地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
8 巻 , 3 号
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論文
  • 新城 俊也, 任 莉紗, 小宮 康明, 上野 正実, 川満 芳信
    2013 年 8 巻 3 号 p. 379-390
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    下水汚泥は安定して供給されるバイオマス資源である。試作した下水汚泥炭について一次元圧縮試験及び三軸圧縮試験を行い,地盤工学的見地から力学特性を調べた。下水汚泥炭は粒子内に間隙を形成し,乾燥密度も小さく,軽量土として利用できる。下水汚泥炭の圧縮曲線から決定した降伏応力は200~300kN/m2であり,その応力以下では粒子破砕はわずかである。また,有効応力の原理が適用でき,下水汚泥炭は砂の場合と同様なせん断挙動を示す。圧密排水せん断試験による破壊線は圧密非排水せん断試験による結果と一致する。更に,砂を母材とする混合土においては,下水汚泥炭の増加に伴って内部摩擦角は減少するが,シルトを母材とする混合土では逆に増加する。混合土では下水汚泥炭の増加に伴って乾燥密度は減少し,母材の軽量化が期待できる。
  • 高井 敦史, 保高 徹生, 遠藤 和人, 勝見 武, 東日本大震災対応調査研究委員会 地盤環境研究委員会
    2013 年 8 巻 3 号 p. 391-402
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震では,地震動のみならず津波による甚大な被害が発生した。具体的には津波の波力による建築物の倒壊や堤防の損壊,土砂の運搬および堆積,膨大な災害廃棄物・津波堆積物の発生等が挙げられる。公益社団法人地盤工学会東日本大震災対応調査研究委員会地盤環境研究委員会(以下,地盤工学会地盤環境研究委員会)では,津波堆積物の堆積状況を広く把握することを目的とし,2011年12月20~22日に福島県沿岸部の東西約7 km×南北約12 km の津波浸水範囲において,計158 地点を踏査し堆積状況を調査した。本研究では,この調査結果を基に津波堆積物の分布特性を明らかにするとともに,津波堆積物を地盤材料として利活用するために不可欠な科学的知見の集積を目的に,当該地から試料を採取し,のべ約1400検体を用いた室内試験により,津波堆積物の物理化学特性を評価した。
  • 新舎 博, 熊谷 隆宏, 渡部 要一
    2013 年 8 巻 3 号 p. 403-414
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    浚渫粘土の圧密を促進するための方法として,透水係数の高い繊維片を混合した場合の圧密特性の改善効果を調べた。混合した繊維片は園芸用に市販されているピートモス(繊維の平均長:0.45mm)である。浚渫粘土に対して繊維片を乾燥質量比で20~40%混合した試料を作製し,段階載荷圧密試験,土槽圧密実験を実施した。土槽圧密実験の結果によると,粘土層の底面に負圧を作用させたケース(層厚1m)では,30%混入時において,繊維片混合粘土の圧密係数cvが原料粘土の6~13倍になるなど,著しい圧密特性の改善効果が得られた。本実験結果を用いて,現場施工を想定した鉛直ドレーンによる圧密改良仕様を試算した結果,繊維片の混合により,ドレーン間隔を大幅に拡げることが可能であるなどの実用性が認められた。
  • 林 宏親, 西本 聡, 橋本 聖, 梶取 真一
    2013 年 8 巻 3 号 p. 415-424
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    盛土載荷を併用した真空圧密工法によって改良された泥炭性軟弱地盤の長期沈下特性を検討するために,北海道札幌市近郊の道路建設工事において,真空ポンプの運転期間が異なる試験施工を複数実施した。その結果,残留沈下を抑制するためには,盛土載荷に伴って発生した過剰間隙水圧が消散するまで,真空ポンプの運転を継続するのが適切と判断された。また,盛土完成後に真空ポンプ運転期間を充分にとった後に真空ポンプを停止することによって,負圧除荷による過圧密効果が期待でき,それによって二次圧密を低減できることがわかった。今回の試験施工では,負圧除荷により1.2~1.3程度の過圧密比が得られており,泥炭層ならびに有機質粘土層において二次圧密係数が約50~70%低減した。
  • 宇高 薫, 土田 孝, 今井 遥平, 湯 怡新
    2013 年 8 巻 3 号 p. 425-439
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    再構成した海成粘土に少量のセメントを添加して圧密し,構造を有する自然粘土の圧縮特性を再現する方法を調べた。5種類の海成粘土を用いて一軸圧縮強度の発現に必要な最小セメント添加率c0(%)を求め,c0よりも少ない添加率のセメントを添加混合して一次元的に圧密した粘土試料を作製して圧密試験を行った。この結果,セメントを(c0-2.0)%から(c0-3.0)%添加して再圧密した試料の圧縮特性は,セメンテーションによる構造を有する自然粘土の圧縮特性によく類似していることが分かった。
