地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
7 巻 , 1 号
選択された号の論文の32件中1~32を表示しています
「東北地方太平洋沖地震特集号」
特集号巻頭言
特集号招待論文(地域別編)
  • ハザリカ へマンタ, 片岡 俊一, 笠間 清伸, 金子 賢治, 末次 大輔
    2012 年 7 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震は,その地震動および津波によって東日本の広範囲で甚大な被害をもたらした。本論文は,青森県三八上北地方および岩手県北部において発生した地盤災害に対しての調査結果をまとめたものである. 調査地域の範囲内では地震そのものより複合性のある被害(例:津波による地盤災害や液状化による被害など)が顕著であった. 本論文では, 特に地震動, 押し波, 引き波および構造物の構造形式などを着眼とした太平洋沿岸部の被害について述べる.
  • 原 忠, 大河原 正文, 大角 恒雄, 山中 稔, 石原 行博, 常川 善弘, 岡村 未対, 渦岡 良介
    2012 年 7 巻 1 号 p. 25-36
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では,地震動や津波により東日本の広い範囲で地盤災害が発生した。東北地方太平洋沿岸には大津波が来襲し,家屋の倒壊や防波堤・防潮堤の倒壊,河川堤防の決壊など多くの被害が生じた。地盤工学会東北支部・四国支部合同調査団は,4月上旬と6月上旬の2度に分けて,岩手県沿岸中南部を対象とした現地調査を行なった。本報では,東北地方太平洋沖地震で生じた地盤災害について,同調査団の調査結果で得られた被災の概要を述べる。
  • 岡 二三生, 吉田 信之, 甲斐 誠士, 飛田 哲男, 肥後 陽介, 鳥居 宣之, 鏡原 聖史, 中西 典明, 木元 小百合, 山川 優樹, ...
    2012 年 7 巻 1 号 p. 37-55
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    平成23年(2011年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による宮城県北部地域の地盤被害状況を把握するため,地盤工学会東北支部・関西支部合同調査団を組織し,2011年4月5日~10日,29~30日にかけて調査を実施した。本論文では,その後の聞き取り調査なども踏まえ,河川堤防,海岸堤防,港湾施設,道路・鉄道の盛土・切土斜面,液状化や地盤沈降などの被害に関する調査結果を報告する。調査結果の一部は既に地盤工学会誌に速報として報告されているが,本論文ではそこで報告された被害事例も含めて被害対象ごとに整理して述べる。
  • 吉田 望, 山口 晶, 千葉 克己
    2012 年 7 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震における宮城県中部地域の地盤災害を,現地踏査の結果を基に紹介する。対象地域は,鳴瀬川水系(鳴瀬川,吉田川)の堤防被害,内陸低地部の被害である。堤防被害では噴砂は堤内畑地,堤外高水敷,堤防法尻に現れ,前2者は旧河道などの埋戻し,後者は堤体材料の液状化が原因と考えられる。このうち堤体が液状化したところは大きな崩壊につながったものもあった。低地では,大崎市古川駅周辺,鹿島台,多賀城市などで噴砂が現れたが,いずれも局所的なもので,被害も大きくは無かった。造成,埋立てなどの地盤改変地帯で液状化が起こったと考えられる。このほか,海岸地域でも液状化が発生していたと考えられるが,その後の津波のため,小数の事例を除き,その発生を確認することはできない。全体として液状化による地盤変状に伴う被害が多かった。
  • 森 友宏, 飛田 善雄, 今西 肇
    2012 年 7 巻 1 号 p. 67-78
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    平成23(2011)年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震における宮城県南部地区の地盤関係災害について述べる。当該地域の地質・地形条件について述べた後に,特に,地盤災害(盛土造成地,堤防,防潮堤,地盤沈降)についてその被害状況を述べる。また,津波によりもたらされた構造物周辺の洗掘現象についても述べる。さらに,現時点で把握できた災害メカニズムを論じるとともに,報告した被災に対する地盤工学的課題を提起する。
