地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
4 巻 , 2 号
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論文
  • 森政 信吾, 三浦 均也
    2009 年 4 巻 2 号 p. 135-146
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    自然斜面,人工斜面のいずれにおいても,通常斜面は三次元形状を有しており,そのような斜面の形状は安定性に大きく影響すると考えられる。また,すべり面の三次元形状は,二次元解析よりも得られる安定係数を増加させることが知られている。このような斜面やすべり面の三次元形状の効果は,斜面の安定解析,特に斜面強度の逆解析においては重要である。しかし,これらの効果は系統的に検討されていない。そこで,本研究では直線斜面,および三次元斜面として湾曲斜面を取り上げ,極限平衡法による三次元安定解析を行い,これらの形状効果について検証した。解析の結果,すべり面の三次元効果は得られる安定係数を大きくするだけでなく,すべり面の深さに臨界値を与え有意な安定係数が得られることが分かった。また,斜面の三次元効果によりすべり面の最大形状が決まり,その斜面形状における安定係数の最小値が得られることが分かった。これらの結果は,Terzaghiの二次元安定図表を三次元版にアップグレードする形で整理した。
  • 林 啓二, 鈴木 輝之, 豊田 邦男
    2009 年 4 巻 2 号 p. 147-156
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    道路には小河川や他の道路を立体交差させるために,ボックスカルバート(以下,「C-Box」と呼ぶ)が設置される。寒冷地におけるC-Boxでは,その直上の路面がマウンド状に持ち上がりクラックが発生するものと,凍結土圧(凍上圧)によって側壁にクラックが発生する二つのケースの凍上被害が報告されている。この被害機構を明らかにするため,本研究では大型低温室に模型盛土を作製し,その土中温度の計測結果と二次元FEM熱伝導解析結果との比較検証を行った。これらの実験および解析の結果,C-Box周辺の土中温度分布状態と凍結面(0°C)の進行を再現することができた。C-Box周辺土中における凍結は,盛土表面からだけでなくC-Box内部からも浸入し,それらが干渉し合うような状態の凍結面形状となり,より大きな凍上を発生させることが明らかになった。
  • 高田 徹, 関 平和, 松本 樹典, 藤井 衛, 松下 克也, 佐藤 隆
    2009 年 4 巻 2 号 p. 157-170
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    戸建住宅の地盤調査では,調査精度の高いボーリング調査や土質試験に比べて簡便かつ低コストであるスウェーデン式サウンディング(SWS)が一般的に実施されている。しかしながら, SWSの調査精度は,高いとは言い難い。三成分コーン貫入試験(CPT)は調査精度と経済性を兼ね備えた調査法であるが,国内での利用実績はSWSに比べて少ないのが現状である。本論文は,CPTを戸建住宅の地盤調査へ積極的に利用することを目的として,CPTデータおよびSWSデータを用いて,標準貫入試験(SPT),ボーリング調査,土質試験結果の推定を行った。その結果,CPTはSWSよりも各地盤定数の推定や液状化判定精度に優れていることが示された。
  • 鈴木 素之, 松本 晶, 長谷川 秀人
    2009 年 4 巻 2 号 p. 171-183
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    コンクリートやアスファルトなどの産業廃棄物の処分量はリサイクルにより減少している。しかし,伐採樹木は十分にリサイクルされていない。近年,生分解性プラスチックを加えることにより,伐採樹木の材料特性を改良する試みが様々な分野で行われている。本研究では木材から再生した生分解性粒状材料の力学的安定性について調べた。本文では,本材料を高含水比の粘土中に最大720日間埋設し生分解率を測定し,その後一連の土質試験を行い,生分解に伴う粒状材料の力学的挙動の変化について調べた。主な結論を以下に示す。1) 他の材料と比べて本材料の生分解率は低い。2) 埋設期間が増加すると生分解率は上がり,単粒子強度は減少する。3) 集合体としての排水せん断強度と液状化強度は生分解による劣化の影響はみられない。
  • 小峯 秀雄, 安原 一哉, 村上 哲
