地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
4 巻 , 1 号
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論文
  • 李 圭太, 小山 倫史, 大西 有三, 古川 秀明, 小林 猛嗣
    2009 年 4 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    近年の越流を伴う豪雨の発生は河川堤防が破堤に至り甚大な災害となっている.この様な河川堤防の浸透に対する質的な評価にあたり現行の指針では,飽和-不飽和浸透流解析を用いて降雨・洪水による河川堤防内の浸潤挙動を把握し,別途この浸透流解析から得られた浸潤面を慣用円弧すべり解析に適用することにより最小すべり安全率で評価をおこなっている.そこで,本論文では,土を土粒子と間隙水の二相混合体として取り扱い,不飽和領域における浸透特性を取り入れた応力-浸透連成解析手法を開発し,河川堤防の浸透破壊に対する検討を行った.この応力-浸透連成解析は,飽和領域では応力と浸透を連成させるものの不飽和領域において応力と浸透を非連成とすることを提案した.解析結果による河川堤防の質的評価は,塑性ひずみの発生領域を脆弱域とし,降雨・洪水による河川堤防の破堤にいたる要因を解明した.
  • 石川 裕規, Liu Yujian, 望月 秋利, 岡田 章二, Sreng Sokkheang
    2009 年 4 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    一面せん断定圧試験(CD試験)で生じる「供試体とせん断箱の側面摩擦問題」を避けるため,従来型試験機(以下では三笠型試験機と呼ぶ)の上部反力板上に2個の独立した空圧式ジャッキと荷重計を取り付けて,上部せん断箱にモーメントを加えるとともに,せん断箱を上,下に制御して,試験上必要な,水平および定圧条件を満足する方法を開発した。
    この装置を用いて密度を変えた豊浦砂の一連のCD試験を行い,従来型試験機によるCD試験,定体積試験(CU試験)結果と比較した。その結果,本研究で開発した「せん断中に上部せん断箱を上下させる装置」が一面せん断試験機の側面摩擦の解消に有効な方法であること,また定体積試験によるφ' 強度がφCD強度とほぼ一致すること,また三軸CD試験強度と比較して大差が無いこと等の結果が得られた。
  • 山本 剛, 中井 卓巳, 丸木 義文, 小高 猛司, 岸田 潔, 大西 有三
    2009 年 4 巻 1 号 p. 21-33
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は,道路法面の長期的な健全性低下のメカニズムを検証し,合理的な道路法面の維持管理手法を提案することである。盛土,切土いずれの法面においても,長期的な劣化は浸透水などの水理条件と法面構成土の強度特性に密接に関連していることに着目し,道路法面の健全性が長期的に失われるシナリオとして,盛土については度重なる降雨浸透に起因する盛土法尻部の透水性低下,切土法面については降雨浸透に伴う乾湿繰り返しによる表層土の強度低下を設定した。本論文では,想定したそれぞれのシナリオに沿って,供用中の道路法面断面を対象に飽和-不飽和連成弾塑性有限要素解析を用いた事例解析を実施することにより,耐用年数の概念と健全性の低下程度を推定し得る評価手法を示す。
  • 草野 剛嗣, 逢坂 昭治, 相馬 啓, 堀井 清之
    2009 年 4 巻 1 号 p. 35-46
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    著者らはこれまでに飽和含水土壌の凍結速度に及ぼす土壌含水率,土壌の初期温度,凍結管冷却温度および土壌物性値などの影響について実験的に検討してきた1)。本論文では凍結や融解を含む土壌内の温度分布予測のための数値モデルを提案し,数値予測結果と模擬土壌を用いた実験データや実際の地盤凍結工法で測定された測温データと比較を行いモデルの妥当性を検証した。その結果,このモデルでは冷熱源または温熱源が複数存在する場合や土壌の熱物性値が局所的に変化する場合,さらに地下水流が存在する系についても解析が可能であることが明らかになった。また,土壌の初期含水率,初期温度および凍結管冷却温度が凍結現象に及ぼす影響について検討した結果,特に土壌の初期含水率や冷却温度は凍結速度に大きな影響を与えることがわかり,また凍結が進むと各凍結管から成長した凍土同士が連結することで未凍結領域の冷却速度が低下し,その後の凍土の発達に強く影響することが明らかとなった。
  • 小嶋 正樹, 鷲見 武富, 山口 誠, 八嶋 厚, 沢田 和秀, 森口 周二
    2009 年 4 巻 1 号 p. 47-57
