地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
3 巻, 4 号
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論文
  • 松下 智昭, 長田 昌彦, 竹村 貴人
    2008 年 3 巻 4 号 p. 287-294
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文では, 導電性ゴムを用いたひずみ計測方法を提案している。ひずみ計測を行うにあたり, 計測される抵抗値に影響を与える要因として考えられる, 温度変化による影響, 発熱による影響, ゴムの変形特性の影響, 導電性ゴムの変形速度変化による影響についてそれぞれ検証した。さらに実際に岩石供試体を用いて, 導電性ゴムとひずみゲージによるひずみ計測を行い, 導電性ゴムによるひずみ計測方法の適用性を検討した。その結果, 導電性ゴムの抵抗値とひずみには線形的な関係を示す範囲が存在し, その範囲は岩石供試体が破壊するまでの変形挙動を評価するのに十分なものであることがわかった。また導電性ゴムの変形特性が計測される抵抗値に強く影響することがわかった。本手法は, ひずみゲージでは計測困難な破壊後の大きな変形に対しても適用でき, またゴムの低剛性により, 土などの軟らかい材料にも適用できる可能性のある新たなひずみ計測方法であると考えられる。
  • 村上 幸利, 石瀧 英之
    2008 年 3 巻 4 号 p. 295-305
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本論では,ペット樹脂廃材を岩石の粉砕粒子と適量混合し,接着剤として再利用することにより,岩盤表面の外見を損なわない岩接着工の開発を試みる。室内実験等では,ペット樹脂廃材と岩石粉砕粒子の混合比率や粒子の大きさに留意して,斑晶の大きさと色合いが異なる4種類の岩石について,接着剤としての混合物を作製し,強さや付着力および外見的な状態を調べた。その結果として,強さと外見の両面で最適となる混合比率と粉砕粒子の大きさを設定できることが分かった。このため,最適条件を備えた混合物を接着剤として使用し,自然岩盤での岩接着を試験的に施工して,その効果や施工上での問題点を検討した。総括的には,本論で提示する岩接着方法は,十分な付着強さを期待でき,一部の岩種への適用を除いて,自然岩の外貌を損なわないものであることが分かった。
  • 平川 大貴, 増田 直哉, 龍岡 文夫, 川崎 廣貴
    2008 年 3 巻 4 号 p. 307-320
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    土構造物の設計の性能規定化を有効に展開するためには,剛性等の物性を直接的に精度良く,短時間で多数計測して施工管理に反映させる必要がある。その可能性がある試験法に重錘落下(FWD)試験があるが,その結果は一般的には同一平板径での平板載荷試験(PLT)結果と一致しない。本研究ではFWD試験とPLTを実施し,両者の平板圧力~沈下関係が異なる理由をa)載荷速度の違いによる地盤材料の材料粘性,b)急速載荷であるFWD試験結果は地盤の動的挙動の影響が含まれていること,の二つであることを同定した。また,FWD試験におけるバッファの剛性を低下させることによって上記二要因の影響を低減でき,測定精度も上がる。異なる剛性を持つ複数のバッファを用いたFWD試験を行うことにより,PLTによる平板圧力~沈下関係を推測出来る可能性を示した。
  • 西村 友良, 豊田 浩史, 和栗 将貴
    2008 年 3 巻 4 号 p. 321-329
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    自然斜面や盛土・切土斜面の表層部は不飽和状態である。斜面表層部でのサクションは深度によって異なり,地表面付近では大きなサクション(以下,高サクションと呼ぶ)が発生している。高サクション領域では乾燥収縮による亀裂が生じ,表層崩壊の原因の一つと考えられる。本研究では,実際の大気中の湿度変化を考慮した相対湿度環境下で,締固めた不飽和供試体に高サクションを作用させ,三軸圧縮・せん断試験を行い,圧縮・除荷曲線,応力―ひずみ曲線,せん断抵抗角,見かけの粘着力を求めた。また,締固め後に飽和させた供試体による同様の試験も行い,高サクション領域での非塑性シルトの圧縮・せん断特性に関する考察を加えた。
ノート
  • 佐藤 厚子, 鈴木 輝之, 西本 聡
    2008 年 3 巻 4 号 p. 331-342
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    建設工事で発生する土砂の有効利用が進む中で,固化材により改良した土も多く用いられるようになってきた。寒冷地の冬期土工によってセメントや石灰による地盤改良を行う場合,低温下での養生により発現強度が低くなることが知られている。しかし,このような施工中の温度の変化が改良土の強度に与える影響を調べた例は少ない。本研究では,改良した不良土について温度と期間を変えて養生した後の一軸圧縮強さを調べた。その結果,1)一定の温度で養生した場合, 5°C,-20°Cの低温養生では, 20°Cで養生するときよりも発現強度が低いこと,2)初期の養生温度が低くてもその後養生温度を上げると強度が増加すること,3)初めに-20°Cの温度で養生するとその後養生温度を上げても発現強度は小さくなることなどがわかった。
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