地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
8 巻 , 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
論文
  • 野々村 政一, 井浦 智実, 崔 瑛, 岸田 潔, 木村 亮
    2013 年 8 巻 2 号 p. 165-177
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
     近年,山岳トンネルにおける補助工法の技術開発の進展により,小土被り条件下における施工事例が急増している。これら補助工法のうち事前地山改良工は,土被り2~10 m程度の未固結地山における沈下抑制の有効な対策工として多くの採用実績がある。しかしながら,地山安定性の評価については十分に解明されておらず,主に経験的な判断に基づいた個別の対応がなされているのが現状である。本研究では,この事前地山改良工を実施したトンネルを対象に,掘削時の地山と改良体の挙動に関する現場計測,室内模型実験,数値解析により,事前地山改良工による地山安定性の評価に関する一考察を示す。
  • 手塚 広明, 山内 崇寛, 安井 利彰
    2013 年 8 巻 2 号 p. 179-195
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    深層混合処理工法の一種である高圧噴射攪拌工法は,開削工事での底盤改良,シールド発進・到達部の地盤改良,既設構造物の耐震補強,地盤の液状化対策等に広く適用されてきている。高圧噴射攪拌工法の種類は多岐にわたり噴射メカニズム等の違いにより様々な特徴を有しているなかで,コスト低減・工期短縮等の面から,改良径増大に対する要求は高い。また,従来工法では円柱状の改良体が主流であるが,目的によっては壁状・扇形・格子状などの形状を容易に施工できる改良技術の開発が必要とされている。以上の背景から,自由形状および大型径の改良体の造成が可能な新しい高圧噴射攪拌工法として,マルチジェット工法を開発した。本報では,その開発のために行なった改良径を増大する噴射メカニズムの検討とそれに基づく噴射機構の改善,及び原位置での性能確認試験法の開発,その適用例と本工法の有用性(自由形状・大型径改良等)の検証の結果を報告する。
  • 中房 悟, 小林 薫, 松元 和伸, 森井 俊広
    2013 年 8 巻 2 号 p. 197-207
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
     極低レベル放射性廃棄物の一つの可能性のある処分方式として,キャピラリーバリア機能をもつ底部集排水層を導入した盛土形式の処分施設について検討する。キャピラリーバリアの集排水機能は,構成する均等係数の小さな砂層と礫層のうち,特に砂層の不飽和水分特性に強く依存する。このため,盛土底部の集排水層に使用する場合,想定される盛土や廃棄物などの上載荷重による影響の有無を定量的に明らかにしておく必要がある。本論文では,加圧膜法を用いた垂直応力載荷型保水性試験により,砂材を実施工を想定した所定の乾燥密度(締固め度Dc=80~90 %)に締固めた後,実規模レベルの垂直応力を載荷させて水分特性曲線(空気侵入値等を含む)の変化を調べた。その結果,砂材の水分特性曲線などは,乾燥密度が締固め度Dcが80~90 %の範囲であれば,想定した垂直応力載荷の有無およびその大きさによって顕著な影響を受けることはなかった。これにより,キャピラリーバリアを用いた底部集排水層の性能は,盛土完了後の垂直応力状態でも変化しないことを明らかにし,実施工へ適用できることを示した。
  • 冨澤 幸一, 西本 聡, 三浦 清一
    2013 年 8 巻 2 号 p. 209-220
