地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
6 巻 , 3 号
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論文(通常論文)
  • 山添 誠隆, 田中 洋行, 林 宏親, 三田地 利之
    2011 年 6 巻 3 号 p. 395-414
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2011/09/30
    ジャーナル フリー
    泥炭地盤上での建設工事では,大きな沈下が長期間に渡り発生するため,その予測は工学的に重要な課題の一つである。本論文では,泥炭地盤の圧密沈下挙動の予測を困難としている主要な要因として,原位置透水係数の評価や圧密沈下に伴う層厚減少,せん断変形に付随する鉛直方向の変形,圧密係数cvの圧密圧力依存性を取り上げ,cvが大きく異なる泥炭地盤上の二つの試験盛土を対象に一次元・二次元水~土連成微小/有限変形弾塑性FEM解析を実施し,上記要因の影響を調べている。また,圧密圧力によるcvの低下度合いを変化させた一連の一次元解析を行い,その圧密沈下挙動を検討した。以上の成果に基づき,地盤設計実務では泥炭式と呼ばれる実務経験式およびTerzaghi理論による慣用沈下予測式の適用性と適用にあたっての留意点を明らかにしている。
  • 珠玖 隆行, 西村 伸一, 村上 章, 西村 有希, 藤澤 和謙
    2011 年 6 巻 3 号 p. 415-426
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2011/09/30
    ジャーナル フリー
    国内の社会基盤施設の設計法は,これまで大量の社会資本を供給してきた仕様設計体系から信頼性設計を基本とした性能規定型の設計体系に移行しつつある。その一方で,盛土や堤防などの土構造物に対する信頼性・性能設計は,設計手法・計算モデルの予測精度の低さや地盤パラメータの不確定性に起因する種々の問題を有している。本研究では,土構造物の性能照査に適用可能な信頼性設計手法を新たに提案し,その有効性について,軟弱粘性土地盤上に築造される盛土の残留沈下問題に適用することにより検証した。提案手法は,設計段階から構造物施工完了までの全工程を設計とみなし,設計段階で最適と判断された設計に対して観測データにより積極的に再検討を行う「情報化施工」のコンセプトに基づいている。具体的な土構造物の性能照査手法として,弾粘塑性モデルを用いた土/水連成有限要素解析を用い,モンテカルロシミュレーションを用いて地盤の不確定性を評価した。さらに,粒子フィルタによるデータ同化結果に基づいて,観測施工段階における変位の予測分布の更新,および性能照査や追加対策工の検討を行った。その結果,提案手法は明示的・定量的な性能照査にも十分適用可能であり,土構造物の性能設計において有力なツールとなり得ることが示された。
  • 新舎 博, 河村 健輔, 椎名 貴彦, 大久保 泰宏, 鈴木 健治, 渡辺 雅弘
    2011 年 6 巻 3 号 p. 427-438
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2011/09/30
    ジャーナル フリー
    札幌市の豊平川下流部では,治水安全度の向上を図るため,河川内の高水敷を下げる計画である。通常は,掘削により下げるが,掘削土の処分量を低減する目的で,盛雪荷重と負圧の併用による軟弱地盤の減容化施工を実施した。地盤は,表層部約3mが高含水比の泥炭層である。本文では,盛雪の築造方法,盛雪荷重と負圧による減容化効果,実測沈下と一次元圧密理論あるいはFEM解析との比較,および盛雪の剛性が沈下に与える影響などについて考察し,次の結論を得た。(1)築造した盛雪の密度は0.7g/cm3程度であった。(2)盛雪荷重と負圧は両者とも圧密荷重として有効である。(3)盛雪の剛性および地盤表面の凍土の影響を考慮すると,実測沈下とFEM解析の結果はよく一致した。最後に,減容化量を最大にするための方策を提案した。
  • 日下 拓也, SRENG Sokkheang, 渦岡 良介, 伊藤 民夫, 望月 秋利
    2011 年 6 巻 3 号 p. 439-454
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2011/09/30
    ジャーナル フリー
    近年,都市部を中心に地下水位回復に伴う広域地盤隆起現象が発生し,それによる地中構造物への被害が懸念される。本研究では,まず東京都の東部低地帯における地盤隆起の状況をまとめ,次いで地下水位回復に伴う地盤隆起現象のメカニズムとその予測解析手法の検討を目的に,地下水位の低下および回復過程を再現した遠心模型実験と三笠の一次元圧密理論を用いた数値シミュレーションを実施した。遠心模型実験では,地下水位低下後の定常状態において間隙水圧等時線が非線形分布になることを確認し,さらに地下水位回復に伴う地盤隆起現象を再現することができた。数値シミュレーションでは,深度方向の透水係数の変化を考慮する場合と透水係数を一定とする場合について実施し,前者の場合に実験結果と同様の傾向を持つ解析結果が得られ,解析手法の妥当性と地盤隆起解析における透水係数の厳密な評価の必要性を示した。
ノート
  • 福江 正治, 小野 信一, 佐藤 義夫, 坂本 泉
    2011 年 6 巻 3 号 p. 455-464
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2011/09/30
    ジャーナル フリー
    ウレアーゼ(尿素分解酵素)はある条件下で尿素を加水分解して炭酸イオンを生成する。その反応を利用して炭酸塩粒子を造ることができる。この尿素の加水分解はウレアーゼの触媒作用に依るので極めて速い。このようにして生成される炭酸塩は土粒子のバインダーとして,また固体表面の被覆や亀裂の充填などに適用可能である。そこで,本研究では工学的応用のために,わが国の土壌から単離した極めて有能なウレアーゼ産生微生物を使って,その炭酸塩生成のメカニズムを調べた。その結果,使用した培地,生成した炭酸塩の種類(使用金属イオン)と濃度,不純物などによって結晶や粒形のタイプと成長速度が変わることが分かった。また,MgとCaイオンを用いた場合には非晶の粒子が成長し,結晶より優れたバインダーとなる可能性が示された。
  • 林 宏親, 西本 聡, 橋本 聖, 梶取 真一
    2011 年 6 巻 3 号 p. 465-473
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2011/09/30
    ジャーナル フリー
    北海道において発生したいくつかの大規模地震によって,泥炭地盤上の道路盛土ならびに河川堤防に大きな被害が発生した。しかし,そのメカニズムおよび合理的な補強法などは明確にされていない。そこで,泥炭地盤上の盛土に関する動的遠心模型実験を実施し,その耐震性および既設盛土を意識した補強法について検討した。その結果,泥炭地盤上の盛土で特徴的に見られた被災変状モードを再現することができ,沈下によって泥炭層にめり込んだ盛土底部における過剰間隙水圧の発生とそれによる盛土の泥濘化が変状の主な要因なことがわかった。さらに,ふとん籠を設置することにより,過剰間隙水圧の消散および盛土の拘束効果が得られることがわかった。
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