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    地形・地質・気象・土地利用条件などの様々な要因により,我が国には多数の危険な岩盤斜面が広範囲にわたり分布している。対して,危険な岩盤斜面の対策に投じることができる費用は限られており,全ての危険な岩盤斜面に対策を講じることは不可能に近い。そのため,多数存在する危険な岩盤斜面の中から,対策の必要性が高い岩盤斜面を抽出する概略的なスクリーニング技術が必要である。本研究では,岐阜県をモデル地域として,岐阜県に存在する種々の岩種のボーリングコアを用いたティルト試験を行い,すべり摩擦角のデータベースを構築するとともに,既存の評価手法を改良して,岩盤斜面の概略的なスクリーニング手法を開発した。
  • 小高 猛司, 寺本 優子
    2009 年 4 巻 1 号 p. 59-69
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物処分場で緩衝材として使用する圧縮ベントナイトを対象として,主に不飽和状態でのせん断挙動の把握を目的とし,高拘束圧一面せん断試験装置を用いて定体積せん断試験を行った。同時に,供試体に生成するせん断帯に着目し,試験中の供試体をPIV画像解析により,試験後の供試体内部をX線CTにより観察した。過圧密状態にある不飽和圧縮ベントナイトは,せん断初期から脆性的な破壊挙動を呈し,せん断帯も大きな亀裂を伴って生成されることが示された。ベントナイトの膨潤性によって,浸水に伴いせん断帯の亀裂は短時間で閉塞することが確認された一方で,飽和圧縮ベントナイトの一面せん断試験結果より,飽和状態でのせん断抵抗角は不飽和状態よりも急激に減少することもわかった。
  • 村松 大輔, 叶 斌, 張 鋒
    2009 年 4 巻 1 号 p. 71-80
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    交通振動や建設工事に伴って発生する振動を,遮断・吸収するために土のうが用いられている。これまで,現場での振動計測などにより,土のうの振動対策工としての有用性は実証されているが,振動減衰のメカニズムを評価する数値解析手法に関する研究はほとんど行われていない。本研究では,実物大の土のうで作製したフィールドテストによる実験結果と,適切な土の構成式に基づいた動的弾塑性有限要素法解析による数値解析結果を比較し,土のうの振動減衰特性の評価手法を提案すると同時に,解析手法の有効性も検討する。
  • 矢島 寿一, 小倉 一利, 山田 忠幸, 小林 展誠, 丸井 祐司, 竹内 基樹
    2009 年 4 巻 1 号 p. 81-90
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    廃タイヤを平均粒径2.0mmと6.0mmにチップス状に破砕したタイヤチップスをそのまま地盤材料として使用することを想定し三軸圧縮試験と液状化試験を行った。その結果,三軸圧縮試験では軸ひずみεa=15%以下であるとタイヤチップス粒子間のせん断は生じず,破壊線も排水条件によって異なる破壊線となる。そして,軸ひずみεa=15%以降となるとタイヤチップス粒子間のせん断による体積ひずみが生じ始め,軸ひずみεa=25%で排水条件によらない一つの破壊線となる。また,液状化試験では繰返し回数初期の段階で両振幅ひずみDA=5%に達するが,間隙水圧は繰返し回数が増加してもΔu=30kPa程度であり,過剰間隙水圧比(Δu/σ'c)が0.9以上となることはなく,今回の試験条件ではタイヤチップスは液状化を生じる材料ではないことが判明した。
  • 亀井 健史, 蓬莱 秀人
    2009 年 4 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    廃石膏ボードは,排出プロセスの違いから「製造時廃材」,「新築時廃材」,「解体時廃材」の3つに区分することができ,その発生量は2007年度で150万トンに上っている。半水石膏は,廃石膏ボードから得られる二水石膏を130°C以上に加熱することにより生産され,水を加えると固まる性質を有していることから,ヘドロの堆積や軟弱粘性土などの地盤改良材としての利用が期待されている。しかしながら,石膏に含まれているフッ素の溶出量が土壌の環境基準をオーバーする場合があることから,半水石膏の適用に関してはフッ素の溶出や流出を物理的および化学的に抑制させる研究が必要不可欠である。そこで本研究では,フッ素の溶出を抑制するため,高炉セメントB種による半水石膏のフッ素不溶化技術を開発した。この結果,土壌の安定処理材として高炉セメントB種を5%程度添加することによって今回対象とした半水石膏添加率の範囲では石膏からのフッ素溶出濃度は養生期間とともに減少し,土壌の環境基準をクリアーする結果を得た。
