地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
5 巻, 2 号
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〔地盤工学会創立60周年記念シンポジウム特集号〕
論文(特集号論文)
  • 段野 孝一郎, 木村 亮
    2010 年 5 巻 2 号 p. 181-191
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    性能規定型設計の導入を見据え,杭基礎に関しても変形性能の照査を検討する必要が生じつつある。しかし杭基礎の場合は,複雑な杭~地盤~杭の相互作用に未解明な部分が多く,特に長期沈下挙動について体系的な研究が行われた例が少ない。本論文では,杭間隔が杭基礎の長期沈下挙動に与える影響を定量的に解明することを目的に,土-水連成弾塑性有限要素解析を行い,以下の3項目を検証した;(1) 同載荷重下では,杭間隔が小さくなるほど,周面摩擦力の減少と杭先端応力の重合が生じ,沈下量が増大する。;(2) 杭間隔が小さくなるほど,杭に囲まれた土要素の変形が抑制されるため,内側の杭は十分な摩擦力を得られない。結果として内側の杭に割り当てられるべき荷重が外側の杭に割り当てられ,内側の杭よりも外側の杭が負担する荷重が大きくなる。さらに,その荷重を支持するため,外側の杭外縁部の土要素には大きなせん断応力が生じる;(3) 内側の杭先端部では,過剰間隙水圧が周囲よりも長く停留する。
  • 小高 猛司, 板橋 一雄, 中島 康介, 牧田 祐輝, 李 圭太, 上村 俊英, 坪田 邦治, 加藤 雅也
    2010 年 5 巻 2 号 p. 193-205
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    大きな礫から細粒分まで含む河川堤防土について,原粒度のままの変形・強度特性を求めるには大型三軸試験を行うのが理想であるが,現実には,大きな礫を除外した粒度調整試料を用いて室内試験を実施することになる。本研究では,河川堤防で採取した礫混じり砂を用いて原粒度試料の大型三軸試験を実施することにより,供試体乾燥密度と排水条件が試験結果に及ぼす影響について検討した。さらに,粒度調整した小型三軸試験も実施し,供試体寸法の効果についても検討した。大型および小型三軸試験の結果を比較すると,同じ供試体乾燥密度であっても,供試体の寸法効果によって,小型三軸試験で得られる試験結果は密詰め傾向の変形・強度特性を示すことがわかった。また,大型三軸,小型三軸ともに,CD試験で得られるΦdとCU試験で得られるΦ’は,供試体乾燥密度が大きい場合にはほぼ同じになるものの,供試体乾燥密度が小さい場合には差が生じることが示された。さらに,礫分含有率を変えない粒度調整を行うことで,小型三軸で得られる変形・強度特性は,大型三軸の結果に近づくことも示された。
  • 小高 猛司, 寺本 優子, 平手 寿大, 元山 泰久
    2010 年 5 巻 2 号 p. 207-218
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物処分場で緩衝材として使用する圧縮ベントナイトを対象として,不飽和および飽和供試体に定体積条件で高拘束圧一面せん断試験を行い,せん断中に生成・発達するせん断帯をPIV画像解析およびX線CTによってそれぞれ観察した。その結果,不飽和供試体では正規圧密状態と過圧密状態でせん断帯の生成過程が異なるものの,垂直応力が十分に作用している状況においては,どちらの状態でも供試体中心部では低密度領域が発達しにくいことがわかった。また,飽和供試体では低密度領域が確認されなかったため,供試体断面内に存在するせん断帯の有無によって透水係数の比較を行った結果,せん断帯の有無によって遮水性能が損なわれることはないことが示された。
