地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
10 巻 , 2 号
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論文
  • 新舎 博, 米谷 宏史, 高 将真, 熊谷 隆宏, 渡部 要一
    2015 年 10 巻 2 号 p. 173-186
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    局所的に中間砂層が堆積している粘土地盤の圧密沈下を評価する際には,中間砂層の存在が地盤全体の沈下に及ぼす影響を明らかにする必要がある。中間砂層の堆積状況を詳細に把握するためには,密な間隔での土質調査が不可欠であり,本文では,前半部分でドレーン打設時のマンドレル貫入抵抗の記録を活用して,中間砂層の堆積分布を詳細に把握する方法を提案した。次に,中間砂層の影響を考慮した一次元圧密解析と三次元FEM圧密解析を行い,実測と解析の沈下量を比較して,中間砂層が沈下に与える影響について考察した。その結果,ここで述べる方法により,中間砂層が沈下に及ぼす影響を大筋で把握できることが明らかとなった。
  • 岡田 広久, 大島 昭彦
    2015 年 10 巻 2 号 p. 187-199
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    粘土の圧縮性,透水性,圧密速度などの圧密特性は,一般に体積比f(又は間隙比e)を算術目盛りに採ったf~logpf~logkf~logcv関係として表すことが多い。しかし,圧縮性を表す圧縮曲線については体積比fを対数目盛りにとったlogf~logp関係の方が本質的であるという指摘も多くなされている。本論文では,まず圧密特性の表し方を再検討し,算術fによる表し方では整合しない関係が生じることを示し,対数fによる方がmvkcvとの関係を含めて整合のとれた関係となることを示す。次に,浚渫粘土のような超軟弱粘土を例にして,実験的に求めた圧密特性の結果を2種類の表し方で整理・検討し,やはり対数fによる方が圧密特性を正しく表すことができることを示す。最後に,圧密理論式をそれぞれの表し方で展開し,対数fの方が安定した計算結果が得られることを示す。
  • 富樫 陽太, 菊本 統, 谷 和夫
    2015 年 10 巻 2 号 p. 201-211
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    堆積構造や鉱物粒子の配列方向に応じて岩盤は異方的な力学特性を持つ。従来,このような岩盤の異方性は,方向を変えてサンプリングした複数の岩石供試体の三軸試験により調査してきたが,労力や時間,コストの観点で効率的ではない上,異方性の卓越方向を必ずしも特定できなかった。これに対して本検討では,堆積岩など面内等方性を仮定できる異方性岩盤の変形特性を,1回の試験で特定する三軸試験の方法を提案する。理論解析の結果,提案方法は等方圧密時の主ひずみ方向から異方性の卓越方向を特定するとともに,等方圧密時と軸圧縮時の応力とひずみの関係から面内等方弾性体の5つの弾性パラメータをすべて特定できることが示された。
  • 新井 良太郎, 國生 剛治, 日下 拓哉
    2015 年 10 巻 2 号 p. 213-223
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    斜面や構造物近傍などの地盤の液状化において,初期せん断応力の影響は重要である。本研究では,中空ねじりせん断試験機により相対密度30,50%で非塑性細粒分を0~30%混ぜた砂供試体の水平面に排水条件で初期せん断応力を加えたのち,非排水条件で繰返しせん断を加えて液状化試験を行った。その結果,砂の細粒分含有率Fcや相対密度Drによる体積収縮特性の違いにより液状化破壊が5種類に分類でき,そのうち特に脆性的な流動破壊が設計上重要であることを指摘した。そして,非排水単調せん断試験との比較によりこの流動開始点を有効応力経路上で統一的に決定する降伏面の角度φy´に着目し,φy´とFcDrとの関係を求め,脆性的流動破壊が初期せん断応力の大小によらず角度φy´の降伏面によって一意的に決まることを示した。
