地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
11 巻 , 1 号
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論文
  • 手計 千恵美, 畠 俊郎, 畠山 正則, 阿部 廣史
    2016 年 11 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    砂質量に対する炭酸カルシウム析出率が2~3%という条件のもとで,微生物の代謝活動を利用した固化技術の液状化対策としての有効性に着目した。陸域および海域から単離された既知のウレアーゼ活性陽性微生物(B.pasteurii,S.aquimarina)と東日本大震災で液状化被害を受けた地盤中に既に生息している微生物を対象とし,ウレアーゼ活性を考慮した固化試験を行うとともに土の繰返し非排水三軸試験によって液状化強度を求めた。以上の検討により,1)原位置に既に生息している微生物由来のウレアーゼにより,砂の間隙中に炭酸カルシウムの結晶を析出させる効果が期待できる,2)尿素の加水分解速度にあわせて適切な固化溶液の添加時期を決定することでウレアーゼ活性陽性の微生物を用いて一定量の炭酸カルシウムを析出できる,3)ウレアーゼ活性陽性の微生物を用い,砂質量に対して2~3%の炭酸カルシウムを析出させることで液状化抑制効果が期待できる,ことが明らかになった。
  • 岸田 潔, 津田 直弥, 矢野 隆夫, 安原 英明
    2016 年 11 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,不連続面を有するモルタル供試体および花崗岩供試体を用いて,拘束圧およびせん断速度一定条件の下,温度条件を変化させ,残留状態までせん断させ(Slide),せん断変位を保持させたまま一定の時間放置し(Hold),再び定速度でせん断させる(Slide)といったSlide-Hold-Slide (SHS)型の一面せん断試験を実施した.実験の結果,モルタル供試体および花崗岩供試体で再せん断後のせん断応力の回復現象を確認した.このせん断応力の回復量に対し,線形対数モデル,速度・状態摩擦依存則の適用を行い,不連続面の摩擦挙動や温度の影響について考察を行った.
  • 金 秉洙, 加藤 正司, Seong-Wan PARK, 竹下 祐二
    2016 年 11 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    一面せん断試験において上下せん断箱間に隙間を設けた場合,その隙間幅の大きさが強度特性に影響を与えることが報告されている.このためKimら1)は,数種類の砂質土試料を用いた一面せん断試験結果から,上下せん断箱間の隙間幅設定の基準となるスレスホルドライン(TL)を提案した.本研究ではKimら1)による一面せん断試験の状況を個別要素法(Distinct Element Method)により再現し,平均粒径を固定しながら粒度分布を変化させた試料を用いて隙間幅の大きさを変化させたシミュレーションを行い,TLの有効性について検討した.その結果,異なる粒度分布を持つ試料のスレスホルドポイント(T.P)が,Kimら1)の実材料実験より得られたTLとほぼ同様な傾向を示すことが示された.この結果は,せん断箱の隙間幅の設定に関して,提案されているTLが有効であることを示唆している.
  • 土田 孝, 森脇 武夫, 熊本 直樹, 一井 康二, 加納 誠二, 中井 真司
    2016 年 11 巻 1 号 p. 33-52
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    2014年8月20日に発生した広島土砂災害では,午前3時から午前4時にかけて107箇所の土石流と59箇所のがけ崩れが同時多発的に発生し死者74名,負傷者44名,全壊家屋133棟,半壊家屋122棟という甚大な被害が発生した。本報告では土石流が発生した渓流とその下流の被害状況を中心に調査結果をまとめた。また,土砂災害警戒区域,特別警戒区域の指定を行うための基礎調査で想定されていた被害の規模と実際の被災状況を比較して考察し,基礎調査と区域指定の課題について検討を行った。
  • 土田 孝, 森脇 武夫, 田中 健路, 中井 真司
    2016 年 11 巻 1 号 p. 53-68
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    2014年8月20日に発生した広島土砂災害では,107か所の土石流と59か所のがけ崩れが同時多発的に発生し死者75名,負傷者44名,全壊家屋133棟,半壊家屋122棟という甚大な被害が発生した。本災害は急激な気象の変化により線状降水帯が形成されて,特定の範囲に時間80mmを超える猛烈な雨が突然降り出して2時間以上継続することにより発生した。本報告は雨量を用いた土砂災害の危険度評価手法が本災害をもたらした雨量についてどのように適用されたかを検討し,今後改善すべき点について考察を行った。
  • 笹原 克夫, 石澤 友浩
    2016 年 11 巻 1 号 p. 69-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    降雨による表層崩壊発生予測のためのモニタリングにおいて,斜面上のどこで計測を行うかという問題は重要である。これを検討するために,砂質模型斜面に一定強度で散水を行い,斜面下端から異なる位置において地下水位と地表面変位の関係の計測を行った。その結果,地下水位が発生しない個所では地表面変位が進行しないこと,そして地表面変位は地下水位の発生とともに顕著に進行することが判明し,両者の関係は双曲線関係で表せることが判明した。また斜面下端から遠くなるほど,両者の関係において地表面変位が大きくなり,かつ地下水位の最大値が小さくなることが分かった。崩壊発生前の任意の時刻までの計測データから,「地下水位~地表面変位」の回帰式と「時間~地下水位」の回帰式を作成し,それらを組み合わせて「時間~地表面変位」の,そして「時間~地表面変位速度の逆数」の予測式を作成し,崩壊発生時刻の予測を行った。すると地表面変位の計測値が,崩壊時の地表面変位の40%になる時刻までの計測値を用いて予測式を作成すれば,いずれの位置においても60秒以内の誤差で崩壊発生時刻の予測が可能であった。
  • 澤田 幸平, 竹村 次朗
    2016 年 11 巻 1 号 p. 85-102
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,パイルドラフト基礎の水平抵抗,モーメント抵抗特性を明らかにすることを目的とし,相似則を考慮した遠心場においてパイルドラフト基礎,およびその構成要素である杭基礎,直接基礎の静的鉛直,水平載荷試験を行った。特に,上部構造物自重がパイルドラフト基礎の水平抵抗,モーメント抵抗に及ぼす影響に着目した。遠心模型実験の結果,水平荷重,モーメント荷重を受けるパイルドラフト基礎の杭部は,ラフト底面接地圧の影響により杭基礎の挙動とは大きく異なることを確認した。また,上部構造物の自重が増加し相対的に杭の安全率が小さくなると,ラフト底面の支持力を効果的に活かすことができるため,パイルドラフト基礎全体の水平抵抗,モーメント抵抗が増加することを確認した。
ノート
  • 大津 宏康, 北岡 貴文, 野並 賢
    2016 年 11 巻 1 号 p. 103-114
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,日本を含むアジア諸国では降雨に起因する斜面崩壊に伴う土砂災害の発生頻度が増加しつつある。本研究では,風化花崗岩における斜面崩壊事例が多いことを考慮し,既往の文献に基づき,花崗岩の風化特性に関する知見をレビューするとともに,その知見に基づきタイ・プーケットの風化花崗岩切土斜面における安定性評価について考察を加えた。この結果として,風化花崗岩からなる地盤において比較的急傾斜の切土斜面を構築した場合には,風化により斜面表面から比較的浅い領域に存在する細粒分が卓越する層(比較的低透水性領域)に浸透水が貯留され,それに伴うせん断強さの低下により浅層崩壊を引き起こす可能性があることを明らかにした。また,この知見を反映した調査事項に関する提言も示した。
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