  • 若井 明彦, 佐藤 真吾, 三辻 和弥, 森 友宏, 風間 基樹, 古関 潤一
    2012 年 7 巻 1 号 p. 79-90
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震,およびそれに伴う余震によって,東北地方は甚大な被害を受けた。本稿では,宮城県仙台市周辺の丘陵地におけるいくつかの造成宅地の被害状況について,JGS東北支部・関東支部合同第一次調査団が実施した調査結果をまとめる。まず,これまで仙台市内に造成されてきた宅地群の分布や造成年代を俯瞰し,既往の地震での被害有無との相関性や現象把握の留意点を整理する。続いて,今回の地震で深刻な被害を受けた4つの造成宅地の被災事例を順に報告する。一連の事例紹介に先立ち,1978年宮城県沖地震による同様な宅地被害の後に復旧および地すべり対策工のなされた仙台市太白区緑ヶ丘3丁目地区を取り上げ,同対策工特に地すべり抑止杭の存在と今回の被害箇所との関係について検討するとともに,今後の造成宅地の耐震性向上のための技術上の教訓を取りまとめる。
  • 中村 晋, 仙頭 紀明, 梅村 順, 大塚 悟, 豊田 浩史
    2012 年 7 巻 1 号 p. 91-101
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    本論文では,福島県内陸部のうち中通りやいわき地域の造成盛土や自然斜面の崩壊が生じた要因として地震作用,地形・地盤構造,材料特性などについての調査結果を報告する。造成盛土の被災形態は沢埋盛土と水田上の造成盛土の変状に分類でき,盛土材は福島市伏拝の造成地が火山灰質粘性土であるものの,それ以外は細粒分質で非塑性の砂質土であり,東北地方で生じた最近の地震による火山灰質砂質土で構成される盛土の流動的な崩壊の被害とも共通点が見られた。自然・切土斜面の地すべりや崩壊は中通りの南部地域で多く発生している。地すべりは移動体が未固結火山性堆積物で構成され,崩壊はこの地域の基盤をなす火砕流堆積物溶結相露頭斜面で発生している。地すべりは,少なくとも上下に二段のすべり面を持つ複合地すべりである。
  • 安田 進, 原田 健二, 石川 敬祐
    2012 年 7 巻 1 号 p. 103-115
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震によって千葉県では大きな被害が発生した。その主な原因は液状化によるものであり,千葉県内で18,674棟の家屋が液状化によって被害を受けた。液状化は東京湾岸低地,利根川低地,九十九里平野の多くの箇所で発生した。東京湾岸低地では浦安市から千葉市にかけての埋立地で広い範囲で発生し,戸建て住宅,ライフライン,道路に甚大な被害を与えた。この地区における液状化被害にはいくつかの特徴があるが,1万棟を超す多くの戸建て住宅が大きく沈下・傾斜したことや,下水道管渠の継手がはずれたりマンホール躯体がずれたりと,埋設管にも特異でかつ甚大な被害が発生した。これは液状化した後も大きく揺すられ続けたためではないかと考えられる。利根川低地では旧河道を埋めた所などで,また,九十九里平野では砂鉄を採掘して埋め戻した箇所などで液状化が発生した。
特集号招待論文(施設編)
  • 安部 哲生, 横田 聖哉, 金田 和男, 長尾 和之
    2012 年 7 巻 1 号 p. 117-125
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日14時46分頃,三陸沖を震源としたマグニチュード9.0の我が国観測史上最大の巨大地震が発生した。この地震では,宮城県栗原市で震度7を観測するなど,東北地方から関東地方の広い範囲で強い揺れを観測した。高速道路でも,北関東自動車道の水戸南インターチェンジで最大計測震度6.3を観測している。また,その後の緊急点検の結果,20路線,約870km区間において交通の支障となる被害が確認された。しかしながら,関係者の尽力により,地震発生から約20時間後の3月12日11時には,東北自動車道,常磐自動車道,磐越自動車道において緊急交通路の確保を行い,また,約13日後の3月24日6時には,ほぼ全線において通行止めの解除を行っている。本報文では,東北地方太平洋沖地震による高速道路の土工部における被害および復旧の状況について報告する。
  • 野澤 伸一郎, 白崎 広和, 和田 旭弘, 友利 方彦
    2012 年 7 巻 1 号 p. 127-137
