地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
5 巻 , 3 号
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論文
  • 上野 邦行, 芮 大虎, 中村 大, 伊藤 陽司, 山下 聡, 鈴木 輝之
    2010 年 5 巻 3 号 p. 413-424
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    冬季の凍上と春季の融解沈下を繰り返す地域の法面では,融解期に表層すべりによる被害が多く発生する。凍上の発生方向は熱流方向に一致し,融解沈下の方向は鉛直下方に作用する重力の影響を受ける。この時,法面では凍上が発生する方向と重力の方向が異なるため,凍上した地盤の表面は元の位置に戻らず凍結前の位置より斜面下方に移動する。この移動の毎年の累積が,法面の崩壊を誘発すると考えられる。しかし,凍結・融解過程における実斜面の挙動をとらえた報告はほとんど見られず,合理的根拠に基づいた融解時表面すべり崩壊の対策工法は未だ確立していないのが現状と言える。本研究では,北見工業大学構内の盛土法面で,植生方法の異なる4つの試験区間を設け,5シーズンに渡って凍結・融解過程における法面の挙動を実測した。結果として,1)凍結・融解過程における有限長の法表面の凍上変位,融解沈下及びそれらの成分として現れる移動量が実測値として定量的にとらえられた。2)法面のすべり崩壊を誘発すると考えられる法面下方への移動は融解沈下時に発生し,その大きさは発生凍上量に加えて,植生の成育状況,さらには植生補強の有無によることなどが明らかになった。
  • 寺島 麗, 島田 俊介, 小山 忠雄, 川﨑 了
    2010 年 5 巻 3 号 p. 425-435
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    生分解性注入管は,環境保全型地盤改良技術の一環として開発を進めてきたシステムである。地盤注入や土壌浄化の分野において注入管として微生物により分解可能な樹脂を使用することで,地盤改良後に管が二酸化炭素と水に分解され,環境への負荷を低減することができる。また,この樹脂にさらに古紙を添加することで,強度があり,かつ破砕しやすい注入管を得ることができる。本研究では,これらの注入管を実用できる状態にまで品質を向上し,物性評価を行った結果,従来使用されている塩化ビニルVP40と同等の強度を持つが,引張り破断伸びは小さく,破砕されやすく,地盤中の水にて加水分解され劣化しやすい性質であることがわかったのでここに報告する。
  • 藤田 雅也, 沢田 和秀, 八嶋 厚, 新井 新一, 須崎 竜太, 瀧澤 嘉男
    2010 年 5 巻 3 号 p. 437-448
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    斜面に存在する岩塊を安定化させるために用いられるロープネット工に関する維持管理の課題を解決するため,現地調査,素線のめっき量調査および腐食ロープの引張試験を実施した。現地調査の結果,ロープネット工には,さびによる腐食が発生しやすく,それらはワイヤーロープが立木や地表面に接している箇所に発生しやすいことがわかった。素線のめっき量調査結果から,良好な山林環境におけるワイヤーロープ部材の耐用年数は100年以上期待できることがわかった。また,腐食ロープの引張試験結果から,ワイヤーロープの寿命曲線を提案し,腐食しやすい箇所は施工後20年程度でワイヤーロープの部材を交換しなければならないことがわかった。以上のことからロープネット工施設は,適切な維持管理により腐食部材を順次交換することにより,30年程度と考えられていた施設の耐用年数を大幅に延ばすことが可能である。
  • 亀井 健史, 蓬莱 秀人, 鵜飼 恵三
    2010 年 5 巻 3 号 p. 449-461
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    廃石膏ボードは,建築物や家屋の解体に伴う副産物として多量に排出されている。この廃石膏ボードを建設材料として有効利用できれば,廃石膏ボードの処理問題や建設産業における天然資源の枯渇問題が解決されていく可能性がある。本研究で対象とした半水石膏は,廃石膏ボードから得られる二水石膏を130℃以上に加熱することにより生産され,水を加えると固まる性質を有しているため,地盤改良材としての利用が期待されている。しかしながら,石膏に含まれているフッ素の溶出量が土壌の環境基準を上回る場合があるため,フッ素の溶出や流出を物理的および化学的に抑制させることが必要不可欠となる。そこで本研究では,フッ素の溶出を抑制するため,筆者らがこれまで対象とした高炉セメントB種に加え石炭灰を新たなアルミナ源として補足添加し,石炭灰添加に伴うエトリンガイト生成量の変化を検討している。その結果,土壌の安定処理材として少量の高炉セメントB種に加え石炭灰をさらに添加することによって石膏からのフッ素溶出濃度はさらに減少することが明らかとなった。また,ホウ素や六価クロムの溶出濃度も土壌の環境基準を満足していた。この主要因としては,石炭灰添加に伴うエトリンガイト生成量の増加が挙げられる。
  • 若松 加寿江, 吉田 望, 三上 武子
    2010 年 5 巻 3 号 p. 463-478
