地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
6 巻 , 2 号
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〔第55回地盤工学シンポジウム特集号〕
論文(特集号論文)
  • 三村 衛, 吉村 貢, 寺尾 庸孝, 豊田 富士人, 中井 正幸
    2011 年 6 巻 2 号 p. 141-155
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った。破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した。針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった。部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た。また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1×EcJIS程度であることがわかった。墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した。
  • 稲垣 由紀子, 塚本 将康, 森 啓年, 中島 進, 佐々木 哲也, 川﨑 了
    2011 年 6 巻 2 号 p. 157-167
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    社会資本の維持管理や温室効果ガス排出抑制が課題となる中,地盤改良技術についても,既設構造物の補修や補強に適用可能で,温室効果ガスの排出が少ない技術が求められる。微生物代謝で発生する二酸化炭素と土の間隙中のカルシウム源から炭酸カルシウムを析出させて土を固化する炭酸カルシウム法は,既設構造物直下の地盤に適用しやすく,改良材製造時の二酸化炭素排出が少ない技術として期待される。本研究では,炭酸カルシウム法により豊浦砂を固化し,三軸圧縮試験および動的遠心模型実験を行った。三軸圧縮試験では,固化した供試体の強度向上が確認された。動的遠心模型実験では,加振中の模型地盤の間隙水圧,応答加速度の変化や,残留変形などから,液状化対策としての有効性が確認された。また,模型地盤の固化前後の透水係数に大きな変化はなく,地下水流動を大幅に阻害せずに液状化対策を実施できる可能性があることが示唆された。
  • 高橋 英紀, 森川 嘉之, 早野 公敏, 大草 陽太郎
    2011 年 6 巻 2 号 p. 169-179
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    含水比が高い軟弱な粘土・シルト系の土を改良して比較的高強度な粒状体(造粒固化土)を作製する技術がある。一般的な地盤材料に比べて造粒固化土は軽量であり,例えば重力式ケーソン岸壁背後の埋立材に適用すれば,地震時におけるケーソンの水平変位量を低減できる。本研究では,岸壁の振動特性を詳細に調べ変位低減のメカニズムを明らかにすることを目的として,動的変形特性試験および動的遠心模型実験を実施した。模型実験では,ケーソンへ作用する土圧を計測し,その土圧と振動特性の関係を調べた。その結果,造粒固化土で形成された地盤からケーソンへ作用する地震時土圧は小さく,これを主要因として変位量が低減されることを確認した。
  • 上本 雄也, 澁谷 啓, 橋元 洋典, 川尻 峻三
    2011 年 6 巻 2 号 p. 181-190
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    粒径の大きな礫を含んだ実盛土の変形・強度特性を求めるためには,原粒度試料を用いた大型三軸試験の実施が望ましいが,原粒度試料を用いた試験には数多くの制約があるため,粒度調整した小型供試体を用いた室内試験を実施するのが一般的である。一方,盛土の締固め管理には締固め度Dcを用いるが,盛土材の粒度を調整すると試料の変形・強度特性ばかりでなく締固め特性も変化する。したがって,実盛土の変形・強度特性を正しく求めるためには,締固め管理密度に相当する原粒度試料および各種室内粒度調整試料それぞれのせん断特性を明らかにした上で,適切な室内粒度調整法を選定する必要がある。そこで本研究では,兵庫県西宮市の宅地造成現場から採取した粒子形状が角張った砂礫盛土材および兵庫県南西端部を流れる千種川より採取した円礫が卓越した砂まじり礫盛土材のそれぞれについて,原粒度および異なる3通りの方法で粒度調整した試料を用いた一連の排水三軸圧縮試験を実施し,締固め特性およびせん断時の変形・強度特性に及ぼす粒度特性の影響を明らかにしている。
