせた場合の3種類である。これらの工法について,経済性を含めた最適な矢板の剛性・長さはもとより,タイロッドやネイリングとの組み合わせ効果について,実験・解析の両面から検討した。モデル実験はアルミ棒積層体を地盤材料として実施し,有限要素解析は構成式としてsubloading tij modelを用いて実施した。荷重条件は,上載荷重として鉛直荷重を連続的に大きくする単調載荷と,一定の上載荷重を受ける地盤に繰返しせん断変形を与える2ケースである。結果は,矢板だけの補強では大きな効果は期待できず,タイロッドやネイリングとの組み合わせによって大きな効果が期待できることが分かった。特に,ネイリングとの組み合わせは載荷幅によらず,施工も容易であるため,有効な抑制工法になることが分かった。また,鉛直単調載荷で有効な工法は地盤が繰返しせん断変形を受けるような場合でも有効であることも示された。地盤材料の材料特性を適切に表現できる有限要素解析はこのような工法検討の有効なツールであることも示した。本研究は特定の地盤,特定の条件下の補強効果について論じたものではなく,提案する補強法の有効性とそのメカニズムを実験と解析の両面から検討したものである。
ノート
  • 林 拙郎, 山田 孝
    2015 年 10 巻 1 号 p. 157-162
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    豪雨による表層崩壊と実効雨量の関係を飽和浸透流の関係式から検討した。対象とした斜面は,雨水の浸透し易い草木で覆われた表層土層である。斜面への降雨は土層内へ大部分が降下流入し,基盤上に飽和浸透流を形成する。飽和浸透流の関係式には,土層基盤への雨水降下量と基盤排水量を考慮した連続式を設定した。さらに,設定した式に対してタンクモデルを適用した。この解析より,土層内浸透流の間隙水量を実効雨量Dとおくことによって,従来の実効雨量式が求められた。実効雨量の係数は,地域に固有な地域雨量に対して直線性を有している。
  • 村上 博紀, 土田 孝, 山田 義満, 青山 健
    2015 年 10 巻 1 号 p. 163-172
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/31
    ジャーナル フリー
    ミャンマーで行われたボーリング調査及び土質試験のデータ整理を実施し,日本粘土と比較を行った。比較の結果,土粒子密度と活性度については両者とも性質が概ね一致した。同じ液性限界の粘土で比較するとミャンマー粘土の圧縮指数は日本粘土の圧縮指数の約半分であった。圧密係数については,ミャンマー粘土は同じ液性限界の日本粘土に比べ非常に小さいことがわかった。正規圧密地盤における一軸圧縮強度と有効土かぶり圧の関係から強度増加率を推定すると,ミャンマー粘土の強度増加率は0.225であり,日本粘土の約2/3であった。また,本研究では自然間隙比や液性限界などのパラメーターを用いて重回帰分析を行い,ミャンマー粘土の圧縮指数の予測式を提案した。
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