地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
16 巻, 2 号
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論文
  • 小野 耕平, 森 伸一郎
    2021 年 16 巻 2 号 p. 105-115
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    平成30年7月豪雨により愛媛県では多数の土砂災害が発生し,特に県南西部において甚大な被害となった。本研究では,はじめに愛媛県南西部の豪雨の特性と斜面崩壊の特徴について整理した。続いて,県南西部で斜面崩壊を引き起こした降雨特性について,斜面崩壊発生地点の位置情報と,解析雨量およびXRAINによる面的な雨量データを活用して分析した。短期降雨指標(1時間降水量)と長期降雨指標(土壌雨量指数)の関係を求め,判別分析を行ったところ,斜面崩壊が相次いだ時間帯には崩壊の有無に応じて降雨指標の分布に有意な偏りが見られた。また,それぞれの降雨指標には斜面崩壊数が急増する境界値が存在することがわかり,境界値を超えた際の降水量に対する崩壊確率の増加具合は地質帯で大きく異なることが明らかとなった。

  • -繰り返しアプローチに基づく整合性評価-
    能美 大希, 鈴木 誠, 竹内 真司, 菱谷 智幸, 田岸 宏孝
    2021 年 16 巻 2 号 p. 117-129
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    砂礫地盤を対象としたトレーサー試験を実施し,手法とその評価方法について検討した。研究の一環で実施した室内試験より明らかにしたパルス入力を実現する投入手法を原位置試験においても適応することができ,手法の有効性が示唆された。また,実流速を適切に評価するうえでは,複数の比重を用いた予備試験で適切な比重を選定する必要があり,選定には,得られた地質環境(水みちの深度)温度検層との整合性が良いことが確認された。さらに,トレーサー試験を進めていくにあたり,可能な限り試験サイトの地質環境を把握することが必要であり,段階的に調査をし,地質環境を把握していく繰り返しアプローチが効率的に場を理解する1つの手法であることが示唆された。

  • 加藤 智大, 井本 由香利, 保高 徹生, 勝見 武
    2021 年 16 巻 2 号 p. 131-141
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    吸着層工法は,自然由来の重金属等を含む掘削土の底部に施工し,重金属等の周辺環境への流出を抑制する工法として議論されている。本論文ではカラム吸着試験で得られる破過曲線が,Freundlich型の移流分散方程式の数値解に従うモデルをパラメトリック解析によって作成し,各モデルに対し異なる4通りの取得方法を適用した際に得られる分配係数の差異を調べた。さらに取得した分配係数を用いて,層厚30 cmの吸着層に浸透した汚染物質が吸着層底部に到達するまでに要する時間をシミュレーションにより求めた。その結果,本研究で扱った解析条件では,各モデルについて異なる4手法によって得られた分配係数は最大で40%程度の差異であった。また,Freundlich型の係数に従う破過曲線が得られた場合には,Henry型の数値解をフィッティングして分配係数を取得すると,最も安全側の評価となる可能性が示された。

報告
  • 佐野 博昭, 山田 幹雄, 北島 博文, 柏原 司, 古川 幹人, 澄川 圭治, 中村 貴敏
    2021 年 16 巻 2 号 p. 143-157
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,ガス圧定量法を用いた炭酸カルシウム含有率測定のための検量線作成方法を実験的に検討するため,初めに,既往の研究より調べた各種炭酸カルシウム含有率試験の概要をまとめた。次に,ガス圧定量法を用いた初期型および改良型の試験装置を作製することで炭酸カルシウム含有率試験結果に影響を及ぼす要因について検討を行った。得られた結果より,これまで,試験者の判断に委ねられていた試験方法に対して下記に示すような試験条件を用いることで検量線を作成することができた。「(1)振とうには台車を使用する,(2)塩酸濃度は3mol/Lとする,(3)塩酸添加量は30mLとする,(4)振とう方向は圧力計のダイヤフラム面に対して垂直とする,(5)振とう速度は3回/秒とする,(6)振とう時間は50秒とする,(7)圧力の測定は振とう開始後60秒とする。」

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