地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
9 巻, 4 号
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論文
  • 海野 円, 小峯 秀雄, 村上 哲, 瀬戸井 健一
    2014 年 9 巻 4 号 p. 469-478
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    本論文は,低炭素社会および循環型社会の形成を目的として,鉄鋼スラグのCO2固定化特性を調査し,CO2固定化メカニズムの推察および固定化量の評価を行うものである。CO2固定化特性を調査するために,2種類の初期CO2濃度および4種類の鉄鋼スラグを用いた一定流量通気型CO2固定化試験を実施した。その結果,初期CO2濃度が4500 μL-CO2/Lの気体を0.05 L/minで供試体に通気した場合において,未エージング製鋼スラグは0.04 g-CO2/g-slagのCO2を固定し,CO2固定化量が最大となった。CO2固定化量は,製鋼スラグの持つ水溶性カルシウムの約20%に値しており,メカニズムの観点から,カルシウムの溶出量を用いてCO2固定化量を評価できる可能性を示した。
  • 富樫 陽太, 菊本 統, 谷 和夫
    2014 年 9 巻 4 号 p. 479-493
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    岩盤は不連続面の幾何的な配置に起因して異方的な変形特性をもつ。このような異方性をもつ岩盤では,主応力軸と主ひずみ軸が必ずしも一致しないため,三軸試験などの軸対称性を前提とする要素試験において,応力やひずみが非共軸で軸対称性を満足しない“非三軸”な応答を呈する。そこで,簡易な異方性の構成則の一つである面内等方弾性体に対して,応力と変形を与えた三軸試験の要素の解析を実施し,応力-ひずみ関係に及ぼす異方性の影響を検討した。剛性の等方な面の傾斜を変化させた解析の結果,主応力軸を固定して軸圧縮したケースでは,剛性の等方な面の傾斜に伴い,主ひずみ増分方向が載荷軸と一致せずに傾斜する。また,主ひずみ軸を固定して軸圧縮したケースでは,主応力増分方向が傾斜し,応力とひずみが非三軸状態になることを示した。
  • 北出 圭介, 一井 康二, 河野 真弓, 栗原 大, 田口 依久夫
    2014 年 9 巻 4 号 p. 495-510
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,健全度診断を目的とした,港湾構造物への表面波探査によるせん断波速度計測の適用性を検討した。まず,港湾構造物で想定される地盤内含水比の変化と細かい粒子の抜け出しといった地盤の状態変化により,せん断波速度に変化が生じることを実験的に確認した。そして,矢板式岸壁を対象に,2次元FEMによる表面波探査の模擬解析を行い,エプロン部の舗装や矢板などの構造部材の影響を検討した。さらに実際に表面波探査を実施し,既存のサウンディング試験結果との比較検討を行った。この結果,舗装の影響によりせん断波速度を過大に評価する危険性はあるものの,サウンディング試験結果と表面波探査の結果は概ね整合していることを確認した。また,干満による地盤内のせん断波速度の変化を表面波探査により把握できることを確認し,健全度診断手法として,表面波探査の適用性が高いことを示した。
  • 藤澤 和謙, 村上 章
    2014 年 9 巻 4 号 p. 511-520
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,これまで明らかになっていない浸透破壊後の土と浸透水の挙動について,それらの移動速度を予測するための理論を展開する。支配方程式は,鉛直上向きの浸透による浸透破壊時の土と浸透水の運動方程式であり,それらは水と土粒子の非圧縮性及び流れの一様性を仮定すると,浸透水と土粒子の速度に関する連立常微分方程式となる。その方程式に対する厳密解及び数値解を求め,浸透破壊後の浸透水と土粒子の速度を予測するとともに,既往の実験事実をもとに土粒子の速度の近似式について考察する。支配方程式を解析した結果は,浸透破壊は限界動水勾配よりも僅かに大きな動水勾配によって急激に進行することを示し,その特徴は,1) 土粒子と浸透水は,浸透破壊中に重力加速度と圧力勾配の増加率に比例して加速すること,2) 土粒子と浸透水の速度は,限界動水勾配時の浸透流速よりも僅かに大きな速度差を保ったまま増加を続けること,を明らかにした。
  • 藤澤 和謙, 辻村 康佑, 村上 章
    2014 年 9 巻 4 号 p. 521-532
