地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
6 巻 , 1 号
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論文
  • 乙志 和孝, 古関 潤一, 金子 勝, 田中 宏征, 永尾 直也
    2011 年 6 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    地震時の基礎地盤の液状化による河川堤防の沈下対策として,矢板等を堤防法尻部に設置する対策がなされている。また,集中豪雨などで越流が生じた場合に対しては,堤防の機能を維持させるために堤体内に天端高さまで矢板を配置する方法が検討されている。この工法の課題の一つとして,堤体内に矢板を配置することで地震時に矢板と地盤との境界面にひび割れが生じ,浸透特性に影響することが懸念される。そこで,地震時から高水時まで連続して再現する模型実験を実施し,地震時や越水時にも本工法により堤防機能が維持され,L2地震動相当の加振履歴を受けても浸透特性が変化しないことを確認した。さらに,矢板下端を液状化層内に留めて対策コストを低減したフローティング構造が有効であることも確認した。
  • 川尻 峻三, 澁谷 啓, 鳥居 宣之
    2011 年 6 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,壁面工に大変状が発生したジオテキスタイル補強土壁の変状メカニズムの解明を試みた事例研究について述べている。まず,表面波探査,PS検層,RI検層,ボーリング調査および標準貫入試験から補強土壁および背面盛土の現況を詳細に調査した。つぎに,変状箇所付近の補強土壁内部から採取した試料を用いた物理試験,締固め試験,室内ベンダーエレメント試験,室内一面せん断試験,水浸圧密試験の各種室内試験を実施し,変状箇所における盛土材料の物理および力学特性を詳細に調べた。これらの結果から,壁面工の変状のメカニズムとして,i) 谷水が盛土内に浸入してサクションが低下することにより当該変状箇所の盛土に沈下が生じた,この沈下により,ii) 盛土がジオテキスタイル補強材に吊り下げられた状態(ハンモック状態)となった,その結果,iii) 壁面パネル材の斜め下方向に想定外の引張り力が作用することにより盛土の上載圧が小さくなり,補強材と盛土材との間の摩擦力が低下したために変形が助長された,等が推定された。
  • 奥野 日出, 小山 修平
    2011 年 6 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    全国井戸台帳によると,深井戸は帯水層の地質構成に基づき,多層スクリーンを有する不完全貫入井戸が多い。この点は,水資源としての地下水の有効利用だけではなく,水環境の保全にとっても重大な問題である。
    したがって,一般に井戸設計では,施工コスト面を踏まえて,できる限り正確に計画揚水量を算定する必要がある。しかしながら,不完全貫入井戸の場合,水理定数の算定や揚水管理に関して井戸理論を正確に適用し難く,不適切な設計揚水量を導くこともあり,結果的に不正確な設計揚水量を算出することによって過剰揚水による井戸の枯渇の助長や地下水位の低下による地盤沈下の被害も多くなっている。本研究においては,安全な設計揚水量を導くために,プレボーリングによる帯水層の水理学的な地質特性,段階揚水試験及び定常説を用いて実用的な井戸損失式を提案して本式の有効性について考察した。すなわち,非定常説に基づくJacob法と対比される新しい揚水モデルによる井戸損失式を提案し,地下水盆を構成する地質が異なる地域や任意の井戸構造においても,同一の井戸損失式によって地下水管理が可能であることを実証的に明らかにした。
  • 川﨑 元, 西垣 誠
    2011 年 6 巻 1 号 p. 39-56
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では一般に用いられている飽和土用の三軸セルのキャップとペデスタルの改良ならびに2基の三軸セルの利用によって不飽和土の三軸圧縮試験が行える実用的な試験装置を開発した。そして開発した試験装置の種々の精度検定を行い,一般的に用いられている三軸圧縮試験装置を少し改良するだけで不飽和土のせん断特性が論議できることを示した。さらに,この試験装置を用いて,締固めたマサ土の低拘束圧状態でのサクション一定排水せん断試験を実施した。そして測定したせん断強度と,ÖbergとSällforsが提案している方法で推定したせん断強度とを比較した結果,設定した条件の中で以下の知見を得た。
    1) ÖbergとSällforsが提案している従来の予測法では,本装置で測定したせん断強度よりせん断強度を低めに見積もることになる。そしてその差はサクション変化によるダイレイタンシーのせん断強度への寄与分の差と,湿潤過程におけるサクション0の不飽和ケースの粘着力と飽和ケースの粘着力の差で構成されている。
    2) 従来の方法で推定したせん断強度と本装置で測定したせん断強度との差の影響は湿潤過程にある盛土の安定解析上,無視できない。
  • 上出 定幸, 牧浦 信一, 渡邉 喜義, 梶原 三永, 松井 保
    2011 年 6 巻 1 号 p. 57-68
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    高速道路のり面に対する予防保全管理を行うためには,のり面の地盤状況を精度よく把握し,被害範囲を予測することが重要である。現行の事後保全管理においては,地表部からのボーリング調査や物理探査によって地盤状況を把握している。しかし,高速道路に沿って広範囲に分布するのり面に対し,今後,事後保全管理から予防保全管理に方向転換する必要に迫られており,そのためには,崩壊の危険性の高いのり面を効率的,かつ経済的に検出する必要がある。本論文は,広域的な地盤比抵抗の検出が可能な空中電磁法探査を供用路線ののり面に適用する調査実験を行い,探査手法の相違やのり面補強の金属製構造物による影響および比抵抗分布による地盤性状の把握状況を検討した。その結果,空中電磁法探査により高体積含水率分布域が検出できるなど,地盤性状を有効に把握できることを確認するとともに,高速道路のり面に対する予防保全管理への空中電磁法探査手法の適用性を明らかにした。