  • 保科 隆, 大塚 悟, 磯部 公一
    2011 年 6 巻 2 号 p. 191-200
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究では不連続面や薄い低強度層を内在する斜面の安定解析手法を開発するために,地盤の不連続面に関する剛塑性構成式を誘導した。この構成式を用いると斜面内の不連続面や薄層の低強度シーム層などの強度特性を不連続面に付与する解析が可能になり,要素分割の細分化を避けて高精度な解析が可能になる。開発した構成関係の有用性を示すために,解の自明な単純モデルの数値解析により解析手法の妥当性を検証した後に,低強度シーム層を含む斜面の事例解析を通して解析手法の適用性を明らかにした。この解析手法により,低強度シーム層に起因する流れ盤や受け盤構造の斜面の安定性を合理的に評価できることを示した。
  • 澤村 康生, 岸田 潔, 木村 亮, 小高 武
    2011 年 6 巻 2 号 p. 201-212
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    多ユニットアーチカルバート盛土は,盛土内に複数のカルバート構造が挿入された盛土で,地震時における盛土地盤とカルバート構造の相互作用を検証し,耐震性について検討する必要がある。耐震性に関するこれまでの研究は,数値解析を用いたものが主であり,実験による検討は行われてこなかった。本研究では,連続するアーチカルバートの設置間隔(ユニット間隔)に注目し,地震時にユニット間隔がアーチカルバートおよび周辺地盤に与える影響を明らかにすることを目的として,動的遠心模型実験を実施した。実験結果より,ユニット間隔がアーチカルバートの高さの1/2までであれば,アーチカルバートや周辺地盤の挙動が大きく変化することはないことが確認された。
論文(通常論文)
  • 西垣 誠, 金沢 智彦, Chegbeleh Larry Pax
    2011 年 6 巻 2 号 p. 213-224
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    頻繁に土砂災害が発生しているしらす斜面の崩壊防止対策として,不飽和のしらす地盤に従来の超微粒子セメントより浸透性に優れる極超微粒子セメントを注入し,セメントの浸透距離・注入後の一軸圧縮強さおよび透水係数・斜面安定性について検討を行った。その結果,以下の成果が得られた。(1)従来のセメント系注入材では注入が困難とされている不飽和のしらす地盤に浸透注入できることがわかった。(2)周辺地盤の地下水のpHや表層に生息している植生におよぼす悪影響は極めて小さい結果を得た。(3)一軸圧縮強さは2000kPa程度まで改良された。また,透水係数は1.0×10-5m/sの地盤が1.0×10-7m/sまで低減することが可能であった。(4)軸対称注入による改良半径は,理論改良半径の18.7cmに対して15cmとなった。(5)簡易Janbu法により算定した改良後の安全率は計画安全率の1.2を上回り,斜面安定性が向上した。
  • 橋口 公一, 間瀬 辰也
    2011 年 6 巻 2 号 p. 225-241
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    砂の液状化現象に先立って生じるサイクリックモビリティは,非排水繰返し負荷において,バタフライ形の応力経路,S字形の応力−ひずみ曲線を示す特異現象である。本現象の高精度予測は地盤構造物の耐震設計に極めて重要である。しかし,本現象は1960年のチリ地震や1964年のアラスカ地震,新潟地震以降,社会的注目を浴びて半世紀を経過しているが,今なお,その高精度予測は達成されていない。下負荷面モデルは,弾塑性材料の繰返し負荷挙動を表現し得る基本的構造を有している。本論文では,サイクリックモビリティをも高精度で表現し得るように,本モデルを拡張する。また,本現象の物理的解釈およびメカニズムについて考察するとともに,下負荷面モデルによる定性的表現について述べる。さらに,その有用性を80サイクル超の高サイクルを含む種々のサイクル数のサイクリックモビリティの試験データに対する定量的比較により実証する。
  • 加納 誠二, 土田 孝, 中川 翔太, 海堀 正博, 中井 真司, 来山 尚義
    2011 年 6 巻 2 号 p. 243-259