  • 亀井 健史, 小川 靖弘, 志比 利秀
    2009 年 4 巻 1 号 p. 99-105
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    石膏ボードは,建築資材として広く普及しているが,それと同時に建築物や住宅の解体によって発生する廃石膏ボードの量は近年益々増加している。このため処分場の容量不足に関する問題は急務であり,廃石膏ボードのリサイクル技術の開発は現代社会が解決しなければならない大問題である。本研究では,廃石膏ボードの有効利用と半水石膏の速硬性に着目し,半水石膏を利用したセメント安定処理土の一軸圧縮強さに及ぼす養生期間の影響を検討している。試験条件としては,対象土を超軟弱地盤(含水比140%)とし,半水石膏添加率は0,20および40%とした。また,養生日数は1,3,7および28日とした。その結果,養生日数7日までの場合には,一軸圧縮強さが添加率の増加に伴って増加し,半水石膏を混入した供試体は短期の養生期間における強度増加が著しいことが実証された。また,養生28日においても,添加率40%の場合に最も大きな強度が得られた。このことは,軟弱地盤における施工に際して半水石膏を適用した場合,トラフィカビリティーの改善と施工期間の短縮に極めて有効であることを示唆している。
  • 福島 伸二, 北島 明, 谷 茂
    2009 年 4 巻 1 号 p. 107-116
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    著者らは老朽化したため池やフィルダムの堤体改修を目的に,池内に堆積した底泥土を固化処理して所要の強度と遮水性を有する築堤土として利用できる砕・転圧盛土工法を開発し,数箇所のため池やフィルダムに適用してきた。これまでに,固化処理土は加圧養生下におかれる場合に,固化前の圧密現象による強度増加があることが確認されている。砕・転圧盛土工法では底泥土に固化材を添加して固化しただけの初期固化土とこれを解砕・転圧した砕・転圧土が固化処理土の対象となるが,初期固化土では固化材混合後に直ちに加圧養生下に置かれ,砕・転圧土では築堤に伴って土被り圧が段階的に増加する加圧養生下に置かれる。本論文は初期固化土と砕・転圧土が施工過程で受ける加圧養生の影響を調べ,初期固化土と砕・転圧土ともに固化前の圧密現象により強度増加が認められるが,実施工を対象とすると砕・転圧土では影響を無視できることを示した。
ノート
  • 小林 薫, 熊谷 幸樹, 松田 浩朗, 金内 昌直
    2009 年 4 巻 1 号 p. 117-124
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    地下水流動は,降水,気圧や周辺の井戸利用状況による時間変動,沿岸部の潮汐による日変動,融雪期の季節変動ならびに建設工事に伴う地下水流動阻害などにより変化している。現地の正確な地下水流動特性を把握するには,地下水流動に影響を及ぼす前述の各種外的要因の定量的データや地盤の間隙水圧などとともに,連続的な地下水流向流速の変化を同時に把握できれば有効なデータになる。本論文では,下端部ヒンジ構造を有する浮きセンサを搭載した連続式流向流速計を新たに開発し,大型水槽を用いた室内実験で低流速域における適用性について検証した。その結果,従来の地下水流動に影響を及ぼす各種外的要因の定量的データや間隙水圧などの連続測定可能なデータに加え,開発した連続式流向流速計を用いることで,ボーリング孔内で地下水流向流速も同時に簡易かつ連続的にモニタリングできることを明らかにした。
  • 荻野 俊寛, 高橋 貴之, 及川 洋, 三田地 利之, 対馬 雅己
    2009 年 4 巻 1 号 p. 125-133
    発行日: 2009/03/23
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    秋田県内で採取した不かく乱泥炭および練返し再構成泥炭について三軸セル内で繰返し載荷試験およびベンダーエレメント試験を実施し,せん断弾性係数の評価を行っている.ベンダーエレメント試験ではこれまでに提案されている3種類の方法によってせん断波の伝播時間を同定し,その比較からせん断波速度,せん断弾性係数におよぼす同定方法の影響について言及している.また,繰返し載荷試験およびベンダーエレメント試験によるせん断弾性係数の比較から試験方法の違いがせん断弾性係数におよぼす影響は小さいことを示している.一連の実験結果から泥炭のせん断弾性係数と平均有効応力の関係を示し,その関係がこれまでに報告されている国内外の泥炭の例と比較して25%程度小さな値が得られたこと,その値は砂のおよそ1/25,粘土の1/5程度であることを示している.
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