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    斜杭基礎は杭の軸芯に斜角を有することで最大耐力の向上が図られ, 直杭基礎に比べ, 杭本数の低減など建設コスト縮減が期待される。特に近年では, 回転杭などの多様な施工法の開発により斜杭基礎は合理的基礎形式として再活用される動向にある。ただし, 圧密沈下が想定される軟弱地盤では, 杭の曲げ応力増加や地震時挙動が技術的懸案である。そこで, 斜杭基礎の泥炭性軟弱地盤での適用性を検討するため遠心力模型実験を実施し, 静的および動的力学挙動を検証した。一連の実験の結果, 泥炭性軟弱地盤において, 斜杭基礎は直杭基礎に比べ, 水平抵抗が大きく向上することが確認された。また, 斜杭の曲げ応力は, 杭中心間隔に対する軟弱地盤の圧密沈下の影響が, 従来設計法の考え方に対して概ね半減することが明らかとなった。さらに, レベル1およびレベル2地震動に対し斜杭基礎は所要の耐震性能を確保することが検証された。
  • 吉川 直孝, 堀 智仁, 伊藤 和也, 三田地 利之
    2013 年 8 巻 2 号 p. 221-237
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    岩石の挙動を個別要素法(DEM)にて忠実に再現するためには,パラメータの決定方法が重要になる。ここでは,弾性波速度および一軸圧縮強度から,DEMの主なパラメータである球要素の剛性,パラレルボンドの剛性と強度を決定する一方法を提起する。実験に用いた供試体は,軟岩を模擬するため,薬液により固結された豊浦砂(固結粒状材料)である。ベンダーエレメント(BE)試験により,母材である豊浦砂および固結粒状材料のP波,S波速度を計測し,DEMで用いる球要素およびパラレルボンドの剛性を取得した。これらの値を用いた一軸圧縮試験シミュレーションは,実験時の応力ひずみ関係の割線変形係数をよく表現した。また,一軸圧縮試験時の破壊強度は,パラレルボンドの強度から表現でき,DEMの主なパラメータを実験的に求めることができることが分かった。
  • 竹内 秀克, 河村 精一, 野田 利弘, 浅岡 顕
    2013 年 8 巻 2 号 p. 239-249
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    「砂圧入式静的締固め工法」は,地盤中に流動化砂を圧入・押し広げることにより,周辺地盤に強制的に圧縮・せん断を与え,締固め効果を期待する工法である。工法の性格上,地盤に変位や応力を与えることに伴い,近接の既設構造物に少なからず影響を及ぼす。この影響の程度を予測/評価するためには,土要素の平均有効応力変化に伴う圧縮挙動だけでなく,せん断応力に伴うダイレイタンシー挙動もより精度よく評価する必要がある。本研究では,自然粘土~中間土~砂を一貫して説明することが可能な弾塑性構成式(SYSカムクレイモデル)を搭載する水~土連成有限変形解析を用い,3次元条件で砂圧入締固めの過程を再現して解析を実施した。この結果,砂圧入式静的締固め施工時の,周辺砂地盤の地表面および地中発生変位の距離に伴う減衰(距離減衰)や,近接構造物に与える地盤反力(側圧)分布は施工位置からの距離に応じて減少することがわかった。
  • 手塚 広明, 山内 崇寛, 川西 敦士
    2013 年 8 巻 2 号 p. 251-263
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    深層混合処理工法の一種である高圧噴射撹拌工法は,小型なボーリングマシンで大口径・高強度のセメント改良地盤を造成できることから,既設施設に対する地盤の液状化対策・耐震補強として適用される事例が急増している。一方で高圧噴射撹拌工法によるセメント改良地盤は,改良体造成のメカニズムから,改良体の非一様性が高く改良径が改良対象地盤の条件に大きく作用されるという一面がある。今後,需要が多くなる地盤の液状化対策・耐震補強としての用途では,改良径や強度等の品質管理が今まで以上に重要となることが予想される。この様な背景を踏まえ,高圧噴射撹拌工法によるセメント改良地盤に対して,従来の品質管理手法における諸課題の解決を目指した新しい品質管理手法を開発し,その妥当性の検討を行なった。
  • 吉田 望, 若松 加寿江
    2013 年 8 巻 2 号 p. 265-284