  • 野口 孝俊, 田中 政典, 渡部 要一, 阪上 最一, 定村 友史
    2011 年 6 巻 1 号 p. 69-79
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    東京国際空港(羽田空港)D滑走路建設プロジェクトの概略検討において,土質データベースから抽出したボーリングデータを利用してクリギングを行い,対象地域において三次元地層推定を行った。本論文では,当該プロジェクトの詳細設計を行うために,実施された追加ボーリングの結果も反映し,更新されたデータと当初の三次元地層推定結果との整合性について検討を行った。その結果,当初行われた三次元地層推定は概ね妥当であったことが明らかとなり,本地層推定手法の有効性を確認することができた。
  • 高橋 英紀, 森川 嘉之, 篠崎 晴彦, 木下 洋樹, 丸山 憲治
    2011 年 6 巻 1 号 p. 81-95
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    軟弱粘土層上に重力式岸壁を整備する場合,安定性向上ために締固め砂杭工法(SCP工法)が多く利用されている。本研究では,改良材として天然の砂質土の代わりに固結特性を有する鉄鋼スラグを用いた地盤の安定性について,遠心模型実験および円弧滑り計算によって検討した。模型実験では,比較対象として鉄鋼スラグ以外に砂質土等で改良した粘土層に対しても遠心力場で埋立載荷した。その結果,砂質土および鉄鋼スラグによる改良地盤が破壊に至る変形モードは一致した。また,砂質土よりも鉄鋼スラグで改良を施した地盤の方が載荷によって生じる変形量が小さく,安定性も高いことが分かった。
  • 三原 正哉, 三浦 均也, 森政 信吾, 足立 有史, 浦野 和彦
    2011 年 6 巻 1 号 p. 97-108
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    地盤の液状化や地盤流動に伴う地盤外力に起因すると考えられる杭基礎の被害がこれまでに多数報告されている。著者らはこれまで,傾斜地盤を対象に液状化に伴う地盤流動が生じた際の杭基礎の挙動について,杭基礎と地表面非液状化層との相互作用に着目した振動台模型実験を行い,液状化に伴う地盤流動と地表面非液状化層の複合的な効果によって,杭に作用する地盤外力が増大する傾向があることを示した。
    本研究では,地表面非液状化層の厚さや剛性,地盤傾斜,入力加速度レベル,加振継続時間の異なる複数の条件について追加実験を行い,杭基礎に作用する外力に及ぼす影響因子とその影響度合いを評価した。
    その結果,非液状化層の厚さや剛性,地盤傾斜の大小が杭に作用する地盤外力の大きさに与える影響は,液状化に至る過程では小さいが,流動時および加振後には大きくなる可能性が高いことがわかった。
  • 阪田 義隆, 伊藤 和伯, 磯崎 真一, 池田 隆司
    2011 年 6 巻 1 号 p. 109-119
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    扇状地堆積物は不均質性が強く,その透水係数は,基質の充填程度(基質充填度)と,それによって派生する水みちにより変化する。礫質土の不攪乱試料を,基質充填度より基質部と水みち部に分類し,各部の透水係数を層厚重み付け平均して算出する透水係数分布モデルを導入した。豊平川扇状地の場合,基質充填度をI~IVに分類し,最適化したモデルは,現場透水試験による透水係数を概ね0.5~2倍以内で再現でき,その有効性を確認できた。また,連続した不攪乱試料に本モデルを適用することで,透水係数分布を密に直接推定でき,扇状地堆積物の不均質性評価にも用いることができる。今回,推定した透水係数分布は隣接点間での強い不均質性を示すとともに,そのバリオグラムから観測点間距離5~10mを超えると,より巨視的な不均質性が現われる可能性が明らかとなった。
ノート
  • 鄭 珉守, 川尻 峻三, 中谷 圭希, 三浦 みなみ, 澁谷 啓
    2011 年 6 巻 1 号 p. 121-128
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    本ノートでは,一連の室内試験から得られた廃ガラス製品の一種である「ガラスサンド」の地盤工学的特性について述べている。まず,物理試験,透水試験およびpH測定試験から,廃ガラスの土構造物への適用のための基本的な工学的性質と周辺環境への影響を調べた。さらに強度特性を把握するために一面せん断試験,微小ひずみ領域での変形特性を把握するためにベンダーエレメント試験,液状化特性を把握するために非排水繰返し三軸試験を実施して廃ガラスの強度・変形特性を評価した。また,廃ガラスを混合した盛土材料の土質特性の改善効果を調べる目的で,廃ガラスの混合比を変化させた供試体を用いた一連の圧縮試験を実施した。以上の結果から,廃ガラスの一次的性質は自然砂と酷似しており,環境にやさしい材料であること,強度・変形特性は自然砂よりも優れていること,廃ガラスを混合することにより盛土の圧縮沈下特性が改善されることがわかった。
  • 笹原 克夫, 山口 純平, 酒井 直樹, 植竹 政輝
    2011 年 6 巻 1 号 p. 129-140
    発行日: 2011/03/31
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    降雨浸透に伴う砂質土斜面の変形挙動を詳細に検討するため,大型模型斜面を作製して人工降雨実験を行い,特定の断面における体積含水率,サクション,圧縮ひずみやせん断ひずみを計測した。その結果斜面の圧縮・せん断変形は,降雨による吸水過程のみならず,降雨後の排水過程でも進行すること,また体積含水率やサクションが一定の条件下でも変形が進行することが判明した。そして降雨浸透に伴う浸潤線が斜面底面に到達する時点の前後に圧縮・せん断変形が開始することがわかった。また浅い箇所では,吸水過程における体積含水率増加やサクション減少に伴う圧縮・せん断ひずみの増加は小さいが,深い箇所では体積含水率増加やサクション減少に対する圧縮,せん断ひずみ増分が大きいことが判明した。
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