地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
2 巻 , 3 号
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論文
  • 池田 智子, 中村 謙太郎, 藤永 公一郎
    2007 年 2 巻 3 号 p. 107-112
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    山口県西方の山間部におけるある河川流域において,ダムより下流域にのみ河床が黒色化する箇所が認められる。当箇所の礫は,金属光沢を有する非常に薄い黒色の被膜に覆われていた。このような現象の原因を解明するため,黒色礫・河川水・ダム湖水について微量分析およびpH・酸化還元電位(Eh)・溶存酸素量(DO)等の水質測定を行った。その結果,黒色化した礫表層部ではマンガン(Mn)の含有量が非常に高く,河川水から礫の表面に沈着したものと想定された。また,河川水についてはダムの上流より下流においてマンガンの含有量が著しく高く,ダム湖水については,湖底付近のマンガンの含有量が5月に比べ8月で顕著に増加する傾向が認められた。これらの地質・化学的データは,夏期の還元的なダム湖の底層土からマンガンが溶出していることを示唆しており,溶け込んだマンガンが河川に放流され,酸化的な下流部において再び沈殿したのではないかと考えられる。
  • 坂内 修, 岩田 留美, 米田 稔, 森澤 眞輔
    2007 年 2 巻 3 号 p. 113-123
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    土壌汚染概況調査を行う場合,対象領域について何らかの土壌汚染に関する情報が存在している場合が多い。本研究では条件付き確率分布を用いた土壌採取地点の評価関数を用い,事前情報を組み込んだ最適な地点配置を決定し,事前情報を利用する方法の有効性について検討した。あいまいな事前情報を組み込んだサンプリング地点配置を探索した結果,事前情報なしにより決定した地点配置よりも適した配置となることが明らかとなった。土壌汚染概況調査を行う場合に一度に全採取地点を決定するよりも多段階に分けて採取し前の段階の実測データを基にして次の段階の地点配置を決定する手法の有効性を明らかにした。
  • 辻野 修一, 前田 幸男, 永尾 浩一, 吉田 望, 規矩 大義
    2007 年 2 巻 3 号 p. 125-137
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    制御発破により地盤の締固めを行う工法の液状化対策への適用性を現場実験の結果をもとに検討し,設計法を提案した。現場実験は砂質土地盤・シルト地盤・埋立て地盤と三つの異なるタイプの地盤で行った。発破は数m間隔で設置されたボーリング孔内に単段または多段配置され,秒時差をつけて行われる。発破終了後地下水が地表に吹き出し,地表は沈下し,N値も増加するので液状化対策としての効果がある。沈下は発破直後で大きく,その後急速に収束するが,細粒分が多くなると収束まで数週間を要する。改良効果は単位体積当たりの火薬量に大きく依存し,発破秒時差,発破孔間隔などにも影響される。N値の増加は細粒分が多くなるほど小さくなるが,60%程度までの細粒分含有率までは液状化対策として適用可能である事を示した。さらに,1孔の発破の距離減衰より多段発破時の振動が予測でき,発破計画によって周辺への振動を低減できることも分かった。
  • LIU Yujian, SRENG Sokkheang, 望月 秋利, 上野 勝利, 坪井 祐也
    2007 年 2 巻 3 号 p. 139-148
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    重力場と遠心場で,砂地盤上の基礎支持力実験を行い,撮影した画像を解析し,地盤中の全過程の変形挙動を観察した。その結果,(1) 支持力–沈下曲線からはいずれも全般せん断破壊と分類されたが,実際は進行性破壊の形態で変形・破壊が進む,(2) ピーク支持力までは主として圧縮変形が進み,受働域 (遷移域を含む) およびすべり線は形成されていない,(3) 局所のせん断ひずみと体積ひずみを観察して,地盤の進行性変形・破壊メカニズムで変形は進む,(4) 重力場,遠心場の実験の違いは地盤の圧縮にあり,ピーク後のせん断変形挙動は類似している,等の結果を得た。