  • 大島 快仁, 宇高 竹和, 酒井 俊朗, 谷 智之, 兵頭 順一
    2015 年 10 巻 2 号 p. 225-234
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    地震応答解析に基づく地盤安定性評価は2次元FEMによる地震応答解析を用いて検討することが多いが,すべり面の三次元的な形状によっては,すべり安全率が安全側に評価される場合がある。この裕度を示すためには,3次元FEMによる検討が必要になるが,モデルの作成や計算等に多くの時間を要する。そこで,2次元解析結果を用いて比較的簡易に3次元的なすべり面形状に対する地盤安定性の評価を可能とし3次元解析に近い検討結果を得ることができる擬似3次元地盤安定性評価法を使用し,その有効性の検討を行った。本文では,簡単な例を用いてその検討方法と妥当性を示した。さらに実地盤に適用した場合の検証結果を示し,従来の2次元検討の保守性を確認した。
  • 中島 進, 古関 潤一, 渡辺 健治, 舘山 勝
    2015 年 10 巻 2 号 p. 235-251
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    1995年の兵庫県南部地震以降,既設土木構造物の耐震対策が進められてきた。擁壁は,鉄道・道路・宅造盛土の構築において,用地の有効利用などの観点から広く活用されている。筆者らは擁壁の地震時挙動を評価する事を目的とした研究から,擁壁の地震時残留変位量評価手法を提案した。本論文では,兵庫県南部地震で被災した擁壁を対象として,提案手法の検証解析を行い,提案手法で評価した残留変位が実際の被災程度と整合する事を確認した。さらに,過去の振動台実験の結果確認された鋼矢板根入れ工法の補強効果を,提案する変位量評価手法に導入し,前述の被災擁壁を対象として矢板の効果を導入した解析を実施した。解析の結果,再構築が必要とされた擁壁について,矢板補強により被害程度を軽減しうることが分かった。
  • 佐藤 宇紘, 原田 剛男, 岩佐 直人, 林 悟史, 大谷 順
    2015 年 10 巻 2 号 p. 253-265
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    近年,打込み杭工法の施工管理の簡便さ,工期の短さ,建設発生土が少ないことなどの長所を生かしながら,騒音や振動の発生を極力減らすように配慮をした押込み式の杭基礎工法が数多く開発されている。そのなかで,帯状の平鋼を長軸まわりにひねって螺旋形状に加工した新形式のスパイラルパイルを小規模の支持杭として利用する工法が提案されている。本報告では,スパイラルパイルの鉛直支持力について基礎的な検討を行った結果について述べる。小型,大型の室内模型実験を実施し鉛直支持力特性の確認を行うと同時に,X線CTスキャナを用いて模型杭周辺地盤の変化について観察を行った。実験の結果,スパイラルパイル貫入時の軸回転条件が貫入抵抗および載荷時の鉛直支持力に大きく影響を及ぼすことが確認された。軸回転率の異なる貫入実験におけるCT画像の比較からは回転率100%の貫入で地盤の変状が最も少ないことが確認され,貫入時の杭体の周辺地盤への作用の違いが載荷時の支持力発揮に大きく関与していることが分かった。
  • 金 秉洙, 加藤 正司, Seong-Wan PARK, 竹下 祐二
    2015 年 10 巻 2 号 p. 267-276
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    自然状態の土は一般的に親水性材料であるが,オイル流出などの有機汚染や環境汚染,また山火事などの自然災害により疎水性の土へと変化する場合がある.土の疎水性は土中水の接触角やその分布に影響を及ぼすため,力学特性が変化する可能性が考えられる.しかしこれまでの不飽和土の研究分野では,親水性材料に限って研究が進められており,疎水性を持つ不飽和土に関するデータがほとんどないのが現状である.よって本研究では,韓国産のジュムンジン砂を用いて人工的に疎水砂を作製し,メニスカス水が不飽和状態でのせん断挙動に及ぼす影響について実験的に検討した.また,実験より得られた不飽和土せん断強度に対してサクション応力の考え方を用い,その適用性について検討した.
