実地盤内の応力状態は必ずしも三軸条件(軸対称応力)ではなく,相異なる三主応力(真三軸条件)下で主応力方向が回転しながらランダムに変化する。このような応力変化を受けると土の粒子配列は複雑に変化するため,異方的な変形特性,すなわち誘導異方性が現れる。このような誘導異方性は任意の応力変化を受ける実地盤の応答を予測する上で無視できない性質といえる。従来,誘導異方性は移動硬化則や回転硬化則により記述されてきたが,いずれの方法も複雑で,用いられる内部変数や構成パラメータの物理的な意味合いも明確でない。本研究では誘導異方性の影響は中間主応力の影響とその本質は同じと考え,中間主応力の影響を適切に考慮した修正応力
tijを拡張した新たな修正応力
tij*を提案する。修正応力
tij*に基づいて定式化した提案モデルは,等方硬化モデルでありながら,実測値に見られる中間主応力の影響ならびに応力履歴による複雑な剛性・ひずみ増分方向変化を統一的かつ適切に表現できる。
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