近年,軟弱な粘性土層を対象に敷設されたシールドトンネルの支保部材にひび割れ等の劣化現象が多く見られる。劣化の要因は種々考えられるが,トンネル敷設後の荷重条件の変化による構造的劣化について,敷設地盤の圧密現象に着目した多くの研究がなされている。これらの研究は外的要因(地下水位低下等)による圧密現象を前提としたものであり,明確な外的要因がない状況で構造的劣化が進行している事例もある。筆者らは後者ついて,大阪の沖積粘性土(Ma13)を対象として,トンネル掘削時のインパクトが粘性土の長期挙動に与える影響と要因について三軸試験と解析によりアプローチした。その結果,対象粘性土は掘削時に受けるPc以下のせん断力により長期に渡る圧縮変形を引き起こす可能性があり,その要因は,ⅰ)伸張せん断力による影響,ⅱ)擬似過圧密粘土であることの2点であるとの結論を得た。
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