地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
9 巻 , 2 号
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論文
  • 亀井 健史, 中村 真貴
    2014 年 9 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    常時微動は,地盤の振動特性や地震防災対策を構築するときによく利用されている。本研究では,地盤の常時微動特性に及ぼす地盤条件の影響を定量的な観点から検討するため,N値,土層の種類さらに工学的基盤までの深さが明らかになっている宮崎市内のボーリングデータから48地点を選定し,常時微動計測を行った。そして,48地点の常時微動の水平成分と上下成分のフーリエ振幅スペクトル比(H/Vスペクトル比)の卓越周期と工学的基盤(N値≧50)までの層厚(基盤深度)との関係を検討した。また,基盤深度を表す推定断面図の作成を行なうことで,常時微動H/Vスペクトル比の卓越周期と工学的基盤までの層厚との関係の有効性を検証した。 この結果,常時微動計測結果から得られたH/Vスペクトル比の卓越周期と基盤深度の関係が,ボーリング調査の第一次近似として有効であることを示した。
  • 新舎 博, 海野 寿康, 菊池 喜昭, 森川 嘉之
    2014 年 9 巻 2 号 p. 103-117
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    ケーソン式混成堤の波圧に対する抵抗力を増加させるためには,ケーソン背面に裏込めを施すことが有効である。裏込めを有するケーソン式混成堤の安定性を検討するためには,波圧作用時において,ケーソン,マウンドおよび裏込めの抵抗力を総合的に考慮する必要がある。著者ら1)は,本件に関して,既に1/10模型実験の結果を報告している。本文では,新たに実施した遠心模型実験の結果を述べ,安定性の検討においては,弾塑性FEM解析,直線すべり計算および円弧すべり計算を実施した。実測と計算結果を比較すると,両すべり計算方法の実務への適用性が高いことが明らかとなった。
  • 河野 哲也, 谷本 俊輔, 安藤 滋芳, 堺 淳一, 星隈 順一
    2014 年 9 巻 2 号 p. 119-139
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    基礎を含めた橋全体の動的解析法を提案するにあたっては,解析に用いる地盤物性値の評価,さらに地盤物性値のばらつきが解析結果に与える影響の評価が重要である。そこで,本研究では,道路橋基礎の中でも最も実績の多い杭基礎を対象とし,土質試験等の地盤調査によって得られる物性値のばらつきを評価し,そのばらつきの範囲で物性値を変化させて動的解析を実施して地盤物性値のばらつきが解析結果に与える影響を確認した。そして,地盤物性値の中でも地盤のせん断強度τf のばらつきが橋の挙動を大きく左右することを確認するとともに,その要因について分析した。
  • 岩田 直樹, 荒木 義則, 笹原 克夫
    2014 年 9 巻 2 号 p. 141-151
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    一般的に斜面崩壊は,降雨浸透に伴う斜面内の地下水位の上昇に起因する有効応力の減少により発生すると考えられているが,地下水位上昇前の不飽和状態でもせん断変形が進行することが知られている。降雨に伴う崩壊時期を予測するためには崩壊の前兆現象を捉えることが重要であり,このためには不飽和地盤のせん断変形挙動のメカニズム解明が必要である。本研究では,約2年半に亘って自然斜面で観測された土壌水分,土中のせん断変形および地表面変位のデータをもとに,複数の降雨イベントについてせん断変形と土壌水分の関係を検討した。この結果,不飽和状態の斜面のせん断変形は,降雨前の水分状態による影響が大きく,サクションや体積含水率の変化,すなわち土壌水分変動がせん断変形に影響を及ぼすことが分かった。
  • 川尻 峻三, 布川 修, 伊藤 賀章, 西田 幹嗣, 松丸 貴樹, 川口 貴之, 太田 直之, 杉山 友康
    2014 年 9 巻 2 号 p. 153-168
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    地震後における盛土の降雨耐力低減メカニズムを把握するため,振動台で加振した模型盛土を用いた散水実験および三軸試験装置を用いた単調載荷時の任意の軸ひずみの時点での変水位透水試験を実施した。本模型実験条件の範囲では,加振終了後ののり肩部の鉛直変位が大きい場合には,加振が無い場合の60%程度の累積降雨でのり面に変状が発生した。また,加振によってクラックが発生した実験ケースでは,間隙水圧増分が局所的に大きくなることを確認した。一方,変水位透水試験では,載荷履歴の有無や載荷時のひずみの大きさが透水係数に与える影響は小さいことがわかった。以上の模型盛土実験および変水位透水試験の結果から,加振による変状の程度によっては,加振履歴が無い場合と比較してクラックが主たる要因となって透水性が高くなり,散水中の水位上昇速度が速くなると考えられる。