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    浸透破壊に至るまでの砂(の塊)は固体として扱うことができるが,浸透破壊後は有効応力を失うことで流体のようにふるまう。本論文では,固体から流体へと変化する浸透破壊前後の砂の挙動を連続的にシミュレートするための数値解析手法を提案する。流動化した砂の挙動を解析するため,砂と浸透水の両方についてオイラー表記された連続式と運動方程式を支配方程式とする。双曲型の偏微分方程式となる支配方程式を,安定的かつ高精度に解くためCWENO(Central Weighted Essentially Non-Oscillated method)スキームを採用する。ここでは,1次元及び2次元のダルシー流の計算精度を確かめた後,上向き浸透流による砂のボイリングについての数値計算に取り組む。提案手法は浸透破壊前後の浸透流及び砂の挙動を連続的に計算することを可能にし,計算された浸透破壊後のそれらの速度は理論解と良好に一致することが示される。
  • 谷 和夫, 松下 克也, 橋本 隆雄, 山本 彰, 竹内 秀克, 野田 利弘, 規矩 大義, 大林 淳, 清田 隆
    2014 年 9 巻 4 号 p. 533-553
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震により発生した地盤の液状化により、数多くの戸建て住宅が被害を受けた。本研究では、戸建て住宅を対象とした経済的な液状化対策として、浅層盤状改良工法の適用の可能性について検討した。既往の研究と同地震による戸建て住宅の液状化被害を調査し、液状化に対する戸建て住宅に要求される性能として、その傾斜角を、中地震では10/1,000(めり込み沈下量10cmに相当)以下、大地震では16.7/1,000(めり込み沈下量15cmに相当)以下とすることが適切であることを示した。また、被害調査と遠心模型実験を通じて、浅層盤状改良工法による液状化対策の効果を明らかにした。そして、一連の数値解析により、表層地盤の固化工法による地盤改良層厚を3m以上とすることで、液状化に対する戸建て住宅の要求性能を満足することを示した。さらに、浅層盤状改良工法の種類と改良深度、改良面積をパラメータとした経済性評価を行い、同工法の設計に有益な情報を提供した。
  • 椋木 俊文, 藤見 俊夫, 松本 英敏
    2014 年 9 巻 4 号 p. 555-567
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    近年,X線CTスキャナの高度化に伴い,地盤材料内部の間隙構造の可視化とその定量化が可能になりつつある.X線CT画像を用いて地盤材料の物性を定量評価する場合,土粒子と間隙の領域分割するための画像データの閾値の決定が重要である.本研究の目的は,地盤材料を対象としたX線CTデータ(CT値)の領域分割値(閾値)を客観的に決定する手法を提案することにある.本研究では頻度解析手法としてEMアルゴリズムに準ニュートン法の一つであるグリッドサーチを導入した頻度解析によってCT値ヒストグラムの領域分割を実施し,これらの解析手法の有効性を示すとともにミクセル量の推定とその空間分布を評価した.
  • 新舎 博, 海野 寿康, 仙頭 紀明
    2014 年 9 巻 4 号 p. 569-589
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    砂を締め固めるためには,砂の構造を破壊すると同時に,真空吸水することが有効である。砂の骨格構造の破壊方法としては,繰返し応力,振動および機械攪拌をそれぞれ独立で作用させた。実験に用いた砂は,硅砂5号(初期の相対密度Dr=51%)と30%の細粒分を含む4種類の硅砂の混合砂(初期の相対密度Dr=60%)である。応力制御の繰返し三軸試験,振動棒による振動(7~17G,180Hz)と-60kN/m2の真空吸水を与えた土槽実験,および回転棒による機械攪拌と-60kN/m2の真空吸水を与えた土槽実験の結果によると,硅砂5号はDr=73~94%,混合砂はDr=83~107%にまで,締め固めることが可能であることが明らかとなった。
  • 小林 薫, 松元 和伸, 中房 悟, 森井 俊広, 西村 友良
    2014 年 9 巻 4 号 p. 591-602
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    キャピラリーバリア(以下,CBと記す)は,廃棄物最終処分場の閉鎖時や鉱さいたい積場等の覆土として,浸出水を抑制するための降雨浸透制御技術の1つとして利用されている。しかし,CBの施工事例は少なく,現状では設計・施工法について十分に明らかにされているとは言えない。特に,CBの限界長に及ぼす砂層の乾燥密度ρd(締固め度Dc)の影響については,実施工時の乾燥密度のバラツキも想定されることから,事前にその影響度を定量的に把握しておくことが重要である。本論文では,CBを構成する砂層の乾燥密度が飽和透水係数ksおよび水分特性曲線(空気侵入値haと水侵入値hw)に及ぼす影響について室内試験結果を基に明らかにした。加えて,砂層の乾燥密度をパラメータにしたCBの大型土槽実験を行い,乾燥密度がCBの限界長に及ぼす影響について明らかにした。