  • 北村 良介, 酒匂 一成, 加藤 俊二, 水島 俊基, 今西 肇
    2007 年 2 巻 3 号 p. 149-168
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    地球温暖化に伴い,世界的な規模で気候の変化(異常豪雨,干ばつ等)が発生している。日本においても梅雨期や台風来襲期に局地的な集中豪雨が発生し,斜面崩壊や土石流に起因する土砂災害が発生している。北村らはこれらの土砂災害を防止・軽減するため,降雨時の斜面崩壊を予知するシステムを提案している。本論文は予知システムを確立するために行われている一連の研究の第一段階と位置づけられる。すなわち,幅と奥行き180cm,高さ90cmの土槽内に模型しらす斜面を作製し,斜面の上面(天端),背面,底面から水を浸透させて崩壊試験を行った。のり面と天端にテンシオメータ,底面に間隙水圧計を設置し,模型しらす斜面内の間隙水圧の経時変化を計測した。そして,降雨に伴うしらす斜面の崩壊メカニズムについて考察を加えている。
  • 山根 信幸, 深沢 健, 土田 孝, 田端 竹千穂
    2007 年 2 巻 3 号 p. 169-181
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    地盤調査結果から得られる調査対象地盤のばらつきは,地盤本来が持つばらつきと,調査・試験方法や採取試料が受ける撹乱等の影響によるばらつきが複合的に加味されたものであり,これまで実地盤に対して定量的に評価された事例は少ない。本論文は,物理特性が比較的均一と見なされる沖積粘性土地盤に対して実施したコーン貫入試験(CPT),一軸圧縮試験(UCT)の結果を用いて,せん断強度(su)のばらつきに関して検討を行った。その結果,CPTから得られるsu(=qtvo/Nkt)はUCTから得られるsu(=qu/2)の半分以下のばらつきであることが確認された。また,suのばらつきは地盤の年代効果による付加的な構造に起因することが考えられ,そのばらつきは圧密の進行とともに低減し一定値に収束することが確認された。
  • 田邉 成, 佐藤 博, 上野 誠, 中谷 登
    2007 年 2 巻 3 号 p. 183-196
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,送電用鉄塔基礎の引揚支持力の増加に対応して,従来の深礎基礎に補強土工法の考え方を取り入れて開発した地盤補強型深礎基礎について,砂質土地盤で実施した補強メカニズムに関する実規模載荷実験等の結果を報告するものである。実規模基礎は,基礎から地盤中に打設した20本の補強材(径9cm,長さ2m)を有する径2.5m,長さ8mの深礎基礎である。引揚実験による基礎,補強材および周辺地盤の詳細な計測により,補強効果は,基礎の引揚に伴う地盤の膨張を抑制することによる補強土効果と補強材自体の構造効果によって再現できることを明らかにしている。
  • 秦 吉弥, 加納 誠二, 山下 典彦, 横井 芳輝, 土田 孝
    2007 年 2 巻 3 号 p. 197-207
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    地震時における盛土のすべり変位量算定手法の1つとしてNewmark法が挙げられる.しかしながらNewmark法では盛土の振動性状が考慮されていないことから,その振動性状を考慮した修正Newmark法が提案されている.修正Newmark法では盛土を1自由度振動モデルでモデル化を行うため,盛土の固有周波数を算定することが必要不可欠となる.一般に,固有値解析を行えば厳密な盛土の固有周波数が算定可能であるが,行列計算等が含まれるため設計実務において採用するには非常に煩雑である.そこで本研究ではレイリーの方法を用いた近似解で示される盛土形状を考慮した簡便な盛土の固有周波数算定式を提案する.そして本提案式の妥当性を検証するため,盛土形状がすべて取り入れられていない既往の固有周波数算定式,固有値解析結果,ならびに振動台模型実験結果との比較検討を行った.その結果,本提案式は十分な精度で盛土の固有周波数を簡便に算定可能であることがわかった.