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震では,鉄道も広い範囲で被災した。JR東日本線において,地震動では在来線の盛土・切土が被害を受けたが,それぞれの規模は大きくなく,線路延長では最大でも120m程度であった。トンネルの被害は新幹線,在来線とも極めて軽微であった。京葉線はじめ鉄道沿線で液状化が発生したが,高架橋,橋梁については,変状は無かった。津波による被害は甚大であり,海岸線を走る5線区の盛土,切土では50箇所にのぼる被害を受けた。海岸にある防潮堤や鉄道盛土と隣接した架道橋の存在により,被害の形態や規模は異なっていた。
特集号論文(一般投稿)
  • 秦 吉弥, 中村 晋, 野津 厚
    2012 年 7 巻 1 号 p. 139-149
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震により,福島市伏拝の宅地造成盛土が崩壊し,崩壊した土砂が国道4号線に流出するなどの甚大な被害が発生した。本研究では,サイト特性置換手法により被災地点における本震時の地震動を推定するため,被災地点近傍において余震観測を実施した。また,サイト特性置換手法そのものについても,対象地域に適用できるよう,大幅な改良を加えた。具体的な改良点は,地盤の非線形応答によるサイト増幅特性の変化を考慮するようにしたこと,複数のサブイベントの寄与からなる波形に適用できるよう工夫したこと,以上の2点である。改良後のサイト特性置換手法を用いて被災地点周辺の既存強震観測点での記録を再現し,手法の適用性を確認した上で,被災地点における地震動の推定を行った。
  • 小峯 秀雄, 村上 哲, 安原 一哉, 渡邊 保貴, 御代田 早紀, 藤田 圭介, 多田 恵一
    2012 年 7 巻 1 号 p. 151-161
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    茨城県日立市に位置する茨城大学工学部は,平成23年東北地方太平洋沖地震による大きな被害を受けた。それに端を発し,茨城大学防災・環境地盤工学研究室では,茨城県内および福島県いわき市の被災調査を実施した。本論文では,これらの被災調査の結果概要を報告するとともに,そこから浮き彫りになる環境地盤工学的課題を抽出し,その問題を解決するための研究・技術開発の方針や予察的な実験による対策技術の方向性を報告する。
  • 森 友宏, 風間 基樹
    2012 年 7 巻 1 号 p. 163-173
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震,およびそれに伴う余震によって,宮城県仙台市周辺の丘陵地に位置する大規模谷埋め盛土造成宅地に甚大な被害が生じた。本論文では,宮城県仙台市郊外の丘陵地に位置する,ある大規模谷埋め盛土造成宅地における地震被害調査結果を記述している。谷埋め盛土造成宅地の地形的要因に着目して調査結果を整理し,旧地形傾斜角,地表面傾斜角,盛土厚が宅地の地震被害に及ぼす影響の程度について検討を行った結果,次のような知見を得た。(1)単位面積あたりの盛土部,切盛境界部の全壊家屋の比率は,切土部の25倍以上となった。(2)全・半壊家屋の被災要因の60%は地盤亀裂に起因する。(3) 調査範囲における家屋の全・半壊率は盛土部で3 %,切盛境界直上で5 %,切盛境界のやや盛土側で32 %となった。(4)地盤亀裂について,旧地形傾斜角,地表面傾斜角,盛土厚を主な支配パラメータとして分析した。旧地形傾斜角,地表面傾斜角,盛土厚が地盤亀裂の発生頻度に及ぼす影響の程度は,旧地形傾斜角と地表面傾斜角で同程度,盛土厚はこれら二つよりもやや小さかった。
  • 尾上 篤生, 蔡 飛, 中島 美代子, 西川 昌芳, 鳥越 崇, 米田 久美子
    2012 年 7 巻 1 号 p. 175-184
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震によって著しい液状化被害を被った千葉県旭市において,各所の砂鉄掘削埋戻し地域の地盤変状を調査した。調査内容は,被災者へのヒアリング,スウェーデン式サウンディング,液状化層を構成する砂の物理的および力学的性質,ならびに地盤変状の測量である。調査によれば,これら地域の砂層は本震によって液状化に至った地点と,その約30分後の最大余震によって初めて噴砂に至った地点とがあったことが分かり,このことを数値解析的に再現した。また,砂鉄掘削埋戻し地域と非掘削地域との境界近傍における掘削埋戻し側の地盤変状は,隆起と陥没,および地すべりが顕著であった。これらのうち隆起と陥没は,液状化に伴う地盤変状として従来から良く知られた質量の差による隆起や陥没と原因が異なり,非液状化地盤に囲まれた液状化地盤の端部に特徴的な現象であった。
