地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
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最新号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
特集号
  • 藤澤 和謙
    2026 年21 巻2 号 p. 95-97
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    第64回地盤工学シンポジウムの投稿論文から選定された論文を収録した地盤工学ジャーナル特集号「地盤工学とデータサイエンス」の刊行にあたり,地盤工学分野におけるデータサイエンス関連研究の動向を概観するとともに,当該シンポジウムの開催概要および特集号の編集経緯を巻頭言として取りまとめたものである。

  • 平井 卓海
    2026 年21 巻2 号 p. 99-108
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    建設サイトでの地盤調査は工期とコストから限定的であり,原位置試験や力学試験結果などのデータ数はさらに乏しく,限られたデータセットから地盤のモデル化が行われている。そこで本研究では,既存のデータベースから地盤データを確保し,さらに未観測パラメータの推定にそれぞれ取り組んだ。はじめに,地盤データの確保には,既存の地盤データベースを利用し,距離計算手法を用いて建設サイトと類似したデータセットを抽出した。次に,未観測パラメータの推定には,線形ベイズ回帰を用いて推定値と95%予測区間を算定した。建設サイトと類似したデータを利用して線形ベイズ回帰を構築することで,正解値と同等の推定結果が得られた。また,95%予測区間は推定値の信頼性を示すとともに,予測区間の範囲が大きい場合には,データセットや回帰モデルの見直しの必要性を示す指標になり得ることが示唆された。

  • 小田 直貴, 竹内 秀克, 山下 祐司, 大竹 雄
    2026 年21 巻2 号 p. 109-117
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    締固め工法による液状化対策では,改良効果の確認が施工終了後に限られるため,施工中に効果を把握できないという課題がある。本研究は,施工時に観測される情報を用いてリアルタイムに地盤改良効果を推定する方法を提案する。具体的には,静的締固め砂杭工法を対象に,打設順序を考慮した締固め効果の空間分布特性を考慮した推定方法を提案した。そして,実際の施工で得られたデータに適用し,交差検証法によってその性能を検証した。結果,本手法により地盤特性の概略を推定でき,その有効性,実用性を確認した。

  • —地質に関する地域特性の影響—
    溝口 浩平, 河原 宏紀, 兼清 泰明, 北岡 貴文
    2026 年21 巻2 号 p. 119-126
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    京都府山城地区に位置する城陽市・八幡市にある24個の水源揚水井を対象として,その不規則な時間劣化を記述する確率モデルを用いることにより,揚水井健全度の確率分布を理論的に推定する。まず,健全度の実データの挙動から,城陽市と八幡市にエリアを分割し,健全度の平均的劣化が両エリアともに指数関数的であることを確認し,著者らの先行研究と同様に健全度の対数劣化率がGauss型白色雑音で乱されるとした不規則劣化を記述する確率モデルを構成する。最後に,両エリアそれぞれの健全度の実データのばらつきの時間変動が,提案モデルから導かれる健全度の確率分布によりうまく再現できることを示す。さらに,城陽市エリアと比較して八幡市エリアの揚水井の方が平均的劣化が速く進行していることを明らかとし,その地質特性との関係について考察を与える。

  • 笠間 清伸, Hu Lihang, 竹内 秀克, 原田 健二, 日髙 亮, 澤田 尚樹
    2026 年21 巻2 号 p. 127-138
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    本稿ではサンドコンパクションパイル工法(以降,SCP工法)で改良された地盤を対象に,地盤強度に空間的不均一性を有する状態を再現した地震応答解析を実施することで確率統計的な観点から液状化特性および地震時沈下特性を考察した.得られた結論として 1) 地盤強度の空間的不均一性を考慮したとしてもSCP工法による地盤改良は,地震時沈下量のばらつきを低減することができる.2) 50回のモンテカルロシミュレーションの試行回数で地震時沈下量の十分な統計値が得られた.3) 地震時における構造物のめり込み沈下量の頻度分布を正規分布と仮定してSCP改良地盤の性能照査法を提案した.