  • 高橋 英紀, 大橋 照美, 遠藤 敏雄, 藤井 照久, 金子 智之, 水野 匠
    2013 年 8 巻 3 号 p. 451-461
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    既存施設直下の液状化対策として静的圧入締固め工法(CPG工法)が多く利用されており,東京国際空港の既存滑走路や誘導路にも適用されているが,今後の適用に関しては,その施工コストの低減が求められている。本研究では,東京国際空港における最低改良率(適用を可能とする改良率の下限値)の低減を目的として,空港敷地内の誘導路において低改良率にて試験施工を実施し,N値およびK値の変化を観察した。その結果,低改良率であってもN値およびK値は増加していた。また,それらの増分を評価した数値解析手法を提案し,現場での液状化強度を再現した動的数値解析を実施した。解析の結果,対象とした地盤で耐震性能を満足できることが解析的に確認された。このことから,液状化の度合いが小さい地盤に対しては,最低改良率を低減することも可能であることが分かった。
  • 國生 剛治
    2013 年 8 巻 3 号 p. 463-475
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    液状化の判定には応力的判定法(FL法)が標準的方法として使われている。液状化発生をより直接的に支配する物理量として損失エネルギーに着目したエネルギー的液状化判定法も提案されてきたが実用には至っていない。継続時間の長い海溝型地震や継続時間は短いが振幅の大きな地殻内直下型地震など多種類の地震動に対し統一的に液状化判定を行うためには,エネルギーに基づいた方法が優れている。ここでは密度・細粒分含有率の異なる三軸液状化試験のデータをエネルギー的観点から分析し,供試体中の損失エネルギーが繰返し応力の波数や振幅に関わらず間隙水圧上昇や発生ひずみと一意的な関係があることを示し,それに基づいたエネルギー的液状化判定の具体的方法を提案した。さらにエネルギー法をモデル地盤に適用し,同一地震動を入力させた応力法と比較することにより,その特徴と可能性を明らかにした。
  • 小林 睦, 三浦 均也, 小浪 岳治
    2013 年 8 巻 3 号 p. 477-488
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    土構造物の設計において,降雨に対する影響は,浸透した雨水は適切に排除することで対応しており,裏込め地盤内に浸入してくる地下水に対しても同様に取り扱っている。ところが,昨今の気候変動に起因した降雨量の増加や,供用年数の経過に伴う土構造物の材料の風化や細粒分の流出等により,排水機能が十分に発揮できなくなってきている可能性がある。本研究では,降雨時のアンカー式補強土壁の壁裏排水性の有効性を検証しながら,崩壊メカニズムを調べていく。その結果,タイバー設置層の引抜き安全性照査よりも,引抜き力と引抜き抵抗力の総和で計算する補強土壁全体の安全率が,崩壊現象を捉えることが分かった。また,排水層の設置と機能維持によって,飽和領域の拡大に伴う壁面材に作用する土圧の増加を防ぐことができ,補強土の変形を抑制することに繋がることが分かった。さらに,盛土上部から飽和領域が拡大する豪雨時においては,排水処理と共に壁面材同士の接続が重要であることが分かった。
  • 鏡原 聖史, 澁谷 啓, 鳥居 宣之, 金 秉洙, 川尻 峻三
    2013 年 8 巻 3 号 p. 489-504
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/09/30
    ジャーナル フリー
    2009年8月,台風9号による豪雨によって兵庫県北西部において,洪水災害および山腹斜面崩壊・土石流・がけ崩れなどの土砂災害が多数箇所で発生した。この台風による土砂災害の内,過去の風倒木被害地で発生した山腹斜面崩壊が多数を占めていた。そこで,本論文では,この台風で発生した山腹斜面崩壊の地形的特徴を整理した。さらに山腹斜面崩壊地周辺での調査,室内試験(不撹乱試料を用いた低圧一面せん断試験など)ならびに無限平衡斜面における安定解析を行った。その結果,過去に発生した風倒木被害地で70%近くの山腹斜面崩壊が発生していたこと,等が明らかとなった。また,表層が飽和することで土の粘着力が大きく低下し,安定解析で不安定となる厚さと崩壊深さが一致する。このことから,過去の風倒木被害地での山腹斜面崩壊は,降雨浸透による地盤強度の低下が主たる原因で発生すると考えられた。
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