地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
11 巻 , 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
論文
  • 熊野 直子, 椋木 俊文, 大谷 順
    2016 年 11 巻 4 号 p. 295-304
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    破損した下水道管渠において,降雨などで下水道管渠内部の水位が上昇し周辺地盤に漏水した後,管渠内部の水位が下降する際に周辺地盤の土砂を巻き込んだ水が管渠内部へ排出する。この水の流入出の繰り返しによって,管渠周辺地盤が侵食され低密度領域が発生・進展した結果,道路陥没が助長されることがこれまでの研究にて実証されているが,これらの低密度領域の進展機構の解明に至ってない。本研究の目的は,実現象を想定した実験条件下にて,一連の破損下水道管渠に起因する地盤空洞化の解明である。ここでは,下水道管渠の異なる数の破損部から水が周辺地盤へ流入出する場合,また,1回当たりの水周辺地盤への漏水量(流入量)が異なる場合を想定し,X線CTを併用した模型実験を実施した。そして,その結果,低密度領域の進行過程を3次元で可視化することで,進展機構の評価を行った。
  • 松元 和伸, 小林 薫, 森井 俊広, 中房 悟
    2016 年 11 巻 4 号 p. 305-313
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    キャピラリーバリア(以下CB)は,砂層とその下部に礫層を重ねた土層構造であり,浸出水を抑制するための降雨浸透制御技術の一つとして利用されている。CB地盤を設計する重要なパラメータとなるのが限界長であるが,実験結果との整合性の高い限界長推定式が用いられている。しかし,この推定式は2層CB地盤を対象にしており,また上部土層の層厚の影響は考慮されていない。本論文では,覆土を有する3層CB地盤の実用化に資する設計手法を確立するために,上部土層の層厚が降雨浸透制御機能に及ぼす影響を定量評価するとともに,3層CB地盤に対する限界長推定式の適用方法を明らかにした。
  • 設樂 和彦, 毛利 光男, 石鍋 誠一, 江口 崇, 山本 千絵, 田中 仁志
    2016 年 11 巻 4 号 p. 315-325
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,新しく開発した泥水式シールド一体型の自然由来砒素汚染土壌浄化技術の実証実験を実施し,(1)迅速で安定した浄化処理が可能であり,(2)浄化土が砒素溶出量基準(0.01mg/L)に確実に適合し,(3)濃縮汚染土が約10%に減容化されること等の実証を目的に行なった。各浄化プロセスの土量と砒素全含有量の収支を検討した上で,新浄化技術による浄化効果と減容化効果の評価を行なった。砒素溶出量基準の4~6倍の汚染土壌に本技術を適用したところ,常に基準を満足する浄化土が得られた。砒素の全含有量と溶出量が高い微細粒分を取り除くことが,効率的な浄化処理に大きく寄与していると考えられた。浄化土の回収割合が約90%,濃縮汚染土の発生割合が約10%であり,非常に高い減容化が可能であることが認められた。浄化土のコーン指数は679~1,128 kN/m2であり,建設資材として利用できることが確認された。
  • 石井 裕泰, 羽生 剛, 北誥 昌樹
    2016 年 11 巻 4 号 p. 327-339
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,近年,実験研究,施工例が報告されている可塑性グラウトを用いた巨石地盤の注入改良に関して,施工の計画と実施に資する知見を提供することを目的とする。本論文では,まず,捨石マウンドの補強を目的とした実施工を取り上げ,注入実験による検討の詳細を示す。注入に要する圧力については,他の研究による結果と合わせて経時的な変化を分析の上,予測計算法を提示する。次に,実施工で採用した品質・施工管理技術,及び施工結果を示すとともに,得られた注入圧を上記予測法に基づき考察する。最後に,以上の実験結果,注入圧の考察に基づき,注入対象の巨石寸法に応じて可塑性グラウトに推奨される粘性水準を参考値として提示する。
  • 栗本 悠平, 山本 由弦, 阪口 秀, 小枝 幸真, 張 鋒
    2016 年 11 巻 4 号 p. 341-351
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    海溝型巨大地震の発生機構を解明するためには,海溝から地震発生帯までのプレート境界断層(デコルマ)の起源や初期形成過程を理解する必要がある。しかしながら,プレート境界断層が最初に形成される際の材料の力学特性やメカニズムに関する研究は数少なく,室内要素試験や数値実験などの基礎的な研究が求められる。そこで本研究では,デコルマ浅部の静動力学特性を把握するために,房総産シルト岩と藤森粘土を用いてK0条件における静的載荷試験と動的載荷試験を実施し,力学特性と試験前後の内部組織を観察した。その結果,高圧条件下でこれらの材料に動的荷重が作用すると,塑性変形は内部組織を維持したまま進行する可能性が示唆され,室戸半島沖の天然のデコルマゾーンから見出された物性変化と類似した現象を観察した。
  • 栗本 悠平, 山本 由弦, 阪口 秀, 小枝 幸真, 張 鋒
    2016 年 11 巻 4 号 p. 353-363
