地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
21 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 石黒 健, 平田 昌史, 岩田 将英, 大塚 悠大, 太田 征志, 大河原 正文, 広中 良和
    2026 年21 巻1 号 p. 1-20
    発行日: 2026/03/01
    公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー

    締固めたベントナイト混合土の透水係数に着目し,その影響要因,遮水性発現メカニズム,遮水性形成プ ロセスを実験的に調べた。ベントナイト混合土の基準締固め試験後の供試体,および任意の乾燥密度・含 水比で締固めた供試体の透水係数が,ベントナイト混合率,不飽和締固め時の乾燥密度と含水比の影響を 受けて変化することを示した。同一条件の締固め供試体を実体顕微鏡で観察し,透水係数に影響を及ぼす 上記3 要因が,吸水膨潤したベントナイトゲルの母材被覆と間隙充填,ひいては透水試験時の浸透経路と なる母材残存間隙の大きさや分布に影響を及ぼし,これに飽和過程でのゲルの再膨潤が加わり,遮水性能 が発現することを示した。最後に,加水・混合過程での母材とベントナイトの団粒化,締固め過程での団 粒塊の扁平化と相互連結が,母材残存間隙の閉塞と細孔化,均一化を逐次進展させるプロセスを追跡した。

  • ―ビンガム流体としての挙動に着目した変水頭フロー試験による分析―
    河合 優, 野村 瞬, 谷 和夫, 鈴木 亮彦, 矢部 浩史, 冨田 晃弘, 井原 智則
    2026 年21 巻1 号 p. 21-31
    発行日: 2026/03/01
    公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー

    海底鉱物資源の開発では,1,000 m 超の深海から海上まで鉱石を輸送(揚鉱)する必要ある。揚鉱における 輸送効率の向上を目指して,著者らはベントナイト懸濁液と珪砂を配合した輸送媒体であるキャリア物質 (Carrirer Material,以下CM)を用いることを提案している。輸送効率の評価では,CM の粘性特性(せん 断応力τとずり速度 ý の関係)の評価が重要であり,粒状体を含む試料にも適用可能な粘度計測手法である 変水頭フロー試験により種々の配合によるCMの粘性特性を評価した。CM の粘性特性は ý ≒1.0/sを境に 線形でモデル化するバイリニアモデルが有用であることが確認されるとともに,CM の粘性パラメータ(塑 性粘度ηp と降伏応力τy)とCM の配合の関係をモデル化した。

  • 臼井 寛大, 安原 一哉, 小林 薫, 掛川 智仁
    2026 年21 巻1 号 p. 33-43
    発行日: 2026/03/01
    公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー

    本文では,地震時のような非排水繰返し荷重を受ける塑性を有する飽和細粒土の強度と剛性の低下(軟化)を評価するための損傷パラメータとして,従来用いてきた過剰間隙水圧比に加えて,繰返し両振幅ひずみを用いた評価式を提案した。提案方法の妥当性及び2つの損傷パラメータの優劣を検証するために,2016年熊本地震で被災した宅地盛土を形成していた火山灰質粘性土に対して“静的非排水せん断を伴う繰返し非排水三軸試験”を実施した。この実験結果に対して提案式を適用した結果,塑性を有する飽和細粒土の繰返し載荷による軟化を評価する損傷パラメータとしては,非排水繰返し荷重によって生じた過剰間隙水圧よりは両振幅ひずみの方がより適切であることを明らかにした。

  • 國生 剛治, 石澤 友浩
    2026 年21 巻1 号 p. 45-59
    発行日: 2026/03/01
    公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー