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    2009年7月24日から25日にかけての連続した降雨により,東広島市志和町内うち地区の残土処分場で崩壊が発生し,流動化した土砂が流下して住宅1戸が全壊した。本論文は本災害の原因について考察したものである。災害発生箇所は何回かの地形改変を経て残土処分場となっていたため,三次元レーザー測量による崩壊後の地形の把握,軽量動的コーン貫入試験による崩壊土砂堆積厚さの調査,過去の測量地図,航空写真の解析を行って,地形改変履歴を明らかにし崩壊直前の地形を推定した。崩壊した残土斜面の底部には帯水層が存在し豊富な地下水が流れており,崩壊後の現地調査と降雨後の地下水位の上昇を考慮した安定解析により,地下水位が帯水層から約9m 上昇し斜面全体の安全率が1 以下となり,すべり崩壊が発生したと推定された。降雨によって飽和度が高まっていた崩壊土砂は,地下水の流出とともに流動化し約9°の傾斜を500m 流下したと考えられる。
  • 鷲見 武富, 沢田 和秀, 八嶋 厚
    2011 年 6 巻 2 号 p. 261-271
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    き裂性岩盤斜面の簡易な二次元安定解析手法を提案する。この手法は,すべり面を区分線形近似し,き裂の分布状況に応じてすべり面の一部をき裂に割り当てるものである。これにより,不規則形状のすべり面や岩盤実質部とき裂の両方を通るすべり面を探索することが可能となった。提案手法を用いて仮想斜面や実斜面で安定解析を実施したところ,繰り返し円弧法や試行くさび法より安全率の小さいすべり面経路を探索することができ,実務への有用性を確認できた。
  • 山中 裕史, 川﨑 了, 加藤 昌治, 椋木 俊文, 金子 勝比古
    2011 年 6 巻 2 号 p. 273-284
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    地盤や岩盤のような鉱物と空隙からなる二相構成材料の力学的性質は内部構造に強く依存している。そこで本研究では,マイクロフォーカスX線CTを使用してガラスビーズ充填試料の断層撮影をおこない,二相構成材料の微小空隙構造の評価手法について基礎的な検討をおこなった。二相構成材料の空隙構造を定量的に扱うためには,空間的な相分離が必要となる。そこで,撮影条件を変えることによりボクセルサイズやCT値の頻度ヒストグラムの分散を変化させ,それの二相構造画像の相分離に与える影響について検討した。その結果,頻度ヒストグラムの分散が二相構造画像の二相分離に影響を与えること,および粒径/ボクセルサイズ比が27から29の範囲で二相構成材料の二相分離が可能かどうかの境界があることがわかった。さらに,その結果を用いてガラスビーズ充填試料の空隙率を評価したところ,粒子の充填配列に依存して33~37%の値が得られた。
  • 米田 修, 田坂 行雄, 志村 直紀, 鈴木 素之
    2011 年 6 巻 2 号 p. 285-295
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    帯鋼補強土壁工法では,裏込め土として摩擦抵抗が期待できる細粒分の少ない土を使用することが前提となるが,近年,現地発生した細粒分の多い土をセメント系固化材等で土質改良して使用する施工例がある。本論文では,この工法の実際の施工過程で想定される要因として,固化処理から転圧までの盛土材の混ぜ置き時間の影響,固化処理土に対する転圧回数の影響,施工中断により生じる可能性のある補強材を挟む上下層の強度差の影響,段階施工における次の施工までの放置時間の影響を取り上げ,これらが補強材の引抜き抵抗に与える影響について補強材の室内土中引抜き試験により調べた。その結果,固化処理土からの補強材の引抜き抵抗は,混ぜ置き時間や突固め回数の影響を多少なり受けるが,補強材を挟む上下層の強度差や次の上載圧が載荷されるまでの放置時間の影響をほとんど受けないことが判明した。
ノート
  • 江種 伸之, 姜 学妍, 峠 和男, 西田 憲司, 平田 健正
    2011 年 6 巻 2 号 p. 297-304
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    土壌汚染対策法の施行規則では,原位置封じ込めが地下水汚染を経由した健康被害を防止するための標準的措置になっている。しかし,同法の主な対象と考えられる市街地では,原位置封じ込めの適用条件を満足する不透水層があまり存在しないことが明らかになってきた。そこで本研究では,より多くの現場に適用可能な原位置封じ込め措置として地下水揚水併用型を考え,数値解析を実施して汚染拡散防止効果を考察した。その結果,薄い難透水層しか存在しない現場においても,地下水揚水の併用によって,原位置封じ込め措置を適用できることが確認された。また,汚染拡散防止に必要な難透水層内の上向きの地下水浸透量は,封じ込め区域900m2あたり0.1m3/d程度でよいことも推察された。これは,遮水壁の性能が十分であれば,地下水揚水量が難透水層内の浸透量と同程度の少量で済むことを示唆している。