  • −種々の地震動・地盤条件での検討−
    三森 祐貴, 國生 剛治
    2014 年 9 巻 4 号 p. 603-618
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    液状化の判定には応力的判定法(FL法)が標準的方法として使われている。液状化発生を直接的に支配する物理量として損失エネルギーに着目したエネルギー的判定法も提案されてきたが実用には至っていない。ここでは前論文で提案されたエネルギーによる簡易液状化判定法をモデル地盤に適用し,異なる地震波に対して液状化判定を行い,FL法と対比した。その結果,両者の判定結果には大まかな整合性が認められるが均質地盤では液状化しやすい深度に違いが現れること,エネルギー法ではFL法での応力低減係数に依らずとも地震動の継続時間・周期成分などの影響が自動的に反映されることが示された。また,実際に液状化した東北地方太平洋沖地震での浦安市の地盤や十勝沖地震での端野町の地盤を対象に2つの方法で液状化判定を行い,実挙動との対比によりエネルギー法の特徴と可能性を明らかにし,既に実用的に使えることを示した。
  • 玉野 富雄, 金岡 正信, 西形 達明, 西田 一彦
    2014 年 9 巻 4 号 p. 619-632
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,近世城郭石垣や石橋に代表される石造構造物の力学安定性を評価するための工学指標として,外力一定条件下での単位石温度変化に対するひずみ変化の関係である「温度−ひずみ係数」について示した。計測事例として,2か所の近世城郭石垣および1か所のアーチ型式石橋を取り上げた。2か所の近世城郭石垣においては,石垣の変形状態を数値化した「石垣はらみ出し指数」と「温度−ひずみ係数」の関連性について考察した。あわせて,これらの計測事例が,今後の近世城郭石垣の力学安定を評価する際の参考とできることを示した。
  • 古谷 嘉康, 萩原 裕樹, 太田 雅之, 新井 新一, 日下 寛彦
    2014 年 9 巻 4 号 p. 633-643
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    本論文は,N値が低い洪積砂質土層の液状化判定方法について検討したものである。液状化判定に関して,道路橋示方書・同解説 V耐震設計編1)では,「洪積層においては一般的にN値が高く続性作用により液状化抵抗が高いことから,液状化の判定対象ではない」とし,道路土工・軟弱地盤対策工指針2)ではN値を用いる液状化判定法が,沖積層に適用できるとされている。しかし,茨城県猿島郡境町に計画されている首都圏中央連絡自動車道の土工区間の盛土基礎部に,N値がほとんど4以下と低い洪積砂質土層が確認された。この砂質土層を液状化の対象層とした液状化判定結果とプログラム・コードALIDを用いた残留変形解析結果について報告する。液状化判定は,N値を用いて繰返し三軸強度比RLを推定する方法と,繰返し非排水三軸試験による液状化強度比RL20を用いる方法で行った。これらの方法による液状化抵抗率FL値を用いた残留変形解析を実施した。この結果から,N値を用いた液状化判定は過少であり,繰返し非排水三軸試験による液状化判定が有効な方法との結果が得られた。
  • 原 忠, Hemanta Hazarika, 黒田 修一, 栗林 健太郎, 西 剛整, 古市 秀雄, 竹澤 請一郎, 大角 恒雄
    2014 年 9 巻 4 号 p. 645-658
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では,強い揺れやその後の津波で海岸平野部の海岸保全施設の多くが損傷したが,河川堤防や盛土は地形や構造の違いにより被災形態が異なっていた。本研究では,局部破堤した岩手県大船渡市吉浜堤防を対象に複数の現地調査と室内土質試験,数値解析を行い,液状化と津波の複合災害を受けた河川堤防の被災要因を分析した。地盤調査および室内土質試験結果から,換算N値の小さい堤体土は液状化が生じる可能性が大きいことが明らかになった。さらに,強い揺れや余震,津波外力が加わる場合の堤体の安定性を数値解析により再現した結果,液状化や液状化後の過剰間隙水圧の消散,越流を伴う津波外力が堤防機能の喪失,破堤に大きく影響することが分かった。