  • 石川 敬祐, 安田 進, 青柳 貴是
    2014 年 9 巻 2 号 p. 169-183
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,繰返しねじりせん断試験を用いて,K-NET浦安で観測された地震波形の波形形状が液状化強度に与える影響に関して検討した。その結果,観測された地震動特性による補正係数は,道路橋示方書において示されるレベル2タイプI地震動時の補正係数より小さい値を示した。また,この補正係数は供試体の密度や細粒分含有量によって異なる結果となった。本地震のような海溝型の長時間継続地震動に対する液状化強度を評価する際には,地震動特性による補正係数を適切に評価する必要があると考えられた。
  • -精度向上のための手法の提案-
    宇高 竹和, 大島 快仁, 渡邉 泰介, 仲摩 貴史
    2014 年 9 巻 2 号 p. 185-202
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    地盤の地震応答解析を行う際に,複素応答法は理論的に解りやすく,入力データの作成が容易であると共に,解析をする人の経験の依存性が少なく,設計面での利点が多いとされている。一方,重ね合わせの原理を使用している関係上,非線形問題に対しては厳密ではないが,等価線形法を用いることで対処してきた。しかしながら,近年,非常に大きな地震動が観測・解析されるようになった結果,等価線形法の非線形問題への適用範囲や,大きな歪による減衰定数の高振動数領域への影響等が問題視されてきている。本研究では時刻歴非線形解析と等価線形法を用いた複素応答解析を比較し,等価線形解析を時刻歴非線形解析の精度に近づけるためのいくつかの提案を行った。これらの工夫や改良を等価線形解析に取り入れることにより結果として大きな歪領域における精度の向上が達成できたと思われる。
  • 大竹 雄, 本城 勇介, 平松 佑一, 吉田 郁政, 佐古 俊介, 中山 修, 長野 拓朗
    2014 年 9 巻 2 号 p. 203-217
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    著者らは,地盤調査地点と危険度評価地点の位置関係にかかわる不確実性を考慮した線状構造物の液状化危険度解析方法を提案している。この方法は,詳細な検討を行うべき代表断面の抽出や追加地盤調査地点の選定のための有用な資料を提供することを目的としたものであり,線状に広がる構造物に沿って,連続的に危険度が計算されるとともに,地盤調査の過不足さが定量化される。本研究は,2011年東北地方太平洋沖地震に際して液状化被害が生じた河川堤防に対して,本手法を適用し,被災箇所と計算される危険度や地盤調査の過不足さとの関係から,本手法の有効性を検証するものである。
  • 神谷 浩二, 眞鍋 洋, 山崎 勲
    2014 年 9 巻 2 号 p. 219-231
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    本論文は,地下水の主要な溶存イオンデータの主成分分析とその主成分得点の非階層型クラスター分析によるグループ分類に基づいて,広域地下水の流動系を判別する方法を究明したものである。濃尾平野の長良川扇状地域を事例にして検討した結果,対象地域では地下水質の特徴は第1と第2主成分に縮約され,両者の主成分得点の関係は帯水層での鉱物溶解などの水質変化を表す4つのグループに分類された。そして,その水質グループに対応させたときの水質調査地点の分布から主に4つの流動系を抽出できることが判明して,これは,従来の地下水位の分布から求められるものと遜色ないことが認められた。一方で,河川水と地下水の水質の類似性を調べることによって,河川を主要な涵養源とする流動系が明らかにされた。
  • −5つの造成地における全域踏査−
    森 友宏, 風間 基樹, 佐藤 真吾
    2014 年 9 巻 2 号 p. 233-253
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    2011年東日本大震災により,仙台市では多くの造成宅地被害が生じた。本論文では,2011年4月~7月にかけて実施した仙台市内の緩やかな地表面勾配を持つ5つの大規模造成団地(約5.7 km2,9,700戸)における地震被害調査結果を用いて,家屋被害,地盤の開口亀裂,不同沈下,水道管被害,ブロック塀の被害等について分析を行い,造成宅地の領域毎(盛土部,切盛境界部,切土部)の被害率,および,造成年代による被害率の変化等の検討を行った。その結果,谷埋め盛土部や切盛境界部では切土部に比べて被害が多く生じること,家屋の全半壊被害の大半が地盤の開口亀裂や不同沈下などの地盤の変状によって引き起こされていること,造成年代が古いほど被害率が大きくなることが定量的に示された。