  • 酒井 崇之, 中野 正樹
    2026 年21 巻2 号 p. 139-151
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    昨今,土構造物に対しても性能設計が重要視されており,有限要素法等による詳細な解析が実施されている。解析を実施する際のパラメータは,土質試験結果から推定されることが多い。本研究では,Dynamic multi-swarm PSOを用い,SYS Cam-clay modelの材料定数を推定する手法を提案した。提案手法の妥当性を,1)構成則により計算された結果から用いた構成則パラメータを推定する際の精度の検証,2)実際の実験を再現する際のパラメータ推定の再現性の検証の2つの方法により検討した。1)については,粒子の数を400個以上とし,島の数を8, 20, 50, 100個のいずれかに設定することで,正解が100%の確率で得られる。2)においては,100回の検討で得られたパラメータの変動係数は0~0.3%であり,ほとんど同じパラメータが得られる。以上から,提案したパラメータの自動推定法は妥当である。

  • 西村 伸一, 鄭 詩頴, 黄 梦露, 陳 依萌, 柴田 俊文
    2026 年21 巻2 号 p. 153-160
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究では土構造物(ここでは,ため池)の設計に必須の強度定数である,有効粘着力c′ および有効内部摩擦角Φ′を,データベースを活用して推定することを目的とする。ため池は,個数が多く,土質試験データとしては多く存在するが,個々のサイトでは,ボーリング数,データ数が非常に限られる。ここでは,階層ベイズ法(HBM)を用い,データベース(Generic data)と個々のサイトデータ(Site-specific data)の情報を相互に補完し,サイトの設計強度を推定する方法を探る。過去のボーリングデータからデータベースを作成し,特定のサイトにおいて,N値と物理試験結果から強度定数c′Φ′ を推定した。実測データと比較することによって精度の検証を行い,この方法の実問題への適用可能性を示した。

論文
  • 木村 優介, 西尾 美由莉
    2026 年21 巻2 号 p. 161-172
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    小規模な斜面崩落後の測量について,高価な測量機器や専門的な技術を用いず,かつ斜面に立ち入らずに安全に計測する手法は未だ確立されていない。本研究では,スマートフォンと撮影用の長尺のロッドとを用いて,安全な道路面上から谷側の小規模崩落斜面を面的に計測できる手法を提案し,その適用可能性と精度向上に資する改善点を明らかにした。仮想の崩落斜面に対する三次元モデルの生成と精度検証を通じて,(1) スマートフォンを取り付けたロッドを鉛直に支持する撮影と手持ちの撮影とを組み合わせる計測手法の頑健性,(2) 誤差の確認や手動修正が容易となる対空標識等の地物や,座標軸ごとにスケールを与える基準点や基準尺,鉛直軸を補正する標尺を設置する精度の改善方法を示した。さらに,この方法の一部を結果に適用して誤差の低減効果を確認し,8件の計測中の5件で目標精度を達成することができた。

  • 田屋 裕司, 山中 龍, 山野辺 純一, 玉木 伸二, 稲積 真哉
    2026 年21 巻2 号 p. 173-190
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    高圧噴射撹拌工法は,地中で液体の固化材料等を高速で噴射し,土と混合撹拌して固結体を造成する地盤改良工法である。噴射するセメントスラリーで地盤の切削と混合撹拌を行う必要があるため,機械撹拌工法に比べ注入量(≒排泥量)が多くなる。この課題に対し,著者らは開発した高圧噴射撹拌用の流動化剤と低注入率化によって,砂質土地盤を対象に原位置施工実験を実施し,排泥量を従来比で30%程度削減できる可能性を既往論文1)において報告した。本研究は,砂質土に比べ低注入率化に伴い排泥の閉塞や土塊残留のリスクが高い粘性土地盤をターゲットに,既流動化剤への助剤の併用,粘土塊を低減する噴射仕様の検討等を行い,原位置施工実験において施工性,施工品質を維持しながら従来仕様より排泥量を20%程度削減できる低排泥型高圧噴射撹拌工法の可能性を示した。

