地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
5 巻 , 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 京川 裕之, 菊本 統, 中井 照夫
    2010 年 5 巻 4 号 p. 533-544
    発行日: 2010/12/30
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    実地盤内の応力状態は必ずしも三軸条件(軸対称応力)ではなく,相異なる三主応力(真三軸条件)下で主応力方向が回転しながらランダムに変化する。このような応力変化を受けると土の粒子配列は複雑に変化するため,異方的な変形特性,すなわち誘導異方性が現れる。このような誘導異方性は任意の応力変化を受ける実地盤の応答を予測する上で無視できない性質といえる。従来,誘導異方性は移動硬化則や回転硬化則により記述されてきたが,いずれの方法も複雑で,用いられる内部変数や構成パラメータの物理的な意味合いも明確でない。本研究では誘導異方性の影響は中間主応力の影響とその本質は同じと考え,中間主応力の影響を適切に考慮した修正応力tijを拡張した新たな修正応力tij*を提案する。修正応力tij*に基づいて定式化した提案モデルは,等方硬化モデルでありながら,実測値に見られる中間主応力の影響ならびに応力履歴による複雑な剛性・ひずみ増分方向変化を統一的かつ適切に表現できる。
  • 椋木 俊文, 川﨑 了, 下屋敷 覚弘, 吉永 智昭
    2010 年 5 巻 4 号 p. 545-553
    発行日: 2010/12/30
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    廃棄物埋立処分場の埋立容量のうち1/3~1/2は,即日覆土や中間覆土と称される地盤材料によって埋立てられている。処分場の埋立容量の増大を考慮するとき,薄くてかつ覆土としての機能を果たす新しい覆土が必要である。本研究では,pHが8.0の条件下で廃棄物内に存在するカルシウム源と微生物代謝の化学反応に伴い炭酸カルシウムが析出することに着目し,即日覆土の間隙を析出した炭酸カルシウムによって充填することによって即日覆土の機能向上を目的とした新しい即日覆土を開発することを目的としている。炭酸カルシウムの析出手法にバイオグラウト法を取り入れることから,本即日覆土を特にバイオカバーソイルと称して,本論文ではバイオカバーソイルの生成条件を定量評価すると共に,生成条件と水理特性の関係を明らかにした。その結果,本研究の実験条件ではカルシウム濃度の80%の低下が認められた。
  • 小嶋 英治, 熊谷 裕道, 冨澤 幸一, 松本 樹典
    2010 年 5 巻 4 号 p. 555-568
    発行日: 2010/12/30
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    杭の動的な鉛直載荷試験法は地盤工学会において基準化されているが,動的な水平載荷試験法は現在のところ基準化に至っていない。杭の動的な載荷試験法は,静的な載荷試験法に比べて低コストでかつ工期が短く済み,試験を容易に実施できる利点がある。そこで筆者らは鋼管杭を対象に動的水平載荷試験シグナルの波形マッチング解析を実施し,杭の静的な水平荷重-水平変位関係を推定する手法を開発してきた。この手法の妥当性および適用範囲を検証するために,筆者らは主に実際に橋脚を支持する用途に供する実大鋼管杭を用いて,静的および動的水平載荷試験を継続的に実施してきた。測定した動的試験シグナルに対する波形マッチング解析を行うことにより地盤物性値を同定し,この地盤物性値を用いて静的水平載荷試験における杭の荷重-変位量関係等をシミュレートしたところ,今後まだ改善の余地が残されているものの実用的な範囲で試験結果をよく再現できた。
  • 乙志 和孝, 大竹 雄, 加藤 智雄, 原 隆史, 八嶋 厚
    2010 年 5 巻 4 号 p. 569-587
    発行日: 2010/12/30
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    水路構造物など縦断方向に長い構造物の液状化対策を講じる場合,全線に渡り液状化を防止する対策は非合理的である。要求性能を満足する範囲内で損傷を許容する合理的な対策が望まれ,それには,水路の変状挙動を精度良く予測できる手法を準備することが重要である。著者らは,地震時に変状が大きいと想定される用・排水路が併設された2連(分離)開水路構造を対象に,重力場における振動台模型実験,および2次元有効応力解析コードLIQCA2D07を用いた再現解析を行うことで,水路の挙動の検証と提案する対策工(排水機能付き矢板)の効果を確認した。また,良好な再現性が得られ,本研究で用いた解析手法の,水路構造物の変状予測への適用性が確認された
  • 村田 曄昭, 建山 和由, 山本 拓治, 吉田 輝, 川野 健一
    2010 年 5 巻 4 号 p. 589-601
    発行日: 2010/12/30
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    大規模な盛土工事において,盛土材の含水比や粒度が施工中に変動した場合の締固め特性の変化を,実際の施工機械による転圧試験を行うことなく迅速かつ簡便に予測するための室内突固め試験方法を考案した。当試験は,土工事で通常用いられる突固め試験用具を用いて行うことができ,実機の転圧回数の累積に伴う土の締固めを,モールド内の突固め仕事量の蓄積により再現する。類似の手法は従来から提案されているが,当手法は振動ローラなどの転圧作業だけでなく,ブルドーザなどによる敷均し作業に伴う締固め効果を考慮しているのが特徴である。実機施工との比較実験の結果,施工方法すなわち施工機械や層厚を一定とする限り,現場締固め特性の変化を,当手法を用いて概ね予測できることが分かった。当試験は,所定の転圧回数の遵守状況をリアルタイムに管理する施工規定方式の品質管理において,転圧試験に代わる締固め特性の確認手段として,日常的な活用が期待される。
  • 所 哲也, 石川 達也, 赤川 敏
    2010 年 5 巻 4 号 p. 603-613
    発行日: 2010/12/30
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    本研究では,一般化クラウジウス-クラペイロン式が適用可能な温度にある凍土の透水係数を計測する方法を提案する。この計測法の特徴は,熱力学上の知見を活用し円筒形供試体の軸方向に拘束圧をかけることで,水分移動を阻害するアイスレンズの生成を防止し,さらに,供試体両端面を常温,試料中央部を所定温度の凍土とすることで,両端面間に連続する流路を確保することである。凍土供試体両端面に水頭差を与え,水分移動が定常状態となったときの水分移動量から透水係数を求める。この計測法を適用した透水試験装置を試作し,異なる負の温度で凍土の透水係数を測定した。測定結果は,凍土の透水係数が0℃付近で急激に減少し,強い温度依存性があることを示した。
  • 今 広人, 吉田 映, 樺澤 和宏, 小松 吾郎, 桑原 文夫, 木村 亮
    2010 年 5 巻 4 号 p. 615-623
    発行日: 2010/12/30
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    節杭を用いたプレボーリング工法は,現地の土砂とセメントミルクを混合撹拌して造成するソイルセメントと,その中に建て込んだ節杭(既製コンクリート杭)とで構成される。本杭の地盤から決まる鉛直支持力については多くの載荷試験結果に基づく支持力推定式が提案されている。地盤から決まる鉛直支持力を発現するには,ソイルセメントは節杭に作用する荷重を地盤に伝達しなければならないため,ソイルセメントの品質(出来形や強度など)は支持力発現に影響する要因の一つと考えられる。しかしながら載荷試験を実施し支持力確認した杭のソイルセメントの品質を直接的に検証した例は少なく,極限支持力発現時のソイルセメントの損傷状況などは解明されていない点も多い。その様な疑問点を解決するために載荷試験を実施し,支持力確認をした2本の杭の掘出し調査を行った。その結果,掘出した本杭のソイルセメントは良好に築造されており,地盤から決まる極限支持力に対しても亀裂や破壊などはなく健全であった。
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