  • 須佐見 朱加, 豊田 浩史, 高田 晋
    2015 年 10 巻 2 号 p. 277-284
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    土は異方的な応力が作用することにより力学的な異方性が発生する.異方圧密による構造的な異方性を有する供試体に対して,中空ねじりせん断試験機を用いてせん断試験を行い,排水条件が飽和・不飽和粘性土の強度特性に与える影響を調べた.飽和・不飽和土とも排水試験においては,強度異方性は見られなかったが,非排水試験においては強度異方性が発生した.ただし,不飽和粘性土の異方性による強度変化は,飽和粘性土に比べて相対的に小さいものであった.この強度異方性を引き起こした構造異方性の発現によって,せん断中の間隙水圧に変化がみられた.破壊時のサクションで整理することで,強度異方性を有した供試体でも,Fredlundらが提案したせん断強度式に従うことを示した.
ノート
  • 品川 恭一, 藤井 衞
    2015 年 10 巻 2 号 p. 285-293
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震では,戸建住宅において液状化による被害が多く発生した.そのため,住民の建物・敷地に対する意識調査の必要性があると判断し,戸建住宅を対象としてアンケート調査を実施した.そして,兵庫県南部地震の際に行った既往のアンケート調査結果と比較を行った.また,液状化による被害を受けた戸建住宅の被害調査もおこない,不同沈下量や傾斜角などのデータを整理し,不同沈下に及ぼす建物の形状の影響や地盤の性状について考察を行った.
  • 福島 伸二, 北島 明
    2015 年 10 巻 2 号 p. 295-305
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    砕・転圧盛土工法は老朽化したフィルダムやため池の堤体改修(耐震補強,漏水防止)を,貯水池内の底泥土をセメント系固化材により固化改良した築堤土,いわゆる砕・転圧土により行うもので,これまでに12事例に適用されている。この工法は,所要の強度と遮水性を有する築堤土が人工的に準備できるため,既設堤体に砕・転圧土ゾーンによる腹付け盛土あるいは押え盛土を急勾配法面で行えるものの,堤体改修ゾーニングにおける砕・転圧土ゾーンとこれに隣接する既設堤体の間に極端な強度差が生じないことが必要である。本稿は砕・転圧盛土工法による堤体改修において,砕・転圧土ゾーンと隣接の既設堤体の間に極端な強度差が生じないように,砕・転圧土により改修した堤体全体の破壊モードを再現した分割載荷型一面せん断試験により砕・転圧土ゾーンの強度における許容値について検討した結果を報告する。
  • 川尻 峻三, 布川 修, 西田 幹嗣, 太田 直
    2015 年 10 巻 2 号 p. 307-316
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    降雨浸透により局所的な変状や破壊が繰返し発生するような進行性破壊において,のり面の初期変状が確認された段階で適切な対策工を行った際には,その後の大規模崩壊を防止できると考えられる。このことから,進行性破壊時の初期変状発生のメカニズム解明や予測手法確立の意義は大きい。そこで本研究では,飽和・不飽和浸透流解析および弾塑性有限要素解析を用いて,模型盛土への散水時の盛土内水位上昇と進行性破壊が発生する前の初期のり面変状の再現計算を試みた。解析結果から,飽和・不飽和浸透流解析では飽和透水係数を室内透水試験で得られた値よりも大きな値に設定することで実験の再現性が良好であった。弾塑性有限要素解析では盛土内の水位上昇に伴う変形係数低下を疑似的に考慮することで,実験において確認された初期のり面変状を再現できる可能性を見出した。
  • 秋葉 正一, 城本 政一, 加納 陽輔, 島崎 勝, 佐藤 克己
    2015 年 10 巻 2 号 p. 317-328
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究は,路面下空洞の地中レーダー探査において得られる異常信号情報が,舗装の健全性に与える影響を市街地道路のFWD試験結果の分析により検討を行ったものである。その結果,異常信号は空洞,ゆるみおよび埋設物に分類され,空洞やゆるみ箇所直上のFWDたわみは健全部のものより大きくなることを確認した。ただし,空洞・ゆるみの広がりや深さとFWDたわみとの関係に相関性を見いだすことが不可能であったことから,空洞・ゆるみ直上の舗装を等方性円板と仮定し,異常信号箇所の陥没や沈下の危険性を評価する手法について検討を実施した。その結果,異常信号箇所の残存TAを円板厚さとすることで,概ね危険性の評価が行える可能性を示唆した。
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