  • 久保田 哲至, 進士 喜英, 亀尾 遥大, 古川 全太郎, 小松 満
    2026 年21 巻2 号 p. 191-202
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    透水量係数や貯留係数を把握するための原位置透水試験の一つである揚水試験は,段階揚水試験を行った後,定流量揚水試験,回復試験を連続して実施する。地盤工学会基準における回復試験では,揚水井あるいは各観測井の水位が平衡水位まで回復した時点で試験を終了すると定められており,これが試験に時間を要する原因の一つとなっている。また,井戸貯留や定常状態などの実条件を考慮しない従来の解析方法では,それらの影響を受けたデータから透水量係数を算出する際に,計算結果に乖離があることも指摘されている。そこで本研究では,回復試験から透水量係数を算出する方法において,実条件を考慮しつつ,平衡水位まで回復する前に適切に透水量係数を算出できる解析区間に関する新たな判定方法を提案した。

  • 土田 孝, 畠山 正則, 持田 文弘, 京野 修
    2026 年21 巻2 号 p. 203-218
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    室内試験によって土試料の力学特性を調べる際に,試料を原位置の有効応力で再圧密して室内で有効応力状態を再現する操作はrecompression(再圧縮)と称され,乱れの影響を除去し信頼性の高い強度,変形特性を求める上で効果的とされている。再圧密の過程で発生する体積ひずみは試料の品質を評価する指標として用いられているが,自然地盤から採取した粘性土試料から求めた体積ひずみについて公表されたデータは少ない。本論文は,わが国の港湾事業と海上空港事業のために採取された海成粘土試料に再圧縮法が適用された事例において,再圧密過程で発生した体積ひずみのデータを収集・分析し,体積ひずみに基づいた試料品質判定の妥当性につて考察を行っ。

  • 倉上 由貴, 中島 進, 太田 啓介
    2026 年21 巻2 号 p. 219-237
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    著者らは,重機による締固め作業が困難な狭隘現場における土構造物の施工の省力化・急速化を目的に,締固めを要しない流動化処理土の鉄道盛土材料としての適用性について検討してきた。本論文では,保護層を設けた提案構造の長期耐久性,流動化処理土の強度発現特性,配合強度設定および強度・変形特性について報告する。長期モニタリングの結果,保護層は流動化処理土の乾燥や変色を防ぐ効果を有していることが明らかとなった。ただし,現場と室内の養生条件の違いにより,現場では材齢28日時点で設計基準強度に達成しておらず,現場/室内強度比等を考慮した安全率2.3を設けることを提案した。また,一軸圧縮試験・三軸圧縮試験の結果から,供用時における流動化処理土の強度定数は,せん断抵抗角𝜑 = 0°,粘着力𝑐は一定であり一軸圧縮強さ𝑞𝑢から粘着力𝑐を設定できることを明らかにした。

  • 水野 敏裕, 川村 志麻, 三嶋 信雄, 小原 拓己
    2026 年21 巻2 号 p. 239-251
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    コーン貫入試験は,原位置の地盤強度をコーン貫入抵抗qcとして評価する調査手法であり,実務において広く用いられている。この試験は室内での実施も可能であることから,種々の試験結果との相関を求めることができ,その利便性は高い。本研究では,静的コーン貫入試験のコーン貫入抵抗qcから土構造物の設計に用いる土質定数の推定法を検討している。全国33か所から採取した土質材料を用い,粒度,湿潤密度,含水比を統一して作製した供試体の下でコーン指数試験,一軸圧縮試験,CBR試験を実施した。静的コーン貫入試験と締固めた土のコーン指数試験におけるコーン先端形状の差異およびモールドの側方拘束の影響を定量的に評価し,これらの要因を考慮した土質定数推定のための新たな相関式を提案した。

