地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
9 巻 , 3 号
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論文
  • 荒牧 憲隆, 山本 健太郎, 平 瑞樹, 林 泰弘, 根上 武仁
    2014 年 9 巻 3 号 p. 309-322
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    宮崎県と鹿児島県の県境,霧島山中央部に位置する新燃岳において,2011年1月19日から始まった52年ぶりの噴火は,新燃岳火口から南東方向に大量の火山灰を降らせた。発生した火山灰の量は,4,000万~8,000万tと推定されており,宮崎県南部周辺の広範囲で降灰が確認されている。この突発的な火山災害により,斜面等に降り積もった火山灰堆積地盤での降雨や火山性地震による安定問題や処分された火山灰のリサイクル方法が重要な課題となってくる。本研究は,上記のことを鑑み,新燃岳より噴出した火山灰を用いて,新燃岳火山灰質土の物理・力学性質を実験的に検討し明らかにすることを目的としている。その結果として,噴火直後の火山灰質土の物理・力学特性は,砂質土と概ね類似した傾向を示し,リサイクル材として有用な材料であることが示された。しかし,火山灰質土特有の性質も包含しており,凍結融解の繰返しにより火山灰質土が細粒化していくことが認められ,物理的な風化の影響により材料特性が経時的に変化していくことが予想される結果となった。
  • 瀬良 良子, 小池 豊, 桑野 玲子, 桑野 二郎
    2014 年 9 巻 3 号 p. 323-339
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    2011年3月の東日本大震災では,関東地方から東北地方にわたり大規模な地盤災害が発生したが,特に広域な液状化被害が,関東地方の東京湾岸部埋立地や利根川下流の軟弱地盤分布地で発生した。液状化被害の多くは地盤変状など目に見えるものであったが,あまり知られていない被害として道路下に発生した空洞があり,東京湾岸部の液状化地域で186kmの道路に平常時の7倍以上になる709箇所もの空洞が確認された。液状化による空洞は,噴砂に伴う空洞化と破損した下水管等への土砂流出現象等が複合的に関わって発生すると考えられるが,詳細な過程については不明な部分が多い。本研究は,液状化空洞の発生について自治体へのヒアリング,空洞調査結果の詳細な分析および現地検証を行うとともに,土槽実験を用いた液状化再現による空洞発生および拡大メカニズムの検討を行い,「液状化空洞は広がりが大きく薄い形状で,特に噴砂箇所周辺で空洞下部に緩みを有し,埋設管の位置により地盤の乱れが異なる。いずれも空洞補修の際には緩み部まで対処が必要。」という結論を得た。また,検討結果と震災後緊急対応として多数の空洞を補修した自治体の実態を踏まえ,大規模な地震発生で再発が懸念されている再液状化への対応について考察し,今後の路面陥没未然防止対策に資する道路保全技術について,現在の知見を取りまとめた。
  • 古賀 博久, 堀田 洋平, 大津 宏康, 前田 良刀, 高橋 健二, 矢部 満
    2014 年 9 巻 3 号 p. 341-358
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,局地的・短時間・高降雨強度の集中豪雨に起因する洪水被害および土砂災害が多発している状況を踏まえ,短時間集中豪雨と熱帯性豪雨(スコール)の降雨特性の類似性に着目し,タイで地盤特性の異なる2サイトの斜面における斜面表層部での水収支について,原位置計測結果,および一段タンクモデルを用いた逆解析結果に基づき考察を加えた。この結果として,降雨量は,降雨開始直後は,表面流出量および浸透量に加えて,地表付近に保持される水量,すなわち表層貯留量の3成分に分離されることを明らかにするとともに,その分離の割合は,透水性および間隙率等の地質の違いのみならず,降雨強度に依存して変動することを明らかにした。
  • 荒牧 憲隆, 清松 潤一, 岡林 巧, 藤井 治雄
    2014 年 9 巻 3 号 p. 359-373