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    関東地方で収集された482の繰返しせん断試験の結果を基にして,実務でよく用いられる応力-ひずみ関係モデルのパラメータを設定した。モデルは双曲線モデルとその拡張モデルおよびRamberg-Osgoodモデルである。その結果,拡張モデルは応力-ひずみ関係として不都合があること,個々の繰返しせん断試験のフィッティングでは調整用パラメータの数が多いRamberg-Osgoodモデルの方が双曲線モデルより誤差が多いケースが多く,特に減衰特性のフッティングを視野に入れたケースは誤差が多いことがわかった。次に,初期有効拘束圧,塑性指数,細粒分含有率,および平均粒径を用いてモデルパラメータを最小自乗近似した。この際,砂質土,粘性土といった大分類から,地質年代と堆積環境を考慮した詳細な分類まで各種の分類法ごとにパラメータを求め,モデルを適用し誤差を求めたところ,粘性土では初期有効拘束圧と塑性指数を考慮するケースが,砂質土では初期有効拘束圧と平均粒径を考慮するケースがもっとも相関性が高く,詳細な分類の方が誤差は小さいことがわかった。これらを考慮して,前述の分類ごとに数式モデルのパラメータの決め方を提案した。
  • 佐野 博昭, 山田 幹雄, 出村 禧典
    2013 年 8 巻 2 号 p. 285-296
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,石川県河北郡津幡町地区内で発生した酸性土の切土法面崩壊の原因を探るために,切土崩壊法面に関する資料調査や現地調査および1本のボーリングコアに対して含水比試験,pH(H2O,KCl)試験,電気伝導率試験,強熱減量試験を行った。得られた結果より,1本のボーリングコアの中に物理・化学的特性,主として含水比,電気伝導率,強熱減量の異なる不連続面が存在することが明らかとなった。また,この物理・化学的不連続面を境として切土法面崩壊が発生した可能性が高いことが示された。さらに,電気伝導率から酸性土の堆積環境が推定され,結果として切土法面崩壊は,堆積時の海進・海退にともなって生成された不連続面で生じた可能性が高いことが示唆された。
  • 蓬莱 秀人, 神尾 昌宏, 亀井 健史
    2013 年 8 巻 2 号 p. 297-310
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    土壌汚染は,高度経済成長により我々が享受してきた豊かな生活の代償として今深刻な社会問題となっている。なかでも,油による土壌汚染が最も多く,その対策が求められている。これは,油が安価でハンドリング性がよく,エネルギー密度が高いなどの優位性から,燃料や洗浄剤として大量に消費し大量に廃棄されてきたことに起因している。筆者らは,油汚染土壌を加熱することにより油を気化蒸発させて土壌の浄化を行い,さらに,土壌から気化蒸発した油を酸化分解することにより排出ガスの無害化をはかる油汚染土壌浄化システムを開発した。本研究では,新たに開発した油汚染土壌浄化システムの概要とその浄化性能について検討している。
  • 西野 尚志, 川村 國夫, 田中 誠司, 橋本 隆司, 福本 寛人
    2013 年 8 巻 2 号 p. 311-328
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    近年,増加傾向にある集中豪雨や急激な融雪による大規模土砂災害に対して,中山間地域の防災対策が遅れている。この防災対策には,この地域に及ぶ危険斜面のハザードマップ作成が重要となる。ここでは,2008.7に石川県金沢市浅野川で発生した3時間250mm以上の豪雨災害を取上げ,現場調査に基づく地域の斜面崩壊ハザードマップ作成法を提案する。同時に,速やかなハザードマップ作成の必要性を示すため,ハザードマップのない現実下で発生した今回の危うい被災実態とハザードマップ作成から浮かび上がった防災課題の実状を述べ,今後の防災対策について提案する。
  • 守時 一
    2013 年 8 巻 2 号 p. 329-338
