地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
13 巻 , 3 号
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論文
  • 笠間 清伸, 山縣 史朗, 田中 大貴, 古川 全太郎, 安福 規之
    2018 年 13 巻 3 号 p. 171-181
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    南阿蘇村高野台地区で採取した火山灰質土を対象に,一連の土質試験を通じてその物理特性を明らかにした。熊本地震で地すべり性崩壊を起こした原因の一つと考えられる草千里ヶ浜火山降下軽石を対象に,せん断条件を変えた一面せん断試験を実施し,平常時・地震時のせん断特性を明らかにするとともに,ニューマーク法を用いて繰返しせん断時における強度低下を考慮して地震時安定性を評価した。その結果,草千里ヶ浜火山降下軽石は,平常時においては所定の土被り圧によって生じるせん断応力に比べてせん断強度が大きく十分な斜面安定性を有するものの,粒子破砕を生じやすい地盤材料であり,地震時の繰返しせん断に起因して急激な体積収縮の傾向を示し,結果として定体積条件においてはせん断強度が著しく低下する結果となった。以上のようなメカニズムにより,大規模な崩壊の一因となったと推察された。

  • 櫻谷 慶治, 小泉 圭吾, 小田 和広, 伊藤 真一, 小松 満
    2018 年 13 巻 3 号 p. 183-192
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    筆者らは表層崩壊の事前予測を目的に,室内模型斜面実験により一定降雨強度のもと斜面内の体積含水率の上昇率が変化する時点を捉え,その時点の体積含水率を初期擬似飽和体積含水率(θiqs)と定義し,初期擬似飽和体積含水率を超えた後再び体積含水率の上昇率が変化し,変位が進展することを明らかにした。一方,従来の実験での課題として,作製した斜面の土層厚が100mmと薄く,斜面上部,中腹,下部に設置したセンサの挙動がほぼ同様となり,地点ごとの特徴を捉えるまでには至らなかった。そこで本研究では,土層厚を300㎜とすることで,任意の地点における体積含水率と変位の関係を把握することを目的に実験を行った。その結果,のり尻やそのやや上部では,初期擬似飽和体積含水率を超えた後に変位が発生することが確認されたが,中腹など,設置位置によっては,初期擬似飽和体積含水率を超える前に変位が計測されることもあり,この様な場合,既往の仮説が必ずしも当てはまらないことがわかった。

  • 松元 和伸, 井上 光弘, 小林 薫, 森井 俊広
    2018 年 13 巻 3 号 p. 193-204
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    キャピラリーバリア(以下CB)は,降雨浸透制御技術の一つとして利用され,砂層と礫層の保水性や透水性などの違いにより,その機能が発揮される。これまで,室内レベルの土槽実験により,保水性やCB限界長の評価が行なわれてきているが,CB地盤を設計する上で,重要なパラメータである限界長を,数値シミュレーションにより評価した事例は見られない。本論文は,前記課題に対応するため,室内実験により得られている限界長の観測結果に対して,斜面CB層を有する浸透現象を2次元の数値シミュレーション(HYDRUS-2D)で再現できるかどうかを検討し,限界長と底部流出量分布に着目して数値シミュレーションの適用性を評価したものである。その結果,数値シミュレーションの結果は,実用可能なレベルで大型土槽の実験データに対する再現性を示すことができ,CB の設計に適用できる可能性を明らかにした。

  • 國生 剛治, 金子 陽輔, 岡田 侑子
    2018 年 13 巻 3 号 p. 205-221
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    砂の液状化挙動と損失エネルギーの関係を調べるために,中空ねじりせん断試験機を用いた正弦波と不規則波による一連の応力制御非排水繰返し載荷試験を行った。正弦波試験では,同じ相対密度・細粒分含有率の砂については,水圧上昇率・両振幅せん断ひずみが応力振幅や繰返し数によらず損失エネルギーによりほぼ一意的に決定できること,ひずみ~損失エネルギー関係は勾配の異なる3区間に分けられること,損失エネルギーを有効拘束応力で無次元化する実験的根拠があることが示された。不規則波試験でも変動幅は大きいものの,振幅・ゼロクロス回数や波形にあまりよらないほぼ一意的な損失エネルギー~水圧上昇率・両振幅せん断ひずみ関係が得られた。ただしあるひずみ振幅に達する損失エネルギーはひずみが大きくなるほど変動幅が拡大し,またゼロクロス回数の多い波ほど小さくなる傾向が表れる。不規則波形では各サイクルの中立軸の変動や波形不規則性の僅かな違いが液状化時の低拘束圧下でのひずみに大きな違いをもたらすためである。しかし工学的には,精緻な解析により評価精度を上げるより,損失エネルギーのような指標による変動幅を考慮したひずみ評価を目指す方が合理的であると思われる。

  • 佐々木 隆光, 末政 直晃, 島田 俊介
    2018 年 13 巻 3 号 p. 223-235
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,薬液改良土の改良特性を把握する目的で,数種類の珪砂に異なる濃度の薬液を注入した供試体を作製し,一軸圧縮試験を実施した。その結果,強度の発現割合は試料の粒度特性や間隙比などから求められる間隙径深に依存することが明らかとなり,これを指標とした一軸圧縮強さの推定式を提案した。しかしながら,この推定式による値は現場より採取した試料を用いた室内配合試験の結果と概ね一致する傾向を示すものの,一部で過大評価する結果となった。この要因として,細粒分や炭酸カルシウムの影響が考えられたことから,さらに化学的な分析を行い,これらの影響を考慮した強度予測の推定式を提案した。

  • 阪口 和之, 鈴木 素之, 楮原 京子, 松木 宏彰, 金折 裕司, 櫻井 正明, 片岡 知
    2018 年 13 巻 3 号 p. 237-247
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    2009(平成21)年7月21日の記録的な豪雨により,山口県防府市を中心とする地域の480箇所以上の渓流で土石流が発生した。本研究では,顕著な土石流災害発生地区の一つである石原地区の土石流が発生した扇状地端で,防府市域中央部を南流する佐波川の氾濫域に位置する箇所でジオスライサーを用いて連続試料を採取し,同地区の地盤構成が河川性・湖沼性堆積物が主であり,それに土石流堆積物薄層が挟在する結果を得た。また,新旧土石流堆積物の形成年代をそれに含まれる炭化物に対する放射性炭素年代測定値から推定し,石原地区では氾濫堆積域に到達した土石流が2009年の土石流を含め,1230年以降に少なくとも4回以上生じていたことを突き止めた。

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