地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
最新号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
論文
  • 富樫 陽太, 湯浅 友輝, 長谷川 淳, 川越 健, 粕谷 悠紀, 山田 祐樹
    2019 年 14 巻 2 号 p. 77-93
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    明瞭な斜面の滑動を示す地形的な特徴が認められない岩盤斜面は,降雨などに起因して大規模な崩壊を起こすことがある.このような斜面の内部には,すべり面が形成される以前の抵抗体が残存することが確認されている.本研究では,大規模崩壊の変形メカニズムを明らかにすることを目的として,実際に現地観察された事例をもとに抵抗体とその位置をモデル化した2ケースの遠心模型実験を行った.遠心力載荷に伴う模型斜面の変形を詳細に観察した結果,内部の抵抗体近傍に変形が集中し,その位置に応じて明確に異なる崩壊挙動を示すことがわかった.また,模型斜面の表面変位は,いずれのケースにおいても斜面中腹が局所的に変形し,はらみだすこともわかった.

  • 佐竹 亮一郎, 若井 明彦
    2019 年 14 巻 2 号 p. 95-109
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,地盤材料の不均質性が斜面を有する地盤構造物の安全率のばらつきに与える影響を評価することを目的とし,せん断強度低減法に基づいた弾塑性有限要素法による斜面安定解析とそれを各試行とするモンテカルロ・シミュレーション(MCS)を実施した。地盤材料の不均質性を支配するパラメータの中で,特に安全率への影響が大きいと考えられるものに対しMCSによる感度分析を実施した結果,MCSにより得られた安全率の確率分布の平均値は,材料に均質を仮定した解析の結果を常に下回り,材料に均質を仮定することは設計照査上危険側の評価であることを示した。さらに,MCSより得られた結果を用い,安全性を確保するために用いられる割増係数を算定したところ,割増係数は,MCSから得られた確率分布の変動係数の増加に従い指数的に増加する傾向を示した。

  • 金 秉洙, 畠山 正則, 加藤 正司, 竹下 祐二
    2019 年 14 巻 2 号 p. 111-121
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,連続加圧方式による加圧板法の保水性試験装置を用いて親水・疎水性砂の保水特性について調べた。試験試料として豊浦砂を用い,シラン処理により人工的に疎水性砂を作製し,無処理砂(親水性砂)と共に連続加圧方式の保水性試験を行った。連続加圧方式を用いることによって水分特性曲線の排水・吸水過程に要する試験時間が段階加圧方式の試験方法に比べて短縮された。また,親水性砂と疎水性砂の水分特性曲線の比較により,空気侵入値は疎水性砂の場合が高い値を示すが,水浸透値に関しては,親水性砂の場合が高い値を示すことが分かった。これらの結果から,親水性砂より疎水性砂において,水分特性曲線のヒステリシスが大きくなる傾向が明らかになった。

  • 高柳 剛, 宮下 優也, 湯浅 友輝, 欅 健典
    2019 年 14 巻 2 号 p. 123-139
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    積雪地域では融雪水を誘因とする斜面崩壊(融雪災害)が発生する場合がある。本稿では鉄道沿線斜面で発生した融雪災害の事例(45件)を分析し,盛土では高さ約3m以上の腹付け盛土または片切片盛,切土では台地地形の地山に施工された切土のり面で融雪災害が多発している実態を示した。また融雪災害の要注意箇所を抽出する手法として,鉄道で用いられている降雨時斜面災害の危険度評価基準(限界雨量基準)に着目し,同手法の総合評価点を融雪災害の被災箇所と未被災箇所で比較した。その結果,被災箇所の総合評価点が低くなる傾向が確認され,同基準を応用した融雪災害の要注意箇所抽出手法が有効に機能する可能性を示した。

  • 上沢 進, 張 銘, 駒井 武
    2019 年 14 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    微生物の分解能を利用したバイオレメディエーションは,低コスト・低環境負荷浄化技術として重要である。実際の現場浄化では汚染物質の分解を加速するために浄化促進剤の投入が必須であるが,難透水性地盤への試薬投入は容易ではなく,試薬を効率的に投入するためには促進剤や水素などの物質移行を考慮する必要があるが,そのプロセスは十分に解明されていない。本研究では,実際の現場で利用可能な浄化促進剤投入方式として,難透水層直上の透水層あるいはウォータージェットで掘削したスリット面を利用した平面的拡散,ボーリング孔を利用した中空円筒形拡散及びボーリング孔底を利用した中空球状拡散の理論解を整理し,各拡散方式の基本性能を検討した。その結果,難透水性地層中にウォータージェットで掘削したスリット面を利用した平面的拡散方式が試薬投入方式として最も効率的であると推察された。

  • 上沢 進, 張 銘, Robert C. Borden, 駒井 武
    2019 年 14 巻 2 号 p. 149-159
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    バイオレメディエーションでは,水素徐放剤の投入による浄化促進が可能であるが,難透水層の場合,注入方式では薬液の浸透性,また,攪拌方式では地盤の泥濘化の問題がある。筆者らは,対応策として,難透水層における水素分子の拡散効果に着目し,また理論的基礎検討により明らかになった平面的拡散方式の優位性を活かし,一定の離隔で水素徐放剤をウォータージェットで切削した薄膜状スリットに投入する浄化手法を考案した。薄膜離隔は上下方向で0.3mとして2現場で実証実験を行った。その結果,低濃度汚染サイトでは8.5箇月でほぼ完全に浄化され,高濃度汚染サイトでは最大濃度75mg/Lであったテトラクロロエチレンが2年間でほぼ環境基準値(0.01mg/L)レベルまで分解された。これら現場試験の結果より,ウォータージェットによる浄化促進剤の投入と平面的拡散を併用した技術の有効性が実証された。