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    土質材料の塑性変形を解析的に追跡するには、その材料固有の基本特性である降伏規準と硬化特性が求められていなければならない。土質材料の変形では体積変化を伴うので、降伏規準に関しては偏差面降伏規準に加えて降伏時の圧力とせん断強さとの間の関係を表わす主降伏規準が必要である。偏差面規準では偏差応力の3次不変量が影響を及ぼすことから、主降伏規準で相当偏差応力に関して特別な配慮が求められる。これらのことを勘案してひずみ硬化の議論を進めた。硬化特性には、体積ひずみと相当偏差ひずみが影響している。しかし、それらのみでは統一的に特性を表現することは困難であることが分かった。そこで、これらに加えて、主降伏面における負荷勾配に係わる因子を導入した。これらの考察手順を具体的に示し、実現象に即した硬化特性の表現法を論じた。
  • 土倉 泰
    2013 年 8 巻 2 号 p. 369-377
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    本論文は,粒状要素法による石積みの安定性解析で用いる,不規則形状を有する自然石のモデル化法の適用性を示したものである。同解析の安定性評価を実用に供するためには,石モデルがすべり出す力の条件が定量的に妥当であることが求められる。そこで,採寸・モデル化した3つの自然石を積み上げた石板を傾ける実験をシミュレートした。石が大きく動き出すときの,石を積み上げた石板の傾斜角は,実験とシミュレーションとでよく一致したので,安定性評価のために役立つ自然石モデル化法を提案できた。
ノート
  • 土田 孝, 由利 厚樹, 加納 誠二, 中藪 恭介, 矢葺 健太郎, 花岡 尚, 川端 昇一
    2013 年 8 巻 2 号 p. 339-348
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    広島県内9箇所のまさ土斜面でにおいセンサを用いて地盤内のにおいの強さを調べた結果,最大1000のにおい強度を観測した。においの強さは地盤による相違が大きく,土の強熱減量が大きいほどにおい強度は大きかった。底部ににおい発生源を置き降雨を一次元的に浸透させる模型実験を行った結果,地下水面が上昇し表層部に近づいたときに地表面のにおい強度が急増することを確認した。実験結果は,深い層に強いにおいが存在する地盤において,豪雨時に地盤内のにおいを含む空気が地下水位の発生と上昇によって地表面に押し上げられにおいが発生する可能性を示している。
  • 小嶋 英治, 桑山 晋一
    2013 年 8 巻 2 号 p. 349-359
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    杭の動的支持力の研究は,200年以上前の動的貫入から杭の支持力を得ようとする研究が始まりで,その後多くの研究が行われているが,衝撃載荷試験の波形マッチング解析に用いる入力波および対象波に関する研究等が稀有である。そこで本ノートは,杭の衝撃載荷試験に杭頭および杭先端以外で反射の生じない杭・地盤モデルを想定し,打撃力の算定法を検討する。このモデルを実杭で再現して打撃力を求め,この打撃力の一次元波動伝播をイメージして,波形マッチング解析に用いる対象波および入力波がどのような波動であるべきかを考察する。また,衝撃載荷試験の波形マッチング解析には順応答解析と逆応答解析があり,前者は順解析で後者は逆解析である。逆解析となる解析法では非適切性の問題が生じるので順応答解析を用いるべきと提言する。
  • 北岡 貴文, 楠見 晴重, 中村 慎
    2013 年 8 巻 2 号 p. 361-368
    発行日: 2013/06/30
    公開日: 2013/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究は,都市における地下水有効利用の一つとして提案されている帯水層蓄熱システムについて着目した。本システムを導入する際に,地下水利用時の揚水によって起きる圧密の問題や,熱移動に関しての挙動を把握する必要がある。そこで,実際に本システムが大都市沿岸部に導入された場合を想定し,有限要素法による3次元浸透・圧密連成解析と,3次元地盤熱水分移動解析を行った。その結果,本システムは圧密沈下の影響はなく,想定した地上11階,地下4階の建物では,夏季15%,冬季30%の電力消費が削減されることが判明した。
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