  • 野村 竜矢, 青柳 悠大, 石原 雅規, 柿原 結香
    2026 年21 巻2 号 p. 253-267
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    計画高水位を超える越水に対する河川堤防の強化を目的に,自立型構造の堤防の技術開発が進められている。越水によって生じうる状態の変化が自立型構造の安定に与える影響を明らかにすることで,着目した各種変状に対して合理的な設計が可能となる。そこで,鋼矢板二重壁によって自立部を有する構造を対象に,まず越水時の変状連鎖図を作成し,変状とその因果関係,発生メカニズムを整理した。次に,鋼矢板二重壁構造を試設計し,堤体と基礎地盤の土質区分に応じた不確実性を考慮した土質定数の確率モデルを適用した。最後に,フラジリティカーブを用いて,変状が堤防の安定に与える影響を検討した。この検討から,土と鋼矢板の境界面のなじみの悪さは浸透安全性以外の堤防の安定にほとんど影響しないことと,鋼矢板二重壁内の中詰土の流失と堤内地地盤の洗掘は堤防の安定に大きく影響することを確認した。

  • 野並 賢, 加藤 正司, 鳥居 宣之
    2026 年21 巻2 号 p. 269-281
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    粗粒土のせん断強度と相関が高い物理特性を見出すことを目的に,生成由来および産地が異なる30種類の粗砂に対し物理試験および一面せん断試験を実施し,それぞれの相関性を調べた。破壊時のせん断抵抗角Φ,および残留時のせん断抵抗角Φrは,土粒子表面の凹凸度合いを表すFU値と立体的な形状の指標である扁平率c/bの影響が大きいことを確認し,それぞれの影響度合いについて評価した。また,変形係数Eとlogσ~Φの傾きIΦ,logσ~(dh/ds)f の傾きIdFU 値と土粒子の圧裂強度の影響を受け,供試体の密度が小さくなると一面せん断強度特性に与える物理特性の影響も小さくなった。これらの結果に基づき,粗粒土のせん断強度特性に関する管理指標として凹凸係数FU 値を採用するのが適当であることを示した。

報告
  • 正垣 孝晴, 岩切 宗利
    2026 年21 巻2 号 p. 283-298
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    第一海堡は,江戸時代中期のロシアの南下政策への対抗として,首都東京を防備するために1890(明治23)年に,東京湾口部の千葉県富津岬沖1,200mの海域に設置された。この人工島は,海砂によって標高14mまで盛土されているが,降雨や台風時の海水の波浪等による砂の流失によって,護岸や砲台等の沈下・滑動・崩壊等が著しい。第一海堡は存亡の危機にある。本稿は,第一海堡建設の設計,施工,工学的価値等を考察して,この遺構の惨状を地盤工学的に分析して将来の保存方策を考察した。

  • -鉄道盛土におけるJES工法の事例-
    矢島 岳, 吉井 恭一朗, 園田 秀晴
    2026 年21 巻2 号 p. 299-308
    発行日: 2026/06/01
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    新設道路と鉄道盛土との交差部を非開削アンダーパス工法のひとつであるJES工法で施工した。中壁をRC造で構築するにあたり,仮受け方式として「仮梁方式」を採用した。仮梁方式は過去の施工例が少なく,軌道変位に与える影響評価が困難であった。特に,仮梁撤去時には荷重の受け替えが生じることから,大きな軌道変位が発生するリスクが高いと考えた。そこで,仮梁の支持部に油圧ジャッキを設置し,プレロード・アンロードを行うことによって仮梁設置・撤去時の軌道変位を制御する計画とした。施工時は軌道変位計測および函体変位計測を行い,設計変位量と計測結果を比較した。計測した函体変位量は,設計変位量よりもやや大きい値を示したが,軌道変位量は函体変位量の80%以下となった。施工時の軌道変位は段階的に推移し,適宜軌道整備を行うことで列車運行に影響を与える軌道変位の発生を防いだ。

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