  • 津國 正一, 並河 努
    2014 年 9 巻 4 号 p. 659-670
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    高圧ガス導管(φ600mm)が埋設されている地域に高さ約2.5mの盛土(プレロード部分は20ヶ月で撤去)が計画された。高圧ガス導管の下部には軟弱粘性土層が分布し,計画範囲に鉛直方向の変形拘束地点があるため,高圧ガス導管が一様に沈下できないことから余分な応力が発生する。重要幹線という点を考慮して発生応力の低減対策を考案した。深層混合処理工法による改良杭と浅層改良工法で施工した門型改良の中に高圧ガス導管が入る構造で,盛土荷重を改良構造で負担するため圧密沈下量を抑制できる。無対策区間の圧密沈下量とすりつけるため,3次元FEM解析で縦断方向の改良深度を設計した。盛土施工後20ヶ月間の動態観測により,動態観測の結果と設計段階において3次元FEM解析で予測した結果はよく対応しており,部分的な地盤改良工法の沈下予測に対する3次元FEM解析の有効性と,考案した対策構造の効果を検証できた。
  • 笹原 克夫, 酒井 直樹
    2014 年 9 巻 4 号 p. 671-685
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    砂質模型斜面に人工降雨を与え,斜面の変形・破壊までの地下水位と地表面変位の関係をモニタリングした結果,地表面変位は地下水位の発生とともに顕著に進行し,地下水位増加に伴う地表面変位増加量が徐々に大きくなり,崩壊時には地表面変位が無限大になることがわかった。両者の関係を,緩詰めの砂質土のせん断変形における応力とせん断ひずみの関係と同様な双曲線形で表すこととし,崩壊発生前の任意の時刻までの計測データから,(1) 「地下水位~地表面変位」の回帰式,(2)「時間~地下水位」の回帰式を作成し,それらを組み合わせて(3) 「時間~地表面変位」予測式を作成する方法を提示した.そしてこの方法に基づく崩壊発生時刻の予測を行った。すると崩壊発生のかなり前の時点の計測データを用いた予測でもかなりの精度で実現象を予測することができた。
  • 森 啓年, 福原 直樹, 服部 敦, 桑野 玲子, 曽我 健一, 齋藤 由紀子, 佐々木 哲也
    2014 年 9 巻 4 号 p. 687-696
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,河川堤防が決壊に至る進行的に発生するすべりに着目し,その発生に関係する要因の解析的検討を試みた。具体的には,変形の進行形態が再現できる粒子法の一種であるSPH法を用いて,進行性のすべりが観測された大型模型実験を対象に再現解析を実施した。再現解析では,飽和領域の間隙水圧と不飽和領域のマトリックサクションを取扱い可能な土水連成方法を提案し,変形強度特性の影響を考慮できるモールクーロンモデルを採用した。本検討より,1) 堤体内浸潤線の位置が低い場合は,不飽和領域のマトリックサクションが卓越した変形の進行形態,堤体内浸潤線の位置が高い場合は飽和領域のすべり面が卓越した変形の進行形態が再現された。2) 泥濘化による法尻強度低下,締固め不足による塑性変形時の過剰間隙水圧の発生が,河川堤防の進行性破壊につながる可能性があることが解析的検討により示唆された。
  • 中村 謙吾, 保高 徹生, 藤川 拓朗, 竹尾 美幸, 佐藤 研一, 渡邊 保貴, 井野場 誠治, 田本 修一, 肴倉 宏史
    2014 年 9 巻 4 号 p. 697-706
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,汚染土壌からの重金属等の溶出挙動の評価手法の1つである上向流カラム試験の標準化を目的として,ISO/CEN規格に基づく上向流カラム試験を3機関・9条件で実施し,上向流カラム試験の精度確認および試験時間短縮のための知見収集を行った。ほぼ同一条件下において3機関で実施した上向流カラム試験の結果,フッ素,砒素等の重金属等やカルシウム,マグネシウム,ナトリウム,カリウム等の測定濃度が高く,分配係数が低いイオンは,最大濃度,積算溶出量,ブレイクスルーカーブの形状とも一定の再現性を確認できた。また,試料状態(湿潤・風乾)の違いは結果に大きな影響を及ぼさず,カラム試料充填量が1/2の条件では,ブレイクスルーカーブの形状,最大濃度,積算溶出量とも一定の精度が確保できることが確認された。
  • 後藤 茂, 東畑 郁生
    2014 年 9 巻 4 号 p. 707-719