  • 毛利 栄征, 有吉 充, 河端 俊典
    2012 年 7 巻 1 号 p. 185-194
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    地中に埋設されている大口径パイプラインが,東北地方太平洋沖地震によって大きな被害を受けた。福島県隈戸川地区の農業用幹線パイプラインは水源地から末端の農地にいたる17.8kmの路線を口径1,500mm~2,600mmのパイプで構成している。主に強化プラスチック複合管(FRPM管)を使用している。トンネル内に設置されているパイプラインには重大な損傷はなく継手部の軽微な補修で復旧できる。また,丘陵地のパイプラインは斜面の崩壊によってパイプ全体が移動する被害が生じている。地下水位が高い箇所では埋戻し材料の液状化によって1mを超えるパイプの浮上と構造物の沈下が発生し,構造物周辺のパイプが0.3m以上も抜出して大規模な漏水と地盤の流失等の大きな被害が生じた。埋戻し材料に砕石を用いたパイプラインでは,パイプに大きな損傷や変状はなく耐震効果が発揮されていた。復旧時には,埋戻し材料を砕石に変更して耐震性を向上している。
  • 金 哲鎬, 藤井 衛, 品川 恭一, 伊集院 博, 高田 徹, 松下 克也, 小川 正宏
    2012 年 7 巻 1 号 p. 195-205
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により,戸建住宅における地盤の液状化に対する対策工法の必要性が社会的に高まりつつある。本論文では,これからの液状化対策のために,液状化の被害を受けた戸建住宅の宅地地盤に焦点を絞り,86地点のスウェーデン式サウンディング試験や三成分コーン(CPT)試験結果をもとに既存の液状化評価手法の検証を行った。また,160件の液状化被害を受けた事例をもとに,地盤補強を実施した戸建住宅の傾斜の状況や傾斜角と補修方法との関連性を整理した。以上の結果をもとに,液状化が生ずるような地盤における適切な地盤補強工法についてその設計の考え方を示した。
  • 豊田 浩史, 原 忠, 竹澤 請一郎, 高田 晋, 須佐見 朱加
    2012 年 7 巻 1 号 p. 207-218
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に太平洋三陸沖で発生した東北地方太平洋沖地震では,千葉県浦安市の埋立地で液状化が発生し,ライフライン等に甚大な被害をもたらした。埋立地盤の多くが大規模に液状化しているものの,地盤改良を施された箇所の被災は軽微で,噴砂の少ない箇所も存在している。このような液状化箇所と非液状化箇所が,貫入抵抗値に代表される地盤特性や地下水位などの情報からどの程度判別できるのか興味深いところである。そこで,浦安市の複数個所で,地震直後に簡単に実施できる,簡易動的貫入試験と表面波探査試験を行い,地盤の貫入抵抗値とせん断波速度分布より,液状化の発生原因や地盤改良効果についての評価を試みる。また,局所的な液状化・非液状化箇所の推定や応急対策の調査箇所を絞り込むための簡易調査手法の利用法を提示する。
  • 深川 良一, 台蔵 憲, 酒匂 一成, 高尾 秀之, 大北 耕三, 近藤 巧
    2012 年 7 巻 1 号 p. 219-229
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震によって崩壊した仙台城石垣の崩壊部と非崩壊部の断面状態を,空油圧制御による載荷方式の全自動新型スウェーデン式サウンディング試験機(NSWS)を用いて調査し,考察を加えた。NSWSは従来のスウェーデン式サウンディング試験機(SWS試験)に比べ,斜め方向貫入が可能で,また掘進能力を高めた試験機である。調査結果として,崩壊部および非崩壊部測線の石垣裏込め部および石垣前面における盛土と地山の境界線が特定された。また,崩壊部と非崩壊部との相違が明確になり,石垣裏込め土部分の硬さ,石垣前面の石垣対面側の地形に起因する盛土厚さが崩壊に影響していることがわかった。
特集号ノート(一般投稿)
  • 大嶺 聖, 藤川 拓朗, 杉本 知史, 前田 秀喜
    2012 年 7 巻 1 号 p. 231-241
