津市南部の半田地区には「みがき砂」と称されるローカルソイルが分布する.「みがき砂」はその名の通り金属などの研磨剤に用いられ,古くは歯磨粉や洗剤に使用された.採取地では残柱式の坑道が残るため,道路整備に伴う対策の検討や盛土への利用を目的として,工学的性質を室内試験により詳細に検討した.「みがき砂」は自然状態では硬く固結しているが,掘削して解きほぐすとサラサラとした均質できれいな灰白色の土砂となる.しらすに類似した特性を示すが,しらすが粗粒土で砂質土に分類されるのに対し「みがき砂」は細粒土で粘性土に区分される.細粒分含有率90%に及び,にもかかわらず,低塑性でかつ,粗粒土に類似した力学特性を示すのは,シルトが80%を占め,大部分が火山ガラスよりなるためである.自然状態のせん断強度は,
ccu≒100~200 kPa,φ
cu≧40~50°で,岩盤にも相当するが,再構成試料では,
ccu=10kPa,φ
cu=36°(平均値)と小さい.また,直立する無処理の露頭が数十年も安定を維持するのに対し,再構成試料は水浸により数分で崩壊するなど,耐侵食性が低く,盛土材としての利用にはセメント改良が必要である.
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