  • 李 楊, 北詰 昌樹, 高橋 章浩, 原田 健二, 大林 淳
    2019 年 14 巻 2 号 p. 161-178
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,基礎地盤の液状化沈下対策として,新たに開発されたSCP改良工法(砂圧入式静的締固め工法)について,盛土下部地盤に造成された改良体の幾何学形状が地盤の地震時応答や地盤の液状化,盛土の沈下性状や変形メカニズムに及ぼす影響を有限要素解析によって検討した。解析対象は緩い飽和砂地盤と盛土とし,無改良のケース,盛土法尻部から鉛直方向に改良体を造成したケースならびに盛土法尻部より盛土直下方向に斜めに改良体を造成したケースとした。解析結果より,無改良のケースでは,加振により砂地盤が広範囲に液状化して盛土が大きく沈下する傾向が見られた。一方,改良したケースでは,鉛直改良と斜め改良とも砂地盤の一部に液状化が発生するものの,改良体の効果で盛土の沈下が低減することが分かった。特に斜め改良ケースでは,盛土法肩部や法尻部の地盤変形が大きく低減でき,改良の効果が大きいことが確認できた。

  • 池野 勝哉, 田中 智宏, 白 可, 高橋 英紀, 森川 嘉之, 水谷 崇亮
    2019 年 14 巻 2 号 p. 179-196
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    著者らは,陸上工事において広く用いられている補強土壁工法の優れた補強効果に着目し,ジオグリッドを補強材として岸壁背後に適用する補強土壁式矢板構造を提案した。本研究では,ジオグリッドを岸壁構造に適用する場合の技術的課題について整理し,ジオグリッドの引抜き試験や大型模型載荷実験および遠心模型実験を実施した。その結果,気中・水中の違いや静的・振動中の引抜きに関わらず,有効上載圧が石材とジオグリッドのせん断抵抗力に影響を与えていること,永続状態および変動状態(地震時)の構造安定性について提案構造が優れていることを確認した。また,数値解析による考察を加え,ジオグリッドを主働崩壊面の陸側まで十分に定着させる必要があること,特に最下段の敷設長は全体の外部安定性に大きく影響を与えていることを明らかにし,これらを考慮した本構造の設計法を提案した。

ノート
  • 森 友宏, 秋山 誠, 土倉 泰
    2019 年 14 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本論文では,土粒子および土粒子間に形成される間隙を球状と仮定して,様々な土粒子径を持った土が形成する間隙径分布の算出手法を提案する。土粒子間に形成される間隙球は,互いに接する4つの土粒子球の内部にあり,4つの土粒子球全てに外接する球として定義する。間隙球の大きさの分布は,存在する土粒子球の種類と数量をもとに,4つの土粒子球を取り出す確率から求められる。また,実際の砂質土に準じた粒径分布をもつ土粒子球により形成される間隙球の間隙半径分布の計算事例を示した。この手法により,不飽和地盤の土粒子間に働くサクション応力を定量的に評価し,不飽和土におけるサクション応力を設計に反映可能となることが期待される。

報告
  • 石川 友之, 安藤 健司, 前本 尚二, 佐藤 克己, 塙 誠一
    2019 年 14 巻 2 号 p. 205-223
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震において,茨城県潮来市日の出地区では約200haにおよぶ住宅地で甚大な液状化被害が発生した.潮来市は再液状化の抑制を目指して,2012年2月に東日本大震災復興交付金事業における市街地液状化対策事業に着手した.本事業では地区の土地造成の履歴から地下水位低下工法が適するものと考え,その実現可能性を検証した上で液状化対策工事を実施した. 2018年4月に液状化対策効果検討委員会により地下水位の低下が確認され,既成市街地において前例のない規模の地下水位低下工法による液状化対策工事が完了した.本検討の経緯は国の指針となる市街地液状化対策推進ガイダンスの策定に際しても実例として参考にされ,指針として活用されている.
    本報告ではこれら一連の事業の経緯を報告する.

  • 國眼 定, 上田 大輔, 八谷 誠, 八嶋 厚, 野津 隆太
    2019 年 14 巻 2 号 p. 225-240
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    道路直近における待ち受け対策で捕捉できない斜面上の大きな岩塊については,発生源対策としてワイヤー等による固定,岩盤接着工等による安定化,もしくは現地で小割除去を行うことが一般的である。しかしながら,地域間を結ぶ数少ない交通網として重要な役割を担う山岳道路においては,発生源対策による長期間の交通規制が,地域の社会生活に多大な負荷を課す。本事例の対象は,直轄国道斜面上に存在する,道路面での落石エネルギー約8,000kJに相当する不安定転石である。本報告においては,直轄国道としては異例の24時間全面通行止め措置を伴う巨礫除去となった経緯について,道路管理者としてのリスク回避の考え方,事前調査・設計および対応の妥当性検証を詳述する。得られた知見は,道路の今後のリスクマネジメントや落石対策の参考となるものである。

feedback
Top