地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
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論文
  • 本多 剛, 清田 隆, 呉 杰祐, 重野 喜政
    2020 年 15 巻 2 号 p. 213-224
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    本論文では,液状化に至るまでの正規化した累積損失エネルギーと過剰間隙水圧比の関係および正規化した累積損失エネルギーの増分と各サイクルで規定される繰返し応力比の関係に一意性があることに着目して,一つの供試体から液状化強度曲線を算定する方法を提案した。本方法を様々な相対密度や異なる作製法の供試体に対して検証した結果,湿潤締固め法の供試体に比べて,空中落下法の供試体は小さな繰返し応力振幅を与えると試験中に液状化抵抗が増加する傾向が強く表れ,繰返し応力比の大小によって異なる液状化強度曲線が得られた。これに対して,液状化強度試験前に人為的な年代効果として微小な排水繰返し載荷を与えた空中落下法の供試体では,高い液状化強度を示すとともに試験中の液状化抵抗の増加は起きず,繰返し応力比の大小に依らず同じ液状化強度曲線が得られることを確認した。

  • 安原 一哉, 渡邉 大樹, 小林 薫, 荒井 靖仁, 佐藤 恭兵, 兵動 正幸, 馬場 敏和
    2020 年 15 巻 2 号 p. 225-239
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    不攪乱火山灰質粘性土の静的非排水せん断を伴う繰返し三軸試験結果を取り入れた簡易な計算によって,2016年熊本地震で起きた益城町における①住宅基礎地盤の支持力低下,②擁壁の主働土圧の増加と受働土圧の低下および③住宅基礎地盤の不安定性と残留変形は,基礎地盤と裏込めを構成している火山灰質粘性土の強度・剛性の軟化および強度定数の低下が一因になっていることを示した。

  • 上野 和広, 泉 明良, DUTTINE Antoine, 矢崎 澄雄, 堀 俊和
    2020 年 15 巻 2 号 p. 241-256
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    レベル2地震動に対するため池堤体の耐震性照査を効率的に実施するため,非排水繰返し載荷を受ける飽和土の非排水せん断強度に関する多数の試験データを分析し,非排水繰返し強度特性と強度低下特性を簡易に推定する手法について検討を行った。その結果,非排水繰返し強度特性を規定するパラメータは,礫質土と砂質土の場合は締固め度,粘性土の場合は粘土分含有率と高い相関性を有することが明らかとなった。強度低下特性を規定するパラメータについては,重回帰分析による分析を行ったところ,礫質土と砂質土の場合は締固め度を説明変数の1つとして採用した時に,粘性土の場合は乾燥密度,細粒分含有率,平均粒径および粘着力(全応力表示)を説明変数とした時に決定係数が高くなった。これら分析結果に基づき,非排水繰返し強度モデルと強度低下モデルを提案した。

  • 奥村 勇太, 飯出 淳, 飛田 哲男
    2020 年 15 巻 2 号 p. 257-268
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    一般的な水道管布設工事で管を埋設する場合,掘削した発生土は廃棄処分され,埋戻しには砂系の購入土が使用されることが多い。ここで,発生土を埋戻し土として活用できれば,自然環境への負荷及び工事費用の低減が可能となる。国土交通省から通達された「発生土利用基準について」により,改良せず使用可能な発生土が定められているが,煩雑な室内土質試験が必要であり発生土の活用は広く普及していない。本研究では,原位置での発生土の簡易判別法(FK法)を全国各地の発生土に対して適用したうえで,発生土が一般の埋戻し土として利用可能かどうかを「水道管布設工事現場を再現した転圧実験」から得られる供試体の各種試験結果等をもとに評価した。その結果,FK法で合格とされた土は,購入土と比較し遜色ない締固め度及び強度が得られ,発生土の簡易判別法としてのFK法の適用性が示された。

  • 内藤 直人, 渡邉 諭, 欅 健典, 馬目 凌, 布川 修
    2020 年 15 巻 2 号 p. 269-279
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    河川水位増水後に橋脚周辺地盤の洗掘状況を目視で直接確認することは容易でないため,鉄道分野では橋脚の固有振動数を用いて健全度を評価することがある。本研究では,局所洗掘が直接基礎模型橋脚の振動特性に及ぼす影響を調べるため,模型橋脚を支持する模型地盤を段階的に掘削する実験と開水路模型を用いた局所洗掘実験を実施し,局所洗掘が進行した際の模型橋脚の常時微動計測を実施した。その結果,局所洗掘の範囲が橋脚底面に達した場合に地盤-構造物連成系の減衰定数が上昇する傾向があることがわかった。すなわち,橋脚の健全度評価においては固有振動数に加えて減衰定数も併せて求めることで橋脚の健全性をより確実に評価できる可能性が示唆された。