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震では,震源域に近い東北地方の太平洋岸に来襲した高い津波により,多くの地域で被害が生じた。構造物の被害だけでなく,地盤沈降,廃棄物処理および農地の塩害など様々な地盤環境問題が発生している。本報告では,地盤工学会九州支部第2次東日本大震災調査団として,2011年6月30日~7月1日に岩手県陸前高田市を対象に調査を行った結果と今後の課題を示すとともに,塩害対策について新たな取組みとして,塩害に強い植物の栽培や好塩菌堆肥による農地の地盤環境改善の活動の例を示す。
  • 山口 晶, 吉田 望, 飛田 善雄
    2012 年 7 巻 1 号 p. 243-251
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    4月3日から5日にかけて,東日本太平洋沖地震における地震被害把握のために宮城県の中部に位置する鳴瀬川および吉田川の河川堤防の調査を行い,液状化した14地点の噴砂から試料を採取し,粒度試験を行った。ここでは,噴砂地点の記録と粒度試験の報告をする。噴砂地点は,旧河道などの自然地盤,ないしは河道を埋め立てた自然地盤が大部分である。また,平均粒径50と均等係数Uを試料採取地点と河口からの河川経路に沿った距離で整理したところ,相関性が見られた。
  • 原 忠, 岡村 未対, 渦岡 良介, 石原 行博, 上野 勝利
    2012 年 7 巻 1 号 p. 253-264
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では地震動および津波により多くの河川堤防が被災した。本報では,津波による河川堤防被害を軽減するための基礎資料を得ることを目的として,津波被害が顕著であった岩手県中南部の河川堤防の被害状況について報告する。具体的には,岩手県沿岸部の河川を対象として,津波による河川堤防の侵食や破堤の状況を河口部から津波遡上地点までの範囲で調査し,その位置や堤体形状,堤体土質,被災状況についてまとめた。また,道路橋や鉄道橋の取り付け盛土の被災状況も併せて調査した。その結果,表面工のある一般部の河川堤防では被害が小さいこと,橋台や水門などの構造物上流部の河川堤防では表面工があっても侵食される箇所があること,などがわかった。
  • 京川 裕之, 清田 隆, 近藤 康人, 小長井 一男
    2012 年 7 巻 1 号 p. 265-273
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震によって埋立地の大部分が液状化した千葉県浦安市において,著者らは地震発生直後から航空レーザ測量,粒度分析,SWS試験などを行い,液状化による地盤の変動を継続的にかつ定量的に把握してきた。これらの調査より,(1) 浦安市の埋立地では地盤沈下が広範囲に生じており,その沈下量の分布は家屋・ライフラインの被害と対応している。(2) 同時期の埋立地(未改良地区)で,被害程度が大きく異なる場所がある。(3) 広範囲に採取した噴砂の粒度およびSPT試料の粒度は,大量の噴砂と再液状化が確認されているニュージーランド・クライストチャーチのケースと非常に似通っている。(4) 液状化により地盤の貫入抵抗は大きく低下し,その後2ヶ月程度で強度は回復・安定するが依然として低い値を示している。本稿では以上の知見より,同地区の再液状化の可能性についても検討する。
  • 桑野 二郎, 古関 潤一
    2012 年 7 巻 1 号 p. 275-281
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9.0で,震源域も東日本の太平洋側をほぼ覆うという巨大地震であり,各種構造物が多大な被害を受けた。特にこの地震により発生した津波による被害は甚大で,多くの人命が奪われた。橋梁などに加え,海岸部の防潮堤にも洗掘などに起因すると思われる流失が発生し,被害の一層の拡大につながった。しかしながら,被災域の中には完全に浸水したにもかかわらず,殆ど損傷を受けていない補強土構造物が見られた。本報告では,そのような補強土構造物の例をいくつか紹介している。紹介した補強土壁は,コンクリート壁面を有する1例以外は,鋼製メッシュを壁面材とするものであったが,植生や吸出し防止シートの効果などで盛土材の流失はほとんど見られず,健全性を保っていた。しかし土が剥き出しになっている箇所がある場合,そこが弱点となり盛土材の流失が見られた。
論文(通常号)
  • 大竹 雄, 本城 勇介, 小池 健介
    2012 年 7 巻 1 号 p. 283-293
