地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
8 巻 , 4 号
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論文
  • 畠 俊郎, 横山 珠美, 阿部 廣史
    2013 年 8 巻 4 号 p. 505-515
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    環境負荷の小さな新しい地盤改良技術として注目されている微生物固化の沿岸環境への適用を目的とし,尿素の加水分解速度と砂地盤の強度増加効果の関連性について検討した。陸域由来で固化効果が明らかとなっているBacillus pasteuriiを基準微生物とし,海水から単離され沿岸域での固化促進効果が期待されるSporosarcina aquimarinaを用いた比較検証試験を行った。試験は人工海水環境下で行うとともに,豊浦砂および天然プロセスで海砂の固化効果が報告されている場所で採取した2種類の砂を用いた。試験の結果から,1)菌体培養液と尿素溶液を用い,電気伝導度の変化により尿素の加水分解速度を定量的に評価できる, 2)海砂質量に対するカルサイトの析出率が同じであっても圧縮強さは微生物種により異なる,3)圧縮強さの増加効果と尿素の加水分解速度の間には正の相関が期待できる,ことがあきらかとなった。
  • 山添 誠隆, 田中 洋行, 林 宏親, 荻野 俊寛, 三田地 利之
    2013 年 8 巻 4 号 p. 517-532
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,プラスチックボードドレーン工法を適用した泥炭地盤の圧密沈下予測に用いる水平方向圧密係数について述べる。ドレーンで改良された泥炭地盤と無処理地盤上に構築された試験盛土に対して数値解析を実施した。その結果,鉛直ドレーンの打設の有無で見かけの圧密係数が大きく異なり,ドレーンで改良された地盤では,無処理と比較すると1/15程度圧密係数を小さくしないと実挙動を再現できないことがわかった。その理由について,無処理地盤では,泥炭地盤の不均一さ,すなわち局所的に存在する透水性が良い“水みち”によって見かけ上圧密係数が大きくなるのに対して,ドレーンピッチが小さい改良地盤ではこの影響が小さくなり,圧密試験の値に近づいたためと論じている。また,泥炭の水平方向の透水係数は鉛直方向よりも大きいとされているが,解析結果において鉛直方向に相当する圧密試験の透水係数よりも見かけの水平方向の値が小さくなった。その要因について,透水係数に及ぼすドレーン打設時の地盤の乱れの影響が高いと推定している。
  • 稲積 真哉, 大津 宏康, 奥野 直紀, 宍戸 賢一
    2013 年 8 巻 4 号 p. 533-542
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    我が国では現在,2011年3月11日の東日本大震災によって発生した膨大量の災害廃棄物に対する適切な処理マネジメントが求められている。現状では,具体的な処理はまだ十分に行われておらず,迅速な復旧・復興に向けて,廃棄物処理に対する指針を提示する必要がある。本研究では,東日本大震災で発生した津波堆積物および津波堆積土砂の処理に関する環境影響を定量化し,環境影響を定量化したものを環境影響度として定義した。さらに,時間スケールを組み込むことで,環境経済と時間軸から適切な処理フローを検討している。結果として,廃棄物の広域的な処理・再利用の推進は,環境影響ならびに時間の総合的な観点から重要であることを示した。
  • 谷本 俊輔, 河野 哲也, 七澤 利明, 中谷 昌一
    2013 年 8 巻 4 号 p. 543-566
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    深層混合処理工法をはじめとする固化工法は,軟弱粘性土地盤の沈下対策や構造物の施工のための補助工法などとして広く用いられている。最近では道路橋においても,固化工法を補助工法としてではなく,本設構造物の一部,すなわち構造物が反力を得るための抵抗材として使用し,本設構造物の設計の合理化を図ろうという技術提案がなされるようになってきている。実橋への適用を考えるのであれば,載荷実験を重ねて支持機構,破壊形態を明らかにし,破壊に対してどのように安全余裕を担保するかという検討から始めることが必要である。本研究では,載荷実験および数値解析に基づき,接円式固化改良地盤に支持される道路橋の杭基礎の水平抵抗特性を調べ,その支持機構,反力特性,破壊形態を明らかにした。道路橋基礎の要求性能に照らしつつ,得られた知見に基づき,道路橋杭基礎を固化改良地盤に支持させる場合の設計・施工のあり方について考察を行った。
  • 今 広人, 吉田 映, 細田 光美, 木村 亮
    2013 年 8 巻 4 号 p. 567-578
