地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
12 巻 , 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
論文
  • 清田 隆, 呉 杰祐
    2017 年 12 巻 4 号 p. 375-383
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー
    地盤の液状化強度比の評価にあたっては、標準貫入試験に基づく簡易評価法と不撹乱試料を用いた非排水繰返し載荷試験(液状化試験)結果を使用する方法がある。しかし、前者では精度の問題、後者では採取試料の乱れの影響により、原位置の液状化強度比が適切に評価されないケースも多くある。本研究では一連の室内試験と既往研究の分析により、「同じ密度で異なる構造を有するセメンテーション効果の弱い砂質土供試体」の液状化強度比RLとせん断波速度Vsのそれぞれの比の間には、高い相関があることを確認した。本論文は、この関係を利用した原地盤の液状化強度比の推定に関するアイデアを示す。
  • 澤村 康生, 松下 麗菜, 岸田 潔, 木村 亮
    2017 年 12 巻 4 号 p. 385-396
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー
    耐震設計を必要としない従来型カルバートの適用範囲を超えるカルバートとして,主要部材をプレキャスト化し,部材同士の連結位置にヒンジ機能を持たせたヒンジ式プレキャストアーチカルバートの施工機会が増加している。本研究では,2ヒンジプレキャストアーチカルバートを対象として,盛土施工過程の変形挙動と強地震時における損傷形態の把握を目的に,実構造に対して1/5スケールの模型を用いて振動台実験を実施した。その結果,模型地盤の作製過程において,盛土高さが天端以上になるとアーチ部材には静止土圧よりも大きな水平土圧が作用することを確認した。さらに,地盤のせん断変形が6 %を超えるような強地震時においても,部材が終局する前に,ヒンジが先行的に破壊する可能性は低いことが明らかになった。また,サイドウォールとインバートの継ぎ目は,構造上の弱部になりうることが示唆された。
  • 亀井 健史, 蓬莱 秀人
    2017 年 12 巻 4 号 p. 397-408
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー
    筆者らは,既往の研究で廃石膏ボードから製造した半水石膏に化学当量的にエトリンガイトの生成量が最大となるように,石炭灰ならびに高炉スラグを配合した複合リサイクル材料を検討し,その材料中に生成するエトリンガイトが半水石膏由来のフッ素の不溶化に極めて有効であることを明らかにしている。本研究では,六価クロム・カドミウム・鉛などの重金属化合物を蒸留水に溶解させて任意の濃度に調整した模擬汚染水を,複合リサイクル材料に添加混合して供試体を作製した。そして,その養生時間とこれら重金属類の溶出濃度との関係を検討し,複合リサイクル材料の重金属類の不溶化に関する地盤環境工学的有効性を実証している。
  • 山添 誠隆, 田中 洋行, 西村 聡, 林 宏親
    2017 年 12 巻 4 号 p. 409-424
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー
    プラスチックボードドレーン(PBD)で改良された泥炭地盤の長期沈下の予測精度向上を目的に,既往の二次圧密係数Cαeの推定式について考察を加えた。無処理のモデル泥炭地盤に対して実施した一次元圧密解析結果より,北海道の実務で多用されている「泥炭式」と呼ばれる経験式の二次圧密係数には,圧密とともに急激に低下する圧密係数により地盤内に残留した過剰間隙水圧の消散に伴う沈下成分が含まれている可能性が高く,粘性に起因して生じる二次圧密による沈下はMesriが提案した関係式Cαe/Cc=0.07(Cc:圧縮指数)に相当することが明らかとなった。そのため,PBD打設により過剰間隙水圧を速やかに消散させた地盤には,Mesriの関係を用いるのが妥当である。以上の考えから,PBD試験盛土に対して二次元水・土連成弾粘塑性FEM解析を実施した結果,泥炭層の二次圧密挙動が良好に再現できることがわかった。
  • 笹原 克夫, 岩田 直樹
    2017 年 12 巻 4 号 p. 425-438
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー
    同一地点での地表面変位と地下水位の計測に基づいて,降雨による表層崩壊の発生時刻の予測を行うためのハイブリッド予測法を提案した。これは時々刻々の両者の計測に基づき,任意の時刻における① 地下水位-変位関係と,② 時間-地下水位関係を非線形近似で求め,式①から計測位置における崩壊時地下水位を求める。それを式②に代入して崩壊発生時刻を求めるものである。ここで①については多数の実験事実に基づき,直接せん断におけるせん断変位-応力比に準じて双曲線関数を仮定した。本手法による予測結果を,人工降雨下の模型斜面での変位計測データを用いて,時間-変位関係をもとに崩壊時刻を予測する福囿式による予測結果と比較した。その結果本提案手法で予測した崩壊発生時刻は,崩壊直前には,徐々に実際の崩壊発生時刻に漸近した。また本提案手法の方が福囿式より安定した予測結果が得られることが判明し,本手法の崩壊予測への優位性が確認された。
  • 森 友宏, 松下 克也, 川﨑 淳志
    2017 年 12 巻 4 号 p. 439-455
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー
    平成28年(2016年)熊本地震において,熊本県益城町では建物および宅地地盤に甚大な被害が生じた。本論文では,益城町の785棟の建物に関して建築構造的側面と地盤工学的側面の両面から被害要因の分析を行い,建物被害に影響を及ぼす要因の検討を行った。その結果,建物被害の傾向は建築基準法ならびに公庫木造住宅工事仕様の変遷に連動していることが定量的に示され,建築年や基礎形式の種類による被害率の違いが明らかにされた。また,宅地擁壁の種類と被害区分をまとめて不適合擁壁の危険性を示すとともに,益城町一帯の表層地盤を構成する黒ボク土の物理・力学特性を明らかにし,宅地地盤被害のメカニズムの検討を行った。
ノート
  • 武藤 裕久, 神谷 隆, 長沼 明彦, 小高 猛司
    2017 年 12 巻 4 号 p. 457-468
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/31
    ジャーナル フリー
    著者らは,支圧補強材と摩擦補強材を1つに組み合わせた補強材(併用補強材)を開発し,小型模型を用いて引抜き抵抗特性を明らかにしてきた。本論文では,支圧補強材,摩擦補強材および併用補強材の実スケールでの引抜き特性の把握を目的として2つの大型試験を実施した。1つは摩擦補強材のみの室内実大引抜き試験であり,もう1つは実物大補強土壁を用いた支圧補強材,摩擦補強材ならびに併用補強材の引抜き試験である。その結果,摩擦補強材の引抜き抵抗力は,水平面の摩擦抵抗力の他,鉛直断面での支圧抵抗力も合わせて評価できることが示された。また,併用補強材の引抜き抵抗力は,摩擦補強材および支圧補強材のそれぞれの抵抗力の和で評価できる。引抜き初期には摩擦抵抗力の負担割合が大きく,引抜き変位量の増加に伴って支圧抵抗力が増加し,最終的には両者の抵抗力が拮抗することが示された。
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