地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
11 巻 , 2 号
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論文
  • 中井 真司, 渡邉 聡, 笹原 克夫, 岩田 直樹
    2016 年 11 巻 2 号 p. 115-125
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    表層崩壊の発生メカニズム解明を目的として,まさ土斜面で降雨時のせん断変形と土壌水分の変化を観測した結果,表層から1mの領域で降雨浸透に伴い浅層部からせん断変形が始まる傾向が確認された。変形と体積含水率の上昇および土壌水分吸引水頭の低下は同じ深度で発生しており,降雨時に高含水状態になった領域で変形が発生したと考えられる。夏季の降雨では湿潤によりせん断変形が進行し,降雨後の乾燥過程で逆方向にゆっくりと戻る傾向が見られたが,9月後半以降は浅層部では変形が累積する状況が確認された。本研究では,降雨および土中の水分状況とせん断変形に着目して,初期含水状態の違いや降雨強度等の影響とせん断変形の関係について検討した。この結果,初期体積含水率が大きく,かつ体積含水率の上昇速度が大きい条件において,せん断ひずみが増加しやすいことがわかり,先行降雨による影響で斜面が高含水状態の時に降雨強度が大きな雨が降ると,大きなせん断変形が発生しやすい可能性を示した。
  • 永井 宏, 土屋 勉, 池田 篤則, 佐藤 雄太, 島田 正夫
    2016 年 11 巻 2 号 p. 127-137
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    本論文では,軟弱地盤における回転貫入杭の水平耐力の向上を目的として,回転貫入杭と杭頭周囲に柱状地盤改良を併用した形式の水平抵抗力特性を検討した。本工法では回転貫入鋼管杭を施工後,撹拌混合管を鋼管の外側に設置して,杭頭周囲に鋼管径の数倍の直径を有するソイルセメント改良体を築造する。改良体径を鋼管径の3.5倍とした条件下で,原位置で改良体を施工してその出来形や強度を確認すると共に,実大杭の水平載荷試験から杭の水平支持性能を検証した。試験の結果,本工法による杭では,通常の回転貫入杭に比べて水平変位や鋼管の曲げモーメントが大幅に抑制されることを確認した。また,3次元有限要素法による載荷試験のシミュレーション解析より,改良体の塑性化の進展とそれに伴う杭の水平抵抗機構を明らかにした。そして,本工法による杭では杭施工時の杭周囲地盤での緩み改善,改良体の剛性や改良体内部の鉄筋籠による塑性化の抑制が水平抵抗の向上に寄与することを示した。
  • 松元 和伸, 小林 薫, 森井 俊広, 中房 悟
    2016 年 11 巻 2 号 p. 139-148
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    キャピラリーバリア(以下CB)は,砂層とその下部に礫層を重ねた土層構造であり,浸出水を抑制するための降雨浸透制御技術の一つとして利用されている。砂層と礫層の保水性,透水性などの違いによってCB機能は発揮されるが,実験による検証はCB層境界面が平坦であることが前提となっている。しかし,実施工時に広範囲の層境界面の平坦性を実験と同等に確保することは,施工工程やコストに大きく影響し,品質管理上の課題でもある。そこで,CB構造の展開を図っていく上で,CBの遮水機能つまり,限界長に及ぼすCB層境界面の不陸の影響を定量化しておくことが実務面で非常に重要となる。本論文では,上記課題の検討のため,これまで筆者らの研究で得られているCB境界面が平坦な場合のCB限界長と,新たに実験を行う層境界面に不陸のある場合のCB限界長との比較を行った。その結果,規則的な限定的条件下の不陸ではあるが,砂層と破砕貝殻層の層境界面の不陸は,実施工で発生するであろう30mm程度の規則的な不陸であれば,CB限界長等に影響を及ぼさないこと(CB機能も喪失しないこと)を明らかにした。
  • 土田 孝, 熊谷 隆宏, 安部 太紀
    2016 年 11 巻 2 号 p. 149-162
