地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
3 巻, 1 号
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論文
  • 高木 優任, 相和 明男, 江口 宏幸, 井口 公一
    2008 年 3 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    環境に優しい杭施工法として最近注目を集めている回転圧入鋼管杭工法の施工の省力化,工期短縮などを図るため,現場接合へ機械式継手を適用することを考えた。回転圧入工法への機械式継手の適用にあたっては,工法の特徴である,施工時に鋼管杭に作用する大きなねじりモーメントに抵抗できる構造を考える必要があった。従来,筆者らが提案する機械式継手では大きなねじりモーメントに抵抗する機構は備えられていなかったため,せん断キーを用いた機械式継手の耐ねじり構造を提案した。その適用性を検討するため,継手を含む鋼管のねじり載荷試験,ならびにFEM解析を実施した。検討の結果,せん断キーを用いた機械式継手の耐ねじり構造は有効に作用し,継手が十分なねじり耐力を有するとともに,提案した設計法が妥当であることを確認した。
  • 早野 公敏, 前川 亮太, 鈴木 哲雄, 橋爪 秀夫
    2008 年 3 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    空港アスファルト舗装の層間剥離探査方法として,打音調査が一般的である現状に対して,調査効率の大幅な向上および調査結果の客観性確保を目指して,連続式赤外線撮影による層間剥離の探査を試みた。実際の空港滑走路を対象に赤外線撮影を行い,舗装表面の熱画像を取得した。その結果,打音調査で層間剥離と推定された箇所あるいはその近傍に,斑点状に表面温度が低下している箇所が熱画像に認められた。さらに層間剥離を考慮した空港アスファルト舗装の熱伝導解析を実施し,熱画像から得られた表面温度データとの比較を行ったところ,斑点状に温度が低下している箇所は,内部に層間剥離が存在している可能性が高いことが明らかになり,連続式赤外線撮影による層間剥離探査の有望性が確認できた。
  • 岩原 廣彦, 佐々木 勝教, 山中 稔, 長谷川 修一, 増田 拓朗, 森 邦夫
    2008 年 3 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    従来のフライアッシュを主原料とした粒状材料の製造方法は,撹拌,転動などの造粒技術や溶融処理,固化材添加,高温養生などの固化技術,また固化後の粉砕,分級などの様々な方法が採られている。しかし,これらの方法は,製造工程が複雑で時間がかかるとともに,製造コストが高いなどの課題が残されていた。このような状況のなか,著者らはフライアッシュを主原料として,少量のセメント,水などを混合して一工程の短時間で撹拌・造粒する技術を開発した。本論文では,このフライアッシュを主原料とした粒状材料は,各種の物理・力学特性試験および耐久性試験ならびに現場施工試験などから自然材料である砂質土,礫質土系の地盤材料に比べて軽量であるものの,これらとほぼ同等の力学特性と施工性を有していることを明らかにした。
  • 前田 良刀, 市川 晃央, 鶴窪 誠司, 齋藤 雄也, 広瀬 剛, 坂手 道明
    2008 年 3 巻 1 号 p. 37-54
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    地盤改良複合杭基礎は,地盤改良体と杭からなる複合基礎形式である。本基礎形式は,軟弱地盤において,杭が水平抵抗に関与する深さまで地盤改良体が存在し,従来の杭基礎に比べて,大きな水平抵抗を期待することができる。したがって,杭径の縮小化や杭本数の削減等により,建設に伴う排土量や使用材料を抑えることができ,環境負荷低減に繋がる基礎形式である。本基礎形式の有効性の確認,水平抵抗のメカニズムの明確化および設計法の確立を目的とし,室内における大型模型を用いた水平載荷試験と3次元FEM解析を実施した。その結果,杭基礎に比べ地盤改良複合杭基礎の水平支持力は2倍以上得られることが分かった。また,以前実施した東京外環自動車道三郷JCTおける原位置水平載荷試験の結果と本試験結果を総合的に評価し,設計法の検討を行い,実務への適用性を検討した。
  • 井澤 淳, 日下 寛彦, 中谷 登, 上野 誠, 佐藤 博, 桑野 二郎