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    節杭を用いたプレボーリング杭工法は,現地の土砂をセメントミルクで混合撹拌して造成するソイルセメントと,その中に建て込んだ節杭(既製コンクリート杭)で構成される。本杭の杭先端の根固め部のソイルセメントは鉛直支持力に大きく影響する要因であり,要求されるソイルセメントの一軸圧縮強さは深層混合処理工法などの安定処理土(ソイルセメント)に比べてはるかに大きい。そこで,本研究では本杭の根固め部のソイルセメントを対象として室内配合試験を行い,その特性に関する基礎的研究を実施した。その結果,根固め部のソイルセメントの一軸圧縮強さは有効セメント水比との間で良い相関性があることが分かり,この関係により本杭の施工におけるセメントミルクの配合や注入量などを選定することができる。また,ソイルセメント中の礫分の混入割合や細粒分含有率が根固め部のソイルセメントの一軸圧縮強さに及ぼす影響を明らかにした。
  • 浅野 嘉文, 川尻 峻三, 布川 修, 太田 直之, 杉山 友康, 渡邉 諭
    2013 年 8 巻 4 号 p. 579-595
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,降雨時の斜面表層部の水の流れを考慮した表層崩壊に対する危険度評価のための解析モデルを3次元有限要素法等と比較して簡易な計算手法によって構築した。まず,現地での地下水位および飽和度の計測結果から,地下水位が上昇し始める際の飽和度は,その時までの総雨量の大小によらずほぼ一定となることを見出した。この計測結果から,地下水位の予測には飽和度を用いることが有用であると考えて,土の保水性等をパラメータとした2次元飽和・不飽和浸透流解析を実施した。この解析結果を用いて土の保水性別に降雨時の地下水位を再現できる簡便な飽和度 ~ 地下水位関係を定式化した。この飽和度 ~ 地下水位関係を用いた解析結果は,現地計測で得られた地下水位の経時変化と良く一致し,降雨における斜面内の水分挙動を表現できることがわかった。さらに飽和度上昇による粘着力の低下を考慮して崩壊斜面の事後解析を実施したところ,解析結果は対象とした斜面の崩壊時間や崩壊箇所が一致し,提案する解析モデルの有用性について確認した。
ノート
  • 伊藤 和也, 笹原 克夫, 芳賀 博文, 土佐 信一, 南雲 政博, 内村 太郎, 王 林, 矢野 真妃
    2013 年 8 巻 4 号 p. 597-610
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    治山・林道工事現場における切土掘削工事は,施工途上において斜面の安定性が低下する場合があり,掘削作業中やその後の斜面近傍作業中に突然斜面が崩壊し,労働災害となる事例が報告されている。しかし,斜面崩壊には必ず何らかの前兆現象があり,施工箇所に計測機器を設置して前兆現象を検知できれば労働災害を防止することが可能となると考えられる。本報では,実際の切土掘削工事現場にて幾つかの計測機器を設置し,計測機器の設置施工性,計測精度,長期安定性等の確認を行った。工事全体としては特段の問題もなく無事に終了したが,掘削作業中において切土掘削範囲近傍に設置した計測機器が変化を示し,また長期的にも降雨等によって斜面が微小変形する様子を確認することができた。
  • 小林 薫, 松元 和伸, 中房 悟, 森井 俊広
    2013 年 8 巻 4 号 p. 611-620
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    キャピラリーバリア(以下,CBと記す)の機能評価を行うための土槽実験では,上部の砂材が下部の礫層間に混入しないように砂礫層間に各種不織布を設置している。しかし,砂礫層間の不織布の敷設が,CBの機能に及ぼす影響は明確になっていない。また,CBに用いる一般的な砂礫材の粒径差では,不織布を層境界面に敷設せずに実験を行うことは極めて困難である。このことから,筆者らはCBを構成する礫材の代替材として破砕した貝殻を用いることで,CBの機能を発揮すると共に,地震力の作用や浸透水の影響等を受けても,砂材が下部の破砕した貝殻層に混入しないことを実験的に見出した。
    本論文では,CBを構成する砂層と破砕した貝殻層間の不織布敷設の有無が,CBの機能,特に限界長に及ぼす影響について,大型土槽を用いて実験的に検討した。その結果,本実験に用いた不織布については,層境界面に敷設してもCBの限界長等に影響を及ぼすことが無いことを明らかにした。
  • 藤田 雅也, 沢田 和秀, 八嶋 厚, 新井 新一, 須崎 竜太, 瀧澤 嘉男
    2013 年 8 巻 4 号 p. 621-636
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/31
    ジャーナル フリー
    発生源における落石対策工の一つである岩盤接着工について,施工管理・維持管理に関する課題を解決するため,施工効果の確認調査,耐震性能調査および施工済み岩塊の点検調査を実施した。施工効果の確認調査の結果,落石危険度振動調査が岩盤接着工による施工効果の確認方法として応用が可能であることがわかった。耐震性能調査の結果,岩盤接着工は,落石危険度振動調査の結果が安定領域内であれば,その施設が有している耐震性能は,概ね震度6強以下が一つの目安であることがわかった。ただし,この結論は2箇所のみの調査結果から得られたものであり,同様の調査データを蓄積し結論の信頼性を向上させることが望まれる。これらの知見を岩盤接着工の設計・施工管理に取り入れるとともに,定期的な維持点検を継続実施することにより,岩盤接着工の適切な維持管理が可能となり,施設の長寿命化につながるものと考えられる。
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