  • 榎本 忠夫
    2020 年 15 巻 2 号 p. 281-293
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    豊浦砂にDLクレーを混合した非塑性シルト質砂(細粒分含有率 Fc = 0 ~ 45%),道路盛土から採取した不撹乱・再構成シルト質砂を対象に三軸液状化試験を行い,それらの複数回液状化挙動を明らかにした.試験では同一供試体に対して圧密後の液状化履歴を3回加えた.得られた結果は以下の通りである.(1) 液状化履歴回数に関係なく液状化強度RLFcの増加とともに減少した.(2) 液状化履歴に伴って供試体の密度は増加していき,その増分量はFcが高いほど大きい傾向にあった.(3) 液状化履歴に伴って供試体の密度は増加していくにもかかわらず,RLとせん断剛性Gdは2回目に大きく減少し,3回目の液状化試験ではわずかに上昇する傾向にあった.(4) 道路盛土から採取した試料ではRLGdに対する年代効果が確認された.(5) 各試料のGdRLには良い相関があり,不撹乱・再構成に関係なく材料固有の関係が見受けられた.

  • 有木 高明, 玉手 聡, 堀 智仁
    2020 年 15 巻 2 号 p. 295-310
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    直接基礎と杭及びこれらの併用基礎(以下,PR基礎と称す)の緩い砂地盤と粘性土地盤を対象とした単層地盤での支持力実験の結果から,PR基礎の支持特性を検討した。その結果,パイルをラフトの中央に配置したPR基礎のラフトとパイルとの相互作用の影響度合いを,直接基礎とラフト,杭とパイルで比較すると,ラフトに比べてパイルでの支持力増加効果が大きく,その効果は緩い砂地盤で顕著となることがわかった。PR基礎ではパイルの支持力が付加されることにより沈下抑制効果が得られるがラフトに与える影響は地盤によって異なり,緩い砂地盤では進行性破壊が抑制されてラフトの支持力度が低下,粘性土地盤では圧縮量が抑制されてラフトの支持力度が増加していると考えられる。特に,緩い砂地盤でラフト短辺幅よりもパイル長が短い場合にPR基礎の支持力度が直接基礎の支持力度を下回る一因にはこの影響が挙げられる。一方,パイルの支持力増加効果の主因はラフトの接触応力が作用することによって生じるパイルの拘束圧増加で説明でき,その影響範囲はラフト短辺幅の概ね2倍の深度と推測された。

  • 白神 新一郎, 長谷川 元輝, 澤村 康生, 木村 亮
    2020 年 15 巻 2 号 p. 311-325
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    真空圧密工法は,せん断変形を伴わずに地盤を圧密する工法であり,盛土載荷に併用することで盛土の安定的な施工と周辺地盤の変位抑制が可能となる。本論文では,真空圧密と盛土載荷の作用形式すなわち盛土の施工速度や盛土施工前に設ける真空圧密の先行期間が,盛土載荷時の基礎地盤の安定と周辺地盤の変位に与える影響について,数値解析による検討を実施した。解析は,基礎地盤の安定を目的に真空圧密が適用される工事を想定し,盛土高10 mの高盛土条件で行った。その結果,真空圧密による間隙水圧の抑制効果を得るには,真空圧密の先行期間を設けずに盛土の施工速度を小さくすることが効果的であることが確認された。一方,真空圧密と盛土載荷による変位量の和を小さくするには,真空圧密の先行期間を設けることが効果的であるとの結果が得られた。

  • 菊地 康明, 石田 哲朗
    2020 年 15 巻 2 号 p. 327-337
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    戸建住宅の地盤調査では,事前調査およびスウェーデン式サウンディング試験を主とした原位置試験を行うのが一般的である。圧密沈下を検討する場合は,圧密試験を実施し圧密諸定数を正確に把握することが望ましいが,経済的な理由により実施されることが少ない実状にある。本論文では,複数の宅地にて採取した浅部の沖積粘性土試料を用いて実施した室内土質試験結果の品質評価ならびに比較結果を吟味し,それらの含水比から概略的に物理特性や力学特性を推定し,圧密沈下量を予測する方法を提案した。また,実物件における圧密沈下量の実測値からその有用性について検証したところ,圧密試験結果から得られる沈下量と同等以上に沈下量を予測する方法であることを確認した。

  • -地震がアンカー破断に及ぼす影響について-
    常川 善弘, 酒井 俊典, 宮武 裕昭, 近藤 益央, 藤田 智弘
    2020 年 15 巻 2 号 p. 339-354
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    震度5強以上の直下型地震によりグラウンドアンカー(以下,アンカー)の破断が確認された4箇所の道路のり面のアンカー工について,地震がアンカー破断に及ぼす影響について調査を実施した。調査の結果,地震によるアンカーの破断は,崩壊を伴うのり面と明瞭な損傷が認められないのり面で確認された。破断形態は,引張り破断を主体とするが,一部でせん断破断が確認された。また,アンカーは,引張り破断の理論伸び量より小さい変位量で破断した可能性が認められた。地震後のアンカーの荷重観測を行った結果,余震等に対してアンカーの荷重増加や破断の進行は認められず,のり面は一定程度の安定性を有していることが確認された。地震動とアンカー破断の関係について,簡易予測式による換算最大加速度が580cm/s2以上の箇所で,アンカーに破断が発生したことが確認された。

