地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
12 巻 , 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
論文
  • 中村 光男, 勝見 武
    2017 年 12 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    土壌・地下水汚染の存在する地盤に杭を計画する場合,杭は汚染土層とその下の難透水層を貫通して支持層に達するが,このような杭の施工によって難透水層の下部の帯水層に汚染物質を拡散させるおそれがある。汚染物質の拡散を防止するための杭工法は,いくつか実績があるものの合理的な工法として確立されていないのが現状である。そこで,アースドリル工法で用いる安定液に含まれるベントナイトなどの懸濁物に重金属を吸着させ,汚染物質の拡散防止を図る工法について実験的に検討をおこなった。その結果,アースドリル工法で用いる安定液に含まれる懸濁物は,鉛に対して高い吸着機能を有することが明らかになった。また,安定液に吸着材を添加し適切な施工管理を行えば,ヒ素,フッ素,鉛に対して高い吸着機能を持たせることが可能であり,自然由来程度の汚染土壌であれば,この安定液の適用が汚染物質の拡散防止対策となる可能性を示した。
  • 岡田 広久, 大島 昭彦, 澁谷 啓
    2017 年 12 巻 1 号 p. 19-31
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    浚渫粘土の埋立処分を効率的に行うためには,事前の沈下予測に基づく浚渫粘土投入計画を立て,処分地の受入土量を正確に把握することが重要となるが,沈下予測には浚渫粘土の圧密特性を正確に把握する必要がある。本論文では,神戸空港浚渫土処分地を対象に,体積比fをlogfで統一的に表した粘土の圧密特性(圧縮性,透水性,圧密速度)を用いて沈下予測計算を行い,原位置との各種計測結果と比較を行う。処分地では浚渫粘土を複数回投入した後,水位差を利用した鉛直排水工法による地盤改良を行い,さらに新たに浚渫粘土が投入された。筆者らはこの複雑な埋立履歴を持つ浚渫粘土層に対し,沈下予測手法を提案して計算したところ,現地で実測した沈下量,間隙水圧,含水比分布とほぼ一致したことを報告する。
  • 武藤 裕久, 神谷 隆, 長沼 明彦, 小高 猛司, 崔 瑛, 中野 正樹, 野田 利弘
    2017 年 12 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    著者らは,補強土壁に用いられる新たな補強材として支圧抵抗と摩擦抵抗を1本のタイバーに組み合わせた併用補強材の有効性を確認してきた。新たな補強材を用いた補強土壁の施工性の検証や安定性を確認するため,施工実験および実際に現場採用された補強土壁において補強材軸力等の計測を行った。その結果,併用補強材に発生する軸力は施工の進捗に伴い増加し,施工完了後はほぼ一定値を示した。また,摩擦プレートおよび支圧プレートが発揮する抵抗力も施工初期からともに抵抗力を発揮し,施工完了後もほぼ一定値を示した。全補強材軸力に対する摩擦プレートの負担比率は,補強材に働く上載応力が小さい範囲では大きく,上載応力の増加に伴い負担比率は低下し40%程度で収束することが示された。
  • -変形特性が大きく異なる異種材料を合成した補強体の内的安定-
    有木 高明
    2017 年 12 巻 1 号 p. 47-63
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    弾性係数と降伏ひずみが大きく異なるソイルセメントと節付細径鋼管を合成した杭状地盤補強体において,内的な力の釣合い及び補強体各部材の変形特性に着目し,その内的安定問題である節付細径鋼管の押抜き耐力及び補強体の圧縮耐力の仮定を定式化して実験的に検証した。その結果,節付細径鋼管のコラムからの押抜き耐力の設計値は極限値に対して短期安全率1.5を担保し,かつ,その変位抑止効果により補強体の平面保持が仮定される。また,補強体の内的降伏状態は細径鋼管の降伏ひずみで定義でき,このときに補強体を構成する各部材が分担する荷重の累加荷重が補強体の降伏(短期)圧縮耐力に設定される。さらに,内的降伏到達以降は細径鋼管の降伏により,補強体の荷重-変位特性はコラムのみの力学特性に依存する。
  • 熊本 直樹, 土田 孝, 福原 和顕, 來山 尚義
    2017 年 12 巻 1 号 p. 65-78
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    広島湾岸の埋立地である商工センター及び東部浄化センターで長期間計測されたデータを用いて,計測された沈下量から粘土地盤の二次圧密係数を逆算し,二次圧密沈下を予測するための計算方法について検討した。また二次圧密沈下と地盤改良工法の関係についても考察した。その結果,サンドドレーンで改良した地盤および未改良の地盤では,逆算された二次圧密係数が段階載荷圧密試験から求めた値と近いことがわかった。低置換サンドコンパクションパイル工法で改良した地盤では,逆算した二次圧密係数は段階載荷圧密試験の値に沈下低減係数を乗じた値に近かった。
  • 川尻 峻三, 田中 政典, 川口 貴之, 猶原 有希子, 平林 弘, 中村 大, 山下 聡
    2017 年 12 巻 1 号 p. 79-90