  • 福林 良典, 木村 亮
    2007 年 2 巻 3 号 p. 209-221
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    開発途上国農村部と主要道路を結ぶ道路は未舗装で,雨季になると部分的に車両走行不能となる。収穫物を市場へと運搬できず,現金収入が得られないことが貧困の一因となる。走行性を確保するには,この道を利用する現地住民自身が日常的に整備していくことが求められる。それには「土のう」による未舗装道路整備手法が有効であると考える。本稿では,「土のう」を利用した新たな道路整備手法をパプアニューギニア独立国農村部に適用し,住民参加のもとでの道路整備の施工性・経済性を評価した具体例を示す。さらに住民が持続的に道路を維持管理していくためには何が必要であるかを考察し,確立したモデル事例を紹介する。
  • 熊谷 隆宏, 土田 孝, 大坪 政美, 渡部 要一, 五明 美智男, 塩田 耕司
    2007 年 2 巻 3 号 p. 223-235
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    液性限界を超える高い含水比を持つ軟弱な底泥が,波浪作用により流動化するとき, 周期的な波圧の作用に起因して,引張応力および主応力の回転に伴うせん断応力が地盤内に作用し,亀裂が発生する。スメクタイトを含有する浚渫泥では,変形追随性が高く,亀裂周囲の粘土部の性状は塊状で保持されながら,局所的に発生した亀裂が深度方向に発達していく延性的性質が現れることを明らかにするとともに,これまで,解明されていなかった亀裂の発生による圧密促進メカニズムを実験および解析により解明した。
  • 亀井 健史, 珠玖 隆行
    2007 年 2 巻 3 号 p. 237-244
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    近年,産業廃棄物の大量化に伴う処分場不足が懸念されており,産業廃棄物のリサイクルが循環型社会形成のためにも重要となってきている。廃石膏ボードは,建築物や住宅の解体によって発生する廃棄物であるが,もしこの廃石膏ボードを建設材料として有効利用できれば,廃石膏ボードの処理問題や建設産業における天然資源の枯渇問題を解決できると考えられる。本研究では,廃石膏ボードのリサイクル推進のために,廃石膏ボードから再生した半水石膏を混入したセメント安定処理土の一軸圧縮特性について取りまとめている。半水石膏は,廃石膏ボードから得られる二水石膏を130°C以上で加熱することによって得られ,水と反応して短時間で硬化するという性質を有しており,その地盤改良材としての有効利用に期待されている。また,半水石膏は中性無害であるため,これまで使用されてきた強アルカリ性の石灰やセメント等に比べ環境に調和的である。実験結果から,半水石膏の添加率と一軸圧縮強さ,乾燥密度および含水比との相関関係が明らかとなり,廃石膏ボードから再生した半水石膏の地盤改良材としての有効性が示唆された。
  • 亀井 健史, 加藤 孝明, 珠玖 隆行
    2007 年 2 巻 3 号 p. 245-252
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    廃石膏ボードは,中間処理業者によって紙と石膏に分離され,石膏の一部は石膏業者等によって再利用・リサイクルされているものの,そのほとんどが産業廃棄物として埋立て処分されている。この廃石膏ボードを建設材料として有効利用できれば,廃石膏ボードの処理問題や建設産業における天然資源の枯渇問題を解決できると考えられる。本研究では,廃石膏ボードから再生した半水石膏の地盤改良材としての有効性について検討するため,豊浦標準砂およびMCクレーに対して半水石膏を種々の添加率で添加し締固めた試料に対し一軸圧縮試験を行い,最適含水比や最大乾燥密度に代表される締固め特性や一軸圧縮特性と半水石膏添加率との関係を解明することによって,半水石膏が地盤改良材として十分に適用可能であることを示唆した。
  • 北島 明, 福島 伸二, 谷 茂, 五ノ井 淳, 酒巻 克之
    2007 年 2 巻 3 号 p. 253-269
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    フィルダムでは貯水池や流入河川の規模が大きく砂礫のような粗粒土が流れ込みやすく,池内には粗粒から細粒までの広範囲な粒度の底泥土が堆積し,底泥土を固化処理して築堤土とする場合の強度管理に含水比だけでなく粒度の影響も考慮しなければならない。筆者らはこれまでにフィルダムの堤体改修に池内に堆積した底泥土を固化処理して築堤土として利用する場合を想定し,室内試験により底泥土の固化処理強度に及ぼす含水比と粒度の影響を調べ,これらの影響を考慮した強度管理法を提案してきた。
    本稿は,著者らにより提案された「強度管理法」の適用性を,実際の池内に堆積していた含水比と粒度の異なる3種類の底泥土を用いて実施工レベルで実施した現場固化・盛土試験により確認した結果を示した。
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