地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
14 巻 , 1 号
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論文
  • 國生 剛治
    2019 年 14 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    筆者はこれまで模型実験,理論的考察,現地調査により,エネルギー収支に基づく地震時斜面流動量評価法を主に自然斜面の長距離流動崩壊を対象に提案してきた。ここでは同じエネルギー的評価法を盛土やフィルダムなどの小規模滑りに適用するために,Newmark斜面モデルと波動伝播を連成した力学モデルの数値解析を行い,まずSH上昇波と下降波の波動エネルギーの差が斜面滑りで失われる損失エネルギーに直結していることを明示した。また調和波による一連の数値解析により,Newmarkモデルによる斜面滑り変位は振動数によらず上記波動エネルギー差と一意的関係があり,地震マグニチュードなどから算出される斜面直下の上昇波エネルギーや摩擦角,滑り面角,地盤S波速度など主要なパラメータの関数として与えられることを示した。加速度時刻歴を必要とせず波動エネルギーから斜面滑りの有無と変位量評価が同時に行えるこの「エネルギーNewmark法」での計算手順を本数値解析結果や波動エネルギーの経験式を使って具体的に示すと共に,一例としてM6.8の地震について斜面滑り変位と震源距離,斜面特性値の関係をグラフ化し,被災事例との比較を通じて本評価法の設計への適用可能性を明らかにした。

  • 菊地 康明, 石田 哲朗
    2019 年 14 巻 1 号 p. 17-29
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    戸建住宅の地盤調査では,事前調査およびスウェーデン式サウンディング試験を主とした原位置試験を行うのが一般的である。圧密沈下を検討する場合は,一般に固定ピストン式シンウォールサンプラー(固定式)により採取した試料を用いて圧密試験を実施することが望ましいが,経済的な理由により実施されることは少ないのが実状である。本論文では,提案する簡易的サンプリング手法で採取した品質良好な試料から,設計に必要な土質試験結果を得て,設計業務を行うことが一般的になることを目指し,複数の宅地にて3種類のサンプリング方法で採取した試料を用いて実施した土質試験結果を比較し,その品質評価から有用性について検討した。その結果,固定式と同等以上に乱れの少ない品質良好な試料が採取できる経済的で簡便なサンプリング手法であることを示した。

  • 南出 奏, 堃 方, ピパットポンサー・ ティラポン, 北岡 貴文, 大津 宏康
    2019 年 14 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    露天掘り鉱山では,斜面法尻の掘削中に斜面の弱体化による地すべり事故が問題となっている。タイのメモ鉱山では作業途中の斜面崩壊への対策として,崩壊を短時間遅らせるための抑止杭による一時的な補強が試行されている。掘削作業の効率性・安全性を向上させるためにも,法尻掘削の破壊に対して,抑止杭を設置する上での,効果的な抑止杭の配置に関して検討を加えることが課題として残されている。そこで本研究では,抑止杭の配置や杭の効果が斜面崩壊にもたらす影響について,法尻掘削における斜面の物理模型実験を実施しさらに画像分析を用いて検討し,杭の斜面崩壊にもたらす基本的な特性を明らかにした。

  • 小林 薫, 鈴木 明日香, 松元 和伸, 森井 俊広
    2019 年 14 巻 1 号 p. 43-56
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    キャピラリーバリア(以下,CBと記す)は,廃棄物最終処分場閉鎖時の降雨浸透制御を図るための覆土として採用されている。また,盛土式極低レベル放射性廃棄物処分施設や中間貯蔵施設等の覆土としても適用が検討されている。しかし,CBの施工事例は比較的少なく,CBを構成する相対的に細粒な土層とその下部の相対的に粗粒な土層に適した各材料については明らかにされているとは言い難い。特に,細粒な土は,CBの限界長に大きな影響を及ぼす可能性が高く,限界長を最長化するために適した細粒な土を明確にしておくことは重要である。本論文は,Ross-Steenhuisの限界長推定式を基に,限界長を最長化するために適した細粒な土を選定するための判断材料の1つとして材料特性(透水性,保水性)を明らかにした。また,限界長を最長化するために適した材料特性(透水性,保水性)を有する細粒な土を用いて大型土槽実験を行い,実験結果を基に選定した細粒な土の材料特性(透水性,保水性)の妥当性を実証した。加えて,限界長測定値をRoss-Steenhuisの推定式による限界長と比較検討し推定式の適用性を明らかにした。

  • 中村 努, 所 哲也
    2019 年 14 巻 1 号 p. 57-67
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では引抜き土槽のサイズおよび形状に着目し,ジオグリッドを用いた一連の土中引抜き試験を実施し,それらが試験結果に及ぼす影響を明らかにしている。また,ジオグリッド供試体のネッキングや前壁が存在することによって生じるアーチ作用など,引抜き試験が有する機構的な問題について検討を行った。その結果,土槽のサイズ,引抜き口の形状,土槽前壁の剛性は引抜き試験結果に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。また,土槽後端部の形状や引抜き力の載荷方法は試験から得られる強度定数にさほど影響を及ぼさないことが明らかになった。さらに,ジオグリッドの形状により引抜き抵抗メカニズムは大きく異なり,目合いが小さく表面形状が粗いジオグリッドを用いた方が,アーチ作用の影響により引抜き抵抗を過大に評価してしまうことが分かった。

ノート
  • 桑原 秀一, 浜口 伸一, 島田 義勝, 稲積 真哉
    2019 年 14 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    一般に既存杭の撤去には引抜き工法が採用され,特にワイヤーロープ玉掛け引抜き工法が用いられる。しかしながら,施工上の問題点として,破損した既存杭の場合では既存杭の一部を地盤内に残置する可能性や,抜き跡地盤上部からの充填材注入による不均質な抜き跡充填を引き起こす可能性がある。一方,杭先端パワーチャッキング工法(PG工法)では既存杭全体を抱え込んで引き上げるため,例え破損した既存杭であっても確実に引抜き撤去することが可能である。また,ケーシング下部からの充填材注入を行うため,抜き跡地盤(引抜き孔)の深度全体にわたって均質な埋戻しが可能となる。本報告は既存杭引抜き工法の一つとしてPG工法の特徴,安全性,および施工品質の向上について,施工理論より明らかな知見および実施工例を基に述べている。

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