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    我が国には,火山灰質粗粒土が広く分布し,特殊土として取り扱われ利用されることが多い。これらの土粒子には,粒子内空隙を有することが知られており,現在の地盤材料の試験方法では対応が困難となることも見受けられる。そのため,物理的諸性質の測定値には,ばらつきが多くなることが予想される。本研究では,粒子内空隙を有する種々の火山灰質粗粒土を対象に,土粒子の密度試験ならびに粒度試験を行い,測定値のばらつきに及ぼす試料の準備や実験方法での影響因子について検討することを目的としている。その結果,火山灰質粗粒土の物理的性質の評価においては,人的,機械的なばらつきに加え,材料そのものの特性により,著しく影響を受けることが認められた。このような材料での計測,品質評価においては,試料の均質性や準備状況に充分配慮を行う必要があることが示唆された。
  • 冨田 雄一, 紙田 直充, 内田 純二, 岡本 辰也, 岡村 未対
    2014 年 9 巻 3 号 p. 375-386
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,既存構造物直下に適用でき,かつ長い線状構造物に適用し得る可能性のある安価な液状化対策工法として,近年開発された空気注入不飽和化工法の道路盛土への適用性を検討することを目的とし,動的遠心模型実験を行った。対象は緩い飽和砂地盤上の盛土とし,基礎地盤に空気注入を行わない無対策のケース,および空気注入により盛土直下の液状化層を不飽和化したケースの実験を行った。加速度振幅約295galの加振により,無対策の地盤では地盤が液状化し,天端は盛土高さの約2割の沈下を生じた。一方,盛土直下を不飽和化した地盤では顕著な間隙水圧抑制効果が確認され,地盤の変形量及び天端の沈下量は低減され,特に盛土直下地盤を全面的に不飽和化した模型では沈下量が無対策模型の約1/50と顕著な沈下抑制効果を確認した。続いて液状化による液状化流動解析ALIDを用い実験を対象とした解析を行い,同解析法の適用性について検討した。解析では,不飽和化による液状化強度の増加をOkamura and Soga (2006)の提案式により算定し,また実験を比較的幅の狭い剛な土槽で行ったことによる液状化のしにくさを考慮したところ,解析結果は実験で見られた不飽和化による天端の沈下量低減効果,および地盤の変形抑制効果をある程度,捉えたものとなった。盛土直下地盤では不飽和化工法による液状化対策工法は有効であることがわかった。
  • 亀海 泰子, 西垣 誠
    2014 年 9 巻 3 号 p. 387-395
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    途上国での飲料水としての地下水資源開発において,水質は大きな課題となっている。無味無臭無色の汚染物質を検出するためには化学分析に頼るしかないが,水質調査における化学分析の信頼性確保が困難であるケースが多い。本論文では,水質調査の実情を示すとともに,途上国での経験に基づいて精度管理の課題を考察した。その解決方法の一つとして,適切に管理された条件下で使用すれば,フィールド・キットのような簡易分析が強力なツールとなる可能性を持っていることを示した。
  • 西岡 孝尚, 澁谷 啓
    2014 年 9 巻 3 号 p. 397-415
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    特殊土に位置づけられる火山灰質粗粒土のうちスコリアは,これまで十分な報告がなく,その工学的性質に関して十分議論されていないため,地盤材料としての適否の判断が難しい。そこで本論文では,富士山の東部山麓地域に広く分布する「スコリア」と称される火山砕屑物を用いて,盛土や構造物の裏込め材など道路土工への利用を目的として,その土質性状の把握と工学的性質を原位置および室内試験により詳細に検討した。一連の調査・試験の結果から,当該地域に分布する「スコリア」は,透水性,圧縮性,せん断強度のいずれの側面からも砂礫材料と同等あるいはそれ以上の水理・力学特性を示すことが分かった。例えば,スコリアを所定の締固め度で盛土施工すれば,十分な安定性が得られるばかりでなく,飽和化による沈下等の変状は発生しないことが分かった。一方,単位体積質量が1.0Mg/m3前後と小さいこと,粒子の破砕性が顕著なため,施工時の粒子破砕による粒度分布の変化により結果的に所定の締固め度を満足せず,盛土の性能低下が生じる可能性がある。
  • 小川 正宏, 藤井 衛, 金 哲鎬