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    地震被害想定調査等に用いられる地震応答解析の高精度化を目的として,関東地方の5都県の95地点,482試料の繰返し変形特性データを収集し,地質年代と堆積環境に基づき26に分類し,繰返し変形特性に与える支配要因について整理した。その結果,以下の結論を得た。対象とした試料全体を見ると,地質年代・堆積環境,塑性指数,拘束圧のいずれもが繰返し変形特性に影響を与える。また,埋土,沖積土,洪積土の順に塑性化しやすい。つぎに砂質土では,拘束圧の影響が一番大きい。粘性土では,地質年代・堆積環境の影響は砂質土より大きい,塑性指数が30未満では拘束圧の影響は大きいが30以上では拘束圧の影響は小さい,塑性指数が小さいほど非線形化が起こりやすいなどの傾向がある。最後に,地質年代・堆積環境の影響は小さいとしてこれを無視し,拘束圧および塑性指数により土の繰返し変形特性をまとめた。
  • 大杉 朗隆, 東田 淳, 吉村 洋, 井上 裕司
    2010 年 5 巻 3 号 p. 479-496
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    盛土型で埋設される矩形, 馬蹄形, 円形の下水道幹線カルバートに働く垂直・せん断両土圧とカルバートに生じる曲げひずみを, 1/30縮小模型を用いた遠心模型実験によって精度良く測定し, カルバート形状, 埋設寸法, 地盤条件の各要因の影響程度を輪荷重載荷前と載荷時について定量化した。そして道路土工指針による設計予測と測定結果を比較し, 指針が規定する設計土圧は実験で判明した各要因の影響を反映していないことを指摘し, さらに, 矩形と馬蹄形カルバートでは設計土圧と測定土圧の相違が上床版や底版の固定端付近で生じるため, カルバートの最大曲げモーメントは設計と測定で大差ないが, 円形カルバートの設計は水平土圧を無視しているため, 測定よりも極めて過大な最大曲げモーメントを予測すると結論した。
  • 中井 健太郎, 野田 利弘
    2010 年 5 巻 3 号 p. 499-510
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    比較的簡単に設置・撤去ができる仮設構造物は,設置期間が短いものの,杭の設置や地盤改良など特段の対策が施されないため,施工・設置中に地震が発生した場合,転倒による人身被害等が懸念される。本論文では,2種類の軟弱地盤(砂質地盤および粘性土地盤)上に建設された仮設構造物の地震時安定性を数値解析的に検討した。その結果,仮設構造物転倒の主たる原因は,単に加速度の増幅(最大加速度)ではなく,(1)仮設構造物の固有振動数と地盤の卓越振動数の一致に伴う揺れの増幅と,(2)表層地盤の液状化による支持力低下とそれに伴う構造物の不同沈下にあることがわかった。転倒防止対策としては,仮設構造物の幅と高さを変えることによって,構造物の固有振動数と地盤の卓越周波数を一致させないことも重要であるが,仮設構造物直下に敷設板を用いて構造物と地盤との設置面積を大きくすることが,簡単で効果的な対策となることがわかった。
  • 佐藤 元治, 木田 哲量, 三田地 利之, 今村 秀雄, 長崎 正幸
    2010 年 5 巻 3 号 p. 511-524
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    ニューマチックケーソン基礎では,施工時に平板載荷試験により基礎地盤の支持力特性を直接確認することが,大きな耐荷力の確保と高い信頼性を得る要因である。しかし,同試験は通常,高気圧の下で有人で行うことから短時間に完了する必要があり,現行試験法では荷重保持時間を短く設定せざるを得ない。筆者らが開発した遠隔操作平板載荷試験法は,平板載荷試験装置をケーソン掘削機に装着することにより遠隔操作による平板載荷試験を実現している。本試験法の特長は,厳しい高気圧下の作業を伴うことなく載荷条件の時間的自由度が拡がるため,基礎の設計荷重条件に応じた載荷ができることである。本論文は,本試験法のニューマチックケーソン基礎工事への適用を図る上で必要となる,地盤沈下量計測値の補正方法を提案し,数%以内の誤差で沈下量補正値を算出可能であることを示している。
ノート
  • 松川 尚史, 玉野 富雄, 金岡 正信, 中山 義久
    2010 年 5 巻 3 号 p. 525-532
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    一般的に,セメント安定処理土は,地下浅い部分での使用がほとんどである。そのため,加圧養生条件はあまり重要視されてこなかった。しかしながら,今後のセメント安定処理土材料の地下深い部分での利用を考えるには,セメント安定処理土の加圧養生条件である深さ方向の利用状態における圧縮強さ特性を詳細に把握することが,設計・施工の点から重要な研究事項となる。こうした観点から,本研究では,セメント安定処理土の加圧養生条件での圧縮強さに関し,養生および実験方法と圧縮強さの関係に関して,“無加圧実験”“圧力解放実験”“圧力無解放実験”の3種類の実験方法を砂-セメント材料および粘土-セメント材料に適用した。 その結果,以下の事項が明らかになった。(1)“圧力無解放実験”による圧縮強さは,“無加圧実験”および“圧力解放実験”よりも大きい。また,養生圧力を大きくすれば圧縮強さは大きくなる。(2)“圧力解放実験”による圧縮強さは,“無加圧実験”の場合よりも圧縮強さが減少する場合があり,特に,粘土-セメント材料での減少傾向は顕著である。
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