  • 畠 俊郎, 立野 菜緒, 阿部 廣史
    2011 年 6 巻 2 号 p. 305-315
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    沿岸域を対象とした砂質土の新しい浸透固化処理工法の開発に関連し,耐塩・耐アルカリ能を有する微生物を用いたMicrobial Carbonate Precipitation(MCP)技術の適用性について検討した。豊浦砂を対象とした浸透試験の結果から,1)耐塩・耐アルカリ能を持つSporosarcina (Bacillus) pasteuriiが沿岸環境においてMCPを促進させる効果が期待できる,2)固化溶液に含まれる尿素と塩化カルシウムの濃度を0.15mol/Lとした場合に安定的なUreC遺伝子数を維持できる,3)尿素および塩化カルシウムの濃度を0.15mol/Lとして12日間培養を行った場合に一軸圧縮強さで200kN/m2程度の強度増加が期待できる,ことがあきらかとなった。
  • 栖原 秀郎, 新井 洋一, 中越 健太, 赤神 元英, 黒山 英伸
    2011 年 6 巻 2 号 p. 317-329
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    近年,工場跡地等の再開発に伴う土壌汚染が社会的問題となっていることから,汚染状況の把握,健康被害防止の措置などを定めて土壌汚染対策を実施することを目的に,平成15年2月より土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)が施行され, 平成22年4月には改正土壌汚染対策法が施行された。一方,法規制外においても,土地取引等に対し自主調査・自主対策が行なわれ,むしろこちらの方が実施は多い。本文では,このような背景の下,繊維会社工場跡地における,第一種特定有害物質である揮発性有機化合物による大規模土壌・地下水汚染に対し,オンサイトにおいて,短期間で浄化した自主対策事例を紹介する。本事例では,回転式破砕・拡散混合工法による石灰混合処理を核にした方法により,揮発性有機化合物の土壌汚染では,環境基準の77倍,地下水汚染では環境基準の4,000倍までの汚染の浄化が可能であることを確認できた。
  • 矢島 寿一, 村岡 卓也, 武藤 優, 亀井 健史
    2011 年 6 巻 2 号 p. 331-339
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    建設現場から多量に発生する廃石膏ボードは処分する方法が問題となっている。そこで,廃石膏ボードを建設資材として有効利用する技術が注目されている。廃石膏ボードから再生した二水石膏は,130℃以上の熱処理によって半水石膏となる。本研究では,半水石膏の混入率を変化させたセメント安定処理土の排水せん断特性と非排水せん断特性について検討を行い,半水石膏の地盤改良材としての有効性を検証している。その結果,半水石膏を混入したセメント安定処理土の内部摩擦角は,半水石膏混入率によらずほぼ一定値を示した。また,粘着力は半水石膏混入率の増加に伴い増加することが明らかとなった。このことから,廃石膏ボードから再生した半水石膏が軟弱地盤改良材として有効であるということを実証した。
  • 秋山 克, 川﨑 了
    2011 年 6 巻 2 号 p. 341-350
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究ではバイオミネラルの中でも,セメント物質として骨や歯の主要な構成成分であるリン酸カルシウム化合物に着目し,新たな地盤注入材を開発することを目的として,リン酸カルシウム化合物析出の最適条件の検討,リン酸カルシウム化合物と豊浦砂を用いて作製した供試体の一軸圧縮試験を行った。2種類のリン酸溶液および2種類のカルシウム溶液を用いて実施した析出試験では,pHが弱酸性から中性付近へ向けて上昇するのに伴い析出体積が増加する傾向が認められた。豊浦砂とリン酸カルシウム化合物によって作製した供試体の一軸圧縮強さは,最大で87.6 kPaに達した。本研究の結果は,リン酸カルシウム化合物を地盤注入材に用いて,自己硬化性を利用したケミカルグラウトおよび析出体積のpH依存性を利用したバイオグラウトという,2つの新しい地盤注入材の可能性を示した。
  • 小松 順一, 及川 洋, 村岡 洋, 和賀 征樹, 佐藤 直行, 阿部 真郎
    2011 年 6 巻 2 号 p. 351-360