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    年代効果による液状化強度の上昇が土の微視的骨格構造の安定性向上の反映であるという観点に立ち,排水条件下の繰返しせん断履歴および高温環境下の圧密等による砂質土の液状化強度の上昇を検討するとともに年代効果の付与として評価した。その結果,上昇させられる液状化強度の範囲や再現性および異方性等が明らかになった。さらに両者による効果は繰返しせん断履歴で数千年分,高温圧密で実圧密時間の1000倍程度の年代効果に対応する可能性があることが明らかになった。
  • 國生 剛治, 山本 祐美加, 小栁 智行, 斎藤 雄二郎, 山田 拓馬
    2014 年 9 巻 4 号 p. 721-737
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    筆者らはこれまでに模型斜面の振動台実験において,崩壊土塊の流動距離だけでなく崩壊開始の閾値が振動加速度よりはむしろ振動エネルギーと一意的関係にあることを示してきた。ここでは斜面の崩壊開始エネルギー閾値の物理的意味とその一意性の根拠を明らかにするために,砂層斜面上に載る滑り土塊を模擬した剛体ブロックの振動台実験と静的引張実験を行うと共に,振動台実験のNewmark法によるシミュレーションを行った。その結果,崩壊開始エネルギー閾値は剛体ブロックの荷重~変位関係がピークを示す時点までの仕事にほぼ対応し,ブロック下の砂層の変形性が閾値に関わることを明らかにした。さらにこの知見に基づいて非剛体的斜面崩壊の閾値についての簡易評価式を導出し,それを崩壊目撃情報のある二つの崩壊斜面と対比した。その結果,近傍の地震記録から計算される斜面崩壊開始時の斜面下流方向パルスエネルギーにより,簡易評価式によるエネルギー閾値の妥当性がほぼ説明できることが分かった。
ノート
  • -ボーリング深度の事前予測から工学的基盤の妥当性評価まで-
    山田 雅行, 伊藤 佳洋, 森田 真弘, 竹澤 請一郎, 茂木 道夫, 松原 克彦
    2014 年 9 巻 4 号 p. 739-746
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    既往の調査データが少ない地域においてボーリング工事を行う場合に,簡単に観測可能な常時微動を用いたボーリング工事の施工管理方法の提案を行い,その適用例から有効性を明らかにした。常時微動のH/Vスペクトル比および表面波位相速度を用いて,工学的基盤深度(削孔深度)を事前推定し,ボーリング工事の施工計画の立案が可能となった。削孔中において,ボーリングデータから事前推定を見直すことによって施工管理が可能となった。削孔完了に際して,工学的基盤層の妥当性の判断を行うことが可能となった。
  • 秦 吉弥, 一井 康二, 野津 厚, 酒井 久和
    2014 年 9 巻 4 号 p. 747-759
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    盛土構造物の性能照査や被災再現などのために入力地震動を設定するにあたっては,地震動のどの周波数帯域が盛土の被害に大きな影響を及ぼすかを検討しておくことは,非常に重要である。そこで,本研究では,2次元逐次非線形FEMによる地震応答解析を,釧路空港の高盛土の横断面を対象に実施し,盛土斜面における残留変形量と入力地震動の周波数成分との関係について基礎的な検討を行った。その結果,やや短周期帯域(0.5-2Hz付近)の地震動が盛土の残留変形に対して大きく影響すること,ただし,残留変形に影響する周波数帯域は盛土の固有周波数とも無関係でないことなどを明らかにした。
  • 津國 正一, 内田 明彦, 本多 剛, 小西 一生
    2014 年 9 巻 4 号 p. 761-771
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    東京湾岸の埋立地と利根川流域では,東北地方太平洋沖地震の液状化によって個人住宅に大きな被害が発生した。これら地域では宅地と道路を一体とした液状化対策事業が計画され,浦安市では格子状地盤改良工法が対策工法として採用される見通しである。浦安市の「液状化対策実現可能性検討委員会」で検討されたモデル地盤条件を用いて,マグニチュード9.0,地表面加速度200gal相当の地震に対する格子状地盤改良工法の液状化抑制効果について検討した。従来の設計法では過剰間隙水圧比・FL値を設計指標として格子内地盤での液状化防止を目的として設計を行っていた。本研究では住宅沈下量に着目した性能設計に必要な知見を得るため,震災時に浦安市で発生した噴砂を用いた遠心模型振動実験を行なった。そして,格子間隔が狭くなると住宅沈下量が小さくなり,住宅直下部の非液状化層厚さが大きいと住宅沈下量が小さくなることを明らかにした。
討議
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