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    高含水比の底泥上に長時間波浪を作用させたときの底泥の安定条件について検討した。波浪が作用するときの水圧差によって底泥内に円弧のすべり面を想定し,回転粘度計で求めた降伏値を底泥の強度として求めたすべり安全率は,長時間波浪を作用させた計11ケースの底泥応答の段階と良好な関係を示した。東京湾を台風が通過したときの海底面における安全率を求めたところ,海底地盤に巻き上げと侵食が発生した時間帯は安全率が1.0以下に急減した時期とほぼ対応していた。海域の平均有義波高を波浪条件として安全率が1となる含水比の範囲を計算すると水深によって液性限界の1.1~ 2.1倍となり,3か所の海底地盤表層の含水比の範囲と一致した。
  • 橋本 涼太, 小山 倫史, 菊本 統, 三村 衛
    2016 年 11 巻 2 号 p. 163-177
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    歴史的な石積の建造物には,その基礎地盤の変形・破壊に起因し崩壊に至るものが少なくなく,近年地盤工学に基づく崩壊メカニズムの解明と合理的な修復方法の検討が求められている。本論文では,地盤と石積の複合構造物の変形解析法の開発を目的として,不連続体解析手法NMM-DDA(マニフォールド法―不連続変形法連成解析)の高度化を試みた。具体的には,増分形の支配方程式に弾塑性構成則を導入した弾塑性NMM-DDAの定式化と,従来の定ひずみ三角形要素をベースとするNMM-DDAで課題となる体積ロッキング回避のための節点ベース均一ひずみ要素の応用について示した。開発手法は弾性梁の曲げ問題や,帯基礎の支持力問題といった基礎的な境界値問題に適用し,理論解との比較によりその精度を確認した。
  • 小池 陽平, 清田 隆, 藤田 哲之, 小長井 一男
    2016 年 11 巻 2 号 p. 179-191
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    埋設物等の埋戻し部における液状化対策工法のうち,埋戻し土の固化,特にセメントを用いた改良土では室内配合設計で十分な掘削性を確保した場合であっても,過強度発現による掘削時の施工性に問題が残る場合がある。本研究では,埋設構造物埋戻し部の液状化対策工法として,泥固化処理等に実績のあるフライアッシュ系改良材(FAI)の適用性に着目した。改良対象地盤を豊浦砂とし,主に液状化強度・変形特性と再掘削性について一連の室内実験を実施して検討を行った。FAI添加率および養生日数が一軸圧縮強さに及ぼす影響,およびFAI改良土と従来のセメント改良土との掘削性能の違いを簡易掘削試験により確認した。これらの結果から,対象地盤材料を豊浦砂とした場合,再掘削性を考慮した埋戻し土の地盤改良は,添加率2%のFAI改良土が適切であることを示した。また,液状化強度特性に及ぼすFAI改良効果を明らかにするとともに,動的計測による微小せん断剛性率により,FAI改良による液状化対策効果を評価できる可能性があることを示した。
ノート
  • 山下 聡, 川口 貴之, 大島 弘己
    2016 年 11 巻 2 号 p. 193-200
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    軟弱な地盤表面やサンプリングコア試料等の強度を簡易に推定できる小型のコーン貫入試験器を考案した。考案した試験器の適用性を検討するために,種々の圧密圧力で作製した2種の粘性土試料に対して,コーン先端角や貫入深の異なる条件で試験を行うとともに,従来から用いられている土壌硬度計やハンドベーン試験器との比較や,一軸圧縮強さとの相関性を求めた。その結果,コーン貫入抵抗と一軸圧縮強さに高い線形関係が得られた。また,従来から用いられているベーンせん断試験や土壌硬度試験の結果に対しても,各試験結果相互において相関関係が得られた。さらに,実際に採取した軟弱な土試料に対しても,室内再構成試料と同様な相関が得られたことから,考案した試験器を用いることにより,粘性土のせん断強度を推定可能であることが示された。
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