地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
6 巻, 4 号
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論文
  • 中島 聡, 建山 和由
    2011 年 6 巻 4 号 p. 475-488
    発行日: 2011/12/29
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    土質材料を圧縮や破壊させるために必要なエネルギーは,対象とする土質物性と,載荷応力や変位の時刻履歴である載荷過程に依存する。したがって切盛土工事においては,対象土の物性情報を反映して建設機械による作業時の力の加え方である載荷過程を工夫することで,より少ない消費エネルギーで作業が可能と考えられる。そこで,本論文では最小の消費エネルギーで所定の圧縮や破壊が可能な載荷過程について基礎的な研究を行った。まず,最小の消費エネルギーで圧縮可能な載荷過程を,飽和した粘性土を対象としてTerzaghiの一次元圧密理論をもとに求め,室内試験により有用性を確認した。次に,セメント固化土に対して載荷速度の異なる一軸圧縮状態での破壊試験を実施して,載荷速度の影響を表わす数値モデルを構築した。その数値モデルに対して様々な載荷過程のシミュレーションを行い,最小の消費エネルギーで破壊可能な載荷過程を求めた。
  • −東京国際空港D滑走路建設を例にとって−
    岡 尚志, 田中 洋行, 鈴木 紀慶, 堺谷 常廣
    2011 年 6 巻 4 号 p. 489-501
    発行日: 2011/12/29
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    東京国際空港D滑走路建設工事は東京国際空港の南方沖合に約150万m2の新滑走路島を築造し,2,500mの滑走路を新設するプロジェクトである。本工事では,施工中に圧密放置期間が十分に得られない条件下で高盛土を急速施工するため,地盤の挙動を精度良く把握し,地盤の沈下および安定に関して十分な管理を行う必要があった。本論文は、電気式静的コーン貫入試験(CPT)による地盤調査結果を用いて,護岸部と埋立部の各施工段階における圧密の進行状況を把握する方法について検討した。また,関西国際空港第二期事業で行われた一軸圧縮試験結果と,今回の工事で用いたCPTによる調査結果を強度のバラツキの観点から比較した。
  • 西山 哲, 大西 有三, 矢野 隆夫, 里 優, 吉崎 互
    2011 年 6 巻 4 号 p. 503-511
    発行日: 2011/12/29
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    本論文は,任意の計測点に設置した無線機の電波を受信することで,斜面および法面の変位を計測する手法の研究成果をまとめたものである。具体的には斜面および法面上に設置した特定小電力無線機からの電波を,遠隔に設置した複数の受信機にて受信し,各受信波の等位相差面の交点から当無線機の3次元座標を算出することで変位を計測するものである。本研究では,無線機の座標値を算出する方法を考察するとともに,2.4GHz帯の電波の送受信機を用いた計測実験により,高精度にて変位をリアルタイムに検出できることを実証した。また計測精度に影響を与える要因として,電波の送受信機の幾何学的な配置によって決まるGDOPという指標と計測精度の関係等を明らかにし,実斜面での適用性を検証した。
  • −アンモニア供給源および土壌微生物の添加が供試体の一軸圧縮強さに及ぼす影響−
    秋山 克, 川﨑 了, 青井 標野
    2011 年 6 巻 4 号 p. 513-524
    発行日: 2011/12/29
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    リン酸カルシウム化合物を利用した新たなバイオグラウトを開発することを目的として,土壌微生物を用いたアンモニア生成によるpH上昇試験,ならびに,微生物を含む土壌抽出水と4種類のアンモニア供給源およびリン酸カルシウム化合物で作製した豊浦砂供試体の一軸圧縮試験を行った。アンモニア供給源の添加によって,土壌を含む水溶液でpHが経時的に上昇し,溶液中にアンモニアが検出された。また,土壌からは,アンモニア供給源を分解する微生物が検出された。豊浦砂,土壌抽出水およびリン酸カルシウム化合物で作製した供試体の一軸圧縮強さは,アンモニア供給源の添加により,無添加の場合と比較して概ねすべての供試体で向上する傾向が認められた。特に,カルシウム源として酢酸カルシウムを用いた場合,アンモニア供給源が無添加の場合の平均値42.9kPaから,添加によって最大57.6kPaに向上するケースが認められた。本研究の結果から,アンモニア供給源ならびに地盤中の土壌微生物を利用して地盤の固化効果が期待できるリン酸カルシウム化合物の新たなバイオグラウトとしての利用可能性が示された。
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