  • 桑野 玲子, 佐藤 真理, 瀬良 良子
    2010 年 5 巻 2 号 p. 219-229
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    近年都市部で頻発している道路陥没は,多くの場合老朽埋設管の破損部等から土砂が流出することに起因し,社会的損失が大きいにもかかわらず,対症療法的な対策が中心となっているのが現状である。陥没にははっきりした原因が特定できない場合も多いが,現象の解明よりも復旧が急がれるという実務上の要請もあり,陥没を引き起こすような地盤内空洞・ゆるみの生成・進展のメカニズムには不明な点が多い。
    路面下の地表近傍で顕著な空洞が存在するような陥没寸前の状態においては,地中レーダー探査技術により比較的高い確度で探知可能であるが,空洞が深層部にある場合,空洞・ゆるみの境界が不明瞭な場合,輻輳した地下埋設物と空洞・ゆるみ部が渾然としている場合などは,探知技術の限界により問題箇所の検出が困難な場合が多い。本研究では,地盤陥没を未然に防止するための探査手法を高精度化するために,地盤内空洞・ゆるみの形成過程を明らかにし空洞・ゆるみのパターンを類型化すること,さらに陥没に至る“危険な”空洞・ゆるみを抽出することを目指している。小型及び中型土槽を使用し,底面の開口部から土砂を流出させ模型地盤内に空洞・ゆるみを作製し,そのメカニズムを調べた。また,大型ピット内地盤の模擬空洞・ゆるみの探査実験を行い,空洞周りのゆるみに着目した探査の可能性を検討した。
  • 高橋 英紀, 大草 陽太郎, 早野 公敏, 森川 嘉之
    2010 年 5 巻 2 号 p. 231-240
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    航路浚渫土のような含水比の高い粘土·シルト系の軟弱土を改良する方法として,含水比低下材と固化材によって造粒固化する技術がある。無改良状態の土は長期的に圧密したり極めて低強度であるが,造粒固化土は比較的強度が大きいために現場での使用用途は大幅に広がる。造粒固化土の用途の拡大を目的に,ケーソン式岸壁の埋立材としての造粒固化土の動的性能を検討した。具体的には,岸壁の背後地盤を造粒固化土で埋め立てた岸壁模型を遠心力場で振動させて,岸壁および造粒固化土の動的な振動特性と岸壁の耐震性について調べた。その結果,造粒固化土を用いた岸壁の動的性能は高いことが分かった。
  • 笠間 清伸, 善 功企, 陳 光斉, 林 健太郎
    2010 年 5 巻 2 号 p. 241-250
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    固化処理地盤の動的特性に与える地盤物性の不均質性の影響を調べるための基礎的研究として,地盤の不均質性を単純化して再現した重力場における振動台実験を行った。実験では模型地盤をメッシュ状に分割し,改良要素と未改良要素の二つに単純化してモデル化した。得られた主な結論は,以下の通りである。1) 改良要素の存在により,未改良要素に生じる過剰間隙水圧は抑制される。例えば,地盤全体の60%以上が改良要素の場合には,入力加速度が400Galでも未改良要素に生じる過剰間隙水圧は液状化を生じない程度まで大きく低減する。2) 地盤全体の60%以上が改良要素の場合には,地盤の地震後沈下量も大きく減少する。したがって,地盤全体の60%以上が適切に固化処理されていれば,液状化対策地盤として十分に機能できることを示唆する。3) 改良要素には,その存在率以上に地震後沈下量を低減する付加的な効果がある。
  • 西岡 英俊, 樋口 俊一, 西村 昌宏, 神田 政幸, 山本 忠久, 平尾 淳一
    2010 年 5 巻 2 号 p. 251-262