    2008 年 3 巻 1 号 p. 55-71
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    地盤補強型基礎工法は,道路橋梁基礎および送電鉄塔基礎の支持力確保のためのコストダウン工法として開発され,実適用によりコスト縮減に効果を上げてきた。本研究は,近年増加している径5m以上の大口径深礎に対応した工法への改良に向けた,合理的な補強形態の把握を目的としている。水平荷重を受けた大口径深礎は剛体的に回転すると考えられ,回転に対して有効に補強効果を得られる角度で補強材を打設する必要がある。そこで補強材打設角度に着目し,その影響について遠心場水平載荷試験にて検証を行った。実験から水平荷重を受ける地盤補強型基礎工法の補強メカニズムを明らかにした。また,打設角度45°で補強材に効率的に軸力が発生する補強形態となり補強効率は最適になった。この補強材に作用する軸力は,補強材に作用する周辺地盤からの拘束圧に対する打設角度の影響と,地盤の最小主ひずみ方向と補強材打設方向の差を考慮する補正係数f(θ)を評価することにより算出できた。これらの結果をもとに,梁バネモデルを用いた地盤補強型基礎の抵抗モーメント評価法を示した。
  • 段野 孝一郎, 磯部 公一, 木村 亮
    2008 年 3 巻 1 号 p. 73-83
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    土木構造物に対して性能規定型設計の導入が徐々に進められている。杭基礎も例外ではなく,今後は支持力に加え変形についても性能を照査する必要がある。杭基礎の支持力および変形を照査する際,群杭効果の影響を考慮することが重要である。しかし,群杭効果の研究は主に水平支持力を対象として行われてきており,鉛直支持力や沈下量に対する群杭効果の影響はあまり検討されていない。本研究では,実杭先端部をモデル化した単杭模型ならびに杭間隔1.5Dと5.0D(Dは杭径)の6本群杭模型に対し,遠心場での載荷実験を行い,杭先端から伝播する応力に対する群杭効果を検証した。さらに遠心模型実験を土-水連成FEMによりシミュレートするとともに,数値実験により長期沈下挙動に対する群杭効果を詳細に検証した。その結果,短期的な支持力に注目すると杭間隔5.0Dで群杭効果は発現しないが,長期沈下挙動に注目すると杭間隔5.0Dでも群杭効果の影響が生じることを明らかにした。
  • 内田 佳子, 小峯 秀雄, 安原 一哉, 村上 哲, 遠藤 和人
    2008 年 3 巻 1 号 p. 85-93
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    廃棄物処分場では,廃棄物が微生物に分解されるに伴い二酸化炭素やメタンガス等が発生する。温室効果ガスであるメタンガスの放出抑制対策として,覆土内に生息しているメタン酸化細菌による酸化分解が提案されている。メタン酸化細菌による酸化分解の促進には酸素,水が必要であるため,大気中の酸素を取り込むための十分な透気性とメタン酸化細菌への水の供給を阻害しない保水性が覆土材に求められる。そこで,本研究では関東ローム,石炭灰2種,水砕スラグおよび山砂を覆土材の候補材料として,土の保水性試験および相対湿度一定条件に近い環境における自然含水比の測定を行うことにより透気・透水性を評価し,マトリックポテンシャルの観点からの覆土材の含水比設定方法の提案および気相率からの評価を行った。
  • 水野 健太, 土田 孝, 新舎 博
    2008 年 3 巻 1 号 p. 95-108
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2008/03/12
    ジャーナル フリー
    本論文は,真空圧密工法が採用された浚渫粘土埋立地盤における動態観測結果を報告するとともに,土~水連成有限要素解析を適用し,真空載荷時における地盤変形挙動の予測精度の検証と改良地盤の応力状態について考察を行ったものである。解析では,構成モデルとして関口・太田モデルにおける降伏曲面を楕円関数に変更したモデル(修正関口・太田モデルと呼ぶ)を適用し,従来の研究で良く用いられている修正カムクレイモデルとの比較を行っている。修正関口・太田モデルの適用によって真空圧密の工法原理を有効応力経路から考察することが可能なこと,改良域内の圧密沈下量や側方変位量を実務上十分な精度で評価できることを示した。
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