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    本論文は,実在する線状構造物(長大水路)の液状化危険度解析を通して,線状構造物の特性を考慮した信頼性解析の方法を提案し,その手順について詳述している。この研究で最も特徴的な提案は,Krigingを液状化危険度解析に応用し,調査地点と評価地点の位置関係を考慮して,地盤調査数や粗密に関わる不確実性を線状施設に沿って連続的に定量評価していることにある。ここで得られた結果に基づいて,簡易な問題設定に基づく試算を行い,線状構造物の対策の優先順位決定や追加地盤調査の実施地点の選定等,対応策立案の観点から考察を加え,本手法が施設管理のための有効な方法であることを示している。
  • 花岡 尚, 川口 将季, 土田 孝, 中川 翔太, 加納 誠二
    2012 年 7 巻 1 号 p. 295-309
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    2010年7月16日の15時から18時にかけて,広島県庄原市において3時間累積雨量173mmの集中豪雨(大戸雨量計)が発生した。この集中豪雨により,約4km×4kmの狭い範囲において200箇所以上の斜面崩壊が発生した。この災害では,平行斜面の中腹のみが崩壊している形態が多数確認された。本論は,この平行斜面中腹の崩壊について調査し,室内試験,模型実験,安定解析を行った。現地調査の結果,崩壊した平行斜面は斜面中腹から下部にかけて,風化流紋岩層の上に透水係数の低い黒ぼく層が堆積しており,その地表面の境界付近で崩壊していることがわかった。斜面模型の降雨実験の結果,その黒ぼく層が地下水の流下を妨げ,局所的に地下水位が上昇する構造になっていることがわかった。調査した崩壊斜面を対象とした安定解析の結果,地下水位が風化流紋岩層の地表面まで上昇していた場合に安全率が1.03となり,黒ぼく層との地表面の境界付近における地下水位の上昇による安全率の低下により崩壊をほぼ説明することができた。
  • 三上 武子, 一井 康二, 植村 一瑛, 仁科 晴貴
    2012 年 7 巻 1 号 p. 311-322
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    性能設計における耐震性照査では,液状化した地盤の変形量を解析等により精度良く予測することが求められる。このときには,解析対象地盤における液状化発生の有無だけではなく,地盤に発生するひずみを小ひずみの領域から大ひずみの領域までを適切に評価できることが不可欠となる。そこで,本研究では,相対密度や細粒分含有率の異なる試料による室内試験結果をもとに,繰返しせん断時のひずみの発生および増加傾向を表現できる実用的なひずみの発達モデルを提案する。提案モデルは,液状化の初期と後期の繰返し載荷回数とひずみの発達の関係を傾きの異なる直線で表現したバイリニア型のモデルであり,相対密度と細粒分含有率から各々の傾きが設定される。本提案モデルにより表現されるひずみの発達は,数値解析におけるパラメータ設定の精度評価に利用できる。
  • 木下 洋樹, 一井 康二, 森川 嘉之, 高橋 英紀, 篠崎 晴彦, 高橋 裕徳
    2012 年 7 巻 1 号 p. 323-337
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    ケーソン等の重力式構造物構築時の軟弱粘性土に対する代表的な対策工法であるサンドコンパクションパイル工法(SCP工法)は,その中詰め材料として一般的に良質な天然砂を用いる。本研究では,代替材として固結特性を有する鉄鋼スラグを用いた場合における地震時の改良地盤の変形挙動について検討した。実験的検討として,中空ねじりせん断試験機を用いて粘土と改良杭からなる複合地盤の繰返し載荷実験を行った結果,改良部にダイレイタンシー特性が顕著に現れることが分かった。また,遠心場での模型振動実験を行った結果,鉄鋼スラグと砂を用いた場合で変形挙動は同様であるが,改良エリアにおける残留変形量は鉄鋼スラグの方が小さい結果となった。さらに,模型振動実験の有効応力法による再現解析では,鉄鋼スラグ改良地盤のダイレイタンシー特性の評価が重要であることが分かった。
  • 松田 博, 石藏 良平, 和田 正寛, 來山 尚義, 白 元珍, 谷 信幸
    2012 年 7 巻 1 号 p. 339-349