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    建設年代の古い構造物基礎には耐震性能に劣り,耐震補強工事が必要なものが多く存在する。既設橋脚基礎のフーチングを取り囲むようにフーチング幅程度の根入れのシートパイルを打設し,既設フーチング上面に増しフーチングを打設してシートパイルを既設橋脚と一体化させるだけでも,一定の耐震補強効果が期待できると考えられる。本論文では約1/10スケールの模型を用いた静的載荷実験および振動実験に基づき,その耐震補強効果を明らかにするとともに,その補強効果発現メカニズムについて考察する。提案補強工法は,主に既設の杭に発生する断面力が大きく低減する効果が期待できることが確認でき,特に杭頭だけではなくシートパイルを根入れさせた深度よりも深い地中部の断面力も低減できることを確認した。その抵抗メカニズムは,シートパイルを介した水平地盤抵抗が発現されることにより,杭に作用する地盤反力が低減されることと考えられる。
  • 金田 一広, 倉橋 智, 水谷 崇亮, 江村 剛
    2010 年 5 巻 2 号 p. 263-280
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    1999年から開始した関西国際空港2期造成工事において,2005年から主に上部洪積粘性土層(Ma12)の過剰間隙水圧の消散状況を把握するため多深度間隙水圧測定を行っている。このシステムは測定管に間隙水圧測定機材を挿入して実施しており沈下量と間隙水圧を同時に計測できるものである。本研究は,土骨格構造の働きを考慮できるSYSカムクレイモデルを用いた一次元水~土連成計算を行って,計測と数値計算の比較を行った。
    当該地区の主要な粘性土であるMa13,MaDtc,Ma12の圧密試験結果でパラメータを同定し,盛土造成過程を考慮した荷重を与えて地盤内部に発生する間隙水圧と沈下量を計測値と比較した。沖積・洪積粘性土に見られる先行圧密応力を超えて荷重を載荷した後に発生する急激な圧縮は,SYSカムクレイモデルでは骨格構造の劣化でモデル化している。水~土連成計算を実施した結果,2005年3月~2009年1月の期間に計測された沈下量,間隙水圧と比較的よい整合性が得られた。
  • 田久 勉, 下田 薫, 川崎 廣貴, 田村 武
    2010 年 5 巻 2 号 p. 281-291
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    高速道路の建設中に発生した地すべりは,その後の詳細な調査の結果,移動土塊量が280万m3に達する大規模地すべりであることが判明した。その対策工として施工したグラウンドアンカー工は,アンカー長,アンカー本数ともに国内最大級の規模となった。この長尺グラウンドアンカー工における最大の技術的課題は,アンカー自由長部でシースとテンドンに摩擦が生じアンカー力が低減され,期待する抑止効果が得られなくなることであった。そこで,自由長部における摩擦損失を直接的に把握するために,テンドンにひずみ計を設置し多サイクル方式で載荷する試験を事前に行なった結果,一般に用いられる算出式から求まる値よりも大きな摩擦損失量を確認した。また実施工においては,定着前に複数サイクルの載荷を行なうことで,この摩擦損失を低減する効果を確認した。
  • 清田 三四郎, 米澤 豊司, 青木 一二三, 神田 政幸, 西岡 英俊, 出羽 利行
    2010 年 5 巻 2 号 p. 293-307