    斜面の地震時滑りは一定の降伏加速度で発生するとされてきたが,振動台実験によれば加速度よりは降伏変位により波形の違いに関わらず一意的に滑り始めることが示唆される。そこで従来のNewmark モデルのスライダーにバネを連結したSS-Newmarkモデルにより,滑り開始の降伏変位u0 を設定した無限長斜面の地震時滑り計算を行った。特性の大きく異なる10 個の強地震動波形による系統的計算により,降伏変位を設定することで,滑り開始加速度Asl は以前の模型実験でも確認されたように従来Newmarkの降伏加速度 A0 を超過する現象が現れるとともに,滑り変位δ は大幅に低下し,大きな影響が表れることが分かった。さらにu0 の値によるAslδ の変化傾向や地震波の振動数特性などの関りを明らかにし,従来は認識され てこなかった滑り開始前の微小な降伏変位u0 を導入することの影響の大きさを具体的に例示した。また,実務設計で良く使われる円弧滑り斜面モデルについてもu0 を導入したSS-Newmark 法の計算例を示しその適用性を明らかにすると共に,耐震補強を施した円弧滑り斜面モデルについても,補強工法の特性に応じたu0 値の設定により異なる滑り挙動を評価できる可能性を示した。

  • 森 裕昭, 佐藤 武斗, 松丸 貴樹, 天野 友貴
    2026 年21 巻1 号 p. 61-74
    発行日: 2026/03/01
    公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー

    集水地形など降雨や浸透水により間隙水圧の上昇が懸念される鉄道盛土には建設時に排水ブランケットの敷設が行われるが,その仕様は経験的に定められており,降雨浸透に対する効果は定量化されていない。本研究では,排水ブランケットによる鉄道盛土の耐降雨性の向上効果を評価することを目的に降雨実験を実施した。実験結果より,排水ブランケットは盛土法尻部の水位上昇の抑制に寄与し,通常の盛土が崩壊に至った累積降雨量の9倍程度の累積降雨量に対しても法面の崩壊は確認されなかった。また,解析的に評価した盛土内水位を考慮した安定解析により,実験で確認された崩壊形状と良い整合を示すすべり面を表現できることが示唆された。

  • 笹岡 信吾, 瀬﨑 智之, 田端 幸輔, 森 啓年
    2026 年21 巻1 号 p. 75-84
    発行日: 2026/03/01
    公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー

    平成24年7月九州北部豪雨に伴う出水により矢部川の河川堤防が決壊した事例では,基礎地盤に局所的に分布した砂質土層に起因するパイピングが発生した。河川堤防の地盤調査には,調査断面の選定や調査密度に起因する不確実性が伴う。本研究では,被災履歴を活用してこの不確実性を軽減し,実堤防の耐浸透性能を反映したフラジリティカーブ構築手法を提案する。具体的には,統計処理された透水係数を用いた浸透流解析を繰り返し実施し,その結果を被災履歴と照合する。適合しない透水係数の組合せを除外し,再計算を繰り返すことで,河川堤防の耐浸透性能評価の精度を向上させるものであり,本手法を実際の河川堤防に適用したところ被災履歴を良好に表現できることを確認した。

報告
  • 笹原 克夫, 室井 翔太, 佐藤 匠, 福場 俊和, 佐藤 渉
    2026 年21 巻1 号 p. 85-94
    発行日: 2026/03/01
    公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー

    近年技術の進歩に伴って,GNSSによる斜面上の変位の計測が頻繁に実施されるようになった。だがその適用は,大規模斜面や地すべりに限られ,表層崩壊の発生が想定される小規模斜面への適用は非常に少ない。本報告では小規模な斜面の変位計測へのRTK-GNSSの適用性を検討するために,高さ約10mの自然斜面にRTK-GNSSのアンテナと,二次元方向の変位の計測が可能な変位計を設置し,斜面を多段階に掘削することによって生じる変位の計測を行った。その結果崩壊直前のRTK-GNSSによる計測変位は,変位計による計測変位の挙動と同様な傾向を示した。しかしGNSSによる計測変位は,崩壊直前にも小さな増減を繰り返すこと,崩壊直前の計測変位の急増が見られず,崩壊時の変位が変位計によるものより小さかった。これらの課題を解決し,GNSSの小規模斜面の変位計測への適用性を高める必要がある。

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