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    高炉水砕スラグの港湾工事への利用事例はすでに数多く報告されており,その適用性についての検討が行われている。しかしながら,陸上工事への適用性についてはあまり検討されておらず,土工材料としての高炉水砕スラグの長期的な特性変化については明らかにされていない。本研究では,高炉水砕スラグを軽量盛土材として用いた試験盛土を築造し,自然環境下での現場で長期間にわたり計測を行い,高炉水砕スラグの物理・力学特性の変化について調べた。得られた主な結論は以下の通りである。1) 高炉水砕スラグは,施工初期から施工後8年経過した現在においても,自然土と比較して十分な軽量性を維持している。2)盛土体の強度は,内部摩擦角に変化は見られないものの,時間の経過とともに粘着力が増加し一定値に収束する。3)盛土体は長期的にみて,十分な透水性を有する。
  • 安部 太紀, 土田 孝, 熊谷 隆宏, 菊原 紀子
    2012 年 7 巻 1 号 p. 351-360
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    近年,浅瀬や干潟のような水深の浅い場所において,粘土を含む軟弱な底泥上を強い波浪が進行する際に,部分的な含水比減少・せん断強度増加箇所の発生,細粒分が減少するという物性変化が底泥において発生することが確認されている。これらの物性変化は波浪が作用する時に底泥表面に発生する亀裂が大きな要因であると考えられ,さらに亀裂の発生は底泥表面に作用する水圧勾配が周期的に変動することが原因であると考えられる。本論文では,底泥および波浪の条件が異なる波浪作用実験を数ケース行い,亀裂と物性変化の関連性について検討を行った。さらに,使用した粘土試料のレオロジー特性を調査し,底泥の安定性,つまりは亀裂の発生を評価できるとした円弧すべり安定解析法1)への適用を検討した。波浪作用実験の結果から,亀裂発生と物性変化に関係があることを確認した。また,レオロジー試験から求められる粘土の降伏値が底泥の動的強度であると考え,円弧すべり安定解析を行って得た安全率は,波浪作用下の底泥の安定性をよく表現することがわかった。
  • 今 広人, 吉田 映, 木村 亮
    2012 年 7 巻 1 号 p. 361-375
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    節杭を用いたプレボーリング工法は,現地の土砂をセメントミルクで混合撹拌して造成するソイルセメントと,その中に建て込んだ節杭(既製コンクリート杭)で構成される。本杭の地盤から決まる鉛直支持力については多くの載荷試験結果に基づく支持力推定式が提案されている。地盤から決まる鉛直支持力を発現させるためには,節杭とソイルセメントが一体となって挙動し,節杭およびソイルセメントに作用する荷重を地盤に確実に伝達しなければならない。そこで,本研究では根固め部に着目した節杭とソイルセメントの押抜き試験を行い,一体性を確保するために必要な性能(付着性能)の検討を実施した。その結果,側圧が作用する節杭は作用しないストレート杭に比べて押抜き荷重が4倍程度となり,節部がソイルセメントとの付着性能を増大させる効果があることが分かった。また,節杭の付着性能を節部支圧強度で評価すると,実杭で想定される側圧の範囲で,ソイルセメント一軸圧縮強さの2倍程度になることが分かった。
ノート(通常号)
  • 福島 伸二, 谷 茂, 北島 明
    2012 年 7 巻 1 号 p. 377-388
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    大原ダムは堤体が老朽化により断面不足や漏水により耐震性が不足していたため,耐震補強と漏水防止のための改修を行った事例である。大原ダムでは,ダムサイト付近で入手可能な築堤土による堤体改修法は,斜面勾配を既設堤体よりも緩くする必要から,大量の築堤土が必要となるだけでなく貯水容量の減少も著しく現実的な改修が不可能であったため,貯水池内に堆積した底泥土を築堤土に利用できる砕・転圧盛土工法が採用された。本稿では大原ダムにおける耐震補強と漏水防止のための砕・転圧盛土工法による堤体ゾーニングと,それを築造するための設計・施工法について述べる。大原ダムは貯水量の減少を防ぐために改修後の堤体を既設堤体内に入るようにゾーニングした。また,池内の底泥土に既設堤体などからの掘削土を加えた混合泥土を砕・転圧盛土工法に利用したことで,工事発生土の場外処分を無くすと同時に底泥土を約26,000m3除去し,結果として貯水量を約30,000m3増加させることができた。
feedback
Top