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    鉄道構造物で使用されるラーメン高架橋は,一般に桁式高架橋に比べて線路直角方向の水平剛性が低いことから,地震時には,ラーメン高架橋と桁式高架橋の境界での不同変位が大きくなり,列車走行安全性が問題となる場合がある。これに対し,斜杭基礎を鉄道構造物へ適用することで構造物の水平剛性が向上し,地震時の列車走行安全性を高められることが期待できるが,施工環境などの制約から近年の鉄道構造物では斜杭基礎の適用が行われていないこともあり,地震時の水平抵抗特性など未解明な点が多い。そこで,静的および動的の非線形解析と模型実験に基づき,斜杭基礎の水平抵抗特性を明らかにするとともに,鉄道構造物への適用性について検討した。本論文では,比較的小さな傾斜角度の斜杭基礎を対象に検討を行い,5度程度の小さな傾斜角度でも,鉄道構造物の地震時水平変位量を小さく抑えられることや,等価固有周期を短くできることを確認した。また,列車の走行安全性が構造物諸元の決定要因となるような場合に斜杭基礎を適用することで,耐震性のみならず経済性も向上することを確認した。
  • 谷本 俊輔, 河野 哲也, 佐藤 洋, 白戸 真大, 中谷 昌一
    2010 年 5 巻 2 号 p. 309-323
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    橋梁はトップヘビーであり,死荷重のみならず基礎底面に作用する転倒モーメントも大きい。さらに,用地の制約が大きく,基礎の平面寸法が小さい上に上部構造も含んだ系全体としての挙動を考える必要がある。また,橋梁の直接基礎を固化体に支持させる場合には,供用期間中に交通荷重や地震荷重などが繰返し作用することから,繰返し荷重が基礎および固化体の挙動に与える影響を考慮する必要がある。本研究においては,このような繰返し荷重を考慮した固化体の許容応力と固化体の集合体の基本的な挙動や破壊特性の把握を目的として実施した要素実験と遠心力模型実験結果について報告する。その結果,常時·レベル1地震時で設計されたブロック式固化体は最大耐力を超えても顕著な耐力の低下は見られず,残留変位も小さいことがわかった。これに対し,接円式固化体については,交番繰返し載荷時に過大な沈下が生じ,ブロック式固化体の挙動とは明瞭な相違がみられた。
  • 椋木 俊文, 唐崎 陽司, 日野 一毅
    2010 年 5 巻 2 号 p. 325-337
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    地盤における異なる粒度特性や密度の空間分布は,地盤内に局所的な不飽和浸透流を発生させると考えられる。稼動終了後の埋立廃棄物処分場の最終覆土層を対象にすると,廃棄物層内に不均一な浸透流が発生した結果,廃棄物層内の安定化にも空間分布が生じ,廃棄物処分場の安定化の遅延現象が懸念される。このような問題に対し,不織布を覆土層内部に敷設することにより,局所的な不飽和浸透流を制御し,廃棄物層内に均一な安定化をもたらせることが期待されている。本研究の目的は局所的な不飽和浸透流の発生メカニズムと不織布による浸透流の抑制効果を解明することである。本論文では異なる粒度特性と密度分布に着目した模型散水実験とその不飽和浸透流解析を実施した。異なる粒度特性や密度の空間分布が生じる場合,均等係数が小さく粒径幅が狭い地盤領域に局所的な不飽和浸透流が卓越するが,不織布に到達すると水は一時的に保持され,不織布が浸透流の局所化を減少させる効果が示された。
論文(通常論文)
  • 山田 雅一, 太田 宏, 安達 俊夫
    2010 年 5 巻 2 号 p. 339-347
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    室内での材齢が約10年までのセメント改良砂の一軸圧縮試験結果を基に,若材齢における一軸圧縮強度と固化材·ベントナイト全水分比の関係から,長期材齢におけるセメント改良砂の一軸圧縮強度の推定方法を提案した.また,材齢が約10年経過したセメント改良砂供試体に対して行った排水条件下での中空ねじりせん断試験結果から,せん断強度と残留強度は一軸圧縮強度を主要なパラメータとするセメント改良砂に対するべき関数型の破壊規準に適合することを示した.さらに,一軸圧縮強度の推定方法を用いて室内での長期材齢におけるセメント改良砂のせん断強度と残留強度の評価方法について検討した.
