地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
11 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 武藤 裕久, 神谷 隆, 長沼 明彦, 小高 猛司, 崔 瑛, 中野 正樹, 野田 利弘
    2016 年 11 巻 3 号 p. 201-214
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    我が国では,特に阪神大震災以降,補強盛土壁が普及してきている。それら補強土盛土壁では,国産を含む様々な種類の補強材が用いられている。著者らは,補強効率の向上を目的として,支圧抵抗と摩擦抵抗を組み合わせた補強材を新たに開発してきた。本論文では,その補強効果を確認するために,摩擦板と支圧板を有する棒鋼でできた補強材の小型引抜き試験を行った。その結果,奥行き方向に長い摩擦板の方が大きな引抜き抵抗力を発揮することが示された。また,支圧板の影響範囲外になるように離して摩擦板を設置することによって引抜き抵抗力が向上することが確認できた。さらに,摩擦板による引抜き力の負担割合は,引抜きの初期段階に60~70%程度発揮し,その後引抜き変位が増大するのに伴い負担割合は低下し,最終的に40~50%に収束することが確認できた。
  • 澤石 正道, 和田 昌敏, 菅野 浩樹, 上村 健太, 高橋 章浩
    2016 年 11 巻 3 号 p. 215-228
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    降雨や地震に対する既設盛土斜面の抵抗力を補強するため,小径羽根付き鋼管を用いた工法を開発している。その補強効果を明らかにすることを目的として,鋼管で補強した実大の試験盛土を構築した。試験盛土の長期的な観測を行い,観測期間中に台風による連続雨量200mmの降雨強度を受けても,斜面は安定を保っていることを確認した。小径羽根付き鋼管の引抜き試験を行い,羽根による所定の引抜き抵抗力が期待できることを確認した。無補強の斜面と鋼管で補強した斜面の両者で掘削による除荷実験とその解析を行い,両者の地盤挙動の違いから鋼管の補強効果について考察した。
  • 西岡 孝尚, 澁谷 啓, 片岡 沙都紀, 北野 智哉, 渡邊 浩幸, 奥村 建夫, 三輪 義博
    2016 年 11 巻 3 号 p. 229-246
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    津市南部の半田地区には「みがき砂」と称されるローカルソイルが分布する.「みがき砂」はその名の通り金属などの研磨剤に用いられ,古くは歯磨粉や洗剤に使用された.採取地では残柱式の坑道が残るため,道路整備に伴う対策の検討や盛土への利用を目的として,工学的性質を室内試験により詳細に検討した.「みがき砂」は自然状態では硬く固結しているが,掘削して解きほぐすとサラサラとした均質できれいな灰白色の土砂となる.しらすに類似した特性を示すが,しらすが粗粒土で砂質土に分類されるのに対し「みがき砂」は細粒土で粘性土に区分される.細粒分含有率90%に及び,にもかかわらず,低塑性でかつ,粗粒土に類似した力学特性を示すのは,シルトが80%を占め,大部分が火山ガラスよりなるためである.自然状態のせん断強度は,ccu≒100~200 kPa,φcu≧40~50°で,岩盤にも相当するが,再構成試料では,ccu=10kPa,φcu=36°(平均値)と小さい.また,直立する無処理の露頭が数十年も安定を維持するのに対し,再構成試料は水浸により数分で崩壊するなど,耐侵食性が低く,盛土材としての利用にはセメント改良が必要である.
  • 神尾 昌宏, 蓬莱 秀人, 亀井 健史
    2016 年 11 巻 3 号 p. 247-258
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    我が国において,都心部における土地有効利用の面から汚染地盤を修復して再利用することが重要な課題となっている。汚染地盤を修復する方法は各種存在するが,それぞれの手法において浄化可能な汚染物質や適用範囲が異なる。修復作業においては,適した工法を選択することで環境負荷と経済性に優れた浄化工事が可能となるため,その計画ではそれぞれの特徴や特性を把握することが必要である。本研究では,筆者らが開発した熱脱着処理による土壌浄化システムを実地盤の汚染土壌の浄化工事に対して適用し,その浄化特性と浄化機構を明らかにした。また,熱脱着処理による複合汚染や重金属汚染への適用範囲の拡大の可能性についての検討を行った。
  • 内田 明彦, 田屋 裕司, 本多 剛, 津國 正一, 小西 一生
    2016 年 11 巻 3 号 p. 259-267
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    著者らは液状化対策として用いられる格子状地盤改良工法の格子間隔を算定する簡易算定式を提案したが,その適用性の拡大と精度の向上を図るため,格子間隔,改良体剛性,改良長さをパラメータとする地震応答解析(等価線形)を実施し,式を構成する補正係数を見直した。修正した簡易算定式は異なる地震動レベルに対しての地震応答解析による格子内地盤の水平最大せん断応力を適切に評価できることがわかった。また,実大地震を経験した建物基礎に採用された格子状地盤改良の検証解析を行ったところ,簡易算定式によるFl値は解析結果を安全側に評価できており,地震後の現地調査結果とも整合していることが分かった。したがって簡易算定式は格子状地盤改良の格子間隔を設定する方法として有効であると考えられる。
  • 秦 二朗, 佐々木 薫, 諸泉 利嗣, 西垣 誠
    2016 年 11 巻 3 号 p. 269-282
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    中山間地域の高速道路(供用後30年以上)の沿線において,凍結防止剤の地下浸透経路や浸透範囲等を定量的に検討するために2次元浸透流-移流分散解析を実施し,解析値と観測値の対比より両者は概ね一致するかを検証した。その結果,凍結防止剤は高速道路から河川までの約300mの間を約15年かけて浸透し,観測地点での塩分濃度は上昇速度を減じながらも現在も緩やかに上昇していることが推定された。つぎに,凍結防止剤の散布を中止した場合,地下水の水質が元にもどるには既設井戸で約30年かかることを予測した。また,浸透メカニズムについて検討した結果,凍結防止剤の浸透経路及び浸透範囲には,相対的に透水性の高い破砕帯が大きく関与していることを明らかにした。
ノート
  • 國生 剛治
    2016 年 11 巻 3 号 p. 283-293
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    筆者らは応力より直接的に液状化を支配する物理量として損失エネルギーに着目し,それと関連付けた累積ひずみエネルギーを地震波動エネルギーと比較することにより簡便に液状化判定できる手法を前論文で提示した。またこのエネルギー法をモデル地盤や既往液状化事例に適用し,周期や継続時間などが異なる地震動について従来の応力法(FL法)よりも適切に評価できる可能性を示した。本エネルギー法では,上昇波動エネルギーを算定しそれを地盤各層の液状化エネルギー容量と直接対比する点がこれまでにない特徴である。本補遺では,前論文で十分には触れなかった波動エネルギーの算定と損失エネルギーとの対比の理論的根拠,室内載荷試験との関連を整理し,判定の簡素化のために組み入れた近似の考え方について述べる。さらにFL法との判定結果の乖離が大きかった液状化事例を再び取り上げ,エネルギー法に組み込んだ近似がもたらす影響について検討を加える。
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