    2014 年 9 巻 3 号 p. 417-426
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    最近の戸建住宅の需要増加に伴い,切土および盛土造成された宅地に建築される住宅が増えている。擁壁を有する宅地においては,背面土の埋戻しが不十分であることが多く,小口径鋼管杭工法または柱状改良工法を施工する場合が多い。しかし,既存擁壁の近傍で施工する際に擁壁の変位や割れ,クラック等の変状を発生させるケースが後を絶たないのが実状である。変状発生のメカニズムの詳細が未だ不明であり,対策が困難なことが現状である。そこで,実物大の擁壁を用いた柱状改良体の施工実験を行い,擁壁に作用する土圧,擁壁の変位等を計測し,擁壁の変状発生のメカニズムを解明することを試みた。さらに,実大施工実験で得られたデータを基に,擁壁前面天端からの離間距離による影響について2次元弾性FEM解析(平面ひずみ)モデルを用いて検討した結果について報告する。
  • 山添 誠隆, 田中 洋行, 西村 聡, 林 宏親
    2014 年 9 巻 3 号 p. 427-442
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    泥炭性軟弱地盤における周辺地盤に生じる変位の予測精度向上を目的に,初期の応力点の周囲に発達した高剛性を考慮し,微小ひずみレベルでのせん断弾性係数を基本として,微小ひずみから中ひずみ域にかけてせん断変形に依存してせん断剛性を低下させる修正カムクレイモデルを提案した。微小ひずみレベルでのせん断弾性係数は,各種のサウンディング試験の結果から求めている。また,新たに必要となるせん断弾性係数を低減するパラメータは,単調載荷せん断試験の結果を要素シミュレーションによって設定するが,実務上の利便性を考え妥当と考えられる値を本論文では提示している。この提案モデルを泥炭性軟弱地盤上に構築された試験盛土に適用した結果,周辺地盤の水平変位のみならず鉛直変位の予測精度が大きく向上することが明らかとなった。
  • 堀 俊和, 毛利 栄征, 大北 耕三, 近藤 巧, 向江 悠策
    2014 年 9 巻 3 号 p. 443-455
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    地震や豪雨時に農業用ため池が決壊する懸念があることから,全国の膨大な数のため池堤体の安定性診断が必要となっている。筆者らは,サウンディング試験孔を用いて簡易に堤体土の強度定数を測定するための原位置試験法(孔内回転せん断試験)を開発した。せん断刃が付いた特殊なバルーンを小孔内で膨張させ,孔壁に拘束圧をかけた状態で回転することにより,粘着力c,せん断抵抗角øを同時に算定することができる。大型模型地盤やため池堤体において孔内回転せん断試験を行い,三軸圧縮試験の強度定数と比較した結果,礫分の多い地盤ではばらつきがあるものの,不飽和地盤で両者はほぼ一致する結果が得られ,すべり安全率を算定する上で三軸圧縮試験とほぼ同等の精度があることが分かった。一方,飽和地盤では,粗粒材料では排水強度,細粒土では非排水強度と近い結果となり,せん断中の間隙水圧評価が必要であることが分かった。
  • 稲積 真哉, 川端 秀雄, 重松 祐司, 宍戸 賢一
    2014 年 9 巻 3 号 p. 457-466
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/30
    ジャーナル フリー
    遮水性コーティングとは,吸水ポリマー系の止水材によって,固体系廃棄物を粒子単位で事前コーティングする技術である。遮水性コーティングが実施された処理土は,固体系廃棄物の粒子表面が難透水性の止水材で均一にコーティングされているため,粒子表面に付着し得る重金属等の溶出が困難となる。同時に,遮水性コーティング処理土は間隙水を吸収して膨潤した遮水コーティング材が当該間隙空間を埋めるため,その遮水性能の向上が期待できる。本研究では,遮水性コーティング処理土が地盤改良や遮水処理等で有効に活用されることを目的として,室内試験を通じて固体系廃棄物を利用した遮水性コーティング処理土の重金属溶出特性,アルカリ溶出特性,透水特性,および膨潤特性と隆起の関係を評価・検証している。
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