  • 桑野 玲子, 堀井 俊孝, 山内 慶太, 小橋 秀俊
    2010 年 5 巻 2 号 p. 349-361
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    地盤内に何らかのきっかけで空洞やゆるみが発生し,それが周辺に拡大·進展して地表面に到達すると,陥没となって現れる。都市部で頻発する道路陥没において,それらの芽となる地盤内空洞の原因は,路面下に埋設物や掘削工事歴等が輻輳するうえ早急な道路復旧が優先される状況下では明確に特定できない場合も多く,現象の解明が遅れている一因となっている。一方で,下水管渠の老朽化や破損により管内に周辺土砂が流出して空洞·ゆるみが発生し道路陥没に至る事例も近年多く報告され,耐用年数を超過した管渠が増え始めている状況で看過できない問題である。本研究では,このような老朽下水管の破損が原因となる道路陥没等の地盤工学的問題を解決する一助となるよう,地盤内空洞とその周辺のゆるみ領域の形成·拡大·進展メカニズムとその評価方法について実験的に検討した。土砂流出による空洞形成の支配的要因や空洞の拡大過程について明らかにした他,空洞周辺の“ゆるみ”領域を定量的に評価し,地盤材料の土砂流出特性を整理した。
  • 正垣 孝晴, 中野 義仁
    2010 年 5 巻 2 号 p. 363-375
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    茨城の有機質土と沖·洪積粘性土地盤に対し,コーンサンプラー,45-mm,50-mm,75-mm,84Tサンプラーで採取した試料に対する一軸圧縮試験と段階載荷圧密試験結果より,コーンサンプラーの適用性を検討する。さらに,既報の大阪Ma12粘土の結果を統合して,コーンサンプラーのチューブ貫入速さ(sp)や試料採取前のコーン貫入が採取試料の品質に及ぼす影響を検討する。コーンサンプラーで採取した試料の品質は,75-mm,75D,84Tサンプラーのそれらと同等以上であり,Eurocode 7,CEN/TC341に分類されるカテゴリーAのサンプリング方法として利用できることがわかった。
  • 高田 晋, 豊田 浩史, 原 忠, 中村 公一
    2010 年 5 巻 2 号 p. 377-390
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    表層部に解体ガラや破砕性軟岩等の礫質土を含んだ宅地地盤で地盤調査を行う場合,スウェーデン式サウンディング試験では,礫あたりにより貫入抵抗値が大きく変動するなど,その測定精度に影響を与える。本研究では,礫分を含む幅広い粒度の土を埋土材として沿岸部を埋め立てることによって造成された宅地地盤を例にとり,原位置調査および各種室内試験を実施し,礫分を含む宅地地盤における液状化予測手法の適用性に関して考察を行った。対象土は礫分の含有量に応じて貫入抵抗値は大きくなるが,液状化強度はそれほど変化しない結果を示した。その結果,現時点で推奨される宅地地盤調査法を示した。
  • 林 和幸, 岡村 未対, 安原 英明
    2010 年 5 巻 2 号 p. 391-400
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    炭酸カルシウム結晶を析出させた砂の液状化特性を明らかにするため,ゆるい炭酸カルシウム析出砂の非排水繰返し三軸試験を行った。また,析出した結晶による砂粒子間のボンディング形成の有無が液状化抵抗に及ぼす影響を調べるため,結晶析出砂を撹乱・再構成し,ボンディングの効果を除去した供試体の試験も行った。その結果,砂供試体中に析出した結晶は,ゆるい砂の液状化強度・変形特性を著しく改善することが分かった。液状化強度の増加は,結晶により形成されたボンディングが主たる要因であること,結晶析出砂の液状化強度は,正規化せん断弾性係数と液状化強度の関係を基に評価できることが明らかとなった。
  • 森政 信吾, 三浦 均也
    2010 年 5 巻 2 号 p. 401-410
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2010/07/02
    ジャーナル フリー
    斜面は通常三次元形状を有しており,そのような斜面の形状は安定性や破壊モードに大きく影響すると考えられる。著者らはこれまで,三次元斜面として水平面において湾曲を伴った均質な粘性土斜面を取り上げて,極限平衡法に基づいた三次元安定解析を行い,斜面の湾曲形状が安定性や臨界すべり面形状に及ぼす影響について考察した。本研究では,隅角部を有する直線状の斜面を対象に解析を進め,隅角部の存在が斜面の安定性に及ぼす影響や臨界となるすべり方向について検証した。解析では,2方向のすべり破壊に対する安定性を計算し,その結果を比較検討した。解析の結果,斜面の中心線方向へのすべり破壊に対してはすべり面の幅に臨界値が存在し,その斜面における安定係数の最小値,およびすべり面の臨界(最大)形状が得られることが分かった。また,隅角斜面では,斜面の傾斜角や隅角部の屈曲の度合い,またすべり面の上限幅に応じて,臨界となるすべり破壊の方向が変化することも分かった。
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