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    地震発生機構の解明を目指す情報取得技術は,近年大きな進歩を遂げている。しかしながら,海溝型地震発生帯の形成やその規模に関連するプレート境界断層(デコルマ)の起源や初期形成過程に関する研究は,まだ数少ない。我々は,室戸沖南海トラフの深海掘削調査で得られたデコルマの特性に着目し,その初期形成過程で支配的な役割を果たすのは,「プレート沈み込み運動に伴う静的せん断変形ではなく,地震などの動的外力である」と仮説を立て,室内要素試験と数値実験の両面からこの仮説を検証している。本稿では,南海トラフの海底岩盤をモデル化し,二次元有限変形FEM解析を用いた数値実験により,デコルマの形成過程を再現した。その結果,海底岩盤に動的荷重が作用すると,プロトデコルマは粒子配列を維持したまま圧縮挙動を示し,地震などの動的外力がデコルマ初期の形成主因である可能性を示唆した。
  • 塚本 将康, 稲垣 由紀子, 佐々木 哲也, 小田 和広
    2016 年 11 巻 4 号 p. 365-375
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    微生物代謝を利用し,炭酸カルシウムを析出させることによって地盤改良を行う新たな技術が提案されている。この技術によって改良された土の力学特性は,微生物・栄養塩等の添加条件および土の種類・密度に依存することが明らかにされている。それらの影響を系統的に明らかにするためには,改良効果を適切にコントロールでき,再現性の高い力学試験方法の確立が必要である。本研究では,微生物代謝による改良土の三軸試験方法を提案する。まず,モールドを用いた供試体の作製方法を開発する。この方法では,炭酸カルシウム析出量を適切にコントロールできる。また,炭酸カルシウムの析出が比較的均質な試料土の中央部を切り出すことにより,均質な供試体が作製できる。さらに,供試体作製から試験実施までの様々な過程において供試体の乱れが少ないことを明らかにする。最後に,圧密排水三軸圧縮試験を実施し,一連の試験結果に基づき提案する試験方法の妥当性を確認する。
  • 永坂 英明, 田中 良仁, 張 鋒
    2016 年 11 巻 4 号 p. 377-390
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    地盤の地震応答解析においては,時間領域における解析法と周波数領域における解析法が存在するが,その簡便性および地震波引き戻し計算や波形分離が可能であることから,SHAKEに代表される周波数領域における解析法が設計レベルでは多く用いられてきた。しかしながら,周波数領域での地盤の非線形性は,等価線形化手法によって評価するしかなく,この手法の適用限界については数々の指摘がある。これまで,有効ひずみ評価時の係数を変更することで等価線形化手法の課題解決が試みられてきたが,非線形特性を適切に評価できるまでには至っていない。そこで,本論文では,入力地震動を1パルス波毎に分解し,これらを順番に周波数領域における地盤地震応答解析を実施する方法を提案する。この手法の検証として,鉛直アレー地震観測記録と護岸動的実験の再現解析を実施し,良好な再現性を確認した。
ノート
  • 福島 伸二, 北島 明
    2016 年 11 巻 4 号 p. 391-397
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    筆者らは,老朽化したフィルダムの堤体改修(耐震補強や漏水防止)のために,貯水池内の底泥土を所要の強度と遮水性を有するように固化改良した築堤土(砕・転圧土)に利用できる砕・転圧盛土工法を開発し,13箇所のフィルダムやため池に適用してきた。改修後の堤体の安定性を合理的に評価するには,既設堤体と堤体改修のために腹付けた砕・転圧土ゾーンのそれぞれの強度特性を正確に求めることが必要である。本稿は,堤体改修中の堤沢ダムを対象に既設堤体と砕・転圧土ゾーンにおける強度異方性を水平面に対して角度を変えて採取した不攪乱供試体の三軸圧縮試験により調べ,以下の結果を報告した。強度異方性は既設堤体土においてのみ認められ,固化改良土である砕・転圧土では認められないこと,したがって堤体の安定計算では既設堤体においてのみ強度異方性を考慮する必要がある。
  • 榎本 忠夫, 久保 和幸
    2016 年 11 巻 4 号 p. 399-409
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー
    2016年の熊本地震により生じた熊本市南区の一部における液状化被害調査を実施し,被害の概要を報告した。また,液状化による噴砂を採取し粒度試験を実施した結果,いずれも非塑性細粒分の含有率が35 %程度以下の砂であった。さらに,採取した噴砂を用い,豊浦砂と珪砂6号に関する既往の実験結果と比較する観点から,湿潤突固め法により作製した初期相対密度40 %の供試体を対象に非排水三軸試験を実施した。その結果,(1) 採取試料の液状化強度は豊浦砂より1.05~1.16倍程度高いが,軸ひずみや過剰間隙水圧の発生の仕方は豊浦砂と似通っていること,(2) 採取試料における液状化前後の強度低下率は概ね珪砂6号と同程度であること,(3) 液状化強度は,微小ひずみ領域におけるせん断剛性,ダイレタンシーの影響を含んだ大ひずみ領域における液状化前後の非排水せん断強度と良い相関があることを示した。
feedback
Top