    2009 年 4 巻 2 号 p. 185-195
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    地球温暖化に伴う海面の上昇は世界平均で今後100年間に59 cmと予測されている。この海面上昇が生じると海水が河川を遡上することが予想され,河川下流域に位置していた汽水域が上流側に拡大することが考えられる。このような事象が生じた場合,重要な社会基盤施設の一つである河川の堤防や高水敷・河岸に影響を及ぼすことが考えられる。地球温暖化が日本の社会基盤施設に及ぼすであろう影響程度を定量的に評価することは極めて困難なことではあるが,何らかの根拠を持って,その影響を定量的に把握し,地球温暖化問題に対する具体的な対応策や政策に反映させなければならない状況にある。そこで本研究では,河川を対象として,簡易な方法で地球温暖化による海面上昇の影響を想定し,海面上昇に伴う堤防や高水敷・河岸の構成土質材料への物理的影響を推察する。
ノート
  • 伊藤 陽司, 豊田 守, 中村 大, 山下 聡, 鈴木 輝之
    2009 年 4 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    地震災害など広域的で多面的な災害の調査では被災箇所や被災状況の迅速な把握とそれらの共有が重要であり,これらが被害軽減に大きく寄与する。しかし,調査地域の地理に不案内であったり,盛土地盤や斜面の崩壊によって道路網が寸断されていたりして迂回を繰り返すうちに,しだいに調査ルートや被災箇所の位置を確定することが困難となることがある。また,調査移動中は常に現在位置を把握するために周囲の目標を視認しながら,そして被災箇所を探しながら自動車を運転することになり,危険な事態に陥ることも少なくない。調査者の安全確保,速やかな被災調査・記録および被災情報の共有を目的として,これまでの災害調査の経験を基に,野外での活動を重視した被災調査支援システムを開発した。このシステムを2006年10月の大雨による地盤災害の調査に用い,このシステムが安全な調査活動,被災箇所での速やかな位置確定や被災状況の記録,被災情報の提供などに寄与することを確認した。また,調査目的に応じた記録シートを準備することによって定期的な斜面点検や環境調査など多目的に利用できること,そして航空調査にも適用できることも確認した。
  • 佐藤 厚子, 中村 大, 鈴木 輝之, 西本 聡
    2009 年 4 巻 2 号 p. 205-214
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    地盤が地表面から冷やされて凍結が下方に進行していくとき,未凍土中の水分は凍結面すなわち上部に移動していく。この現象によって,凍結した部分は移動してきた水分により高含水状態になるが,水分が移動した未凍結部分は低含水比となる。この原理を利用して高含水比土の水分を低下させることができれば,低コストの土質改良が可能となる。本研究では,屋外凍結実験土槽を用いて,地盤中の温度と含水比分布,さらに冬期間の凍結性状の計測を2年間に渡って継続した。その結果,未凍結期における乾燥とそれに続く凍結期における水分移動の特性を明らかにすることができた。さらに,屋外土槽に投入した網走湖浚渫底質の含水比低下は,凍結期を挟んだ1年でその大部分が発生し,含水比は300%から150%程度にまで低下するなどの結果が得られた。
  • 藤田 雅也, 沢田 和秀, 八嶋 厚, 新井 新一, 須崎 竜太, 瀧澤 嘉男
    2009 年 4 巻 2 号 p. 215-224
    発行日: 2009/06/29
    公開日: 2009/06/27
    ジャーナル フリー
    本論文は,携帯GPS装置を用いた落石予防施設の模擬点検結果から,落石予防施設の効率的な維持点検手法を提案するものである。模擬点検は,全10箇所のロープネット工施設を対象に実施し,施設の位置情報として地形図のみを与えたA班と,地形図に加えGPS座標情報を与えたB班の2班を用意し,現場到達時間を比較した。この結果,B班の合計時間がA班と比較して42%短くなり,GPS座標情報によって維持点検作業を効率的に実施可能であることがわかった。
    施設の位置情報としてGPS座標情報等を盛り込んだGISを構築することにより,点検データの一元管理,最新の地形図利用,アクセスルート等の情報共有が可能となる。また,今後の点検計画の立案が容易になるなど施設の維持管理を効率的に行うことが可能となる。
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