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    ベーンせん断強さ発揮時におけるせん断特性については不明な点が多い。このため,ベーンせん断強さの発揮メカニズムが明瞭となった場合には現在よりも合理的にベーンせん断強さを算出できる可能性がある。本研究では,再構成した供試体に対してX線CTスキャン装置内でベーンせん断試験を模した実験でベーン周辺でのせん断特性の観察を行った。また,X線CTスキャンから得られた水平断面画像に対してPIV解析を行い,ベーンせん断試験に伴うトルクの増減機構を考察した。その結果,本研究での実験条件の範囲では,ベーンせん断強さ発揮時にはベーン外周で顕著な密度変化を伴うせん断帯が発生していないことがわかった。最大トルク発揮時はベーン外周全域にせん断面(帯)が構築される途中段階にあり,最大トルクの大部分はベーン前方の土試料による抵抗によって発揮されていると推察された。
  • 石井 一郎, 平舘 亮一, 東畑 郁生, 中井 正一, 関口 徹, 澤田 俊一, 濱田 善弘
    2017 年 12 巻 1 号 p. 91-107
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震により,東京湾岸に位置する千葉県浦安市では液状化現象で戸建住宅などの建築物やライフライン等に甚大な被害が発生した。浦安市内の被害が大きかったエリアにおいて,地震後にボーリング,サウンディング等の地盤調査を実施して,土質構成および土質特性を詳細に把握した。その結果,埋立砂質土層および沖積砂質土層の一部で土砂の噴出を伴う液状化が生じ,建築物やライフライン等が被災したことを確認した。本稿では,これらの液状化被害が生じた地盤の情報をできるだけ詳細に記述するとともに,表層地盤の土質特性および埋め立て時の排砂管吐出口の位置と建築物や下水道施設の液状化被害との関係を考察した。また、繰返し非排水三軸試験から得られた液状化抵抗比を求めた結果,原位置試験と土の物理特性から得られる液状化抵抗比と良く整合した。
  • 藤原 覚太, 小堀 雄太, 八嶋 厚, 沢田 和秀, 妙中 真治, 乙志 和孝, 戸田 和秀
    2017 年 12 巻 1 号 p. 109-122
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    2011年の東北地方太平洋沖地震では,地震や津波により多くの海岸堤防が損傷・破壊した。これまで著者らは,堤体内に鋼矢板を配置し土との複合構造とする堤防補強工法について研究してきた。本研究では,既往研究では対象としていなかった「巨大地震」に対する本工法の対策効果について検討した。模型実験の結果,巨大地震の特徴である,加速度振幅が大きく,継続時間が長い,連動型の地震動に対して,本工法は高い沈下抑制効果を有することを確認した。さらに地震動の因子である「加速度振幅」「継続時間」に着目したパラメトリック数値解析による知見を加味すると,本工法は加速度振幅が大きいほど・継続時間が長いほど・連動型であるほど,無対策の堤防の被災挙動と比較して相対的に高い堤体沈下抑制効果を発揮することを確認した。
  • 富樫 陽太, 菊本 統, 谷 和夫, 細田 光一, 小川 浩司
    2017 年 12 巻 1 号 p. 123-134
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,供試体の上下端面に軸直角方向への相対変位を許すスライド機構付きキャップを開発し,それを用いて層理を含む凝灰岩の一軸圧縮試験および三軸圧縮試験を実施して異方性が反映された岩石供試体の変形挙動を観察した.層理方向とその垂直方向にサンプリングした二つの供試体の一軸圧縮試験では,層理方向のヤング率が垂直方向に対して約1.5倍大きいことを確認した.さらに,層理面に対して異なる方向からサンプリングした供試体を用いた三軸圧縮試験では,著者らが提案した一回の試験による面内等方弾性の方向とパラメータの特定方法により層理の傾斜と概ね整合する異方性の卓越方向を予測するとともに,一軸試験で得た異方剛性と調和的な値を得た.
  • 土田 孝, 野口 孝俊, 渡部 要一
    2017 年 12 巻 1 号 p. 135-149
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    東京国際空港D滑走路建設事業では,海底の粘土層の強度評価のために,一軸圧縮強度のほか,三軸試験を用いた再圧縮法による強度評価,一軸圧縮強度と簡易CU強度を併用した強度評価(併用法),三軸UU試験による強度評価が行われた。本論文はこれらの試験結果を検討することにより,再圧縮法と併用法に基づいた試料の品質評価および三軸UU試験の強度の評価を行った。その結果,試料の採取深度によらず,液性限界40%未満の低塑性の粘土では乱れによる一軸圧縮強度の低下が著しいが,液性限界が40%以上の試料では品質は良好であると判断された。また,深度20m以深の試料について三軸UU試験から求めたせん断強度は適度からやや良質な品質と判定され,一軸圧縮強度にみられたクラック型の乱れによる強度低下が回復した結果と推定された。
ノート
  • 畠 俊郎, 高橋 裕里香, 西田 洋巳, 安田 尚登
    2017 年 12 巻 1 号 p. 151-160
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,日本近海に存在する新しいエネルギー資源としてメタンハイドレートが注目されている。このメタンハイドレートを分解してメタンガスを生産する場合,堆積層の強度低下等に伴う地盤変形によって生産活動等が阻害される可能性が危惧されている。本研究では,この地盤変形の抑制に日本近海で採取したメタンハイドレート胚胎層サンプルから新たに単離した微生物の代謝機能を活用する生産支援技術の適用性について検討した。太平洋側および日本海側で採取したメタンハイドレート胚胎層サンプルを対象に尿素の加水分解酵素であるウレアーゼ生産能を持つ微生物の単離を行うとともに,この単離微生物を対象として模擬堆積物の間隙内にカルサイトを析出させる室内試験を実施した。その結果,カルサイトの結晶析出による粒度分布の変化および粘着力の増加に伴う強度増進効果が期待できることが明らかとなった。
feedback
Top