  • 松本 晶, 河内 義文, 鈴木 素之, 兵動 正幸
    2020 年 15 巻 2 号 p. 355-369
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    2009年7月21日の中国・九州北部豪雨災害では,山口市と防府市の境界付近を中心に土石流が多発した。この土石流発生斜面を観察すると,花崗岩の堅岩が露出し,源頭部にはまさ土化した風化残積土が薄く分布しており,特に基盤岩と風化土層との間の透水性の差異がうかがえた。本研究では,これらの特徴を再現した非定常FEM浸透流解析を行った。また,実物大の実験モデル斜面を造成し,裸地斜面と不織布フィルターを敷設した条件で降雨実験を行った。双方の結果を総合的に検討したところ,高透水性の粗粒層がまさ土層と不透水層の間に存在することによって,地下浸透と層間地下水流の影響で間隙水圧の急激な上昇が発生し,ボイリングが起きることが崩壊の原因になることが明らかになった。また,不織布フィルターの豪雨時浸透抑制効果が確認された。

  • 李 俊憲, 澁谷 啓
    2020 年 15 巻 2 号 p. 371-381
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    本論文では,既設盛土から採取した17種類の砂質土を用いた一連の室内試験を実施し,水浸による盛土材料の圧縮沈下特性に及ぼす締固め度,初期含水状態,上載圧および応力履歴の諸要因の影響について議論している。その結果,土試料によらず水浸による圧縮沈下は締固め度,細粒分含有率,初期含水状態および上載圧の4つの複合的要因に依存していることが分かった。また,初期の締固め度が同じで上載圧および含水比がそれぞれ単調的に増加して飽和状態に近づくときの総体積ひずみは,供試体の初期含水状態や水浸および上載圧の履歴に依存せず,最終的な上載圧により一義的に決まることが分かった。

ノート
  • 稲積 真哉, 桑原 秀一, 小椋 功士, 濱田 聡一郎, 中尾 晃揮
    2020 年 15 巻 2 号 p. 383-393
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    既存杭の引抜き工では既存杭の残置,周辺地盤の沈下ならびに跡地利用時の地盤環境の悪化等,様々な問題が生じている。しかしながら,既存杭の引抜き後に形成される引抜孔に注入される充填材や引抜き工法そのものに何も規定がない。そこで本研究では,既存杭の引抜き工法のひとつである杭先端チャッキング式引抜き工法(パワーチャッキング工法;PG工法)について,MPS-CAEを用いて視覚的かつ定量的に特徴づけることによって当該工法の評価を行った。その結果,PG工法による既存杭引抜き工のシミュレーションを事前に行うことができるようになり,目標強度にあった充填材量の選択を行うことができるようになった。

報告
  • 笠間 清伸, 山本 秀平, 大野 誠, 森 啓年, 塚元 伸一, 田中 淳
    2020 年 15 巻 2 号 p. 395-404
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    2016年にマグニチュード7.3を記録した熊本地震が発生し,河川堤防において堤体およびその基礎地盤の液状化に起因する沈下等の被害を生じた。熊本平野の河川堤防では,軟弱地盤の圧密沈下や液状化に起因する基礎地盤の沈下や側方変位の抑制を目的として,鋼矢板を支持層まで貫入する着底支持鋼矢板工法,支持層まで貫入しないフローティング鋼矢板工法および着底工法とフローティング工法を組み合わせた部分フローティング式鋼矢板工法など地盤補強が多く用いられている。本文では地震時における各種鋼矢板工法の変形抑制効果を評価することを目的として,河川堤防の堤体およびその基礎地盤の液状化ならびに鋼矢板工法の種別とその組合せに着目して,2016年熊本地震における河川堤防の地震時沈下挙動を分析した。

  • 高岡 慶人, 岡村 郁耶, 土田 孝, 許 博皓, 嘉屋 健二
    2020 年 15 巻 2 号 p. 405-418
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    わが国では需要の減少により海上打設用のサンドドレーン船が消滅し,サンドコンパクションパイル(SCP)船でサンドドレーン(SD)を打設する場合がある。境港中野地区における岸壁整備では沖積粘土層を対象にSCP船によるSD打設が実施されたが,予測沈下に対して実測沈下に遅れが生じた。これは通常のSDより大きい120cmの杭径を用いたため地盤内に攪乱が生じ,水平方向圧密係数chが設計に使用された鉛直方向圧密係数cvより低下したためと考えられた。本研究では施工現場の実測データによる解析と室内試験から地盤撹乱による圧密係数の低下について検討を行った。その結果,杭径が通常のドレーン径より大きい場合,水平方向圧密係数として室内試験で求めた鉛直方向圧密係数を用いる従来の設計は沈下速度を過大に評価する可能性があることがわかった。

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