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    切土法面の安定性を検討する上で問題となることが多い軟岩不連続面のせん断強さを簡単な道具を用いて原位置で直接測定しようとする場合,不連続面の勾配がおおよそ30°を超えると安定した試験の実施が困難になる場合が多い。このような場合,採取試料に対する室内試験を実施せざるを得ないが,せん断箱への供試体のセットは容易な作業ではないこと,また,供試体作製に失敗した場合などは試料の再採取のために現地に戻る必要があるなどの問題が生ずる。このような問題を解消するため,著者らは,供試体のセッティングが容易で,かつ,供試体作製に失敗した場合でも試料の再採取のために現地に戻る必要がないよう,試料の採取地近傍でも試験ができる簡易な手動式一面せん断試験機を試作し,4地区の不連続面を対象としてせん断強さを測定した。また,これまで行ってきた人力載荷による原位置一面せん断試験結果と比較した。その結果,本試作機には改良の余地はあるものの,実用上の試験機として利用できる可能性が示唆された。
  • 荒木 繁幸, 澁谷 啓, 西形 達明, 西田 一彦, 佐々木 精一
    2011 年 6 巻 2 号 p. 361-369
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    まさ土を用いた盛土などの土構造物への降雨の浸透や破壊問題では,乱した試料の物性値が必要であるが,自然斜面や切取斜面への降雨の浸透と崩壊を予測する場合には,乱さない試料の不飽和水理特性を知る必要がある。原地盤のまさ土は,締固めた試料と異なる土構造を有し,不飽和水理特性も大きく異なる。しかし,不撹乱状態のサンプリングや室内の試験が難しく,また,現地盤が非常に不均一であるため,難しい多くの試験を実施してもデータのばらつきが大きく,費やす労力に比して得られる成果が少ないことから,これらの研究はごく断片的にしか行われていない。本研究では,ブロックサンプリングの一種であるネイルサンプリングによって採取した,風化度の異なる乱さないまさ土の不飽和水理特性を求めるとともに,風化度および土構造との関係を明らかにする目的で一連の実験を実施した。その結果,風化度と強熱減量(Ig-loss)および不飽和水理特性の間に比較的よい相関が認められた。このことは,不撹乱試料採取が困難なまさ土地帯で,撹乱した試料から原地盤の不飽和水理特性が推定できる可能性を示した。
  • 北岡 貴文, 楠見 晴重, 中村 真
    2011 年 6 巻 2 号 p. 371-381
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,京都府南山城地方を対象とし,複数の揚水井が及ぼす地下水性状への影響について,主として現場計測ならびに解析的に検討したものである。京都府南山城地方は京都盆地の南部に位置する。地質構造は,基盤岩上に砂礫層が厚く堆積しており,周囲を山地に囲まれた典型的な盆地構造を呈し,良質な地下水が豊富に賦存している。しかしながら,無作為な揚水を続けると,地下水の枯渇や地盤沈下といった問題を引き起こす恐れがあり,特に狭い範囲から多くの取水を行う群井の及ぼす影響は大きいと考えられる。そこで本研究では,1本当たりの揚水量が比較的に多い上水道用の揚水井を対象とし,揚水による地下水位への影響評価のためのシミュレーションを行った。その結果,本研究で作成した地層モデルを用いて,精度よく群井が及ぼす水位変動について推定することができた。
  • 渡辺 俊一, 江種 伸之, 平田 健正, 横山 尚秀, 山里 洋介, 森田 昌敏
    2011 年 6 巻 2 号 p. 383-394
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,3次元数値解析を実施して,茨城県神栖市で起きた有機ヒ素化合物(ジフェニルアルシン酸,DPAA)による地下水汚染機構を明らかにした。汚染が発見された飲用井戸(A井戸)周辺を対象とした数値解析では,A井戸南東90m地点の表層地盤中で発見されたコンクリート様の塊から溶出したDPAAを高濃度に含む汚染水が,密度流によって地下深くまで降下浸透し,深度30m付近の洪積砂礫層に達した後,流速の大きな地下水流れに乗って,A井戸およびその下流域にまで拡がっていく様子が示された。これにより,A井戸の汚染の原因はコンクリート様の塊から溶出したDPAAであることが推察された。また,汚染地域全体を対象とした数値解析では,汚染発見によって複数の企業局揚水井戸の運転が停止されるまでの間,これらの井戸からの揚水の影響でDPAAの下流への拡散が抑制されていた可能性が高いことも示唆された。
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