  • 澤 孝平, 中山 義久
    2014 年 9 巻 2 号 p. 255-274
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    各種の試験結果や校正値などの測定値の精度・ばらつきを表す誤差・偏差・標準偏差に代って,国際的な統一用語である「不確かさ」で表示することが多くの分野で行われている。地盤工学分野ではまだなじみの少ない概念であるが,試験結果の品質を保証する大切な事柄である。とくに,試験専門機関だけでなく,研究や技術開発を担当する大学・高専・研究所をはじめ,各種構造物の発注者である官公庁,それらの設計・施工に携わるコンサルタントや建設会社においても,試験結果の不確かさへの認識が深まることにより,技術者の育成,高度な技術開発,安全な構造物の築造に貢献するものと期待される。本研究は粒度試験結果の精度を「不確かさ」で評価する方法を研究し,試験結果の精度(不確かさ)に影響する要因について明らかにする。さらに,粒径加積曲線のばらつきを表示する方法について提案し,粒径加積曲線から読みとる50%径・有効径・均等係数・細粒分含有量・粘土分含有量などの粒度指標の不確かさを容易に評価できることを明らかにする。最後に,試験結果の不確かさ評価の利用についての課題を述べる。
  • 田中 洋行, 林 宏親
    2014 年 9 巻 2 号 p. 275-286
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    北海道に広く分布する泥炭地盤に対して,ひずみ速度に着目したアイソタック則の適用性について議論する。北海道の天塩川と夕張川のサイトから採取された試料に対して,標準的な「土の段階載荷による圧密試験」を行った。この試験結果を用いて,アイソタック則に必要なパラメータを求め,さらに泥炭のひずみ速度依存性を通常の粘性土と比較した。また,盛土および埋立における沈下データから,実地盤におけるひずみ速度依存性を求め,泥炭と粘性土における依存性の比較,および室内試験で得られた依存性と比較した。その結果,泥炭地盤もアイソタック則が適用できる可能性がかなり高いこと,および泥炭は粘性土と比べて,ひずみ速度依存性が大きいことがわかった。
ノート
  • 寺本 俊太郎, 尾方 武文, 木村 亮
    2014 年 9 巻 2 号 p. 287-298
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    近年,集中豪雨や台風による土砂災害が増えており,防災という観点において補強土壁の定量的かつ長期的な維持管理の重要性はますます増加している.擁壁の設計においても,平成24年度の擁壁工指針は安定照査型設計から性能照査型設計に移行している.そのため,簡易な変位・変形照査方法の確立が望まれる.そこで筆者らは多点同時計測に有利であり,低コストで簡便に計測が可能であるという特徴を持ったデジタル写真測量による変位計測に着目し,補強土壁の長期的な維持管理を目指した.2年間の補強土壁に対する計測の結果,壁面の変位量は壁面の出来型の変形量や管理基準値と比較して微小である事,集中豪雨の影響や施工方法の違いの影響は小さい事がわかった.また,撮影姿勢,撮影枚数,天候といった計測手法における各要因が精度に与える影響について検討した.以上より,デジタル写真測量による補強土壁の長期的観測が充分に可能であり,維持管理手法としての有用性を示した.
  • 髙 元浩, 藤井 衛, 持田 泰秀, 武智 耕太郎, 足立 由紀夫
    2014 年 9 巻 2 号 p. 299-308
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    戸建住宅で一般的に用いられている地盤調査法の一つに,スウェーデン式サウンディング試験がある.この調査法の長所は,宅地地盤の支持力の評価を可能とし,かつ比較的容易に地層の境界を捉えることができるところにある.一方,短所としては,地下水位や詳細な土質判別が難しい点が挙げられる.このように,スウェーデン式サウンディング試験結果のみから得られる情報だけでは, 宅地地盤の評価は不充分な場合がある.もし,スウェーデン式サウンディング試験孔を利用して,電気検層法から土の判別を行うことができれば,詳細な地盤情報を得ることができる.その基礎的研究として,筆者らは室内実験で56種類の試料土を用いて電気比抵抗を利用して土の細粒分含有率の評価法を明らかにすることを試みた.また,測定孔の大きさが電極径に与える影響を明らかにした.さらに,原位置試験として,塩化カリウム溶液を自然地盤の孔中に満たし,電気比抵抗による推定式の妥当性を検証した.
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